デーモンスーツ 第2部 ピンク


 帰りは一直線である。スコットの研究所へと向かう。自動操縦で戻れるので、二人はデッキでくつろいでいた。

 「リョー、お前が元に戻る迄、行方不明という事で騒がれたりしないか?」
 「一応あと一年は平気でしょう。」
 「何故だ?」
 「授業料は前払いになっていますから。」
 「あの星へ行く届は出したのか?」
 「エヘッ、あそこは立入禁止区域に指定されていますよね。だから届けていません。」
 (よし。届けていないのか。それならリョーがどう成ったか、どこへ失踪したかは調べられない筈だな。)
 「それより先輩。何か衣服は無いですか?」
 「着る物と言ってもなあ。女物なんか在る筈ないじゃないか。」

 リョーはニコッと微笑み、

 「先輩。ボク知ってるんですよ。」
 「何を・・・。」
 「先輩の趣味。」
 「だから、どんな・・・。」
 「恥ずかしい趣味。」

 スコットは慌てて狼狽えた。

 「でもボクの身体の変化程は恥ずかしくはないですよ。何とかいう会の会員なんですね。」
 「チェッ、知ってたのか。でもなあ、お前みたい程の身体に合うのは本当に無いのだよ。でもデータベースで調べて頼めばすぐ届く。頼んでおこうか。」

 スコットはコンピューターを操作し始める。慣れた手付きで、アダルトショップにアクセスした。後ろからリョーも覗き込んでいる。

 「『アキ興業』って言うのですか? 変な名前のVANですね。」
 「俺も良くは知らないけれど、相当昔からのVANなんだよ。非常に高い信頼性の有るVANで、割りと入会資格が厳しいんだ。」

 サブディレクトリで段々と深い階層に下りていき、やっと女性用下着にたどり着いた。しかしそのディレクトリはあくまでも大人の玩具の項目であった。

 「先輩。取り合えずは普通の下着でアクセス出来ないのですか?」
 「俺は独り者だもの。結婚したとか、同居の女性が居るとかではないと無理だ。ここには俺はアクセス出来るからな。お得意様だから。」

 グラフィック画面に現れる下着類はどれも皆卑猥さを感じさせる物であった。

 「先輩。いくら何でも、こんなのを着けなくちゃならないのですか? 身体の線をより目立たせる下着でしょ。」
 「我慢しろ。俺にはここしかアクセス出来ないのだから。それよりシャワーでも浴びてこい。女臭いのはいいが、それも程度問題だ。」
 「はーい。でも、出来るだけまともな物をお願いしますよ。」

 リョーは不満気な様子で部屋を出て行った。そしてスコットは更に深い階層のディレクトリに下りた。そこに出てくる下着はもはや下着とは言い難い。見た目には卑猥な下着であるが、責め具の下着の項目であった。
 リョーは久しぶりのシャワーで汗を流していた。しかしその様子は隠しカメラで監視されていたのである。その姿もデータとしてVANにアクセスされていたのであった。



 アキ興業の女主人は若い女性であった。モンゴロイドの血の混じる、美しい女性であった。メイ・キクノ。二十七歳。自分の管轄エリアから久しぶりの『ゲットアップ』信号を受け、内容を確認していた。ニューロンコンピューターが『ゲットアップ』確認を求めてきたのであった。

 「こんな田舎からのゲットアップ? サブゲットも無かったのに、いきなり?」

 メイは過去のデータを取り出し、スコットについて調べ始めた。通常はこの様な事は違反であり、禁止された事項であるが、VAN設置時に祖先が隠しプログラムを入れておいたのであった。
 『ゲットアップ』とは、アキ興業の昔から続いている本業にアクセスされる事項で、顧客が『ゲットアップ』した場合に発せられるアラームであった。通常の大人の玩具である場合、よほどの低年齢である場合以外はフリーである。そしてそれよりも程度の高い商品を望んできた場合にはニューロコンピューターの判断により、その必要性を判断する。そして一番肝心なのは、顧客が性犯罪を犯さない様に監視しているのである。顧客の犯罪は、それに関わるVANの信頼性にも関わってくるのである。『ゲットアップ』とは『手に入れる』または『目覚める』の意味である。『目覚める』物を『手に入れる』とは、アキ興業のVANでは性に関する事なのである。つまり顧客が何らかの性の対象物、この場合は人間であるが、人格を認めない対象物を手に入れた事を意味する。同棲の異性、または結婚相手も『ゲットアップ』には違いないが、アキ興業では意味を持たない。通常はその様な対象物を手に入れようとしている場合、『サブゲット』としてアラームが発せられ、ニューロコンピューターはそれが犯罪にならぬ様、監視する。大体は犯罪になる筈であるが、精神的に性に関する以外の異常は無く、アキ興業が手助けをすれば隠し切れる場合だけアラームを解除し、『ゲットアップ』の手助けをする。
 だから、滅多な事ではいきなりの『ゲットアップ』は発せられないのだ。そしてその様な事態がメイにとっては楽しい瞬間なのである。コンピューターは犯罪性を否定している。見守るべき対象と指示してきた。
 メイも確認した場合、顧客に対するデータベースはより深い階層に迄アクセスを可能にする。更にサービスとして、項目を引き出し易い様に誘導するのである。



