「ピンクのオマンコは凄くいいんだけど、良過ぎるなあ・・・。」

 スコットは部屋の隅に繋がれ、仰向けに眠っているピンクを見つめた。

 「いいセックスペットだけれど、世話は俺が全部しないとならない。贅沢な悩みなのは分かっているが、いつ迄もここの勤務という訳にはいかない。移動もあるだろうし、単身勤務地ばかりとは限らない。」

 コンピューターでデータを整理していると、画面にメールが飛び込んできた。

 「ワッ、何だ? これにはセキュリティーが掛かっているのに。」

 『スコット・アンダーソン様 アキ興業キクノ』

 「キクノ? あの・・・?」

 スコットは慌てて回線を開いた。すると笑顔のキクノが映し出される。

 「キクノさん・・・? どうしてここのコンピューターシステムのファイアーウオールを?」
 《私どもの組織力はまだご存知ない様ですね?》
 「だけど、まずいんじゃないの? キクノさんの組織って・・・、場合によっては・・・。」
 《ご安心を。この通信は全く漏洩しません。むしろスコットさんから漏れる方が心配ですわ。もっとも、それは絶対にあり得ないのですが。ところでピンクさんの様子はいかがです?》
 「ああ、お陰様で。だけど、本当に大丈夫なのですか?」
 《実はむしろこちらからお礼を申し上げたくて。詳しい事はそちらでお話しします。》
 「こっちで・・・?」
 《すみませんが、そちらの地震計を少しの間、止めて頂けませんか?》
 「地震計? まさか、ここに着陸を?」
 《ええ、間もなくそちらの周回軌道に入ります。私としては、少しでもデータ改ざんの機会は減らしたいので、お願いします。》
 「アッ、分かりました。ちょっと待って下さい。そうか、ただ止めるのではなく、メンテナンスだとして・・・。はい、止めました。」
 《それでは・・・。》



 一時間程すると居住区のすぐ脇に小型の宇宙船が着陸した。

 「今晩は。」
 「いらっしゃい、キクノさん。今日はなぜ?」

 スコットとキクノの握手を、ピンクは恐ろしげに見つめていた。

 「先程申しましたが、お礼を兼ねてピンクさんのメンテナンスに伺いましたの。」
 「お礼? メンテ?」
 「メンテは成り立てのセックスペットには絶対に必要なのですよ。特にピンクさんの場合、あまりにも完璧で急激なセックスペット化をしましたから、本来であれば、少しずつの訓練で完全なペットに出来るのに、時間的な無理があるのです。尻尾にしてもすぐに合わなくなっているでしょうし、乳房やオマンコもまだまだ成長途中でしょう。何よりも精神的にはなかなかペット化しないのでは?」
 「そうですか? 俺には完全にいいペットに成っている様ですけど。」
 「あら、そんなに早く? ですが、私どもとしても、データを得る為にも調べさせて下さい。それとお礼の件ですが。」
 「そうですよ。どっちかと言うと、俺の方がキクノさんに随分お世話になっているのに。」

 キクノはニコニコしていた。

 「実は、ピンクさんが女性化した星とその周辺宙域を買収しましたの。さっそく調べさせて頂いたのですが、予想以上にいい星ですわ。私どもの仕事にどれだけ役に立つ事か。それにサンプルとして頂きました例の種、あれも素晴らしかったですわ。さっそく発芽させ、女性化以外にも素晴らしい効果を確認しています。」
 「ヘーッ、女性化以外に?」
 「まあ、スコットさんは私達グループの一員と言っても宜しい立場ですからお話ししましょう。私達は普通の人をセックスペットやセックス家畜に改造する仕事をしています。あの種を少年の直腸の中で育てています。」
 「少年の・・・直腸?」
 「実に簡単なので、私自身驚いています。普通であれば、完全に拘束してからの女性化をしなくてはなりません。それがあの種をお尻の穴に押し込んでしまうだけで、巧く発芽すると、あの木をお尻から出したままで動けなくなり、蔦からの樹液で女性化してしまう訳です。ただ、まだ『女の実』との関連が分かりませんので、ピンクさん程完全で急激ではありませんが、それでも今のところ、五人の少年の内、三人はペニス消滅と膣形成、乳房も出来ました。残りの二人も外見的には殆ど女性で、間違いなく完全な女性化します。あの星はこれからセックスペットを作る工場になるでしょうね。」
 「そんな・・・。大丈夫なのですか? 誘拐とか・・・そういう事は・・・。」
 「ご安心を。存在しない少年達を女にするのですから。そしてその女達も、この世には存在しないのですからね。」
 「存在しない・・・って?」
 「ピンクさんの前身だったリョーさんもこの世には存在しないのですよ。ですからピンクさんは全くこの世には記録の無い人間・・・、いいえ、人間ではありませんね。人権は無いのですから。突如この世に存在をしたペットなのです。」
 「恐ろしいですね・・・。」
 「いいえ、最低限、秘密を守って頂ければいいのです。まあ、秘密は漏れませんが。スコットさんがその秘密を漏らせば、あの星に送り込まれるだけですからね。」

 スコットは身震いした。

 「その心配はありませんよ。だからこそ、この様なお話しをしているのですから。スコットさんがどの様な思考をなさるかは、ご自身よりも先に分かるのですから。」
 「アッ、そうか・・・。ピンクの改造の時に驚かされましたっけ。」

 キクノは隅で震えながらも睨み付けているピンクに話し掛けた。

 「そう嫌な顔をしないで下さい。あなたがスコットさんのセックスペットに成ったのは私のせいではありませんよ。確かにそのお手伝いはしましたが、私がお手伝いしなくても、スコットさんはあなたをセックスペットにした筈です。そうすれば、今迄の様にスムーズにはいかず、長い時間苦しみ続けた筈ですよ。私がお手伝いをしたお陰で今のあなたの幸せがあるのですから。少しは感謝して頂かないと。」
 「そんな・・・。ボクが・男に・戻れる・可能性があったのに・・・。」
 「いいえ、その可能性は無かったと思います。今は素直にスコットさんに従っていますが、私がお手伝いしなかった場合、ピンクさんは既に死んでいたでしょうね。」
 「ボクが・・・?」
 「ええ。自分に悲観して自殺していたか、スコットさんが怒りに任せてあなたを放棄していたら、あなたは餓死するしかなかったのですよ。あなたは『女の実』かお尻からの栄養浣腸でしか生存出来ない身体に成っているのですから。あるいはそれ以前に、精液を得られずにホルモン異常による脳障害を起こしていたでしょうね。ピンクさんの精神状態を正常に保つには多量の精液を必要とするのです。その為にはスコットさんに射精して頂かねばならないのですが、それにはあなたがスコットさんの性欲を昂揚させなければなりませんね。私はその様にあなたの身体をほんの少し変えて上げたのです。ピンクさんも以前は男でしたからお分かりでしょうが、男の性欲は視覚による刺激がかなり効果的なのです。ですから外見をスコットさんの好みにして上げたのですよ。」

 スコットはニヤニヤしながら聞いていたが、大きく頷くのだった。

 「だけど・・・、ボクは・・・、ただ飼われているだけの・ペットに・・・。」

 キクノは微笑みながら椅子に座った。

 「スコットさん、ピンクさんに少し不満が出てきたのではありませんか?」

 ピンクはビクッとしてキクノとスコットを見つめた。もしスコットに嫌われたら、本当にキクノの話の通り、放棄されれば死ぬしかないのだ。

 「不満? これと言って・・・。ただ、世話が面倒ですね。」
 「それがこの先ピンクさんに大きく影響をしてしまいますよ。今は手足を拘束して家畜の様にしていますが、視覚的に言えば、エロティックではありますが、美しくはありません。やはり最高のセックスペットとは、女として美しくなければなりませんからね。と言って手足を自由にしてしまえば、まあ、ここでしたら逃げ出せないでしょうが、別の星に転勤したら分かりませんし、自我を主張すればセックスペットとしての価値は無くなりますね。自分で食事をし、スコットさんとのセックスの後始末も自分で出来、そして絶対服従。それでしたら申し分ないですね。」
 「それなら最高ですよ。俺もセックスは大好きですけれど、仕事の最中迄催促されるのは、やはり困ります。まあ、俺がしたい時にはすぐに出来ればいいですよね。」
 「そうでしょう。今日はお礼にそういう物をお持ちしましたよ。」
 「ヘーッ、本当ですか?」

 キクノが何か合図をすると、自動で動く大きな箱が静かに滑り込んできた。

 「多分ご期待に添えると思いますよ。『バイオ・サイバー・モビル・スーツ』です。」
 「長い名前ですね。」
 「そうですね。まだ良い愛称が決まっていません。これは我社独自の製品なので、是非ピンクさんに試して頂き、モニターをして頂きたいのです。」
 「新製品ですか?」
 「いいえ、かなり昔から作っています。ただ、なかなかこれを使って頂ける条件の揃ったセックスペットが居りませんでしたので。」
 「とすると・・・、これがピンクに?」
 「ええ、絶好の条件でしたの。本当でしたら、前回伺った時に用意出来る物なら用意していました。『バイオ』と言いましたが、これは作るのではなく、育てるのです。」
 「エッ?」
 「まずはご覧頂きましょう。」

 キクノが箱の扉を開いた時、ピンクは驚きの声を上げた。スコットも驚きはしたが、意味が分からないという様な表情だった。

 「これはピンクの・・・?」

 箱に中にはピンクそっくりの人形が入っていた。そしてフラフラと歩き出してきたのだが、まるで風船の様にフワフワしている。スコットはその人形に近付き、触れたり押したりしていたが、それでも首を捻っていた。

