翌朝、クレオが目覚めたのはシーザーが起き上がり、ペニスが抜け出た時だった。犬には生理的な朝勃ちというのはない様だ。相変わらず壮快な目覚めではなかったが、特に胸に痛みを感じてハッとした。僅かだが、はっきりとした隆起が現われていた。

 (オ、オッパイが大きく成っている。昨日の注射のせいだ。小量の注射だって言ってたけど、今度はもっと多量の注射にするって言ってた。もし今度注射されたら本当に大きなオッパイにされてしまう。そしたら逃げ出せてもとんでもない身体を晒してしまう。もし逃げ出して捕まったら、確実に注射されてしまう。逃げなくても注射されるのには間違いないし・・・。)

 クレオは迷っていた。しかし便意と尿意が強いので、取り合えず排泄しながらでも考えようと思い、シーザーの後を追う様に表へ出た。木陰に四つん這いにしゃがみ込み、勢い良く排泄を始めた。久しぶりに大便が出たが、排便の快感が心地良く広がった。

 (ウーン、ウンチってこんなに気持ち良かったのか。だけどお尻の穴が絞れない。ずっと填まったままだものなあ。肛門の中から出すのが本来の動きだもの、ずっと外から押し込まれていたからなあ。アレ? 何かむず痒い。直腸が空になるのが何故か変に寂しい。ひょっとしてシーザーのペニスが入ってないのが寂しいのだろうか? 冗談じゃない! そんな事・・・。)

 クレオはブルッと身体を震わせた。

 (このままでは本当にボクは『雌犬』に成ってしまう。身体が順応してしまうかも知れない。身体がシーザーを愛し始めているのかも知れない。そんな事になったら心迄もシーザーのお嫁さんに成ってしまう。やっぱり逃げよう。身体も心も『雌犬』に成らない内に。)

 クレオは決心した。昨日の失敗を繰り返さない様、慎重に歩き出した。シーザーが近くに寄って来たが、慌てず静かに犬小屋の方へ向かって這って行く。逃げ出す素振りは見せない様にするのだ。チラッとシーザーの股間を見るとペニスはまだ伸びていない。

 (よし、小屋に入って行って、シーザーが中に入ったら表に飛び出し、戸に鍵を掛けてしまう。そうすれば追われたりしない。)

 クレオが小屋に入るとシーザーも後に着いて入って来た。グルッと回り込んでシーザーが奥の方へ歩いて行った時、クレオはパッと外へ飛び出した。シーザーは怪訝そうな顔をしている。ドアを締め、不安定ながらも二本足で立ち上がり、鍵を掛けようとする。しかしクレオの手は拘束具で指が無い。両手でしっかり押え付けて口で鍵を引っ掛けようとする。何回も失敗しながらもやっとの事で鍵が填まり、中からは出られない様になった。ホッとして逃げ出す為に振り向き、庭の方へと顔を回した時、目の前にカオル、ルミコ、マユミが腕組して並んで立っていた。

 「ワン!」

 クレオは驚きの声を上げたが、犬の鳴き声であった。心臓が飛び出す程の驚きと、失敗による失意でしゃがみ込んでしまった。ショックで失禁してしまっている。
 三人は怒った顔でクレオを睨みつけていた。

 「昨日言ったばかりなのに、また逃げようとしたわね。」
 「何故自分の立場が分からないのかしら。カオルさん、やはり逃げ出せない身体にして仕舞わないとならない様ですね。」
 「そうね。早速始めましょう。犬の調教では、すぐその場で罰しないといけないから。クレオ、Gカップ程度のバストにして上げようと思っていたけど、逃げ出そうという気持ちを完全に消す為にもJカップ以上の大きさにするわ。」

 カオルは小さな注射器を手にしていた。チクッとする痛みがクレオの尻に感じた時、クラッとして意識が薄くなっていった。

 「ワ・・・ン。」
 (麻酔薬? イヤだ、もう逃げないからオッパイ大きくするのは・・・・。)

 ばったり倒れ込んだクレオを三人の女性が屋敷の中に運び込んで行く。シーザーは小屋の中で吠えている

 「シーザー、ちょっと我慢してね。クレオをもっと『お嫁さん』らしい身体にして上げるからね。」

 シーザーの不満気な吠え声の中クレオは居間のソファーに仰向けに寝かせられた。

 「ねえ、カオルさん。そんなに簡単に豊胸手術って出来るの?」
 「ホルモン注射だから簡単なのよ。女の人にする場合は副作用があって難しいけれど、男の場合は少ないの。女性ホルモンだから子宮に対しての影響が強いの。色々な婦人症が出てしまうわ。」
 「なる程ね。男の子なら子宮は無いものね。」
 「男にも副作用は出るわ。まずペニスが生育不良に成ってしまうし、拒絶反応による運動障害があるのよ。」
 「重大な事?」
 「ええ、言語障害で、まともに喋れなくなるわ。それと特に股関節に異常が出易く、立って歩く事が出来なくなるの。指の機能が落ちて物を掴む事も出来なくなるわ。」
 「・・・・・・? 何だ、それじゃ今の状態と変わらないじゃないの。逃げ出せなくなるじゃない。」
 「そう。クレオ本人にとってはとても重大な副作用よ。まだあるのよ。女性ホルモンが過多になると身体中に不調が起きるのだけれど、それを押さえるのには男性ホルモンが必要になるわ。バランスを取る為に身体が必要とするの。でも男性ホルモンを作り出す性器が成長しないとなると、体外から補給してやらないといけないわ。」
 「今度は男性ホルモン注射する訳?」
 「そんな事しないわよ。シーザーだって男性よ。精液にはたっぷりとホルモンが含まれてるわ。」
 「ヒューッ、そうすると・・・・。クレオの身体が、絶対にシーザーの精液を必要とする訳ね?」
 「その通り。クレオはシーザーと交尾しないと生きていけない身体に成るの。」

 カオルは手にした大型のバッグから薬瓶と大き目の注射器を出した。

 「ホルモンだけではすぐ血管に吸収されて、全身に広がるから、オッパイをすぐ大きくする目的の為には効果が少ないでしょ。まあ、最終的には全身女性化が目標ではあるけれど。ホルモンが暫くの間胸に留まっている様にと、ある程度すぐに大きくしたいから、脂肪分も一緒に注射するわ。」

 注射器にたっぷりと薬剤を吸い上げ、クレオの小さな乳首を摘み上げ、注射器を刺し込んだ。ビクッと僅かに震える。カオルは静かに注射器のピストンを押し込む。

 「ア、膨れる、膨れる。」

 クレオの胸の片側が、小さく盛り上がってきた。ちょうど少女が第二次性徴期に入る時の様な形に成ってきた。カオルは続いて反対側にも注射をした。

 「薬はたっぷり用意したわ。この胸だと大体九歳か十歳の女の子の胸ね。バランスを取りながら、乳房の周りから少しずつ注入して大きくしていくのよ。でも乳首はすぐにはダメね。これは女性ホルモンが効いてきてからだから。さて続けましょう。麻酔はそれ程強くないから、目が覚める前に完了しなくては。シーザーだって心配しているだろうし。」

 二本目の瓶から吸入した注射器が、再度クレオの胸に突き刺さる。内部からの盛り上がりにより、クレオの胸の皮がパッツリとし、皮下脂肪と筋肉の解離が起きる。麻酔が掛かってはいるものの、その痛みはクレオを暴れさせた。女性達が押え付け、注射は更に続けられる。カオルは乳房の皮膚を摘み上げ、解離を促進させる様に強く引っ張りながら注射を続けるのだった。Bカップ程の大きさにも成っていないのだが、広がりが少ないので、こんもりとした乳房に成った。

 「最初はこんな所ね。胸の皮膚の延びも殆ど限界だし、脂肪分がうまく落ち着かないと形良く出来ないから。後は毎日少しずつ注入していけばいいわ。」



 クレオは胸の鈍痛で目が覚めた。すぐ後ろで犬の「クーン」という声がし、犬小屋の中に寝ている事に気が付いた。

 (ウッ! 胸が痛い。)

 麻酔をされた事を思い出し、おそるおそる胸に目をやった。

 「ワン!」
 (ワッ! 本当にオッパイを大きくされている。)

 クレオにはまだ小さい乳房もかなりの大きさに見えている。

 (ウウッ・・・。とうとうオッパイを大きくされてしまった。もうボクはここから逃げ出せないのだろうか・・・。)