 スコットはシャワー室からの映像でリョーの身体のデータを取り込んだ。そのデータに合う下着類の検索をしようとしたが、データベースが割り込んで来て、『お勧め』を一覧表示してきたのだ。

 「ん? こんなサービスが有ったのか。初めてだから知らなかったなあ。そして値段も安い。その割りには・・・、ウフッ、リョーにはこのデータは見せられないな。スケベな代物だ。」

 早速購入指示を出し、回線を解放した。そこにリョーが戻って来た。

 (やばい。タッチの差だったな。こんな内容見せられないからな。)

 「一応下着や衣服は頼んだが、どんなのか分からんぞ。それに結構高いから、俺の給与ではいっぱいいっぱいだよ。」
 「済みません。何から何迄。」

 リョーは大きなバスタオルに身を包み、長い美しい髪を別のタオルで乾かしていた。その肉体はタオルで隠し切れない豊満さを現していた。スコットは息を飲んでリョーを見つめていた。そんなスコットの視線を感じ、リョーは顔を赤くした。

 「先輩。ボクは男ですよ。その目、スケベ。」
 「そう言うなよ。その身体じゃ誰だって催すぜ。俺だから我慢出来るんだぞ。もうすぐ星に着くが、良く眠っていないだろう? 少しの間だが、寝ておけ。」
 「はい。済みません。」

 リョーはベッドルームに向かい、ちょっと立ち止まってから振り向いた。

 「先輩、夜這いしないで下さいね。」
 「バカヤロ。分かってる。」

 しかしリョーははにかみながら、

 「そうじゃないんです。ボクにはまだ自信無いんです。多分まだ発情してしまうかも知れないんです。避妊したから、少しは減ると思います。だけど、そしたら済みません、ボクにはどうしようもないので・・・。女の肉体のせいですから・・・。」
 「心配するな。その時はその時だ。早く寝ろ。」
 「お休みなさい・・・。」

 リョーはベッドルームへと去って行った。

 「ドキッとさせるぜ。下心を見透かされたかと思った。さて、リョーが寝ている間に・・・。」

 スコットはディスプレイの向きを変え、たとえリョーが戻って来ても悟られない様な位置に移った。

 「最初は女の木の実の分析だ。この中のホルモンがリョーをいつ迄も女にしておく筈だ。それとリョーの産んだ種。」

 スコットは分析器に木の実と種を別々に入れ、データをVANのコンピュータに送り込んだ。そしてSMカタログのデータを引き出し、眺めていた。間も無くVANからのデータが戻る。

 * 分析結果
果実について 多量の女性ホルモンが含有されている。危険物質として、放射能同位元素の含有有り。ホルモンについては全て分析。ほぼ同量のホルモンを含む薬品は存在。市販されてはいない。ホルモン欠乏症の治療薬。
「レベル2アクセス」 商品番号SM10093783HKL

 「ん? レベル2? そんなランク知らないぞ。バグかな? でも買えるなら手に入れたいな。リョーに飲ませ続ければ女のままでいるかも知れない。」
 スコットはその商品についてのデータを求めた。

 * 商品番号SM10093783HKL
女性ホルモン欠乏症の治療薬。野生の木の実に含有する物も有るが、放射能を含み、危険。特殊な使用法として、男性の女性化促進。このホルモンだけでは女性化しない。
女性化した男性の女性化保持として働く。催淫性が有り、恒常的に発情する。持続性ホルモンであるが、飲み続ける事は危険。2年間の連続服用により、完全女性化してしまう。以後、男性ホルモン処方しても女性化が完了してしまっては効果が無くなる。

 「ヘーッ。じゃあ、後一年飲ませりゃ男に戻れなくなるのか。」

 * 種子の分析結果
女性ホルモン含有が高い。放射能物質含有が高い。生育条件は固い岩盤上に根を張り、高濃度肥料を吸収する。温度管理が難しく、特殊環境下でしか生育しない。含有するホルモンは大腸からの吸収が効果が高い。女性化ホルモンを含む。劇的効果が有るが、持続しない。副作用として、女性器が女性以上の機能を持つ様になる。骨が柔らかくなり、力が弱くなる。

 「そうか、折角のチャンスだ。物にしなくては。」

 * 関連データ

 「何かな? エーッ?」

 * 女性化男性飼育法
外見、生理的完全女性でもホルモン処方で元に戻る。それを防ぐ方法として次の様な手段を考慮されたい。

 「おいおい、いいのか? 出来るのか?」

 スコットはVANからの回答に興奮した。懇切丁寧な罠を指示しているのである。そしてそれに必要な器具、薬品の類の一覧迄示されている。そして全てが手に入る様になっており、しかもそれ程高くない。クレジットで充分手配出来るのである。
 スコットはその全ての道具を購入指示した。丁寧にも、『被害者』の目に触れぬ様に設置しておいてくれるサービス付きであった。



 リョーは船の着陸の振動で目が覚めた。小さな窓から外が見える。初めて来た星だが、暗い岩肌の星であった。光の明暗の差が激しい。空気の無い星である様だ。暫くして埃が治まる。その具合からも空気の無い事が分かる。直射日光の具合からは寒そうな星である。