 「スコットさん、分からない様ですね?」
 「まあ・・・、変な人形ですね。」
 「どう変に思います?」

 キクノはなぞなぞを出し、その答を待っている様に微笑んでいる。

 「良く出来ているけれど、中はがらんどうの風船ですよね? それでも動くのは・・・、動力は何だろう。それに風船にしては肌触りはまるで・・・、人工皮膚ですか? だけど胴体や顔はポリエチレンかな? この部分は動かないですね。手足だけが不思議な材質の人形で・・・。」
 「やはり物理学者。手足は人工皮膚には違いありません。但し、『バイオ』と言った通り、それは人工皮膚でも培養というか、育て上げた皮膚なのですよ。」
 「育て上げた? 生物という事ですか?」
 「『バイオ・サイバー』です。遺伝子操作で発生させた生物です。ただ、あくまでも寄生生物ですけれどね。」
 「ヘーッ、良くこんな物が・・・。医療技術もここ迄来たか・・・。」
 「あら、これは医療用ではありませんのよ。あくまでもSM用です。それにこの技術は新しい物ではないのです。技術その物は二十世紀代には確立していました。ただ、その応用が難しかっただけです。」
 「まさか・・・。科学歴史学ではそんな事はあり得ない!」
 「科学ではありません。SM技術ですよ。元々はこれは色が真っ黒で、機能の面では完全でしたが、遺伝子操作技術を駆使して、やっと人間の肌と同じ色に出来たのです。それに今でもまだ条件が揃わないとならないので、いつでもどこでも、という事にならないと、科学とは言えません。これはピンクさんの遺伝子を調べて適合すると分かった数少ない例なのです。それにスコットさんの遺伝子にも関わるので、実際に自然発生の女性化セックスペットでの条件なんて、希有ですわ。これからも適合条件が揃う事なんて、ちょっと考えられません。ですから、こちらからお願いしたいのです。」
 「ヘーッ、だからお礼と?」
 「ええ。」

 キクノはニッコリと微笑む。

 「もし依頼を受けて始めるとすると、既に掛かっている費用だけでも三十億ダラー。最終的には百億ダラーを越えるでしょう。」
 「ヒェーッ!」
 「ですが、この結果で得られる私どもの利益は千億ダラー以上でしょうね。私どもは決して損をしません。スコットさんに喜んで頂き、私どもにも利益が出る。全員が幸せという訳です。」
 「全員・じゃない! ボクは・どう・なるの?」

 ピンクは躾けの首輪に首を締め付けられない様に注意しながら大きな声を上げた。

 「あら、私の言う全員とは人間の事ですよ。あなたは人間ではありません。単なるペット、家畜なのですよ。そしてこのスーツを使う事で人間の形をした道具に成ってしまうのですから。」
 「キクノさん、この人形でピンクをどういう風に? 人間の形の道具とは?」
 「オホホ・・・。見ただけではこのスーツの素晴らしさ、そしてピンクさんにとっては恐ろしさでもあるのですが、ちょっと分からないでしょうね。」

 キクノは少し鼻を高くしていた。いかにも自信満々という風だった。その態度はスコットに期待を抱かせ、ピンクに恐怖を与えた。

 「それでは、その機能の一端を・・・。」

 キクノは手にした小さい箱を見せ、何か意識を集中した。するとそのスーツが動き出す。両腕が腰の付近を押さえて、胴体を持ち上げるのだった。

 「ホーッ、リモコンにしてもスムーズですね。」
 「リモコンとは少し違います。このスーツは単体でも一種の生物で、精神感応で私の意識を認識しているのです。」
 「精神感応?」
 「テレパシーですわよ。受信感度は非常に高いのです。」

 そのスーツは胴体部分を外して床に下ろした。すると背中の部分に両手両足が付いていて、尻の部分には大きな突起が内側に出ていた。そして液体でヌラヌラしている。股間に当たる部分には小さな形のペニスが垂れ下がっていた。

 「これをピンクに着せるのですか? 尻とあそこに填め込むのは分かりますけれど・・・。」
 「おっしゃりたい事は分かります。」

 キクノは再びリモコンに意思を込め始めた。するとその模擬ペニスがグンと持ち上がり、もし女性がそのスーツを着用していたら膣に填まり込むのが分かる。そしてプクーッと膨れ、太さも増して動き出すのだった。

 「ヒーッ!」

 ピンクはそれを着せられた時の事を想像して悲鳴を上げた。そのペニスはうねりながら太さを変え、激しく抜き挿しをする。そしてもう一つの突起もうねりながら変形する。

 「アハハ・・・、これはいい。だけど随分大掛かりなバイブですね。」
 「いいえ、これはこのスーツの機能のほんの一部。おまけにしか過ぎません。それとこのスーツは生き物と言いましたが、全身を制御する脳は分散しています。そしてそれを統括する部分がその肛門に入る部分に集中しているのです。」
 「脳・・・? 電子頭脳?」
 「いいえ、生物としての脳です。このスーツはSMの為に極限迄集約されています。ですから電子頭脳ではないので、いわゆるロボット工学三原則は適用されません。」
 「ああ、アシモフの哲学の?」
 「この脳の基本原則を説明しておきましょう。まだ第一は登録された所有者、今はまだ登録していませんので、このリモコンで仮に指示していますが、スコットさんを登録すれば、スコットさんの指示に従います。これが常に最優先です。」

 キクノは紙を広げて二人に見せた。


デーモンの尻尾 三原則

一、尻尾は所有者の意志に従わねばならない。
二、第一項に反しない限り、尻尾は自己を守らねばならない。
三、第一項、第二項に反しない限り、尻尾は道具を守らねばならない。


 「尻尾というのは?」
 「このスーツは、一番最初は本当に尻尾の形で開発されたらしいのです。その時から生物の脳としてこの原則を持たせたそうです。一説によると、最初からその機能を持って産み出されたらしいのですが。ですからその後の改良、改造でもこの原則は受け継がれているのです。」
 「しかし・・・、生物としての脳を作り出すのは・・・。バイオ・ニューロ・コンピューターは、まだまだ遥か未来の技術だと思っていましたが、いつの間に・・・。」
 「ですからこれは生物だと申しましたでしょう? 作るのではなく、産むのです。」
 「産む? どうやって? バイオ培養ではないのですか?」
 「オホホ・・・、信じられないでしょうね。これは女性の胎内から産まれるのです。」
 「胎内? まさか・・・。」
 「遺伝子操作しながら改良をしますが、二十世紀の頃に出来たとの記録があります。ですからこのスーツの遺伝子を女性の卵子に受精させ、子供として産み出させるのですよ。その為には卵子の遺伝子とスーツの遺伝子の相性がとても大切なのです。前回伺った時にピンクさんの細胞をサンプルとして頂きましたが、男性染色体にも関わらず、適合度が高かったのです。そして一番肝心なのが、ピンクさんの遺伝子は女性化する際に僅かに変異していました。そうでなければあの程度の短期間でこれ程見事な女性化はない筈です。巧くピンクさんの遺伝子を取り込んだスーツが出来れば、このスーツは男性に着せてもピンクさんみたいな女性化をさせて、しかも完璧なセックス道具に出来る可能性が高いのです。」

 スコットもピンクも声が出なかった。

 「驚きました? でもこれはずっと先の事。取り合えずはモビルスーツの機能について説明しましょうね。まずは生物ですから、必ず栄養補給は必要です。」
 「栄養補給・・・、つまり食事ですか?」
 「はい。このスーツの細胞は、動物であり、植物でもあります。まあ、区別が付かないと言った方が宜しいでしょう。ですから動物に必要な栄養でも植物に必要な栄養でも宜しいのです。」
 「はあ・・・、それでどうやって食事をさせるのですか?」
 「ほら、そのお尻の部分。それが栄養吸収部でもあるのです。昔は本当に尻尾の形だったと言いましたね? 取り付けられた人の直腸から吸収していたのです。人間の排泄物で成長出来るのです。勿論栄養浣腸でも宜しいのです。これをピンクさんに着せれば、栄養浣腸その物でも宜しいし、僅かに作られる老廃物でもいいのです。」
 「だとしたら・・・。」
 「どうです? 凄く効率的でしょう? 実はこのスーツはその機能のせいもあるのですが、外宇宙では必需品なのです。パイロットの性処理をしながら、排泄物処理もするのですからね。」
 「ヘーッ!」

 スコットは大きく頷いた。

 「でも、この機能もおまけの機能ですのよ。」
 「それじゃ、一体・・・?」
 「スコットさん、この手足の部分がスーツだという事は見当が付きますよね?」

 スコットは頷いた。

 「手足を人工皮膚で拘束するという事はご理解頂けますね。それではその手足を填め込む部分をご覧になって下さい。」
 「んーっ、何だか液体・・・ではないですね。ドロッとした物が入ってますが。流れ出さないところを見ると、かなり粘度は高そうですが。」
 「アッ、触れないで下さい。足の方も同じ物質で充填されています。」
 「これは・・・?」
 「この物質がこのスーツの一番の目玉なんですよ。その人形の手足の部分にピンクさんの手足を填め込むという事は分かりますね? どうやるかはこれからご覧に入れますが。このスーツはスコットさんの意思を最優先し、その通りに動かす機能とその判断力があります。そしてスコットさんの意思のない場合はこのスーツの判断でピンクさんを動かします。そして最後にスコットさんの意思がなく、スーツも強制的に動かす必要のない時にピンクさんの意思で動けるのです。」
 「エエッ? そんな事が可能なのですか?」
 「スコットさん、それが本当の意味のセックス道具だと思いませんか?」
「そうですね。確かに理想的なダッチワイフだ。」
 「それと次のお話しですが、このスーツの細胞はスーツその物の遺伝子とピンクさんの遺伝子で出来た細胞で出来ています。これもその細胞の特質ですが、ピンクさんの細胞組織とは驚く程良く浸潤します。最終的には一体化してしまう程の浸潤性です。」
 「はあ・・・、それが?」
 「ですからこのスーツを着せたら最後、もう二度と脱げません。」
 「エッ?」