 泣き声を堪えていても涙がどんどん溢れ出てくる。後ろからシーザーが心配そうに見つめている。クレオが胸が痛いという様子を察知してシーザーはその小さなバストを嘗め上げるのだった。痛みがスーッと退いていく様な気がする。クレオの目が「有り難う」という様な語り掛けをした。シーザーもホッとした様な顔をした。しかし、ホッとして精神が緩んだのか、シーザーの股間が起き上がってきた。クレオはビクッとしてその逸物を見、シーザーの顔を見た。シーザーも自分の股間の盛り上がりに気付き、照れた様な様子をしていたが、おもむろにクレオの後ろに回り込んだ。

 (ああ、ちょっと気を許すとこうだもの。)

 逃げ出した為にひどい目に遭ったクレオとしては、今は逃げ出す事の恐ろしさで、シーザーに身を任せている以外にはなかった。シーザーにしても、今朝からまだ一度もしていないので、高まっているのだ。クレオは無意識なのだが、尻をツンと突き出した。シーザーのペニスの先端が肛門に当たっている。何となく心地良い疼きがある。ヌルッとした粘液がクレオの肛門に押し付けられると、ペニスがズルッと肛門を押し広げてきた。

 (アウッ・・・、今日は最初から太くなる。アッ・・・、とってもいい。)

 シーザーのペニスは直腸から大腸へと押し入って来た。長いストロークのピストン運動が始まり、すぐにカウパー腺液による膨らみが始まった。そして向きを変えての繋がりのピストンは激しく、いつもよりずっと早く、熱く濃い液体がクレオの体内に迸る。

 (アア・・・。どうしたのだろう。凄く気持ちいい。ね、シーザー、もっと強く・・・。)

 更にまだ硬いままのペニスの球部がクレオの体内で前後動を続け、更に熱い粘液がクレオの身体に広がって行く時、初めてと言っていい程の絶頂感がクレオを包んだのだ。実はこれは女性ホルモン過多の副作用なのだが、クレオにとっては自分の身体がシーザーを完全に愛してしまったという風に確信させるに充分であった。
 クレオは幸福感の中でうっとりしていた。シーザーの射精が早かった事と、女性的な絶頂感の為、クレオは射精していない。その為、射精後の空虚感や落込みが無かったのだ。勿論勃起はしていたのだが、アナルの快感が優っていた。精神的な快感は余韻を長く残している。

 (胸を大きくされると本当に女の子みたく成ってしまうんだなあ。あ、違うのか。ボクは雌犬にされてしまっているんだっけ。本当にいい気持ちだった。少なくとも身体だけはかなり雌犬に成っているみたい・・・。)

 胸の痛みもシーザーとの合体により薄らいでいる。鈍痛はあるのだが、何となく心地良い痛みになっているのだった。シーザーが後向きのまま繋がって引きずられていても、肛門の刺激が不快でなく、直腸いっぱいに入っているシーザーのペニスと肛門の圧迫も気持ち良くさえ感じてしまっている。
 シーザーは犬小屋から出て行く。当然クレオを引きずったままなのだが。小屋の外の木の根本で片足を上げようとした。

 (ウッ。そうだ。シーザーは射精後オシッコするんだった。)

 既に慣れてしまっているのか、躊躇する気配も無く、いきなり排尿を始めた。

 (ハフッ! 勢いが強い。遠慮なしになってきたなあ。)

 クレオは腸の力を抜いて対応している。大腸に滞らない様にしないと腹痛になるからだ。

 (逃げ損なうともっともっと完全な雌犬にされてしまう。ある程度オッパイは大きくされても、確実に逃げ出せるようにしないと。つらくても我慢していなけりゃ。ンフッ、交尾はつらくなくなっているのが逆につらいなあ。)

 シーザーは排尿に関しては遠慮しなくなっている。排尿が、飼い主に誉められている事から、進んでする様にしているのだ。だから水も沢山飲んでいる。そしてシーザーの尿によるクレオの体臭変化は、クレオをより犬らしい臭いにし、シーザーはより親近感を持つのであった。



 クレオの胸は注射の翌日当りから少しずつ膨らみを増していった。こんもりとしていた胸は段々になだらかに成り、皮膚と筋肉の解離が進んでいく。乳首は大きく成っていないが、バストは脂肪を集めだし、それらしく成っていくのだった。しかしホルモンの量が少ないので、三日程するとバストの大きさの変化はあまりなくなってきた。
 クレオもバストの大きさの変化が少なくなってきた事に気付いていた。毎日のシーザーとの交尾にもある程度慣れ、拘束衣での歩行もこっそりと練習していたので、脱出の用意をしていたのだ。

 (オッパイを大きくする薬は効き目が減ってきたみたいだ。今ならまだBカップとかいう大きさだけど、更に注射をされてしまうかも知れない。多分明日か明後日には注射をされるだろうから、今晩深夜には抜け出さないと。逃げ出したら、一気に逃げないと捕まってしまう。シーザーに臭いで追い掛けられない様にするにも、途中で大小便は出来ない。今日はドッグフードを控えておこう。)



 「クレオ。食事あまり食べないの?」

 マユミが犬小屋を覗き込んで来た。

 「散歩の時間よ。おばあちゃんがお待ちよ。さ、シーザーおいで。」

 シーザーはゆっくり起き上がり、クレオもお尻を引っ張られて後ずさりしながら犬小屋を出て行った。外は夏の陽射しが眩しい。シーザーは大きく伸びをしてから庭の方へ歩いて行く。
 マユミは庭をゆっくりと歩き、シーザーもそれに従って歩いて行く。

 「ねえ、クレオ。もうだいぶ慣れたみたいわね。一週間も経っていないけど、すっかり雌犬に成ったわ。胸も可愛らしく成ってきたし。あ、そうそう。クレオ、食事は沢山食べておいた方がいいのよ。胸に栄養を取られてしまうからね。夕べ迄はオッパイも大きく成ってきていたけど、今朝はあまり大きさの変化が無いでしょ? カオルさんが言っていたのだけれど、薬の効果が減ってきたから、もっと強いのを大量に用意しているそうよ。」

 クレオは自分の考えが当たっていた事に驚いた。

 「それでね、カオルさんが言うには、クレオは大人しくしているけど、また逃げ出そうとするかも知れないって。」
 (いけない。やっぱり気付かれている。どうしても今夜逃げ出さないと。)

 強い決意をした時、歩行のペースが乱れ、シーザーのペニスを強く曵いてしまった。そしてその刺激でクレオもいきばってしまい、強く絞ってしまった。

 「ブォン!!」

 シーザーが吠えて腰を揺すりだした。ペニスに硬さが増し、再び交尾を始めたのだ。

 「あらあら、シーザー達は所構わずね。ま、いいわ。終わる迄待っていて上げる。」

 『二匹』は交尾を始めると一心不乱になってしまう。普通の犬の交尾とは異なり、毎朝の最初の交尾の時を除いて、シーザーのペニスの付け根は膨らんだままになっている。常に外見上は交尾状態であり、シーザーは常に発情状態なのだ。勿論シーザーにもそれなりの理性はあり、普通の雌犬との交尾では、肉体的に満足すれば外すのだが、それはまだ他にも発情している雌犬が居る場合である。この時期にはそういう犬は居ないので、シーザーはクレオと交尾する以外に方法はない。だから意識的にペニスを抜けなくしているのである。だからピストンを始めても肛門の摩擦は少なく、直腸が大きく伸縮するのだ。それがクレオを痔にさせない事になる。いきばる事により膨らみが肛門を中から圧迫し、クレオに快感をもたらしている。

 「何だ。遅いと思ったらここで交尾していたのね。」
 「あ、カオルさん。始まってしまったので待っているんです。」
 「おばあちゃんが心配していたわ。」
 「クレオの具合いどうなのかしら?」
 「具合いって?」
 「今朝はあまり食欲ない様で、ドッグフードはかなり残っていましたけど。」
 「フーン。あ、シーザーは射精した様ね。クレオの方もちゃんと勃起しているわね。見たところ調子の悪い所はない様だけど・・・。」

 カオルは獣医らしくクレオの様子を眺めていた。そしてハッと気付いた様になり、

 「クレオ、何処か具合い悪い所あるの?」

 クレオはシーザーとの交尾の余韻に浸っていたが、カオルの言葉には小さく首を振った。

 「あ、そう。ならいいわ。おばあちゃんが待ってるわ。いらっしゃい。」

 カオルとマユミ、シーザーとクレオは揃って屋敷の前の東屋に向かった。


 「あらあら、やっとお出ましね。遅かったわね。」
 「おばあちゃん、お待たせ。今迄向こうで交尾していたから遅くなっちゃって。」
 「そうだったの。シーザーもすっかりクレオとの夫婦生活を楽しんでいる様ですね。クレオも大人しくちゃんと『雌犬』に成った様だしね。」
 「それはどうかな、おばあちゃん。」