 「いやあ、何も無い星だわ。」

 久しぶりの熟睡で、完全に覚めていない目でぼんやりと見ていた。

 「おい、リョー。起きてるか?」

 スコットが部屋に入って来た。

 「まずい事になったよ。」

 リョーはドキッとした。何か不具合が有ったのか。

 「この星には空気が無い。だから移動には宇宙服が必要なのだが・・・。」
 「ええ・・・。アッ!」

 リョーにもスコットの言っている意味が分かった。リョーの今の身体に合う宇宙服など在る訳がないのだ。

 「既製品なら予備も在るし、大きさが違うならすぐにでも手配出来る。しかしその胸を納める服となると、特注しかない。」
 「頼むと時間が掛かりますか?」
 「まあ、頼めたとしても相当掛かる。でも頼めないだろう?」

 リョーは困ってしまった。特注宇宙服となると、身体を晒し、合わせて貰わねばならない。

 「やむを得ない。生命維持装置を使おう。」
 「生命維持装置?」
 「お前は知らないだろうが、外宇宙用の緊急脱出に使う物だ。しかし問題がある。」
 「問題? 何ですか?」
 「ここに在るのはかなり旧式なのだよ。安全性は絶対なのだが、装着が難しく、しかも外すのも大変なんだ。
実際、脱出ポッドの代用をする程の装備だからな。」
 「大掛かりなんですか?」
 「そうだよ。たったこれだけの距離の移動なのに。しかも生命維持装置だから、全部装着してチェックがOKにならないと空気が出ない。面倒この上ないよ。」

 リョーは申し訳なさそうにしていた。

 「少しきついがいいか?」
 「済みません。ボクの方はいいですよ。」
 「そうか。じゃあ運んで来る。少し待ってろ。」

 スコットはニヤッとした笑いを噛み殺して部屋を出て行った。

 窓から外を見ていたリョーは宇宙服を着たスコットがかなり大きな箱を移動させているのに気が付いた。

 「でかいなあ。生命維持装置ってあんなに大きいの?」

 ハッチの開閉の音がして、やがてスコットが部屋に戻って来た。

 「待たせたね。衣服が届いていたよ。アダルトショップの物だから、気に入らないとは思うけれど、何か着ていないと生命維持装置のベルトが当たるからな。」

 ヘルメットを外したスコットが差し出した箱を開けた。その中身を開いて、リョーは素っ頓狂な声を上げた。

 「先輩。何ですか、これは。」
 「仕方ないだろう。俺のVANではこんな物しか無いのだから。ダメならすっ裸でもいいぞ。」
 「しょうがない。着ますけれど、笑わないで下さいよ。」
 「そう言うなよ。俺だって本物の女に着せた方がいいと思っているんだから。」

 リョーは淫猥な黒い艶のある下着を身体に合わせた。スコットが鼻を伸ばして見ているので、

 「先輩。一応女の身体なんですから、見ないで下さい。」
 「あ、ああ。」

 スコットは頭を掻きながら部屋を出た。

 「ウヘーッ、凄い代物だわ。SMその物ね。」

 リョーは女の下着の着け方など知らない。しかし箱に入っている物は女が自分自身で着ける物ではない。男が女に着ける物であった。だからその着け方はリョーにも分かる、単純な物であった。

 「ありゃ、このパンティーは穴開きだわ。殆ど紐パン。」

 穿いてみると、確かにヒップは少し隠れるのだが、大部分ははみ出し、しかも肝心の所は全く隠れない。プックリと盛り上がる様に押し出されてしまうのだ。

 「ひどいわね。裸よりも卑猥よ。ボクが男だったら良かったのに。こういうのを女に穿かせたいとは思っていたけれど・・・。あーあ、このブラジャーにしても、形はブラだけれど、まるで授乳用よ。前が簡単に開くのね。」

 初めてのブラジャーは嬉しくもあり、気恥ずかしくもあった。肩紐や背中の部分の長さの調整が難しく、簡単には着けられない。大きく見えたバストの部分も、実際に着けるとピッタリなのである。

 「ヘーッ、まるでオーダーメイドみたい。オッパイがブルンブルンしないのはいいけれど、何だか圧迫感があるわね。」

 しかしこのブラはバストを覆う部分が殆ど透明に近い状態であり、ちよっと見にはバストを紐で縛り付けてある様に見えるのだ。

 「エヘヘ・・・。何とまあ卑猥な格好だこと。先輩も悪趣味だけれど、ボクにも分かるからイヤになるわ。」

 上に着る物もボディコンである。合成皮革で、これも黒く輝きを持っている。胸も背中も大きく開いていて、少し危ない。スカートの丈は極めて短く、隠しておきたい部分はすぐにはみ出そうだ。それと同じ材質のハイヒールのロングブーツ。小さな姿見で確認をしたが、どう見てもリョーはそれが自分自身であるとは思えなかった。