 スコットは驚いたが、ピンクの方はもっと驚くのだった。

 「つまり今はまだペットの状態ですが、これを着せられると、スコットさんの意思に従った動きしか出来ない道具と成ってしまうのです。宜しいでしょうか? と言って確認の同意を得ている訳ではありません。スコットさんは喜んで同意するでしょう。」
 「イヤーーーッ、ボクは・同意しない!」
 「ピンクさんには聞いていませんよ。セックス道具に許諾権などないのですから。ただ、どうなるかが不安でしょうからお話ししているだけですのよ。」
 「そんな・・・、凄い物だったんですか? これを只で貰えるのですか?」
 「完全に只という訳には・・・。このスーツは女性の胎内から産み出されるとお話ししましたね? ですからピンクさんの遺伝子を含んだ新しい『バイオ・サイバー・モビル・スーツ』を数着作る事にお貸し頂きたいのです。勿論スコットさんがご自分のお子さんを産ませたい時期にはお邪魔しませんが。」
 「俺の子供? ピンクに?」
 「それはまだ先の事でしょうが、可能性はありますでしょ? これ程女以上の肉体の女性器なのですから。それに一度はスコットさんに妊娠させられているのですよ。」
 「そうか・・・。そうだよな。俺だって歳をとれば子供と過ごしたいと思うかも知れない。」
 「スコット・先輩。ボクの・身体は・女です。だから・先輩が・望めば・いつでも・産みます。だから・こんな・嫌らしい・物は・・・。」
 「産む、産まないは俺が決める。ピンクは只オマンコを晒けて俺を気持ち良くさせていればいいんだ。」

 キクノはスコットに耳打ちした。

 「そして一番肝腎な機能が残っているのですが、これはピンクさんに聞かれるとまずいので、まずはセットしてしまいましょう。」

 スコットは嫌がっているピンクの片足だけ拘束を外した。暴れようとするのだが、ずっと拘束され続けていた足は力が入らず、掴みやすくなっているクリトリスを摘まれてしまうと足の力は抜けてしまう。抱え上げられたピンクの下にキクノがモビルスーツを移動させ。一旦しゃがみ込んだスーツがピンクの足に合わせて立ち上がる。その片足がスーツの粘度の高い液体の中に爪先が填った。

 「アッ・・・。」

 ハッとしたピンクは驚いて足を縮めようとしたが、ほんの僅か填り込んでいるだけなのに引き抜く事ができない。キクノの指示によりスーツの腕がピンクを抱える。その間にスコットはもう片方の足も拘束を外して爪先をスーツに差し込んだ。

 「それではスコットさん。もう大丈夫ですよ。あとはモビルスーツがセットしますから。」
 「その栄養浣腸尻尾は?」
 「それもスーツが自動的に行います。スーツは人間ではないので、ピンクさんに触れていても人間検知は働きませんのでね。」

 モビルスーツは片腕でピンクを抱えたまま、反対側の腕が栄養浣腸尻尾の操作をして引き抜いた。

 「アアッ・・・、沈む・・・。」

 爪先から足首へ、そしてふくらはぎ迄モビルスーツの中に填り込んでいく。粘度が高そうな物質にも関わらず、填り込んでいく時にはほとんど抵抗がないのだ。そしていっぱいに充填されていたその物質も、足が填り込んでいっても溢れ出てこない。
 キクノは微笑みながら、そしてスコットは興味深そうにモビルスーツの動きを見詰めていた。
 膝迄填り込んだ時、肛門に太い異物が入り込んでくる。元々肛門は大きく拡げられるピンクで、今迄尻尾を着けられていた為、弛んだままの肛門にはほとんど抵抗もなく填ってしまう。ピンクにとってはそれは不快感ではなかった。そして膣にも入り込んでくる事は空虚感を解消する事になった。下腹部迄スッポリ填り込んだ時、足は完全にスーツに収まっていた。スーツとピンクの肌の具合の違いで境目は分かるのだが、ごく自然な繋がりだった。
 モビルスーツはピンクの腕の拘束を外し始める。その動きは極めてスムーズで、スーツの背中部分が反り返った状態で両手でピンクの腕の拘束を解いていく。その腕をスーツの腕が掴み上げ、スーツの片腕に押し込まれるのだ。

 「イヤだーーーっ!! ゲホッ・・・。」

 首を締付けられてもピンクは悲鳴を上げ続ける。強く押し込まれていないが、スーツの腕の方から填り込んでくる。そして填り込んだ方の腕ともう片方の腕がピンクの最後の腕を解き、填め込まれるのだった。

 「アア・・・。」

 ダッチワイフとして完成する事になったピンクとしては二度度脱げないモビルスーツに取り込まれた事に涙していた。

 実際にはこの程度では済むのではないという事を知らずに。

 「さあ、これでピンクさんは本物の活きたダッチワイフに決定しました。それではスコットさんに登録して頂きましょう。」
 「登録? どうやれば?」
 「簡単ですよ。一旦ピンクさんに填り込んでいるディルドーを抜きます。そしてセックスして頂いて、もう一度ディルドーを挿れると、その精子を検知し、DNAでスコットさんを認識して登録されます。」

 キクノの操作で一度填り込んだディルドーが抜け出し、下腹部が露わになった。キクノが指示をしているのだろう、モビルスーツはスコットに歩み寄り、ベルトを緩めてその逸物を引っ張り出す。

 「アワッ! やめて・・・、ダメ・・・。」

 精神的には抵抗していても、肉体的には常時発情状態にあるので、ピンクはスコットのペニスを見詰め続けていた。愛液が霧のように吹き出している。そして立ち上がり、立位のままスコットのペニスを迎えるのだった。

 「ボクは・・・。あ、ダメ・・・。身体が・勝手に・・・。アハーーッ。」

 すぐによがってしまい、スコットのペニスを引っ張り込んでしまうのだった。



 「これで登録できたのですか?」

 ディルドーがピンクの膣内で蠢いていた。

 「終わったようですね。それではテストしてみましょう。スコットさん、考えるだけで宜しいですから、ピンクさんを動かしてみて下さい。」
 「そうですか・・・。」

 スコットはピンクを歩かせようと思った途端、モビルスーツはスムーズに歩き出した。それはピンクの時よりもスムーズで、しかもいかにも女性らしい歩き方だった。

 「ヘーッ、これ、いいですね。」
 「別に細かい指示はいりませんよ。例えばセックスと考えるだけでその場に応じて始めますし、フェラチオと考えただけでもその状況に応じて行います。まあ、ピンクさんの場合は拒絶は考えられないのですが、別のスーツの場合、内部の道具のしつけが行き届いていない場合、拒否しようとしても口を両手で開きますし、肛門に入っている部分が太くなり、応じるまでは苦痛を与え続けますので。指示をしない場合はピンクさんの意志によって動けるのですが。」
 「そこまで・・・。だとすると、このスーツはしつけをするのにも使われるのですね?」
 「まあ、そう簡単ではないのですが・・・。先程も言いましたように、遺伝子不適合でセットできない場合が多いのです。ピンクさんの場合は適合したと言いましたが、その適合度が理想的だったのです。」
 「適合度が理想的?」

 キクノはスコットにささやく。

 「これはまだピンクさんには聞かせられないので、ちょっと喘いで貰っていて下さい。」
 「了解。」

 ピンクは喘ぎ始めた。内部のディルドーが蠢きだしたのだ。そして自分の意志で股間と乳房をまさぐりながら久しぶりのオナニーに酔い始めた。

 「これで私達の話は聞こえないでしょう。」
 「そんなに重要な事なのですか?」
 「ええ。先程、完璧な適合と言いましたが、完璧でなくても適合すると、デーモンの浸潤細胞が内部の人と融合し合ってしまいます。その場合、分離は不可能ですので一生中の人はデーモンから離れる事ができません。」
 「つまり死ぬまでモビルスーツを着たままになってしまうという事ですね?」
 「そうです。それはそれなりに非常に便利な機能です。ただ、ここには大きな問題点があります。」
 「問題点? 人権以外に何が?」
 「人権は問題ありません。中に入れられた人に人権は存在しませんし、人権のある人は入れませんから。」
 「さて・・・?」
 「時間の問題なのです。例えばピンクさんの場合、当分は便利に使えるでしょう。しかし何十年も経ったらどうでしょう。誰も老婆のダッチワイフなんて使いませんよ。モビルスーツの方が寿命は長いのですが、たとえ中の人が亡くなったとしてもそのままある程度は動き続けます。それではゾンビですよね。つまりせっかくのモビルスーツも最後の何十年かは無意味に存在するという事なのです。」
 「まあ、そう言う事ですね。」
 「もし、内部の人が離れられれば、新たに若いダッチワイフを入れて使う事ができるのです。」
 「そうでしょうけど、浸潤細胞とかで融合してしまっているから脱げないのでしょう?」
 「しかしピンクさんの場合は完璧な適合性と言いました。つまり融合はするのですが、完璧にサイバーモビルスーツの細胞と融合するのです。」
 「はあ・・・?」
 「難しいですか? つまりピンクさんの手足の細胞は完璧にデーモンの細胞となるのです。完璧なデーモン細胞とはピンクさんの体組織細胞とは全く異なる細胞なのです。デーモン細胞とピンクさんの細胞は別物なのです。完璧な場合は完璧なデーモン細胞に。そうでない場合はある程度のデーモン細胞とある程度の内部の人間の細胞の混合物と言えばいいでしょうか。つまりデーモンでもなく内部の人間の細胞でもない共有細胞と言うべき物です。つまり分離はできません。」
 「分離? エッ?」