 カオルが遮って言った。

 「クレオは今晩逃げ出すつもりなのよ。」

 クレオはびっくりしてカオルの方を見た。全身から脂汗が吹き出てきて、顔は蒼白となり身体は小刻みに震えていた。

 「まあ・・・。」

 全員がクレオを睨み付けていた。

 「ワウン、ワウン・・・。」
 (違う、逃げたりしません。)

 否定の素振りをしては見せても、先程の驚き様ですっかりバレているのは確実だった。

 「カオルさん、良く分かるのね。」
 「だてに獣医やっていないわ。でもクレオは素直だから、すぐ態度に出ちゃうのよね。さてとクレオ。まだその程度のオッパイでは逃げ出す望みもあるでしょうし、二足歩行も可能だからそんな気になるのよね。だから今日はその希望を完全に打ち消して上げるわ。」

 カオルは鞄から注射器や薬瓶を取り出した。

 「強力な女性ホルモン剤を用意したわ。勿論オッパイを大きくする薬だけれど、副作用を気にしないで済むから速攻性が高いわ。多分一週間でFカップ以上に成る筈よ。二週間もすれば桁外れのHカップに成り、お乳が出だす予定よ。副作用の方はすぐに現われてしまうけど、クレオには関係ないわ。言語中枢が犯されるから喋れなくなるけど、どうせ吠えるだけしかしないのだから構わないでしょ。それと股関節に障害が出るの。と言ってもこれも大した事ではないのよ。二足歩行が出来なくなるだけ。立ち上がってもバランスが取れなくなるだけだから、どうせ四つん這いで歩いているのだし、逃げ出せなくなるのが一番はっきりしていいわね。あとはこれも直接の影響はないのだけれど、クレオのオチンチンは多分無くなるわ。女性ホルモンだものね。でも子宮が出来るかどうかは疑問のあるところよ。それと最後に、女性ホルモン過多になって体調が不安定になるかも知れないけど、シーザーの精液で回復するわ。シーザーだって男性ホルモンを出しているのだから、良く吸収する事ね。もし逃げ出しても、シーザーと交尾していないと死ぬかも知れないから、良く覚えていた方がいいわよ。」

 カオルは鞄から小さな注射器を取り出した。麻酔薬である。クレオは全ての望みを絶たれるその凶器に恐れ、後ずさりをしている。

 「ワウン、ワン・・・。」
(イヤだ。お願い。助けて。)

 マユミがクレオを押え付けた。ビクッとしてマユミを見た時、脇腹にチクッと痛みが走った。

 「ワウッ! ワォーーン。」

 絶望の縁から突き落とされる悲しみの吠え声が響いた。



 どれ位の時間が経ったのだろうか。クレオは室内のソファーに寝かされていた。目眩がし、全身がだるく、二日酔いの様なむかつきがあった。ハッとして起き上がろうとしたが目眩の為に起き上がれない。

 「クゥーーン。」

 目の前でシーザーが心配そうな顔をしてクレオを見つめていた。

 (ああ、シーザーが離れている。それでお尻がムズ痒いのか。繋がっている時間の方が長いものね。アッそうだ胸の注射は・・・。)

 無意識に手を胸に当てたが、拘束具の為感触が良く分からない。恐る恐る視線を動かすとクレオの胸ははっきりとした隆起があるのだった。

 「ワオーーン。」
 (ああ・・・・。とうとう大きなオッパイにされてしまった。もうダメだ。)

 クレオは涙を溢れさせた。シーザーはますます心配そうに覗き込んでいる。

 (副作用で立てなくなるって言ってたけど・・・。)

 目眩を我慢してソファーから起き上がり両足で立ってみようとした。元々足は拘束具で立ち難くはされているのだが、ガクッと膝を付いてしまった。

 (ああ・・・。本当に立てない。腰が伸ばせなくなっている。自分の意志では腰の筋肉が動かせない。)

 涙は止めどなく流れている。しゃがみ込んでの四つん這いなら何の不自由もないのだが、立ち上がるという動作が出来ないし、その方法すら忘れてしまった様な感覚であった。そして視線を自分の股間にやった時更に絶望が襲った。確かに年齢にしては小さいペニスではあったが、Cカップより大きなバストに邪魔をされてはいるのだが、殆ど跡形が無いのだ。

 (ア、ア、・・・。オチンチンが・・・。)

 クレオは四つん這いで、部屋の隅に在る大きな鏡の方へ這って行った。鏡の前でしゃがみ込み下腹部を晒けて写してみた。

 (ああ、・・・。こんなに小さく・・・。)

 無くなっている訳ではないのだが、クレオのペニスはまるで赤ん坊の様に小さく縮み上がり、睾丸も極めて萎縮している。

 「ワオン・・・ワオーーーーン・・・。」

 声帯も変化しているのだろうか、声もカン高く成り、本当に雌犬らしい声に成っていた。

 (ああ、声も変わっている。イヤだ! お願い助けてーーー。)
 「ワォーーーン。ウォーーーン。」

 虚しく叫んだが、その時に気が付いた。口がハウラーギャグで拘束されているとはいえ、クレオは無意識にも言葉を喋ろうとすると舌がそれなりに緊張していた筈だが、今はそれが無かった。

 「アウッ! ワウン。」
 (ああ、喋っても舌が自由にならない。舌に力が入らない。)

 言語中枢が冒されるとは聞いていたが、拘束されて喋れないのと、喋る能力が奪われるのとでは、天と地程の差があった。

 (信じたくはなかったけど、ボクは本当に完全に『雌犬』にされてしまったみたいだ。)

 シーザーは泣いているクレオの頬を嘗め上げてきた。相変わらず心配そうな顔をしている。

 「アゥン・・・ワゥ・・。」
 (ボク本当にシーザーのお嫁さんに成っちゃったみたい。)

 シーザーはクレオの吠え声の意味が分かるのか、嬉しそうな表情をした。そしてクレオにはシーザーの喜びという意志が通じて来た事にもショックを受けた。

 (犬の言葉が、何となく分かる。ドンドン雌犬に成っていくのだなあ。)

 涙は止めどなく流れていくのだが、その間中シーザーはクレオの身体を嘗め回していた。胸を嘗められた時今迄に感じた事のない刺激を受けた。

 「ワゥッ!」

 肛門がジーンとして、キュッとすぼまった。シーザーはすかさずクレオの肛門に舌を挿し込んで来た。

 「ワ・・・ゥン。」
 (ワ、感じる。)

 シーザーはクレオの様子にすぐ応じてきた。クレオが眠っていた間、ずっと我慢をしていたので、既に臨戦体勢に入っていたのだ。長くて太いペニスをグイッと挿し入れてきた。シーザーの唾液と、ペニス粘膜の粘液と、クレオの肛門が出す粘液により、クレオに痛みを起こさせずにズリッと入ってきた。そして長いストロークのピストンが始まる。クレオは初めて最初から快感を受けていた。小さく成ったクレオのペニスも、小さいなりに勃起している。クレオに注射された大量の女性ホルモンはクレオの身体に拒絶反応を起こしている。身体が男性ホルモンを受け入れようとして、睾丸に刺激を与えるが、睾丸はかなりの機能低下をしていて、外部からの補充を余儀なくされているのだ。クレオの身体は既に充分に吸収しているシーザーの精液の拒絶反応より、女性ホルモンの拒絶反応の方に力を注いでいる。もっとも女性ホルモンに対する反応にしても、乳房が形成され、恒常的に出てきているので、やがて無くなってしまう筈なのだ。
 ピストン運動の周期が段々早くなり、深い部分での出入りからシーザーは腰全体を押し込んで来た。

 「ワウッ!」

 シーザーの低い唸り声とともに突き込まれたペニスが大きく膨れた。その途端、クレオは完全に雌犬と化し、後ろ向きになったシーザーの腰の動きに合わせて肛門と直腸を絞るのだった。そして熱くて粘り気のある液体がクレオの大腸に痛い程の勢いで突き挿さった。

 「ハウッ!・・・。」
 (ああ、シーザー。いい。もっと・・・。)