 「すっ裸よりはましという程度ね。先輩には悪いけど、後は自分で作るしかないわ。」

 早く居住区へ移動したいので、スコットへ声を掛けた。

 「先輩、終わりました。」
 「時間が掛かるなあ。ウオッ・・・! リョー、お前だよな。見違えるなあ。」

 スコットの笑い顔はリョーには少し卑猥なものに感じられる。

 「先輩。もう少しまともな物は無かったのですか?」
 「ウフフ・・・。そう言うなよ。少しは俺にも楽しませろよ。」
 「早く居住区に移りたいんです。生命維持装置は?」
 「チェッ、残念だなあ。こっちだ。」

 スコットは船の倉庫ブロックへとリョーを連れて行った。殆ど空の倉庫の中央に大きな金属ケースが置いてある。

 「上のハッチから入れ。見た目の割りに中は狭いぞ。入ったら中からハッチを閉める。中に入ったらコンピューターが作動するから、その指示に従え。面倒な作業だが、我慢しろ。何しろ外宇宙用の大掛かりな奴だからな。」
 「はい。」
 「中に入ると全ての準備が済まないと外との連絡は出来ない。無線機が動作するのは準備OKを確認してからなのだ。それと、ハッチは一度閉めたらこれも完了する迄は開かない。」
 「分かりました。」
 「移動中には開けるなよ。移動はすぐ出来るが、無線で確認してから開けるのだぞ。一応外からの緊急レバーが在るから、俺が開けた方が間違いはないが。」

 リョーは何となくジロジロ見つめているスコットの視線に、早く維持装置の中へと逃げ込みたかった。

 「分かったな。早く入れ。」

 リョーはケースの脇の金属梯子を上り始めた。尻が丸見えになるのだが、スコットは横を向いていてくれたので、ハイヒールでは昇り難いのだが、急いでケースに上がった。ハッチのハンドルを回し、蓋が開いたところですぐにその穴の中に入り込んだ。
 確かにコクピットらしい形の内部であるが、かなり狭く、ちょっとの時間であるのに大げさであると感じた。ハッチのレバーを戻し、中の椅子に腰を下ろした。途端に薄明るくなり、座席の前の透明硬質プラスチックの向こう側のディスプレイが点灯した。そして音声合成らしい女性の声が流れてきた。

 「生命維持装置作動します。落ち着いて指示通りにセットして下さい。」

 リョーは椅子に腰を深く座り直した。

 「シートベルトを絞めます。」

 椅子の脇からフレキ金属のベルトが伸びてきて、リョーの腰に巻き付いた。

 「安全姿勢にして下さい。」
 「安全姿勢? どうするの?」
 「衝撃に対して安全な姿勢です。身体を丸くします。膝を上げて、抱え込んで下さい。」

 リョーは言われた通りに足を持ち上げた。すると椅子の下の部分に遮蔽板が迫り出し、立て膝のままでしか居られなくなる。

 「その姿勢で楽な姿勢にして下さい。足は広げて下さい。」
 「こうするのかな?」
 「OKです。もう少し足を上げて下さい。」
 「足を開いたまま上げるの? ちょっとつらいわ。」
 「安全姿勢です。射出時の衝撃を防ぐ為に固定します。」
 「射出? ほんの少し移動するだけよ。」
 「意味不明。足を固定します。」

 腰ベルトよりは細いが、同じ様なフレキベルトが足首と膝の部分に巻き付いてきた。

 「大げさね。」
 「身体を揺すって下さい。固定状況を確認します。」

 リョーは椅子の上で身体を動かした。

 「データ分析。あなたが女性である事を確認しました。バストが規定以上に振動します。固定します。」
 「確かにオッパイは揺れるわね。でもそこ迄しなくてもいいのに。」

 左右からお椀の様な物の付いた棒が伸びてきた。極めて大きいお椀であった。それがリョーの胸の上に押し付けられた。

 「バスト固定。腕は椅子の後ろの穴に入れて下さい。」
 「面倒だね。穴は・・・、ここね。これも保護用なの?」
 「前面には機械部分が多く設置されています。射出時は後ろに入れて腕を保護します。」
 「また『射出』か。あれ? ここも固定?」
 「射出後、加速度が無くなった時点で緩みます。」
 「これで終わりね。」
 「固定は終了しました。」
 「じゃあ、完了ね?」
 「固定終了ですが、生命維持装置の取付はこれからです。」
 「まだ有るの?」
 「遭難状態がどれ位続くかは不確定です。固定状態のまま健康を維持する必要性の為、食事、排泄機器の取付をします。」
 「そんなの要らないわよ。ほんの少しの時間なのだから。」
 「意味不明。精神状態をチェックしますか?」
 「はいはい、分かりましたよ。確かにこれは外宇宙用の生命維持装置として、万全の働きをしているのよね。」
 「口を開けて下さい。射出時のショックでの舌噛みを防止します。」

 リョーは渋々従った。何分にも、装着が済まねば移動出来ないし、このポッドから出られないのだ。椅子の顔の横からやはりフレキベルトが伸びてくる。リョーの開いている口の中に入り込み、舌を上下から挟み込む。金属刺激の味がした。ベルトは少しずつ縮んで、顔が椅子に縛り付けられた様になってしまった。

 「アガガガ・・・。ウァハガ・・・。」
 「暫く喋れません。射出終了迄お待ち下さい。」
 (何て面倒な・・・。)
 「次に排泄器具の取付をします。」
 (排泄器具?)