 スコットはある突拍子もない考えに至った。
 キクノは笑っていたが大きくうなずいた。

 「つまり・・・、手足はモビルスーツになったまま、ピンクを分離する事が可能と?」
 「そうですよ。それは究極の『活きたダッチワイフ』です。しかも組み込めば自分自身として動き、後始末をさせる事ができるのです。」
 「そんな事が・・・。」
 「もう後戻りはできません。まあ、スコットさんの精神状況判断から後戻りしない事は分かっていますが。そして『活きたダッチワイフ』として唯一の欠点というか、私どもに利用させて頂く時、つまり新たなデーモンの成育、もしくは将来のスコットさんの赤ん坊を妊娠してダッチワイフとして使えない時はいわゆる本物のダッチワイフを組み込んでお使いになって下さい。その場合でも本当のダッチワイフとしてのピンクさんのお世話をさせる事もできるのです。」
 「ウワーーッ、信じられない・・・。でも、そうなるのにどの程度の時間が?」
 「おおよそ2ヶ月ですね。その場合の精神破綻の恐れがありますので、勿論私どもの助力ですんなりとダッチワイフ化を進めさせて頂きます。最も、ピンクさんの場合は肉体的色情狂になっていますので、割りと簡単に行えると思います。」
 「本当ですか・・・。」

 スコットは嬉しさを押さえきれないでいた。今にも大声で叫びそうになるのをジッとこらえていた。

 「アハハ・・・、キクノさん、これはいい。そうか、こんなに素晴らしい発明品が公表されていない理由が分かりましたよ。」
 「そうでしょう?」
 「SMの為に使うべきですよね。」
 「それと・・・、まあ、無いとは思いますが、スコットさんが暫くピンクさんとセックスをしなかった場合、そしてスコットさんが長い間スーツから遠く離れた時、スーツがピンクさんの精液不足を感知すると、『デモンの尻尾』第三項により、他の男の人とのセックスを促します。それでもスコットさんが現れないと死亡と判断し、ピンクさんにもっとも良いと判断した男性を新たな所有者と認識してしまいますからね。まあ、スコットさんがその後現れた場合、再インストールしなくてはなりません。」
 「ヘヘヘ・・・、それは大丈夫でしょう。こんな良いダッチワイフを俺が手放す訳がない。」



 「それでは2ヶ月後に再度お伺いします。」
 「その時こそピンクという『活きたダッチワイフ』が完成するわけですね。」
 「そうです。私としてもとても嬉しい事です。ピンクさんのDNAを調べる事により、適合条件をより正確に知る事ができそうです。ピンクさんのようなダッチワイフを何体も作りたいですからね。そうすれば私のお仕事も更に発展できますから。」
 「キクノさんの仕事って・・・、アダルトショップでは?」
 「いいえ、それは私の仕事のごく一部。ほんの枝葉にしか過ぎません。メインのお仕事はピンクさん程ではないのですが、セックス奴隷、肉奴隷という物を作るのが仕事なのです。ただ、お得意様に関しては極めて限られた条件を満たす方ではないとならないのですが。」
 「それって・・・、人身売買では?」
 「普通の人間を改造してしまえばそうかも知れませんね。ですが、ピンクさんのように人権の無い、もっと正確に言えばこの世に存在しない事となった人なのですから、それは人ではないのですよ。」
 「確かにピンクについてはそうですね。」
 「それとデーモンに関しては女性としてのある程度の知識を植え付けてあります。炊事、掃除洗濯などの家事もこなせますから、ダッチではありますがワイフの作業もできますよ。仕事の内容によってはスコットさんのお手伝いもできるかも知れません。」
 「おう、それはありがたい。完璧ですね。」
 「それでは可愛がって上げて下さいね。」



ピンクは裸にエプロンというスコット好みの姿で炊事をしていた。
 
以前は保存食品をそのまま解凍、加水するだけだったが、今はピンクが色々と調理をくわえていた。と言ってもピンクには不可能だったのだが、デーモンがその知識で料理している。しかし外見からはピンクがしているとしか見えない。いい匂いがしているはずなのだが、今のピンクにはそれが食欲には結びつかないのだ。そして作るのはスコットだけの食事なのだ。

 「スコットさん。お食事ができました。」

 スコットは椅子に座ったまま伸びをする。

 「ああ、そんな時間か。」

 テーブルに座ると、ピンクは椅子の隣に正座していた。

 「そうだ、ピンク。仕事は手伝って貰ったお陰で報告は済んだ。明日は一日休んでいられる。」

 ピンクの顔がパッと輝いた。

 「それなら・・・。」
 「ああ。今晩からずっとしてやれる。」
 「嬉しい。それならお食事として頂かないで、中に頂けますね?」
 「そうだな。だからピンクも食事してしまえ。」
 「はい。」

 ピンクはディスポーザーのゴミや残飯をミキサーに掛けたドロドロの物を栄養浣腸の器具に入れた。それが今のピンクの直腸に入れる食事なのだった。元々は嫌がっていたのだが、スコットの指示によるデーモンの動きなので、ピンクには拒絶できない。しかし一晩ずっとセックスできるという喜びに嬉々として受け入れるのだった。ベッドでのセックスの時だけは鼻輪を外してくれるので、ピンクとしては人間らしさを取り戻せる時間なのだった。



 「ハアーッ、こんなに毎日やってても飽きないってのも不思議だな。」
 「ボクは嬉しい。自分ではできないお仕事でもデーモンがやってくれて、それがスコットさんの役に立つのも嬉しい。」
 「嬉しいのか? お前は一生そのモビルスーツから抜け出られないのだぞ。」
 「だって・・・、もうデーモンを着せられてしまった時から男に戻る事もなくなったし、そして普通に女である事もなくなったのよ。ボクは一生スコットさんのペットよ。ダッチワイフなのよ。着ていてもいなくても同じよ。それなら役に立つ分嬉しいわ。この身体はセックス無しではいられない身体なのよ。それなら機械ではなく本物のオチンチンがいい。」

 スコットはその先を言いたかったが、ジッと堪えていた。



 《スコットさん。いつもの通り地震計を止めて頂けますか?》
 「了解。通常メンテがあと5分でスタートします。その時に合わせて着陸お願いします。」
 《分かりました。》

 いつもながらの上品な笑顔でキクノが入ってきた。ピンクにとっては不機嫌になる来訪者だが、スコットの意志なのか、丁寧なお辞儀で迎えさせられた。

 「キクノさん、ちょっと困った事が・・・。」
 「あら、ピンクさんに何か不具合でも?」
 「ピンクの方は順調なのですが、私の方の仕事が・・・。」
 「スコットさんのお仕事ですか?」
 「ええ、最初はこんなへんぴな場所だとつらいと思ってたのですが、今はピンクの居るお陰で素晴らしい星になってます。誰も来ないという事はピンクを飼うには絶好の星だったのですが・・・。」
 「それが転勤になるという事ですよね?」
 「エッ、分かるのですか? この時期の転勤なんて普通はないんですよ。それが新基地ができたという事でそこへ行かねばならないんです。詳しくは分からないのですが、少なくとも一人勤務ではないらしい。だとすると結婚していない私がピンクを連れて行くのは・・・。官舎なのか一軒家を借りられるのかも分からなくて・・・。ですからその間のピンクを預かっていて欲しいと・・・。」

 ピンクは驚いて叫んだ。

 「エッ、イヤよ。ボクはスコットと一時も離れたくない。」
 「そうですよね。ピンクさんはスコットさんとのセックスが一番好きですからね。でもセックスに関しては大丈夫ですよ。私がお預かりしている間は、色々な男の人にたくさんセックスして貰えるようになりますから。それこそ体内の消化器官全部が精液で埋め尽くされる程に。」
 「イヤイヤ・・・! こんな姿をスコットさん以外に・・・。そして全然知らない人とのセックスなんて・・・。」
 「それも大丈夫ですよ。あなたは『活きたダッチワイフ』なのですから、誰もあなたを人間だとは思いませんから。」
 「ダメーッ!! ゲフッ・・・!」

 大声を出す事で首輪が締付けられる。

 「俺としてもあまり他人に使わせるのは・・・。」
 「そうでしょうね。愛着があるでしょうから。ただ、方法が無いわけではないのですよ。」
 「エッ! 一緒に連れて行けるんですか?」

 ピンクもパッと顔を輝かせ、スコットと見つめ合った。

 「最近のセクサロイドは高級品はかなり精巧に出来ています。ですからピンクさんをセクサロイドだという事にすれば宜しいのです。」
 「それは・・・、無理ですよ。たしかにデーモンモビルスーツ部分はバイオで作られたという事にしても、ピンク本体は人間なのだから。」
 「ワッ、スコットさんがボクを人間って言ってくれた。」

 ピンクは嬉しそうにスコットの手を握る。

 「勘違いするな。お前はダッチワイフだが、素材は人間だという事だ。」

 ちょっとすねたように身をよじるピンク。

 「確かにそうですが、セクサロイドとして登録する方法もあるのですよ。」
 「それは・・・?」
 「その前に。ピンクさん、あなたの手足の感覚はいかがですか?」
 「手足の・・・感覚?」

 ピンクはモビルスーツ越しなので感覚は鈍かった。しかし言われて触れてみると確かに感覚はない。触るという意志に従って動いてはいるのだが。

 「アッ・・・、感じない・・・。これって・・・。」
 「そうです。あなたの手足は完全にデーモンと融合したのです。」
 「それじゃ・・・。」

 スコットは声を弾ませていた。
 ピンクにとっては脱ぐ事のできないスーツだという事は分かっていた。融合して感覚を失うという事は悔しい事ではあるのだが、詮無い事だと分かっていた。