 クレオは自分から強くシーザーのペニスを搾り上げた。そして二発目の射精で更に熱い液体の塊がクレオの体内に送り込まれた時、芯からの激しい悦びが沸き立った。その響きは長い余韻となり、いつの間にか歓喜の涙になっていた。

 かなり長い時間、クレオは陶然としていた。シーザーの精液がたちどころに吸収され、全身に行き渡るのが分かる様だった。不快感が和らぎ、壮快感さえ現われてきた。うっとりとした状態のクレオをシーザーは優しく抱きかかえていた。

 「ワウ。」

 シーザーが小さい声で話し掛けてきた。
 (どうだった?)と聞いてきた様に思えた。

 「クゥン・・・。」
 (イヤ、恥ずかしい。でも、とても良かった。)

 暫くはじっと余韻を楽しんでいたが、

 (ああ・・・。とうとうシーザーのお嫁さんに成ってしまった。身体も精神も雌犬に成ってしまった。)



 暫くの間シーザーは静かにクレオを抱いた形になっていた。シーザーはクレオの体調があまり良い方ではない事を知っていて、出来るだけクレオに負担を掛けない様にしていたのだ。クレオは無意識の内に自分の乳房をさすっている。大きく成る為に痛みがあるのだ。シーザーはその様子に気付き、クレオの脇の下から顔を覗かせ、その長い舌でクレオの乳房を嘗め上げた。

 「クォン・・・。」

 クレオはビクッとした。乳房はかなり鋭敏に成っている。しかし、痛みが減り、ある程度の快感がある。

 (ああ、オッパイを嘗められると、とてもいい気持ち。まるで胸にもオチンチンが在るみたいだ。女の人ってこういう快感も有ったのか・・・。ボクの身体も女にされてしまったんだ・・・・、女ならまだいいか。『雌犬』にされちゃったんだ。)



 何日経ったのだろうか、クレオは精神的に大きなダメージを受けていて、与えられた環境に流された生活をしていた。何か考える事は、何であってもつらかったのである。朝起きてシーザーとともに外に出、一緒に排泄をする。すぐにシーザーは求めてきて、クレオもそれを拒まない。そのまま日中は殆ど繋がったままになっている。合間にシーザーはクレオの体内に放尿するのがクレオには相変わらずつらいのだった。慣れてきているとはいえ、どうしても下痢気味になってしまうのだ。繋がったままでいるので、シーザーの動きに合わせ、歩き回されている為、運動不足にはならず、二足歩行は完全に出来ないのだが、四足歩行は大変上手になった。最初の内は痛かった腰も段々と四足に適応してきたのだ。身体の方は巨乳と言えるFカップ程度の立派な乳房に成ってきている。乳首が少しずつ大きく成り、はっきりした乳輪も出来てきていた。ペニスの方は、睾丸は小さく成って、体内に上がってしまう事もあり、股間はちょっと小さ目だが、一見割れ目の様に成っている。ペニスも小さく成ったので、みっともない皮が垂れ下がっている状態なのだ。興奮すると勃起はするのだが、既に射精の機能は衰えてしまったかの様なのだ。

 軽井沢は夏でも朝夕は結構涼しい。それが幾分寒いかと感じてきた頃、毎日のお定まりの様に、排泄後の交尾をしていると、庭の隅の方で、ルミコが焚火の様な事をしていた。こんな朝早くから何を、と思いつつ見るとはなしに眺めていた。

 (何を燃しているのかな? ん? 本やノート・・・。ア、ボクの教科書! バッグや洋服迄・・・!!)
 「ワウッ、ワウーーーン!!」
 (ダメ! なぜ燃してしまうの!)

 ルミコはクレオの叫び声に気付き、二匹の方へ振り向いた。

 「ああ、居たのね。朝早くから、仲良くなっているのね。なあに? クレオ、何吠えてるの?」

 クレオはシーザーを引っ張ってルミコの方へ近寄ろうとしていた。しかし、ある程度迄は寄っても、シーザーは火には近付きたがらないので、少し離れた所でクレオは吠え続けていた。

 「ああ、この燃している物ね? これは『暮緒』の物だけど、もう『暮緒』は、この世には存在しないのよ。あなたは『クレオ』。あなたの物ではないわ。心残りになるでしょうし、『暮緒』の痕跡は完全に消しておかないとね。もうすぐ夏休みも終わるし、私は大学へ戻らないとね。でも、期末試験が終わったら、すぐ戻って来るわね。」

 ルミコは暮緒の持って来た物を全て炎の中に放り込んでしまった。炎は一段と大きく成り、シーザーはおびえて、クレオを引っ張る様にして小屋へ向かって行った。シーザーが強く引っ張ると、クレオの力ではどうしようもなかった。甲高い鳴き声だけが残っていた。

 小屋の中でもクレオはしゃくり上げ続けていた。涙が止めどなく流れ続けている。確かに、自分はもう『暮緒』に戻る事は出来ないと言う事は分かっていたのだが、自分が『暮緒』であったという証拠の品が、全部煙と成ってしまった事で、人間としての『暮緒』は、クレオ自身の心の中からも追い出されてしまったのだ。

 その日の午後、ルミコが大学へ戻る為に車で帰った事を知り、クレオは一層絶望の闇の中へ落ちて行った。数日間は食事もろくに喉を通らなかった。しかしシーザーの求めには積極的に応じた。交尾している間の快感の間だけでも、つらさを忘れる事が出来るからだった。食事をしないで、シーザーに外を引っ張り回される事で、疲労が溜り、肌の張りが減り、更に元気が無くなっていくのだった。
 マユミはクレオの元気が無い事をカオルに知らせていた。

 「ねえ、カオルさん。やっぱり精神的なショックが出て来たのと違う?」
 「それは当然よね。ルミコさんだけが大学に戻ったという事で、自分の立場が完全に理解出来たのだから。」
 「病気に成ってしまうかも知れないわ。」
 「獣医としては大問題ね。このショックを吹き飛ばす程の別のショックを与えないといけないかもね。」
 「どんな?」
 「母性本能なんてどう?」
 「エッ? もうオッパイ出るの?」
 「まだよ。もう少し掛かるけど、久しぶりにシーザーの子が産まれるから、その子犬の母親に成って貰わないとね。」
 「シーザーの子? シーザーは交尾はするけど、種が無かったんでは。」
 「無精子ではないのよ。あまり交尾し過ぎるから、薄くなっているの。ただ、今年は二頭も妊娠していたわ。最初の内はどうしても犬のお乳が必要だけど、ある程度大きく成ったら仔犬のどれかをクレオに任せるのよ。」
 「でも、母犬が手放すかしらね。」
 「さあ・・・。分からないけど、準備だけはしておかないとね。」



 クレオはシーザーの小屋の隅で毛布にくるまって横になっていた。カオルとマユミが入って行っても振り向きもしない。ひたすら自分の世界に逃げ込んでいるのだ。マユミが毛布をパッと引き剥した時、クレオはカオルが注射器を持っているのを見てビクッとした。少し恐れはしたものの、既にかなりのオッパイにされているので、さほどの抵抗はしなかった。

 「あら、素直ね。オッパイの成長も緩慢に成ったからね。ここでもう一度注射して、もう少し大きくしないとね。」

 注射器がクレオの乳房に突き刺さる。殆ど痛みは感じない。クレオにしてみれば、Fカップの乳房がGカップに成ったところで、自分の立場がどうなるものでもないので、乳房を大きくされる事に関してはとっくに諦めていたのだ。両乳房に注射された後、カオルが別の注射液を取り出した時には少し怪訝に思っていたのだが、いきなり股間に、睾丸(の在った所)と肛門の間、いわゆる蟻の戸渡りに注射器を刺した瞬間、痛みで大きく吠え声を上げた。

 (痛いっ!! 一体何の注射?)