 リョーにはリッキーの星での女の木に取り憑かれて事を思い出させた。つい数日前迄、女の木の根がリョーの肛門に入り込んでいたのである。その危惧の通りに、足の間からまるでバイブの様なパイプが顔を出してきたのだ。

 「アガラ、ガガ・・・。」
 (イヤッ! またそれが肛門に入るの?)
 「生命維持の為に我慢して下さい。衣服に穴を開けて挿入します。確認、訂正。既に肛門は露出しています。挿入しますので、肛門の力を抜いて下さい。」

 パイプがリョーの肛門に伸びてきた。先端から乳液が出るらしく、ヌルッとした感覚がした途端、プスッと挿し込まれた。

 「ラガ・・・。」

 女の木の時よりはずっと細く、長さも短い。肛門の中迄であった。

 (気分いいものじゃないわ。でも、ウフッ、気持ちはいいわね。)
 「偏差値大。平均値より肛門が広く成っています。肛門性交または異物挿入性癖が有ります。」
 「ハガハ・・・。」
 (そんなんじゃないのよ。)
 「緊急事態なのです。あなたの性癖や趣味についての説明、論議は不要です。物理的、生理的な状況判断です。漏れが無い様にノズルの形状を変更します。」
 「ハバッ・・・!!」

 ノズルが膨らんできたのだ。そして直腸内部でも大きく膨れてきている。女の木の根の時よりも太く成ってきていた。

 (先輩ーーーっ!!! やだよーーーっ!!)
 「形状変更済みました。規格外の大きさです。」
 (助かったと思ったのに、またこんな事されるなんて・・・。)

 その時ポッドが移動していく振動を感じた。

 (ん? 動いている。船から居住区へ移動しているのね。)
 「移動中です。間も無く射出準備に入ります。」
 (あら? 止まったみたいわ。この感じからするとやっと居住区へ入った様ね。)
 「射出準備に掛かります。不要な衣服を除去します。」
 (不要な衣服? 何それ?)

 上の方から吸入孔の付いたパイプが下りてきた。その口がリョーの服を嘗め回す様に動く。

 「・・・・!! ハガ、ババグァ・・・・、ハガーーーー!!!!」

 衣服はまるで埃であった様に細かく砕けて吸い込まれていくのである。

 (こ、これはまさか・・・。脱出用の生命維持装置なんかじゃ・・・。)
 「訂正。本機は生命維持装置です。外宇宙用生命維持装置です。しかし脱出用ではありません。」
 (エッ? ボクの考えが伝わるの?)
 「脳波感応タイプです。意志は伝わります。」
 (じゃ、じゃあ、何用の生命維持装置なのさ。)
 「分かりませんか? 外宇宙探検隊員の性処理用『活きたダッチワイフ』の為の生命維持装置です。」
 「フグァ? ハガラ・・・?」
 (エッ? 何ですって? 『活きたダッチワイフ』?)
 「その通りです。狭い環境に適した性処理用の活きたダッチワイフにし、健康と性処理機能を高め、保持します。」
 (嘘! そんな事、先輩がする筈がないわ。間違いでしょう?)
 「データ不足です。私がここに到着したのは四時間前です。注文により届けられました。」
 (そ、そんな・・・。先輩がボクを・・・。)

 リョーのボディコンの衣装はすっかり消滅、吸い込まれてしまっていた。そして穴開きだったパンティーはその縁取りだけが残っていた。くっきりと秘部を盛り上げている。

 「胸の部分を確認します。」

 大きな金属のお椀の部分が開いた。ブラも同じであった。紐の部分だけが残り、ちょうど黒い細いベルトで乳房を縛っている様な形に成っている。
 リョーは椅子の後ろの穴に入れた腕を引き抜こうとしてもがいた。しかししっかりと押さえ付けられていて、全く抜けない。腰を上げて、椅子から離れようとしてみても、肛門に入っているパイプによって、椅子にしっかりと固定されているのだ。

 「離れるには椅子の後ろに在るスイッチ操作が必要です。手が固定されている間は操作出来ません。もっとも、手が自由になってもそのままの体勢では操作出来ません。」
 「フギクッ! ハガゥグーーーッ!!!」
 「定位置に着きました。ポッド分解、外側部開きます。」

 ギギーッと音がして、ポッドを囲っていたケースが上の方から開き始めた。隙間から明るい光が飛び込んでくる。

 (このまま開く? この格好のまま?)
 「ハギッ!! フガガゴーーーッ!!!」

 眩しい光にリョーは目が眩んだ。恥ずかしい格好のまま、明るい光に晒される事はつらく恥ずかしかった。ゆっくりと慣れてくる目に、ぼんやりと人影が見えた。

 (せ、先輩。ひどい!! 見ないでーーーっ!!)