 「話を戻しましょう。もし、最初にお見せしたお人形を填め込んだデーモンだったらセクサロイドとして通用しますよね。そのお人形の代わりにピンクさんが填っていたとしたら。つまり分離した状態で運ばれていたらとても人間だとは思われませんよね。」

 キクノの笑顔にピンクは言い知れぬ不安を感じた。

 「キクノさん、いよいよですか?」
 「キクノさん、スコットさん・・・。何・・・? 怖い・・・。」

 ピンクは後ずさりして震えていた。

 「スコットさん。『分離』を指示してみて下さい。」
 「そうですか・・・。いよいよピンクは人間でなくなり、本当の『活きたダッチワイフ』になるのですね?」
 「そうです。まだ一部分『リョー・イシイ』だったのですが、これで完全にピンクという名前のダッチワイフが完成するのです。」
 「よし、リョー。さようなら。そしてダッチワイフピンクの誕生だな。・・・・分離!・・・。」

 デーモンの腕がピンクの意志によらず、細い腰に宛がわれた。

 大声を出すと締付ける首輪にも関わらず、ピンクの悲鳴は大きく響き渡った。そしていつ迄も・・・。



 ピンクは泣き続けていた。局部に何も入っていないつらさにも関わらず、肉体的欲求よりも精神的な爆発がいつ迄も解消しないからだった。

 「キクノさん、あのまま放っておいて大丈夫なのですか?」
 「ご心配なく。ああいうダッチワイフになった子が必ず通る道ですから。」
 「って事は、今迄に何人も?」
 「はい。私の代ではまだピンクさんで4体目ですが、先代の時に2体見ています。先代はそれを含めて8体だったそうです。デーモンの記録はずっと残っていますが、それでも全部合わせて100体に届いていません。」
 「100って・・・、凄いですね。」
 「でも、私はこんなダッチワイフのハーレムを作りたいと思っています。」
 「ハーレム?」
 「そうです。同時に何十体も同時に飼育してみたいのです。手足の無いダッチワイフの存在がごく当たり前の状態として。」
 「それって・・・、凄いですね。」
 「その為にもピンクさんは勿論、スコットさんにも色々お手伝いして頂きたいのです。」
 「それは・・・構いませんし、俺としてもそんな素晴らしいハーレムを見てみたいと思いますが・・・。」

 キクノはニヤッと笑った。

 「転勤の事ですよね?」
 「ええ・・・。このままでもピンクと一緒に居られるかどうか・・・。」
 「この時期の転勤は不自然でしょう?」
 「そうなんですよね。3ヶ月後には・・・。」
 「場所はご存じですか?」
 「新基地だそうで・・・。GZ573AD1785hs05Dっていう小さな・・・。アレッ?」

 転任命令に目を通したスコットは驚いて再度見つめ直した。

 「ここは・・・。」
 「懐かしい名前でしょう?」
 「ここはピンクが・・・。」
 「そうです。私が買い取った星ですが、居住区を設営してあります。あくまでも研究施設としてですが。当然人間の常駐する星であれば、どんな小さな星でも観測所は必要ですからね。」
 「じゃあ・・・俺はそこに?」
 「そうですよ。しかも私どもの費用で設置する観測所ですので、民間観測所という事になります。ですからスコットさんの身分としては民間観測所の所長として赴任して頂きます。」
 「ワッ・・・、それって・・・。」
 「こう言っては何ですが、観測所の仕事といってもほとんど自動化されていますので、しかも私どもの設置する観測所ですから効率は極めて良いと思います。報告にしても全部自動でできますしね。ただ、宇宙局としてはいかなる観測所にも専門観測員を置かねばならないという事ですから。」
 「ありがとうございます。あれ、だったらピンクをあんなに悲しませなくても・・・。」
 「いいえ、これは私どもの仕事にも必要な事なのです。既に施設には女性化を進めている男の子が何人かおります。順次デーモンスーツを成育させるのですが、まだまだ完全適合の子は居ません。それでもスーツに取り込める子達ですが、手足の無いピンクさんよりはずっとましだと思えるように、完全なダッチワイフが楽しく暮らしている様子を見せる事によって精神的負荷が減ります。更に完全融合体の子が現れた時にはピンクさんが良い先輩になりますから。その為にも早くダッチワイフとしての認識をし、向こうへ着いた時には精神的にも完全なダッチワイフになっていて欲しいからです。」

 二人は笑いながら、部屋の隅で蠢いている肉質ダッチワイフを楽しそうに眺めていた。



 「そろそろいいでしょうかね。スコットさん、ダッチワイフとしてのピンクさんを使って上げて下さい。今なら意識混濁状態ですので、ダッチワイフとしての意識付けに宜しいのです。」
 「そうですか。良かった。試したくて仕方なかったんですよ。」

 スコットはスキップしながらピンクを抱え上げた。

 「思っていた程ではないですが、随分軽いですね。」
 「手足の分だけですが、ピンクさんは乳房がかなり重いですから。」

 ベッドに転がすと乳房の重みで片方に傾いてしまう。それでも乳房を両手で支えながらいきり立った逸物を填め込むのだった。

 「アフッ・・・。」

 意識のないピンクだったが、肉体は反応していた。スコットのペニスを強く引き込み、激しく蠢く。

 「オホッ・・・。いつもよりも凄い。」

 あっと言う間にいかされてしまったのたが、それでもピンクは腰を押し付け、身体全体でスコットを求め続けるのだった。

 「多分、今のである程度意識は取り戻すと思います。ですから一旦終了して次の準備を。」
 「分かりました。ウッ・・・、引っ張り込みが強くて抜きにくい。」

 それでも強引に引き抜いて衣服を戻し、テーブルに戻る。
 するとすぐにピンクは目を覚ました。しかしすぐには泣き出さず、辺りをキョロキョロ見回していた。

 「ダッチワイフとしての肉体が少し欲求不満が解消されたのですが、むしろ火が点いてしまったといった状況なのですよ。」
 「つまり手足が無くなってしまったという事よりもセックスしていないという方がつらいという事なのでしょうか?」
 「そうです。ペットになった時からオナニーは禁止されていましたが、それでも床に擦り付けるとかしていたでしょう。ただ、デーモンに組み込まれてからはそれも不可能でしたから、自分から解消する方法はありません。スコットさんに頼るしかないのです。」

 不安そうにしていたピンクはスコット達の方を見ていた。その眼差しが何を意味しているのかは一目瞭然なのだが、スコット達はわざと無視して談笑を続けている。

 「スコットさん・・・。」

 囁くような小声だった。そして身体をクネクネさせ、必死に求めているのがありありと分かる。

 「お願いです・・・。ダッチワイフでもいいから手足を・・・。せめてそのスーツに入れて・・・。」
 「ダッチワイフでいいとはずいぶんと傲慢だな。お前は完全なダッチワイフなのだが。」
 「ごめんなさい・・・。でも人間らしい姿で居たい。」
 「それも傲慢というものだ。お前をデーモンに組み込むのは俺が必要と思った時だけなのだ。活きてはいるが性能のいいダッチワイフなのだぞ。」
 「だけど・・・ボクは・・・、ボクは人間の心があるのよ。」

 スコットはおもむろに再びベルトを外し下腹部を露出させた。

 「人間の心か。しかしそうは言っても、身体は別の様だぞ。オマンコがパクパクしている。足が無いから良く見えるし、いつも以上に汁が噴き出てるぞ。」
 「そんな事、ないわーっ。ワッ、オチンチン見せないで。ダメーーーッ!!」

 心では逃げ回っていたピンクだが、手足の無い事と、スコットのペニスを見てしまった事で自分から仰向けになり、腰を突き出してしまっていた。

 「ハムッ・・・av

 スコットはピンクの腰を持ち上げ、本当にダッチワイフと事を為す様に、ペニスを押し込むのではなく、ペニスにピンクを填め込むのだった。

 「アッ、ダメーーーッ・・・。ハフーーーッ!」

 それはピンクには新しい快感だった。今迄も強引にされてしまうセックスだったが、今度は全く抵抗の出来ない陵辱なのだった。そしてスコットにも現実感のない、本当に『活きたダッチワイフ』とのセックスに激しい興奮をし、随分と慣れている筈のピンクとのセックスにも関わらず、すぐに放出してしまうのだった。それでもペニスは元気を保ったままであり、ピンクの膣もしっかりと握り込んだままだった。ピンクの悲鳴は既に喘ぎ声になっていて、ただひたすらスコットとのセックスに酔い痴れ、本当に『活きたダッチワイフ』と化していた。



 「如何でした?」

 スコットが疲れた身体でズボンを上げていた時、キクノが笑いながら戻ってきた。床の上では惚けたまま、笑い顔のまま失神しているピンクが転がっていた。

 「いやあ・・・、参りました。世の中にこんなセックスが存在するなんて・・・。」
 「お分かり頂けました? 私達がどうしてこの様な仕事を完全に秘密の状態にしておくか。」
 「分かります。これは絶対に他人には知られたくない、知られる事で中止せざるを得ない状態にしたくない。そうでなかったら、こんなピンクを自分の物にしておけないし、こういう道具にすら出来ない。人権についても、以前の俺だったら懐疑的だったか知れない。だけど今の俺はピンクの人権よりもずっと素晴らしい悦びを手に入れた。」
 「喜んで頂けて幸いですわ。そしてピンクさんも今は悲しみで一杯でしょうが、やがてはこの身体の悦び、そしてこの身体でないと得られない悦びという事を知るでしょう。そうすれば誰もが幸福という状態になれるのです。」