 クレオが後ずさりしそうだったので、マユミがクレオの肩を押え付け、カオルの注射から逃げられない様にした。

 「キャウーン!!」

 尾てい骨に響く様な痛みが走り、まるで神経に直接針が刺さっている様に感じる程の苦痛であった。注射針が抜かれた後も鈍痛が続き、クレオは呻き声を出しながらも二人を恨めしそうににらんでいた。

 「何の注射か分からないと不安かな?」

 カオルの問い掛けにクレオはコクンと頷いた。

 「言っても分かるかどうか。『黄体ホルモン』って言ってね、普通は女性が妊娠すると出るホルモンなの。胎児を育てる働きの外に、オッパイが出る様に乳房の働きを良くするのだけれど、今は胸にも『乳腺刺激ホルモン』をメインにした『催乳剤』を注射しておいたから、いよいよお乳の出るオッパイに成っていくのよ。」
 「オッパイが出る様に成ればクレオも完全な雌犬だものね。」

 二人は笑いながら小屋を出て行った。後に残されたクレオはただ涙を流し、鳴咽しているだけであった。


 その晩から再びクレオの胸の痛みがひどくなってきた。最初の頃の初めて乳房を大きくされた頃の痛みと同じ様な痛みだった。毛布の中で眠れずに痛みを堪えつつも漏れ出るため息に、シーザーが心配そうに覗き込んで来た。クレオの身体に鼻を近付け、あちこち臭いを嗅ぎ回した。そして乳房を大きな舌で嘗め上げたのだ。ズンと痛みが走るのだが、ちょうどマッサージの様に、スーッと痛みが引いていく。クレオの顔に感謝の色が出ていたのか、シーザーはクレオを抱きかかえる様に座り、ひたすら乳房を嘗め続けた。食事を殆ど取らず、痛みのせいで全然眠れなかったクレオは心地良いマッサージで、いつの間にか深い眠りへと落ちていった。クレオの寝息を聞きながらシーザーは強く抱え込んで乳房をゆっくりと嘗め続けていた。


 翌朝、良く晴れたせいかかなり冷え込んでいた。もう軽井沢はすっかり秋である。クレオが目覚めた時、シーザーはまだ眠っていた。

 (あれ、オッパイがビッショリだ。そうだ、昨日はシーザーがずっと嘗めていてくれたので、痛みが減ったんだ。外は寒そうだな。シーザーが暖めていてくれた様だけど、やっぱり冷える。ちょっとオシッコしてこよう。)

 モゾモゾと起き出し、小屋を開けて外に出たが、シーザーはまだ眠っている。朝方迄嘗めていてくれた事にクレオは気付き、何か嬉しさを感じていた。いつもの大きな木の下に四つん這いのままで小便をする。

 (ウッ、オシッコが飛び散る。そうだよなあ・・・。すっかりオチンチンが縮んで、皮だけみたい。こんな女みたいな・・・、女ならまだましか。雌犬だもの・・・。)

 雌犬に成ってしまっているという事に涙も出なくなってしまっている事の方がむしろ悲しかった。寒さは外気だけではない。心の底から冷え込んだまま小屋に戻る。すっかり冷えて震えながらシーザーの懐に潜り込んだ時、シーザーがその冷たい身体に気付き、ぐっと引き寄せてから再び眠ってしまった。秋になっての最初の冷え込みの朝、クレオはシーザーの暖かい懐の中で、精神的な温もりを求めつつ再び眠り込んだ。

 『二匹』が本当に目覚めたのは、陽もだいぶ高く上がってからで、小屋の外を屋敷の犬達が走り回っている声が賑やかになってからだった。シーザー達が外に出ていない事を心配し、老婦人が散歩を兼ねて庭に出てきた。その足音にシーザーはピクッと耳を動かし、ノソノソと起き出した。

 「シーザー、お早よう。今朝はずいぶんお寝坊ね。」

 小屋の戸を押し開け、外に出たシーザーは眩しそうにしながら、伸びとあくびをしてから老婦人に寄って行った。クレオも久しぶりの良い眠りだったので、シーザーの後から着いて出た。外はすっかり暖かくなっていた。シーザー達が繋がっていないので、他の犬もシーザーの近くに寄って来て、老婦と一緒に歩きだした。まだまだクレオに対しては犬達の仲間とは見られていない。

 「クレオは来ないの?」

 クレオは首を振って小屋の前に座ったままでいた。何匹かの犬がクレオの周りで臭いを嗅いだ後、仲間の方へと走って行く。集団が庭の奥の方へ姿を消してから、クレオは木陰で排泄をした。食事をしていないせいか量は少ないが、犬臭く、特にシーザーの精液の臭いの強い便であった。

 (シーザーの精液しか入っていなかったんだ。おなかが空いているから寒いのだな。胸の成長に栄養が取られてしまうし、お乳が出る様にされたらしいけど、栄養を取らないと本当に死んでしまうかも知れない。シーザーの寿命に比べたらボクの方がずっと長い。シーザーが居なくなればボクの役目は終わる。ひどい女性達だけど、ボクを殺したりはしない筈だから、リハビリに時間が掛かるにしても元に戻れるチャンスはきっと有る。)

 暫くして老婦は犬を引き連れて戻って来た。シーザーがさっとクレオの方へ走って来る。座っているクレオにはシーザーの股間が既に大きく怒張しているのが見えた。クレオの後ろに回って、鼻先でクレオの尻を催促する様に持ち上げるのだった。

 「そう言えば、私はシーザー達が繋がるところを見るのは久しぶりね。いつもは繋がっているところしか見た事がないものね。」

 老婦は芝生に腰を下ろしてシーザー達の交尾を見る事にした。クレオはやはり見られるのは恥ずかしい気分で、しゃがんだままでいたが、シーザーがクレオの胸を嘗め上げると、乳首が飛び出し、肛門もキュッと締まるのだ。そして後ろからクレオの股間に長い舌を突き立てると、ジーンとする快感に思わず腰を持ち上げ、突き出してしまうのだった。ホルモン注射の影響も有り、クレオの身体がシーザーの精液を欲しているのだ。肛門はピクピクしていて、直腸壁からまるで愛液の様に粘液が滲み出して来る。シーザーはクレオにのし掛かり、股間から伸びた、先の尖った太くて長い赤い肉棒をズルッとクレオの肛門に挿し込んでいった。

 「アウーッ!!」

 心地良い圧入感にクレオは既に我を忘れ、自らも腰を前後して長いストロークのピストン運動に酔いしれるのだった。芝生に座って見ている老婦はその『微笑ましい、睦まじい』光景を微笑みながら眺めていた。
 一発目の射精でクレオの精神は宙を舞った。そして熱い液体が直腸幽門を塊となって通り抜けていった。大腸は異物に対して収縮をし、直腸、肛門もギュッと締まる。その為、シーザーのペニスは直腸幽門を押し広げ、大腸に迄侵入していった。

 「ワォン!」
 「アゥーーーン!」

 二匹の声が合唱の様に響き合う。シーザーはひたすら腰を押し付けて身体をピッタリと密着させて、下腹部でクレオの尻を擦り上げる様に動かし続ける。かなりの時間のピストンはクレオには長い時間ではない。二発目の精液はいきなり大腸に染み渡り、クレオの体内に熱い塊と成って広がっていった。
 荒い息をしながらシーザーは精液の残りの部分も押し出す様に腰を揺すっている。クレオも余韻を楽しむかの様に目を閉じたままじっとしていた。腕をつき伸ばしている余裕はなく、大きく成った乳房の上で喘いでいた。
 老婦はその光景をずっと楽しそうに眺めていた。そして周りには小型犬が何匹か遊んでいたが、一緒に不思議そうな顔で見ていたのだ。老婦が立ち上がり、家に戻ろうとした時、シーザーはそれに気付いて立ち上がった。当然いつもの様に繋がったままでクレオを引っ張りながら老婦の後に着いて行くのだった。クレオも仕方なく後ずさりで着いて行く。本当はもう少し余韻を楽しんでいたかったのであった。



 軽井沢の秋は短い。アッと言う間に紅葉の時期は終え、すぐ枯れ葉の季節になってしまう。朝晩の冷え込みはきつく、クレオには厳しい寒さになってくるのだ。雌犬にされた時から、拘束具で包まれている部分以外は裸なので、ある程度慣れてきているとはいえ、耐え切れない寒さになっている。昼間でも北風が肌を刺す様な痛さとなっているのだ。

 「クレオにはこの冷たさはつらいでしょうね。」
 「そりゃそうですわ、おばあちゃん。でもこの冬は何とか乗り切って貰わないと。人間って・・・、そうね、もうクレオは人間じゃないのだけれど、案外順応性があるのよ。万が一風邪をひいたらすぐ治して上げるけれど、出来るだけ衣服は着せずに慣らさないと。それに女性ホルモンの影響で皮下脂肪が増えてきたのだけれど、それで少しは耐えられるわ。」
 「でも、雪が降る頃になると・・・。」
 「その時には犬小屋に暖房を入れます。シーザーの温もりで越せればいいわ。」