 しかしリョーは更に驚きで目を疑った。スコットだけではなかったのだ。もう一人、若い女性が一緒に立っていたのだ。

 (誰? イヤッ!! 知らない人にボクの身体を・・・。しかもこんな格好を・・・。)
 「エヘヘヘ・・・。リョー、ごめんな。どうしてもお前の身体を元に戻すなんてのが勿体なくてね。」

 スコットの脇の女も微笑みながらリョーを見つめていた。

 「映像データでも結構な身体でしたけれど、実物を見させて頂くと素晴らしいですわね。人為的でない女性化は久しぶりですけれど、見事ですわ。スコットさんの判断は正しいと思いますよ。こんな素晴らしい身体を元に戻してしまうなんて罪悪ですわ。この様な身体こそ、それに見合った働きをして頂かないとね。」

 リョーは半狂乱状態でもがき続けていた。男であるにも関わらず、女以上の姿に成っているのである。スコットにはそれなり事情は分かって貰っている。それですら恥ずかしいのに、全然知らない女性が見ているのだ。乳房はブラの残りの紐でグイッと押し上げられている。それでなくとも異常に大きいのに、それが更に大きく成っている。下腹部にしても、盛りマンに成っている部分は茂みが無いので、完全に剥き出しなのだ。尻も肛門にパイプが挿れられている所迄良く見えるであろう。リョー自身には良く見えない。涙が目を塞いでいるからである。

 「こんなに高い機械を只でレンタルしていいんですか? あんな種だけで。」
 「あれも素晴らしい物ですよ。少し遺伝子操作すれば、素晴らしい性具に成りそうですもの。それに野生の状態での女性化のデータをこの方から頂いて分析したいと思います。」
 「それ程の価値が有るとはね。有り難いですよ。」
 「リョーさんはまだ落ち着きませんね。落ち着いてからでないとイベントは楽しめませんから、もう少し待ちましょう。」
 「エヘッ、楽しみなんですが・・・。」
 「ところで、スコットさんをスペシャル会員に登録しました。あなたの様な立場での登録は初めてですわ。」
 「スペシャル会員? 何ですか?」
 「これは極秘のグループへの参加資格です。通常は、お金持ちとか、社会的に高い地位に就いている方だけなのです。表の会員、つまり『アキ興業』の本来の会員は色々なサービスが有るのですが、あくまでも合法的なサービスです。大体が通信販売の事ですけれどね。スペシャルの方は、ハッキリ言って非合法です。それをカバーし合う組織です。」
 「非合法・・・。一体・・・。」
 「あなたが今なさろうとしている事も非合法なのですよ。一人の人格を無視して、男だった方を女性化させ、もっともスタートはあなたの意志でなく、偶然の産物ですが。それにしても男に戻れる可能性を完全に奪う訳ですから。」
 「ああ、そうですよね。あんまり嬉しくて、忘れていました。」

 スコットは女の話しを上の空で聞いていた。リョーの凄さまじい姿に興奮し切っていたのだ。

 「それで、キクノさん。俺がこういう事をしていても大丈夫なのですか?」
 「それがアキ興業スペシャル会員の特権です。まあ、この星でするのならまず隠しおおせるでしょう。万が一の場合でもすぐに連絡して下さい。万全の処置をしますから。」
 「そうですか?」
 「例えば、リョーさんを誰かに見られてしまったとします。その方が当会の会員でしたらあなたと同じ様にスペシャル会員に成って貰うか、そうでない方でしたら、状況次第ですが、リョーさんと同じ様に表の世界から抹殺してしまいます。」
 「抹殺?」
 「殺す訳ではないですよ。改造してセックス道具にしてしまうのです。通報は出来ないし、どなたか別の会員の玩具にしてしまいますから、永久に裏の世界に沈む訳です。通報されてしまってもご安心を。警察組織、官僚組織、政治家の中にも当会の会員は数多く居ります。どの様にでも握り潰せるのです。」
 「恐ろしい組織ですね。」
 「ああ、恐がらないで結構ですよ。グループ内の連絡は疎で、誰が会員かは殆ど分かりません。それに滅多に有る訳でもないのです。皆さん、それぞれ自由に楽しんでいらっしゃいますからね。」
 「それにしても・・・。」
 「出来たらやってみたい、と言う方は多いのです。只、それがすぐに犯罪になってしまうので出来ないのです。捕まらなければ犯罪ではありません。当会では犯罪にならない様にお手伝いするのです。犯罪と言っても大抵の場合、たった一人の人格を抹殺するだけなのです。その一人が大勢に影響を及ぼさない場合だけです。それにより、大勢の人が幸福になるのですから、トータルでは幸せの方が多いでしょ?」
 「まあ、そうですか・・・。でも、今度の場合、リョーは幸せは失いますよね。」
 「それはやむを得ません。でも出来るだけ幸せを回復させる為に、優しく取り扱って上げて下さい。それに色々な器具で素晴らしい快感を与えて上げれば、そういう責めを悦ぶ様に成って、最終的にはリョーさんも幸せになりますよ。」
 「そういうものですかね。」

 スコットは下半身をモゾモゾさせながら話していた。リョーは涙は流したままで、悲鳴も声が枯れてきたのか大人しくなってきた。涙目のまま、恨みがましい視線をスコットとキクノに浴びせていた。