 スコットは満足そうに頷くのだった。

 「ピンクさんが取り外し可能なダッチワイフになったのですが、それでも比較的早めに諦めがつくと思います。デーモンスーツを着せられてしまって以上、適合が完全でなければ脱げないだけで、外れるかどうかだけの違いですからね。組み込んでいればごく普通の動きができます。ただ感覚がフィードバックされないだけですから。それでも物を掴む力とか、歩行に関してはスーツその物の脳で制御しますので、不便はない筈です。むしろスーツの機能の運動ですから、今迄のピンクさん以上の能力で行動出来ますよ。それとこれもおまけの機能ですが、モビルスーツの対外防衛機能は並みのスペーススーツよりも遥かに強力です。対真空にしてもね。」
 「エッ?」
 「刃物では切れませんし、傷も付きません。そしてピンクさん本体以外ならそのままでも真空中での作業が可能なのです。ピンクさんの宇宙服は本体だけ覆えば済むのです。」
 「ヒョーッ!」
 「素晴らしいでしょう?」
 「ええ。それにしても凄い技術だ・・・。こんな寄生生物がどうして昔から・・・。」
 「あら、このモビルスーツは寄生生物ではありませんよ。これは本当かどうかは、記録には残っていますし、間違いはないと思うのですが昔の記録ですから本当に真実だったかどうかは不明ですが、一種の宇宙人らしいという事です。ただ寄生ではなく、共生です。ただ、ピンクさんは完全に寄生生物ですが。」
 「エッ、ピンクが?」
 「そうです。モビルスーツはピンクさんの手足を取り込んだからには個体単体での生存が可能です。ただ、生物としては個体の存続でなく、種としての存続が必要なのですが、それはピンクさんの身体を使わねばなりません。ですから共生なのです。しかしピンクさんの場合、モビルスーツが無ければ存在不可能です。ですからスーツに養って貰うのですよ。ちょうど蟻と蟻まきの様な関係かしら? ですから上下関係もスコットさん、モビルスーツ、最下位にピンクさんです。」
 「こんな物が・・・。現実に見ていても信じられない・・・。」



 ピンクは更に従順になっていた。ダッチワイフとしての仕事をしていればデーモンに組み込まれるのだ。スコットがセックスする時は常に取り外されての姿にさせられるのだが、その場合は大好きなペニスを填めて貰えるからだ。むしろ自らダルマのダッチワイフになりたがる程でもあった。

 「さて、そろそろ転勤準備をしなくてはならないな。」
 「エッ・・・?」
 「言ってあったろう? 俺は移動になったって。」

 ピンクはガタガタ震えていた。

 「大丈夫だよ。心配するな。キクノさんが色々取り計らってくれた。異動先でもお前は俺のダッチワイフとして使える。」
 「そう・・・、良かった・・・。キクノさんに預けられたら、たくさんの男の人のお相手をしなくてはならないかと・・・。」

 スコットは顔をしかめた。

 「おい、ピンク! お前はダッチワイフだという事をまだ理解していないのか?」
 「エッ・・・?」
 「ダッチワイフとは何なのだ。男を喜ばせる為の物だぞ。それにお前の食事は俺の精液だけでは足りない。たくさんの男から精液を貰い、それで食事なのだ。今だって保存精液を食事しているだろう。お前だって仕事をしなくてはならないのだ。」
 「そんな・・・、ボクはスコットさんでないと・・・。」

 スコットは笑みを堪えるのがつらい程だった。



 転勤移動の日までピンクは忙しかった。スコットの指示によるデーモンがよく働くのだった。かなりの重量物の梱包も楽々とこなし、ピンクも驚く程だった。実際にはただデーモンの動きを見詰めているだけだったのだが。

 《スコットさん。宜しいですか?》
 「あ、キクノさん。こちらはOKです。輸送船が来る事は連絡済みですから。」
 《了解です。それでは着陸します。》

 キクノは大きなコンテナを操作してきた。何も指示をしていないにも関わらず、デーモンは荷物をコンテナに運び込む。

 「宜しくお願いします。それにしてもデーモンというのは凄い力を出すのですね。あれだけの物を軽々と。」
 「サイバーとはいえモビルスーツですからね。元は宇宙人と言いましたが、かなり重力の大きな星だったらしいですよ。ですからそれに対応する特殊な筋組織らしいです。」
 「私の仕事を手伝って貰っていても、ピンクの知識では無理な仕事もこなしますしね。」
 「脳組織に関してはほとんど分析が進んでいません。分析できるだけの科学力がないと言う事ですが。」

 キクノは笑っていた。

 「ピンクさんには細かい内容は伝えていないですよね?」
 「ええ。向こうに着いてから驚かせようかと。」
 「積み込みは終わりのようですね。それでは今度はピンクさんの積み込みですね。」
 「ああ、そのケースがピンク移動用ですか。」
 「自分が人間ではなく、ダッチワイフという物だという事をしっかりと認識して貰わないとならないですからね。今、あの星で何人かダッチワイフ予備軍を作成中ですし、これからもたくさん製造します。その良き先輩として、行動で示して貰わないとならないですから。そしていかにダッチワイフが幸せであるかという事も見せて頂かないとね。」
 「なる程。ピンクにはそういう仕事もあるわけですね。」
 「それはピンクさんが幸せであればある程、良い効果になりますから。」

 「おい、ピンク!」
 「はーい。」
 「最後の閉鎖は俺がする。お前はキクノさんと一緒に先に船に行け。」
 「船に・・・って・・・。ボクの宇宙服は?」
 「服ではないが、船に移動する間に入る物は用意してある。」
 「まさか・・・、ここに来た時の・・・。」
 「あんな大きな物の必要はない。ここにあるケースだ。」

 スコットは脇に置いてあるスーツケースのような箱を叩いた。

 「そんな小さいの? そんなのではボクは入れ・・・。まさか・・・。」
 「デーモンは真空中でも移動できる。しかしお前は無理だ。だからこのケースにはお前だけが入っていくって事だな。」
 「イヤ・・・って言っても・・・、そうされるのよね。」

 ピンクは涙を流していた。

 「まあそう言う事だな。さあ、分離してピンクの本体だけをこのケースに収納しろ。」

 デーモンはケースを開く。中はピンクが収まるような窪みがあるが、頭部以外は更にプラスチックのような透明なケースになっている。両手で捻るようにしてピンクの胴体を引き上げると、そのままケースに収めるのだった。

 「やっぱり・・・、怖い・・・。」

 嫌がっているピンクだが、デーモンはすぐにケースを閉じた。

 「それではデーモン、私と一緒に船に運んで。スコットさんも閉鎖作業が済んだらすぐにいらっしゃって下さいね。」

 ゴロゴロと運ばれる震動は、最初にこの基地に着いた時の脱出装置と騙されて入った物と同じように不安に襲われていた。

 (ボク・・・本当に新しい基地にスコットさんと一緒に行けるのだろうか・・・。まさかこのままダッチワイフとして売られてしまうなんて事は・・・。)



 基地の明かりが消えた。しばらくしてスコットがキクノの船に乗り込み、気密服を脱ぐ。

 「お待たせしました。俺の船は自動にして追尾操縦にしてあります。」
 「それでは出発します。貨物船ですから引力圏脱出まで約30分加速Gが掛かります。ピンクさんはそのケースのままの方が宜しいと思いますよ。」

 飛行に慣れたスコット達にはさほど負担にならない加速だった。しかしケースの中のピンクには初めての事なので、乳房の重みにかなり呼吸がつらい状態だった。

 「デーモンスーツは平気なんですね。確かに宇宙服としても万全なんだな。」
 「バイオスーツですので、成長を続けると全身を覆う形状までになります。そうすれば酸素マスクさえ着ければそれだけで宇宙服としては最高の機能を持たせられます。」
 「全身を覆ったら外せなくなるのでは?」
 「それではダッチワイフとしては不便でしょう。勿論その部分は伸縮して今の形態に戻ります。」
 「ほうーーっ。それは素晴らしいですね。だとしたら男型の外皮のスーツが作れれば今の宇宙服よりも遙かに性能がよい物になりますね。」
 「かもしれません。ですが私はそんな物を作ろうとは思っていません。男型の場合でも当然家畜用ですから、巨根化したペニスを搾り出す機能、男でも巨乳にしますから、乳搾り機能のスーツです。この技術は変態セックス以外に使おうとは思っていません。」
 「はあ・・・、勿体ないですね。」
 「いいえ、科学技術の粋である宇宙服は今迄の地球の科学の進展の結果です。ここに遙かに進んだ技術を持込む訳にはいきません。この技術がどのような悪影響をもたらすかが分かりませんから。ですから元々無かった分野で少しずつ研究する必要があるのです。」
 「そうですか。」



 「引力圏抜けました。もうピンクさんを出してもいいですよ。後ろのキャビンをお使い下さい。」
 「あ、どうも・・・。」

 スコットは少し照れていた。

 「1日ですし、キャビンは狭いからデーモンスーツは要らないですね。」
 「スコットさん、カプセルに入ったままですが、はめ込みの部分を簡単に外せますよ。」
 「カプセル・・・ですか?」
 「ええ。ケースを開ければ分かります。」

 スコットは新しいおもちゃを貰った子供のような顔でピンクの入ったケースを運んでキャビンに行く。

 「どれどれ。」

 ケースを開けると、涙顔のピンクが現れた。そしてプラスチックのようなケースに覆われていた。顔と乳房だけは露出している。

 「スコットさん。早く出して下さい。」
 「ほう。これだとピンクは完全に固定されている訳か。」
 「デーモンは?」
 「向こうに着くまでは、お前はこのままだ。ほう。肝腎な部分も開いているな。無重力状態だから、このまま填め込んでおけば勝手に締付けてくれるな。肉質オナホールか。」