 北軽井沢は秋でもかなりの冷え込みとなる。クレオは日中の天気のいい時以外は外に出られなくなっていた。カオルが犬小屋に持ち込んだ小さな電気ストーブ、藁の山、汚れた毛布、それとシーザーだけがクレオの体温を保つ物だった。シーザーにもクレオが寒さに弱く、外に出られないのは分かっている様で、日中は外を走り回っているのだが、夕方から朝迄は犬小屋の中に居る。毎日定期的な習慣となっているのだが、夕方クレオと繋がり、深夜迄催す度にシーザーは交尾を続けるのであった。そして朝早く起きて再び交尾を繰り返す。犬小屋の中に居る限り、シーザーのペニスはクレオの肛門から抜けている時間は殆ど無いのである。
 クレオの肉体もかなりの変化をきたしている。乳房はほんの少しの期間であったにも関わらず、既にJカップという、途轍もない巨乳に成っていた。乳輪もハッキリ現れ、強い刺激でほんのりとお乳が沁み出すのであった。ペニスは完全に消滅してしまい、亀頭であった部分が割れ目の部分に僅かな痕跡を残している。指は拘束されているので、自分自身でその割れ目の深さは分からないのだが、シーザーの舌で嘗められた時、かなり深く入ってくるのを感じていた。

 (身体だけ見ると完全に女に成っちゃったみたいだ。オッパイが大きくて、オマンコも出来てしまったみたいだ。女迄だったら、まだ逃げられたけれど、ボクは雌犬だものなあ。立って歩けないし、吠える事は出来ても喋るのは不可能にされた。それにちょっと長い時間シーザーと交尾しないと身体の調子が狂ってしまう。女性ホルモンの影響とかで、シーザーと交尾しないとならない身体に成っているんだなあ。ああ寒い。シーザーの精液が入るとすぐ暖かくなるのだけれど・・・。ここ数日間、カオルさんを見ていないな。いつもと違って、マユミさんが餌を持って来ているし。)

 クレオはマユミの様子もここ暫くおかしいのに気付いていた。何となく顔付きが暗いのだ。それはクレオ達に対してではなく、別の犬の健康に関連があるらしい事は雰囲気で分かった。しかし複雑な表情であった。そしてマユミがチラッと漏らした言葉、

 「クレオ、お乳は出る様に成った? まさかこうなるとはね・・・。」

 どういう意味なのか不可解であった。
 催乳剤を注射されているのである。お乳が出る様な身体にされてしまった事は分かっている。だからお乳が張って、つらそうにしているところを見られた時は、彼女達の企みが成功しているのだから、もっと素直に喜ばれてしまうと思っていたのだ。

 その不可解な意味は翌朝になって分かった。マユミの話では雌犬が一頭死んだという事であった。シーザーの子供を産んでから十日程してからだとの事であった。老婦人がカオルと一緒にその犬の遺骸を埋葬に行った後にクレオ達の所に寄ったのだ。老婦は涙で顔がくしゃくしゃになっていた。何も言わずにマユミとすぐ家へと戻って行った。カオルも暗い表情でクレオ達の犬小屋に残っている。

 「夕べ犬が死んだの。シーザーの子供を二匹産んだの。一匹はすぐに死んでしまったのよ。もう一匹は今のところは大丈夫なのだけれど、ダメかも知れない。」

 クレオは少し同情的な感じではあったが、取り立てての感慨は無かった。

 「お願い、クレオ。こんな事頼めた義理じゃないんだけれど、その仔犬を育てて欲しいの。」
 (仔犬を育てる?)

 クレオはびっくりして、カオルを覗き見た。カオルの目にもうっすらと涙の跡があった。

 「私は獣医だし、動物の死ぬ事は何度も経験してきたわ。でもおばあちゃんにとっては家族の一員なのよ。シーザーの為とは言え、クレオをこんな目に遭わせているのも家族の為なのよ。犬が死んでしまった事はやむを得ない事なのだけれど、産まれたばかりの仔犬がお乳を飲めずに死んでしまいそうなのを見ているのはとても悲しくて、つらい事なのよ。ちょっとの間だけでいいわ。仔犬の目が見える様に成るほんの少しの間だけ、クレオのお乳を上げてちょうだい。いいわね。」
 「ワン・・・、ウォン・・・。」
 (イヤだよ。何を勝手な・・・。)
 「有り難う。助かるわ。じゃあ、連れて来るわね。」
 「ワッ、ワン!! ウワン!!」
 (違う。違うよ! そんな返事じゃないよ!)

 カオルはクレオが承諾したと思い込み、(という振りをして)急いで犬小屋を飛び出して行った。クレオは慌ててカオルを追い、小屋の外に出ようとしたが、北風の冷たさに、出る事は出来なくなった。

 (確かに少しはお乳が出る様に成ってしまったけど、誰が仔犬になんか飲ませるものか。)
 クレオは何となく仔犬にオッパイを吸わせている自分を想像してしまった。ゾッとして打ち消そうとしたが、その時、乳房の奥の方から突き上げる様な痛みが走った。

 (アタタ・・・。またオッパイが張ってきた。ウッ・・・、今度のは今迄で一番強い。揉まなくても沁み出してきている。)

 女性ホルモン過多が、クレオの乳房に母性本能として現れてきている。仔犬に吸わせるイメージをしてしまった途端に乳腺が一気に働き出してきたのだ。

 (チクショー・・・。イタタタ・・・。オッパイを搾り出さないと・・・。でも、この手では・・・。)


 暫くの間クレオは自分の乳房を相手にもがいていた。そこへカオルとマユミが木の箱に入った仔犬を連れて来たのだ。シーザーも一緒に着いて来た。シーザーは不安気に仔犬の方を見つめていた。
 カオルはクレオが毛布にくるまっている前にその箱を下ろす。箱の中の仔犬はまるで玩具の様に小さいが、シーザーと同じ様な毛並みであった。ブルブル震えていて、口から泡を出している。微かな呻き声しか上げていない。

 「ね、お願い。この子にお乳を上げて。ほんの少しの期間でいいから。」

 クレオはフンと横を向いた。しかしシーザーがクレオの向いた方向に動き、いかにも哀願する様な表情ですり寄って来たのだ。そして自分の子供とクレオの顔を交互に見て、悲しそうな顔をするのであった。クレオは胸がキュンと引き締められる思いであった。そして同時に乳房の痛みはかなり激しくなり、ポタポタと滴り落ち始めたのだ。

 (イタタ・・・。仕方ない。仔犬の為じゃないぞ。ボクのオッパイが痛いから、それを治めるのにちょうど都合がいいから飲ませるのだからね。)

 クレオは毛布から出て、仔犬の近くに這ってきた。仔犬はクレオの乳の匂いを嗅ぎ付け、鼻をクンクン鳴らしている。自由の効かない腕で仔犬を抱き上げ、這って毛布の方へと戻る。仔犬は乳の匂いに必死で乳房を求めている。仔犬の口がクレオの乳首を捜し当て、キュッと吸い上げた時、クレオはビクンと硬直した。交尾とは違った快感が全身に走ったのであった。肉体的にも、乳房の痛みがスッと無くなっていく心地良さと、乳を吸われる快感にうっとりするのだが、精神的にも満ち足りたものを感じるのであった。小さな命を救うのだという感覚である。藁の上で丸くなり、仔犬を抱え込む様にしてお乳を吸わせる。カオルやマユミには見せたくない姿であったからだ。
 シーザーはクレオの前に座り、尻尾を盛んに振って覗き込んでいる。じっと仔犬がクレオの乳房にしがみ付いているのを嬉しそうに見つめていたのだ。
 カオルとマユミはそっと犬小屋を出た。クレオも気付いていたが、そのまま仔犬にお乳を飲ませ続けていた。二人に見られているよりは、シーザーだけの方が落ち着いていられる。二人に授乳での快感を知られてしまう方が恥ずかしかったからである。

 外に出たカオルは笑いを堪えていた。犬小屋から早く離れたいという様に、足早に歩いていた。マユミはその様子を不思議な顔で見ていた。屋敷の玄関迄来た時、カオルは耐え切れずに噴き出した。