 「どうかしら? リョーさんでしたね。落ち着きましたか?」
 「ウググ・・・・。」

 唸る様な声で答えた。

 「ご自分の状況をご理解頂けたかしら?」
 「ハグァッ!!!」
 「オホホ・・・。ダメですよ。どんな事をしてもその椅子からは逃れられません。私達の話である程度はご理解頂けていると思いますが、あなたはスコットさんの性処理の為の『ダッチワイフ』に成って頂くのです。もう既にその為の処理はスタートしてしまっています。止められないのです。なかなか諦められないとは思いますが、一応ご説明致しますわ。ご自分がどういう身体にされるのかをご理解頂ければ、諦めも少しは早くなると思いますからね。スコットさんもご理解下さいね。これからの作業内容を把握して下さい。」

 キクノはリョーの拘束されている椅子に近付き、しげしげとリョーを見回していた。リョーはその嘗め回す様な視線を全身に突き刺さる針の様に感じていた。

 「フーン、見れば見る程素晴らしいわ。整形でもこうはうまくいくかどうか。」

 乳房を撫で回し、乳首を摘み上げる。リョーはビクッとした。そのつぼを押さえた触り方に乳首はピクンと突き出したままに成ってしまった。

 「本物ね。本物以上の感度の良さですわ。整形では感度は極めて悪く成ります。増感剤を使っても、なかなかここ迄はいきませんわ。本物であっても、巨乳はどうしても感度が悪くなりますものね。それに形の実に良いこと。乳首も綺麗だわ。巨乳は必ずといっていい程、乳輪が大きく、乳首が長く成りますでしょ。こういうバストこそが殿方が一番お喜びになりますのよ。」
 「アバガガ、ハガガ・・。」

 リョーは乳房をいじくり回されて、身体中に電気が走る様な快感に焦っていた。乳房の芯から熱くなってきていた。
 キクノは更にリョーが一番隠しておきたい所、股間を指し示した。

 「ここも素晴らしいわ。急激な女性化の影響でしょうけれど、完全なパイパンですね。脱毛ではないので、毛穴が目立ちません。スベスベしていますもの。紐パンティーを着けられているから余計にですけれど、土手が大変良く盛り上がっています。これも名器の条件なんですよ。」

 そう言いながらキクノは膣に指を挿し入れてきたのだ。

 「ハッ・・・、ハギャーーーッ!!!」
 (イヤッ・・・、ダメよーーーっ!!!)

 リョーにとっては、押さえておきたい興奮状態が襲ってきたのだ。キクノはリョーの意志に反して、クリトリスを嬲り、膣内深く迄指を挿れてきた。

 「ウグ・・・、ウムグ・・・。」
 「あらあ。思っていた以上に、聞いていた以上に凄いですわ。この感度の良さ。愛液がこんなに流れ出て。クリトリスもいい形だし、女性器その物の色、形とも最高ですわね。まあ、締め付けの良いこと。吸い込まれる様な膣筋肉の動きですね。」
 「エヘッ、そうでしょう。俺も感心したんですよ。」
 「そうでしょうね。ここが何より一番のポイントですから、ここだけでも絶対に男に戻す事は出来ませんよね。それにしても素晴らしいわ。まあまあ、催してしまっていますわね。『ダッチワイフ』はいつも催していなければならないのですから、ここ迄は出来上がっていますのね。リョーさん、あなたが最初にするべき事は、いつでも催していて、ある程度は我慢出来る様にしなくてはならないのですよ。ちょうどいいですわ。スコットさんにはつらいかも知れませんが、少し我慢して下さいね。」
 「あ、はあ・・・。」
 「さて、最初に、この『ダッチワイフ』に名前を付けなくてはいけません。」
 「名前って・・・、『リョー・イシイ』ですよ。」
 「それはこの方が男だった時の名前でしょ。そうではなくて、『セックスペット名』または『奴隷名』、場合によっては『道具名』ですよ。『リョー・イシイ』さんはもうこの世には存在しませんから。後二、三日すれば記録上も存在しなくなりますから。」
 「記録上? どう言う事ですか?」