 スコットは下半身をはだけ、カプセルに包まれたままのピンクを填め込む。

 「アフッ・・・、こんなの・・・イヤ・・・。」

 そうは言っていても、ダッチワイフの肉体はスコットを激しく求めるのだった。

 「ははは、カプセルに入れておくと本当におもちゃだな。これだと這いずり回る事もできないか。引き出しにしまっておく時なんかはいいかもしれない。」



 「スコットさん・・・、お願い・・・。」
 「ん? 何だ?」
 「このケースから出して・・・。」
 「なぜだ? 人形なのだから、ケースに入っていようと関係ないはずだが。」
 「動きたいの。せっかくスコットさんの物を挿れて貰っているのに、思うように・・・。」
 「まあ、仕方ないか。あと数時間で着くはずだから、それ迄の間は思う存分させてやろう。」

 スコットがケースの両脇の小さなつまみを外すと、プラスチックケースがパカッと前後に外れた。途端にピンクはスコットの逸物を軸にして大きく回転するように蠢き始めるのだった。

 「おい・・・、いきなりかよ。」

 無重力状態なのでスコットの上にいても重さは掛からない。巨大な乳房がブルンブルンと大きく振られ、発生する遠心力に対抗する為にスコットの物をしっかり握り込んでいるのだった。



 さすがにセックスのし続けでスコットには疲労が溜まり、自慢のペニスもすっかり萎縮してしまっている。ピンクにもそれが分かり、また充分な満足している状態だったので、ゆったりと動いていた。ピンクがスコットの上でゆっくりと上下しているのを不思議そうに見詰める。

 「ピンク・・・。お前は裸だから磁力スーツのように支えられていないはずだ。どうしてそんな風に動けるんだ?」
 「あら、ボクはスコットさんのオチンチンを出し入れしているだけよ。だから身体が浮いているので、そう見えるのかしら?」
 「ああ、そうか。お前のマンコは凄く鍛えられているからな。手が無い分、膣がその機能を発揮しているのかもな。」

 ピンクはちょっと悲しそうな顔をしていた。

 「ええ、ボクは手足の感覚が無くなって・・・。動かそうという意志はあるからデーモンに入っている時はそれで動かしてはいるのですけれど、動かすという感覚はなくなっているの。その頃から膣はある程度自分の意志で動かせるようになっているの。オッパイもそうなのよ。言葉で説明は難しいけれど、とても敏感になっているし、ちょうど掌のような感覚があるの。」
 「ほう・・・、ますます完全なダッチワイフと化しているのか。」
 「・・・悲しい事を言わないで・・・。」
 「そうではないぞ。お前は既に完全なダッチワイフなのだ。それが更に機能が上がって、ますます完璧になっていくという事なのだ。デーモンから分離できないダッチワイフの方が多いという事はキクノさんからも聞いているだろう。デーモンに組み込まれてしまえばどんな人間でもダッチワイフなのだが、ピンクは更に上位のダッチワイフなのだ。いや、究極のダッチワイフなのだろうな。」
 「究極・・・。それって・・・。」
 「俺はピンク以上のダッチワイフ、セックスペットが考えられないという事だ。まあ、実際に存在しないだろう。」
 「それって・・・、ボク・・・、喜んでいいの?」
 「ああ、そうだよ。」
 「嬉しい・・・。」
 「イテテ・・・、ピンク締付けすぎだ。」

 再び大きく蠢き出したピンクの涙が幾つも粒となってゆっくりとキャビンの壁に飛んでいくのだった。



 「スコットさん。間もなく到着します。準備して。」

 スコットはベルトを締めながら操縦室に戻ってきた。

 「あ、デーモン。ピンクをしまい込んでくれ。」
 「ああ、大気はありますし、ピンクさんには懐かしい星でしょうから着陸も見せて上げましょう。」
 「そうですね。デーモン、ピンクを填め込んで、その席に座れ。」

 デーモンはキャビンに行き、ピンクを組み込んで戻ってきた。

 「スコットさん、いいの? ボクの宇宙服が・・・。エッ・・・?」

 ピンクは座席に座りながら目的地の星を見詰めた。

 「この星・・・。」
 「そうだ。お前の懐かしい星だ。」

 ピンクはジッと前方の星を眺めていた。

 「観測所はこの星の海・・・と言うのも変ですが、灌木帯の無い広い場所がありますよね。あの中央やや上に観測所があります。この星の生態系を乱したくはないので、リッキー達の来ない場所を選んであります。」
 「なるほど・・・。」
 「ちなみにピンクさんが到着したエリアは観測所から真西の大灌木帯ですね。」
 「ああ・・・、あそこで・・・。チッチリ達と・・・。」

 着陸態勢に入り、船はスムーズに到着する。観測所と言うにはかなり大がかりな建物で、しかも屋根はツタを模した迷彩が施してあった。

 「キクノさん、この建物は?」
 「観測所としての設備はありますが、メインはダッチワイフの生産工場という事ですわね。」

 船を下りても誰も出迎えは居ない。

 「スコットさん。ピンクさんに船の収容をさせておいて下さい。」
 「あのう・・・ボクはこの船の操船は分からないのですが。」
 「大丈夫ですよ。デーモンが私のを見ていたはずですから。」
 「ああ、そうですね。ピンク、船をしまっておけ。その後戻ってこい。」

 ピンクの動きが急にテキパキとなり、貨物船に入っていった。


 「まだ始まったばかりで、今は例の女の木を栽培しているところです。この基地の周りを一つの灌木帯にしたいと思っています。」
 「なるほど・・・。あまり目立っては困るという事ですね。」
 「それもあるのですが、効率良くダッチワイフ製造をするにはベースの近くにたくさんの木が必要ですからね。そしてできるだけリッキー達と干渉しないようにして。そして灌木帯ができ上がれば、この基地に迷い込んでしまった浮浪者はそのままダッチワイフになってしまう可能性が高いですから。」
 「そしたら・・・、俺もオチオチとはしては・・・。」
 「危険性はありますが、誘因物質もある程度解明していますし、ここの木の実を食さなければ全く問題はありません。」



 ピンクは2船を格納庫に収納し、建物に入ってきた。全く分からない建物なのだが、デーモンの歩みに任せていた。

 「おう、終わったか。」
 「あ、はい。デーモンって凄いですね。操船技術は素晴らしいです。」
 「ピンクさん、そこにお座りなさい。この基地について、色々とお話ししておかねばならない事があります。」
 「あのう・・・、今迄の観測所と違って、ここは豪華な部屋なので・・・。その・・・ボクがダッチワイフだという事は良く分かっているのですが、裸なのは・・・。いえ、裸がイヤという事ではなくて・・・。」
 「分かりますよ。似つかわしくないという事ですよね。まあ、普段衣服を着けていれば脱がされる楽しみというのもあるでしょう。用意してありますわよ。」

 キクノがそう言うと、奥からメイド服の女性が入ってきた。

 「キャッ!」

 第三者が居るという事でピンクは身体をちぢこませる。

 「ティーヌ。こちらのピンクさんに何か衣服を。」
 「はい。ですが私どもの服しかありませんが宜しいでしょうか?」
 「いいわよ。着替えたら全員こちらに集まるように伝えて下さい。ピンクさん、ティーヌに着いていって下さいな。」

 ピンクは股間と胸を隠すようにして部屋を出て行くのだった。

 「ああしてみるとピンクは女その物だなあ。しかしこんな基地にメイドさんだなんて・・・。」
 「その方が殿方の趣向には合うと思いますが。」

 キクノは笑っていた。



 しばらくしてメイド達が数人ゾロゾロと入ってきた。

 「おっ、ピンクか。様になってるなあ。」
 「キクノさん、ピンクさんのバストサイズに合う物が無く、応急的に一番大きな物にしました。」
 「そうね。確かにちょっと触れたら弾き出そうね。」
 「いつも裸のピンクを見ていたが、こう言うのもそそられるな。」

 ピンクも他のメイドと同じ服なのだが、異様にバストが強調されていて、かろうじて乳首が隠れる程度だった。恥ずかしそうにモジモジしていた。

 「みんな揃いましたね。ご紹介します。こちらが観測所の所長として赴任されたスコット・アンダーソンさんです。」

 スコットが立ち上がり会釈をするとメイド全員も会釈をした。そしてピンクが真ん中に歩み出る。もちろんスコットの意志でデーモンが動いたのだ。

 「そしてこちらがスコットさんのダッチワイフのピンクさん。」

 いきなり『ダッチワイフ』と言われて慌てたピンクだったが、メイド達はそれ程驚いた表情を見せない。むしろ興味深そうにピンクを見詰めていた。

 「あのう・・・キクノさん。」

 ティーヌがみんなを代表するように質問をしてきた。

 「こちらのピンクさんは・・・もしかして・・・。」
 「そうです。以前お話をしておいた、この星で自然女性化し、デーモンと完璧な融合をしたピンクさん。」

 メイド達の感嘆のどよめきが響く。

 「スコットさん。こちらが全員デーモンと融合しているダッチワイフ達。」
 「エッ!?」
 「この基地にはデーモンに組み込まれていない人間は私とスコットさん。それと現在飼育中の子達だけなのですよ。」

 ピンクは驚いて声を掛けた。

 「それじゃ、この人達も皆、元は男だったのですか?」
 「はい、ティーヌとウェンディーも最初は男だったわ。そして・・・。」

 キクノはクスクス笑い出す。そしてメイド達の内の別の二人が顔を赤らめていた。

 「そちらのチュンリーがティーヌの、サンデーがウェンディーの元旦那様。」

 ピンクもスコットもキクノの言っている意味が良く分からないでいた。

 「最初は二人のダッチワイフは、ここでデーモンと融合させて、さる大企業の会長のダッチワイフとして制作されたのですが、引き渡し直後に早死にされてしまい、所有者が存在しなくなりました。当然秘密で飼っていたので、私が引き取ったのですが新たに所有者を捜そうとしていた矢先、二人とも若い男と恋に落ちて・・・。と言うと聞こえはいいのですが、要は若くて元気なペニスが欲しかっただけなのですけれどね。実際には新たなダッチワイフにする為の男の子だったのです。それがチェリーとサンデー。それで互いを所有者登録するという方法で一緒に居られるようにして上げたのですよ。そういうダッチワイフでないと、このような場所でのお仕事をして貰う訳にはいきませんからね。」