 「カオルさん。何がそんなに・・・。」
 「だって、クレオが・・・。あんなにイヤがっていたクレオが、オッパイを仔犬に飲ませているのよ。それも私達が頼んだ時には無視していたのに、シーザーが頼んだら簡単にOKするんですもの。」
 「アッ、そうね。」
 「もっとも、そうさせる様な錯話をしておいたのだけれど。」
 「なる程。カオルさん、精神医にも成れるわね。」
 「それと・・・。ウフフ・・・。」
 「なあに?」
 「あの仔犬、まだ目が見えないでしょう。目が開いた時が楽しみよ。」
 「・・・?」
 「刷り込み(インプリンティング)って知ってる?」
 「インプリンティング・・・?」
 「動物はね、最初に見た物を親だと思い込むのよ。高等動物程その程度は低くなるけれど、クレオの場合はお乳を飲ませているのよ。クレオからみれば育ての親かも知れないけれど、仔犬にとっては本当の母親に成るのよ。仔犬が自分を母親だと思い込んでいるのを知れば、当然母性愛が生まれてくるわ。肉体的な雌犬が、精神的にも雌犬に成るのよ。」
 「凄いわね。そこ迄考えたから笑い出したかったのね。」

 二人は更に笑い続けながら屋敷に入って行った。


 クレオは授乳が肉体的にだけでなく、精神的にも快感を与えてくれるものだという事を知った。仔犬はむしゃぶり付く様にクレオの乳首を吸い続ける。その前でシーザーが嬉しそうに『二匹』を見ている。いつの間にかクレオは眠り込んでしまった。


 クレオが目を覚ましたのは深夜になってからであった。シーザーがクレオの尻を嘗め上げていたのである。胸元には可愛い寝息を立てている仔犬が居る。夕方からずっと眠ってしまっていた為に、シーザーはずっと我慢をしていたのだ。

 (シーザーも父親なんだなあ。ボクがオッパイをやっている間はずっと我慢していたんだ。)

 クレオが起き上がり、四つん這いの姿勢をとると、いきなりシーザーはのし掛かってきた。

 「ハウッ・・・。」

 既に怒張し切った真っ赤な肉棒をクレオの肛門に突き立ててきたのである。腰をグイグイ押し付ける様にして、ペニスを突き込むのがもどかしいといった状態で、ペニスの膨らみと同時に一発目の射精をしたのだ。そしてひたすら続く腰の振りの中で、更に二発目が飛び込んできた。

 (ああ・・・・、今日のはいつもよりいいよ。何故かしら。そうだ、オッパイを吸われていたから、ずっと気持ち良くなっていて・・・・。本当に雌犬に成ったんだ。だから気持ちいいんだ・・・。)

 シーザーの精液は塊と成って大腸へ押し込まれてきた。大腸はそれをスムーズに吸収し始める。ジワーッと暖かくなるのだ。肛門はピクピクと収縮を続け、シーザーのペニスを強く揉み続ける。クレオの方は乳房にも快感が有り、ペニスが消滅した後のクリトリス状に成った部分も充血している。女としての感覚を強く感じるのであった。

 (アフッ・・・、いい。凄くいい。アーッ、目が回る。シーザー、もっと・・・。ウクーーーッ・・・。)

 母性愛らしきものが出てきたという事は、精神的な面は勿論、肉体的にもほぼ完全に女性化してしまったと言ってもいいだろう。だから女性としての感覚が強く成ったのだ。まだ膣は育っていないが、取り合えずは直腸と肛門がその代理を完全に果たしている。雌犬だったクレオが母犬と成ったのだった。



 「クーン・・・。」

 仔犬が乳房を求めて真探っていた。クレオは自然に仔犬を抱き寄せ、乳房をふくませるのだった。仔犬が必死に乳首を吸うと、クレオの目からは温かい涙が溢れてくるのだった。

 (どうして・・・。ボクのオッパイの痛みを取るだけのつもりだったのに・・・。仔犬が可愛い。ボク・・・、この子を育てたい・・・。)

 クレオの顔に幸せの笑顔が浮かんでいた。カオルがそっと覗き込み、必死に笑いを堪えている事にも気が付かずに・・・。

 「クレオ・・・。」

 カオルが声を掛けてきた時、クレオはビクッとした。しっかりと授乳させているところを見られるのはカオル達の意に従った事になり、反発からも笑顔を消さざるを得なかった。

 「ごめんね。死にそうだったから仕方なかったのよ。クレオに無理矢理お願いして。だけどもう安心ね。」

 仔犬はまだしきりに乳を吸っているが、確かに元気は完全に戻っている。

 「もう人工乳でもOKだわ。ご苦労様。」

 カオルが仔犬を受け取ろうとして手を差し出した。

 (連れていくの? ダメッ、折角お乳で元気になったのに。)

 クレオが仔犬を抱き締めて後ずさりするのを見て、カオルは不思議そうな顔をした。

 「どうしたの? クレオ・・・。あなたは雌犬に成っているとはいえ、その子の母ではないのよ。アッ、そうね。クレオはお乳が沢山出るから、その子に吸って貰っていたいのね。ごめんね。勘違いしたわ。まさかクレオがその子の母親に成りたいとでも思っているのかと・・・。そうよね、あくまでも自分の為だわね。」

 クレオの心に鋭く突き刺さり、カオルを睨み付けていた。

 「まあ、私達を恨んでいるのだから、何事にも反発したいのは仕方ないわ。」

 カオルは肩をすくめて出て行ってしまった。

 (ボクはどうしたのかしら・・・? 確かに仔犬は可愛いよ。ボクがこの子を育てたいと思っているのは本当だけれど、カオルさん達にそう思われるのは・・・。だけどさっきみたいに、ボクのオッパイの痛みを取る為だけと思われるなんて・・・。悔しいなあ・・・。ボクがこの子を可愛いと思っていないと思われるのが悔しいなんて・・・。ボクは雌犬なんだよ。だからこの子の母親に成ってもいいんだよね。育ての親だけれど、本当に可愛い・・・。)

 仔犬はひたすらクレオの乳房を吸い続けていた。



 「カオルさん、あの仔犬は?」
 「大丈夫よ。クレオがちゃんと育てているから。」
 「だけど・・・クレオは・・・。」
 「そうよ、カオルさん。確かにお乳は出るでしょうけれど、クレオは私達を恨んでいる筈よ。あの仔犬にお乳を上げる事だって、私達の思惑に従う事になるから・・・。」

 カオルは微笑みながら、マユミ達に答えた。

 「最初はね。だから私はお乳を上げていたクレオに仔犬を戻す様に言ったわ。そしたら・・・。」

 ちょっと笑いを堪えながら、

 「むきになって返さないのよ。だから私はクレオの乳房の張りを解消する為だからと言っておいたわ。あなた達もクレオに対しては少し冷たくあしらってね。仔犬が元気になったら、別の雌犬に任せると。」
 「そのまま母親にさせればいいじゃない。それが最終的には・・・。」
 「だからこそなのよ。今はクレオは私達への反発の心が強いから、私達が仔犬を返せと言うと返さないという訳。確かに乳房の張りは解消するから、それにクレオは元々が男ですからね、お乳を与えるという行為は考えてもいなかったのよ。それが即母性愛だと思っているわ。」
 「なる程ね。分かりました。」

 女性達は皆頷いていた。

 「それに犬のお乳は人間の物よりも濃いのよ。だからあの仔犬は母犬の場合よりも沢山のお乳を必要とするわ。催乳剤を使っているとはいえ、必要な授乳にはかなりの時間が掛かるの。だから仔犬が起きている間は、殆どお乳を上げ続けないとならない筈。クレオはずっとお乳を吸われ続けているのよ。それをいきなり不必要と言われれば、当然抵抗するわ。だって、乳房は吸われる事によって活発化しているのよ。活発化した乳房は沢山のお乳を出しますから、吸われなければすぐに張りとなって現れ、搾り出さないとその痛みは強いわよ。」
 「ヘーッ、だけど元々が男の子のクレオが、あれ程のオッパイに成り、人間以上のお乳を出せるのね。」
 「クレオとしての精神的なショックは強いわよ。だから一種の精神異常状態なの。精神の混乱からの逃避としてはシーザーとの交尾と仔犬への授乳に求めるしかないのよ。自分から求めていれば、それがクレオの一番精神的に楽な状態なのね。つまり雌犬で母犬に成るという事が、精神状態の基底になる訳。だからそこへ逃げ込む様に仕向けるには、仔犬を取り上げるという脅しを少しずつ掛け続ければいいのよ。」
 「分かりました。そうしましょう。」

 女達は笑いながら喜びを表していた。



 (坊や、沢山オッパイを飲んでね。)

 クレオは仔犬を抱きかかえて乳房を含ませていた。

 「グォン・・・。」

 シーザーが覗き込んでくると、クレオはニコニコしながら仔犬をシーザーに見せるのだった。

 (パパ、元気になったでしょ?)