 キクノはリョーの顎を押さえ、言い聞かせる様に言うのだった。

 「リョーさん、今はまだリョー・イシイさんですが、間もなくこの世から本当に存在しなくなるのですよ。私達のグループには色々な職種の方がいらっしゃいます。それも相当に地位の高い方がね。お役所のコンピューターデータを改懺する事など簡単な事なのです。それもごく自然に。後で別の方が調べても手掛かりが無い様にしてあります。勿論何箇所かの改懺をしますが、その担当者ですら、意味が分からないし、その方と私達との繋がりが分からなければ全く完全ですものね。」
 「で、どういう風に成るんです?」
 「入出国記録を変えました。リョーさんは半年前に地球に行きました。日本人のご先祖がいらっしゃいましたから日本へ行った事にしました。私どもも、元々は日本で出来た組織ですから簡単ですわ。東京へ住所を移しました。そして三ヶ月前に行方不明。日本の各所でリョーさんの預金データを変えました。転々としながらお金を使った事にしてあります。それでお仕舞い。どうですか?」
 「ハギャーーーーーーッ!!!!」
 (嘘だーーーーっ!!!)
 「へーっ、凄いんですね。それじゃ、リョーは地球に居るんだ。だからここに居るのはリョーじゃない訳ですね。」
 「そうですわ。だから名前を付けないとね。」
 「名前か・・・。どんな名前にすれば・・・。」
 「参考迄に、大抵の方は大変特殊な名前にします。普通では卑猥で言えない様な名前ですが。その方がつい他人の前で『セックスペット名』を言ってしまう事が無いですから。『セックスペット』の一番の特徴を名前から分かる様なのが多いですわ。」
 「卑猥なのはどうも・・・。この顔には合わない様な・・・。可愛らしい名前の方が趣味ですけれど。そうだなあ・・・。『ピンク』なんてのはどうですか?」
 「なる程。可愛らしい名前ですわね。ロリータ顔ですから、そういう名前の方が合いますわね。名は体を表すと言いますが、ピンクに染まって頂きますからね。結構ですよ。それで登録しましょう。」
 「登録?」
 「私どものデータベースに記録します。そうすればこれからの色々なお道具をお送りする時に身体に合った物をお送り出来ますから。」
 「そうですか。」
 「では、リョーさん・・・、じゃなかったですわね。あなたは今から『ピンクちゃん』ですよ。」
 「フギッ!!! グガガガ・・・・。」
 (ボクはリョーよ!!! 男よーーーっ。『ピンク』なんて名前じゃ・・・。)

 リョーは激しく泣き続けていた。自分が記録上存在せず、ここに居るのは確かにスコット専用の『ダッチワイフ』に成ろうとしている『ピンクちゃん』なのであった。

 「手続きが幾つか有りますが、スコットさん。その間にお済ましになっては如何ですか?」
 「エッ、何を?」
 「何って、もういっぱいになってらっしゃるでしょう? ピンクちゃんとしての使い初めですわ。」
 「いいですか?」
 「勿論、スコットさんのお道具なのですよ。ご自由にどうぞ。私は別室で作業しますから。」

 キクノは小さな鞄を持って部屋を出て行くのであった。
 スコットはキクノが通路を去って行くのを確認し、リョー、いや『ピンク』に近付いた。ピンクは相変わらず泣き続けているが、スコットにはきつい視線を浴びせた。

 (先輩、嘘でしょ? 今の話、みんな嘘でしょ? 何? 近寄らないで。)
 「エヘヘヘ・・・。」

 スコットは涎を拭いながらピンクに触れてきた。ピンクはビクッとする。しかしスコットとは既にセックスを繰り返していたので、身体の方はその快感を思い出してしまっていたのだ。

 「いいなあ。なあ、ピンクちゃん。まさか俺が『活きたダッチワイフ』を持てるとは思わなかったよ。まだ俺にもお前にもリョー・イシイの意識が有る。でもこれからは『ダッチワイフ』のピンクちゃんに成り切る様に頑張ろうぜ。」

 スコットはピンクの拘束されている椅子の傾きを変えた。少し後ろに倒して、ピンクの晒け出された下腹部を突き出させた。ズボンを緩め、既にいきり勃っている逸物をピンクの膣口に押し付けてきたのだ。

 「ハガッ!!! フギーーーーッ!!!」

 スコットはいきなりペニスを押し込んできたのだ。既に愛液が音を立てて滴っているので、ズプッと入り込む。

 「ウクッ。いいなあ。前戯無しで出来る。お、俺が催したらすぐ出来る。ウッ、いい。凄い締め付けだ。」
 (イヤッ・・・。イヤよ。こんなセックス・・・、イヤ・・・。アフッ・・・、つらい。ダメ・・・、身体が・・・、身体が勝手に・・・。アーーーーーッ!!・・・・・。)

 リョーとしての意識は弾け飛んだ。ピンクとしての心が身体を支配する。スコットの太い弾力のあるペニスがピストンを始めた時、ピンクもそれに合わせて腰を動かしていた。肛門の管もその時には抜き挿しする様に動くのであった。膣と直腸の両方の圧入感であっと言う間にピンクは上り詰めてしまう。そしてスコットの射精により子宮内へ押し込まれる精液がとどめを差した。

 「アグァ・・・・・・!!!」

 硬直し、涙、涎、汗、愛液が止めどなく流れ出しているままであった。ピンクの意識が無くなっても、膣だけは別の脳で制御されている様に動き続けていた。ペニスに残っている精液の最後の一滴迄搾り尽くそうとしている様であった。

 「フーッ、やっぱりいいや。立位でのセックスってのは初めてだけど、ピンクを相手にする分には出来るんだなあ。どんな体位でも俺の物を引っ張り込むから出来そうだ。ピンク、良かったよ。あれ? いっちゃってるのか。それなのにまだ握り締めてるよ。続けてしたい気はあるけれど、キクノさんと早く打ち合わせをしたいしな。色々教えて貰って『ダッチワイフ』に仕上げないと。」

 スコットは力いっぱいペニスを引き抜いた。それ程力を入れないと簡単には抜けないのであった。

 「妊娠はどうだろう。生の方がいいけれど、いちいち避妊するのは面倒だし。」

 スコットはズボンを穿き直してキクノの居る部屋へと出て入った。ピンクは涎を流してガックリしたままであった。愛液は滴っているが、精液は流れ出てこない。陰唇だけがピクピクと蠢いているのだった。




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