 キクノは咳払いをして話を続けた。

 「この人達は以前も改造作業の仕事をしていたのですが、この基地ができたので、ここでもその仕事を継続します。女性化される前の男の子と自由に好きなだけセックスしても宜しいという事でね。勿論ピンクさんにもそのお仕事をして貰うのですが、ピンクさんには特別にある仕事をお願いします。ピンクさんでないと難しいお仕事ですが。」
 「ボク・・・が?」
 「ええ。今はまだ女の木を増やしている段階です。この基地の周りに大きな灌木帯を作る為に。ただそれだけでは不足なのはピンクさんにも分かりますよね。まず女の実の木も必要ですが、その前に実その物も必要です。そして女の木に誘引させる実も必要です。つまり幾つもある灌木帯と同じ構成の灌木帯を作るのです。女の木はスコットさんより得た物で2本生えました。種の発芽確率は成長の良い物程高いのです。数多く産出されても使えるのは意外と少ないですね。でもその木から新たに種を得られましたので更に増やしています。しかし他の実の木はまだそれ程多くありません。それをピンクさんに収集して貰いたいのです。」
 「ボクが・・・? どんな木なのか知らないし、分からないですよ。」
 「でも、ピンクさんのお友達なら知っているはずですよ。」
 「お友達・・・って、ひょっとしてチッチリ?」
 「そうですよ。ピンクさんの持っていた翻訳機は今でも動作しています。移動を確認しているので、まだ持っていると思われます。それと生態系保存の為にもできるだけ干渉したくないのです。ですからピンクさんなら既に生態系に組み込まれていますから。」
 「懐かしいなあ・・・。チッチリに会えるのですか・・・。」



 ピンクは一人でエアカーを操縦して灌木帯に向かっていた。懐かしくも悔しい森である。
 その森の手前で車を止め、歩いて
近付いていく。
 森の端の所で遊んでいたリッキーの子供達が一斉に逃げ去り、警戒の声を上げていた。

 「おーい、チッチリ!」

 ピンクは大きな声で叫ぶ。シーンとし、隠れているリッキー達も静かになった。そして・・・。

 「リョッチチー!」

 懐かしい声が響いてきた。

 「チッチリ!」
 「リョッチチー!」

 二人は飛びついて抱きついた。

 「リョッチチー・ニオイ。」
 「匂い?」
 「カオ・カッコウ・チガウ。デモ・ニオイ・オナジ。」
 「ああ、そうか。ボクは随分変わったからね。そうだ、チッチリ。その翻訳機貸して。」

 チッチリは肩から掛けていた翻訳機を外し、ピンクに渡す。それと新たに持ってきた翻訳機に接続し、データを移して新しい方をチッチリに渡した。不思議そうに見ている。

 「これは何? 今迄のよりも小さいけれど。」
 「お、さすがに専門の翻訳機だ。とってもスムーズ。」
 「ああっ、これいいよ。リョッチチーの言葉が凄く良く分かる。リョッチチーの事、たくさん聞きたいよ。」
 「ボクもチッチリの事を聞きたい。」 



 二人は別れた後の話を続けていた。さすがにピンクになった事は話しても分からないので、互いの交尾についての話題が中心だった。

 「チッチリは雌になって良かったと思ってるよね?」
 「うん。リョッチチーもそうでしょ?」
 「だけど、牡達はその良さが分からないで嫌がってるんだよね。ボクの方もそうなんだよ。だからその良さを教えて上げる仕事をしているの。」
 「フーン。リョッチチーの方にも女の木はあるんだね。」
 「女の木はあるんだけど、女の実が無いんだよ。それで植えたいんだけど、女の実の木の種ってあるの? それとその他にもここにはたくさんの木の実があるよね。是非女の木に取り付かれた人に食べさせて上げたい。」
 「そうだよね。たくさん可愛い子供を産みたいのは同じだろうね。女の実の真ん中に小さな種がたくさんあるよ。その種を食べるとおなかの中で芽が出る。女の木の根が抜ける時、一緒に出てくるんだよ。」
 「ヘーッ、そうだったのか。もし、女の実を牡が食べたら?」
 「誰も食べないよ。牝になる時の食べ物だから。」
 「そうだよね。ボクの仲間の女になる人にもたくさん食べさせて上げたいな。」
 「いいよ。手伝う。ちょうど女の木から離れてすぐだから、まだたくさんなっている。」

 翌日はチッチリの仲間も手伝って木の実の収穫を行う事となった。ピンクがリョッチチーだった時に交尾の相手をした牡や、その後牝になったリッキー達も手伝ってくれ、すぐにエアカースペースがいっぱいになった。

「ありがとう。ボクはこの星のずっと離れたところに住んでいるんだけど、時々遊びに来ていいかしら?」
 「いつでもおいでよ。リョッチチーはみんなの友達。リョッチチーの友達もみんなの友達。待ってるよ。」



 「ただいま戻りました。」
 「お帰りなさい。随分たくさん集められましたね。」
 「ええ、チッチリ達が手伝ってくれましたから。女の実はこれですが、他の木の実はどれが何なのかは分からないですが。」
 「大体の予想はできています。すぐに精査を始めますが。それよりスコットさんがお待ちかねよ。」
 「はーい。」



 「お、戻ったか。」

 スコットの部屋にはメイド達全員が集まっている。

 「ただいま。あのう・・・。」
 「分かってる。すぐに填めてやるよ。」
 「この方達・・・。」
 「ん? ダッチワイフが他人の目を気にするのか?」

 メイド達は何か嬉しそうにピンクを見詰めていた。

 「みんなはお前の本当の姿を見たいそうだ。俺にしても最高級ダッチワイフを自慢したいしな。」
 「イヤ・・・。ボクは・・・。」
 「デーモン。ピンクを外せ。」
 「ダメーーーッ!!」

 デーモンは衣服を脱ぎ始めた。そして腰を掴んでグイッとピンクを引き上げる。

 「オウ・・・!!」

 メイド達の歓声が響く。

 「イヤッ・・・、ダメなのよ・・・。ボクはダッチワイフになってしまう・・・。」
 「ダッチワイフだろうが。」
 「心が・・・心がダッチワイフになってしまう・・・。つらい・・・。」

 愛液が霧のように吹き出していた。そうなるとピンクはただひたすらスコットを求めるしかなかった。抱え上げられ、ベッドに置かれた時にはピンクの視界にメイド達は存在しなかった。裸のスコットと、その下腹部に突き上がっている愛しい肉棒だけしかなかった。

 「ハウーーーン・・・。」

 ピンクの嬌声が響く。そのなまめかしい蠢きはスコットだけでなくメイド達にも高まりをもたらすものだった。

 「いいわねえ・・・、ピンクさん。こんな素晴らしいご主人様に恵まれて。」
 「そうねえ・・・。若いペニスは都度味合わせて貰っているけど、やっぱりこういう物の方が・・・。」
 「デーモンのペニスは確かに素晴らしいとは思うけれど、やっぱり生の方がいいわね。」
 「ウーン、我慢できない。ティーヌ、私に挿れて。」
 「あら、ずるいわよ。今度は私が挿れて貰う番のはずよ。」
 「私だって我慢できないのよ。仕方ないわ。抱き合えないけど同時射しでいきましょう。」

 メイド達もその場で互いのお相手と始めるのだった。ティーヌ達は松葉崩しのような格好で、互いのデーモンのペニスを相手の膣へと挿れていた。



 「あらまあ・・・。」

 部屋の様子を見に来たキクノは全員の痴態に呆れていた。

 「あ、キクノさん・・・。」

 メイド達は慌てて立ち上がり、衣服をただす。スコットだけはピンクを填め込んだまま起き上がった。

 「お楽しみの最中で申し訳ないのだけど、ピンクの採集してきた木の実の精査が終わりました。」
 「それで結果は?」
 「大体予想通りでした。まずは女の実ですが、中の種ごと食べさせて下さい。そうすれば女の木が抜けた時に一緒に発芽状態で排泄されるようです。他の木の実も同様なのですが、発芽は早いようです。ですから女の木の種を植え付ける前に何個か食させて排泄する必要があるようです。」
 「それでは次の子の時にですね。」
 「いいえ、今二人が種を植え付けられていますが、もし発芽しなかった場合に次の種を入れる前に食べさせましょう。次の排泄で出るはずですからね。」

 スコットは不思議そうに聞いていた。

 メイド達が出て行ってからデーモンに命じてピンクを組み込ませる。

 「キクノさん。今の話はピンクみたいな女性化を人工的にしているって事ですか?」

 キクノは微笑みながら答えた。

 「ええ、そうです。まだまだ不完全ですが、やがては広い灌木帯を作り上げ、その中に何人もの男の子を放牧するつもりです。」
 「放牧・・・ですか。」
 「そうですよ。ダッチワイフの一大工場にするつもりですから。」
 「しかし・・・、ピンクの場合でも存在を消すのにかなりの手間が掛かっていると思うのですが。」
 「確かにね。しばらくはそういう必要がありますが、ある程度の人数が揃えば、ダッチワイフ達の子供達が産まれます。リッキー達と同じように。」
 「遠大な計画ですね。」
 「まあ、私の代では完了しないでしょう。しかしアキ興業として代々受け継がれていくはずですから。そしてその頃にはピンクさんのような完全適合が確実にできるようになるでしょう。ダルマ娘の一大楽園となると思いますよ。」

 キクノは遠くを眺めるような、そして希望に満ちた表情をしていた。


・・・第2部 ピンク    ・・・・・終り・・・ 





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