 シーザーも嬉しそうに尻尾を振り、大きな舌で仔犬を嘗め上げる。仔犬は黙々とオッパイを吸い続けるのだった。

 「お早よう。」

 カオルが様子を見に来たので、仔犬を自慢そうに見せていたクレオだが、ハッとして強く抱き込む。

 「あらあら、嫌われているのは分かっているけれど、そんなに邪険にしないで。今日はその仔犬の登録をしに行くのよ。だから様子を見に来た訳。アッ、名前が決まったわよ。『リンク』って名前にしたわ。」
 (『リンク』・・・。坊やの名前・・・。可愛い名前ね。)
 「クレオのオッパイの様子から見ると、まだお乳は出ている様ね。飲ませないと痛みが来るんでしょうね。いいわ。二、三日はそのまま吸い出して貰った方がいいわね。痛みが無くなればその仔犬に用はなくなるでしょうね。それ迄は搾乳機代わりに使っていなさいね。」

 その言葉はクレオの神経を逆撫でした。

 「クォン!」
 「おやおや、雌犬にされた事をまだ怒っているのね。仕方ないけれどね。オッパイを搾る為には嫌々でもその仔犬を使うしかないものね。」

 カオルはサッと犬小屋から出ていった。クレオは肩を震わせていた。

 (ボクはこの子が・・・、リンクが可愛いからオッパイをやっているんだよ。ボクはこのままだと本当に気が狂ってしまう。リンクが・・・、ボクのオッパイを飲んでいる限り、この子はボクの子だ。悔しい。ボクのお乳の張りを治める為だけにリンクにオッパイを上げていると思われているなんて・・・。あの人達はボクをひどい目に遭わせ続けている。ボクが可愛いと思っているのに、いつかこの子を、リンクを取り上げようとしている。絶対に離すもんか。幸いボクのオッパイはまだ沢山出るみたいだ。ずっと飲ませ続けていれば、リンクはボクの子供になる。絶対に・・・。)



 「キュン、キュン・・・。」

 胸元のリンクがクレオの乳房にじゃれついていた。

 「フォン?」

 やっと目を覚ましたクレオは仔犬の顔を見て驚き、喜びの笑顔に満たされた。

 (リンク!! 目が・・・。)

 チョコチョコ動いているリンクの目が開いていたのだ。まだ焦点の合わない目でキョロキョロしながらもクレオを見つめていたのだ。

 (目が開いた・・・。ボクの顔を見ている。そうだよ、リンク、ボクがお前のママ。人間だけど・・・、違うね、もうとっくに人間じゃなくなっている。シーザーの奥さんなの。そしてリンクはシーザーの子。ボクが産んだのではないけれど、シーザーの子ならボクの子。それにちゃんとお乳を飲んで育ってくれた・・・。)

 クレオの目からは涙が溢れ続けていた。そしてリンクが乳首を吸い始めると、更に涙は止めようがなかった。

 「お早よう。」

 カオルとルミコの声にクレオはビクッとして身構えるのだった。そしてリンクをしっかり抱きかかえる。

 「大丈夫よ。取り上げたりしないわ。もう遅いのだもの。」
 (遅い? 何が?)
 「本当ね。もう無理だわ。どうします?」
 (無理? リンクをどうするつもり?)

 クレオはうなり声を上げていた。その声と表情は我が子を守ろうとする母犬のものだった。

 「クレオ、もうダメよ。あなたは当分の間、リンクを育てなくてはならないのよ。イヤとは言わせないからね。」
 (リンクを育てる? いいの、このままで?)
 「あなたは知らないかも知れないけれど、リンクにとってクレオは母親なのよ。産まれてからずっとお乳を飲ませているから、リンクにとっては母親も同然だったけれど、リンクは目が開いてしまったのよ。」
 (そうだよ。ボクはリンクの母親だ。だけどリンクの目が見える様になった事と、どんな関係が?)
 「動物は何でもそうだけれど、産まれて最初に見た物が母親なのよ。しかもあなたの場合はお乳を上げているのだから、リンクにとっては完全な母親なのよ。イヤだと言ってもダメ。暫くはあなたにお乳を上げさせますからね。」
 (いいの? ボクはずっとリンクにお乳を上げていて。リンクはボクをママだと思っているの?)
 「あら? クレオ、嫌がらないの?」
 「本当ね。嬉しそうにして・・・。ちょっと予想が外れたわ。クレオはオッパイの張りを解消する為だけにお乳を飲ませていたんじゃないの?」
 「まさか。だけどほんの僅かだけよ。クレオのお乳が出るのは催乳剤のせい。もうすぐ出なくなるし、万が一本気で飲ませたいと思っていたとしても、今のままのお乳の量では足りないから、人工乳で育てなくてはならないわ。それはクレオには無理ですから、その時には私達のお仕事ね。」
 (エッ? そんな・・・。リンクはボクをママだと思っているんだよ。)

 クレオは涙を流して嫌がっていた。

 「まさか・・・。クレオ、本気でリンクを育てたいの?」

 何度も大きく頷く。

 「そうね。仔犬は可愛いし、クレオとしても自分のお乳を飲ませているのだから・・・。男の子がお乳を飲ませるなんて、結構ショックだものね。だけど催乳剤はダメなのよ。もし催乳剤を更に注射しても量は今のままを持続出来るだけ。それでは足りないのよ。シーザーの様な大型犬の仔犬は成長が早いの。相当のお乳を必要とするし、人乳は犬のお乳より薄いから、並みの量ではダメなの。それに催乳剤その物はリンクに具合が悪いの。一種のホルモンですから、成長に不具合があるの。」
 「ヘーッ、なる程ね。」
 「まあ、方法が無いではないわ。要はお乳が沢山出るオッパイって、乳腺の沢山の大きなオッパイなのよ。乳房への注射ではホルモンが滲み出してしまいますから、女性ホルモンが効く部分に注射して、間接的にオッパイを大きくするしかないわね。」
 (いいよ。もう充分に大きなオッパイなんだから、これ以上大きく成ったって同じだよ。お願い。)
 「エッ? 本気なの? 本気でオッパイを大きくしたいの? 女性ホルモンを注射する所はあそこよ。今は形だけのオマンコだけれど、大量の女性ホルモン注射をすると、本当の女に成ってしまうのよ。」
 (もう充分に女だよ。オチンチンはとっくに無くなってる。だからお願い。ボクはリンクのママでいたいの。)
 「ヘーッ、これこそ予想外。まあいいわ。このままではリンクは生き延びられないのだから。」
 (エッ、どういう事?)
 「分からないの? 仔犬は人間以上にデリケートなのよ。母親から引き離されたら、すぐに栄養不良になるわ。小型犬ならとにかく、大型犬はすぐに全身疲労。リンクの母親は他の犬から見れば人間よ。他の犬からは疎外されるわ。よほどクレオが犬達に溶け込まない限りはね。」

 カオル達は小屋を出ようとし、振り返った。

 「本当にその仔犬を育てるつもりなら女性ホルモンの注射をして上げるわ。その方が私達にも都合がいいわ。なおの事逃げ出せない身体に成るのですからね。」
 (もう逃げられる身体じゃないよ。そんな事よりもボクのオッパイを沢山リンクに飲ませて上げたいの。)

 クレオはすがる様な哀願の目で見つめるのだった。

 「分かったわ。本気らしいわね。少し待っていなさい。」
 ドアを閉めて急ぎ足で歩くルミコ達は必死で笑いを堪えていたのだった。
 「カオルさん、凄い。言った通りね。」
 「ええ、自分でも驚く程に填まったわ。さっそくホルモン注射よ。それも夢にも思わなかったあのホルモン剤で。」
 「ねえ、凄い薬なの?」
 「そうよ。普段なら絶対に使えない薬よ。今迄のホルモン剤だって、普通では使えない代物よ。男だった子をあんなに完全に女にしてしまうのよ。副作用だってあんなに強いし。」
 「だとすると今度のはもっと凄いの?」
 「ううん、ちょっとだけ。肉体的にはいいんだけれどね。当然だけれど、オッパイはもっと大きく成るわ。豊胸剤としては理想的なのよね。そしてお乳の出も半端ではないわ。」
 「それならいいんじゃない?」
 「但し、脳に異常が出てしまうの。」
 「脳に? それは・・・。精神異常は、世話に手間が掛かるわよ。」
 「そういう異常ではないのよ。今迄のホルモン剤でも四股の運動異常が出るし、言語中枢が犯されているでしょう。それでもホルモン投与をやめれば時間は掛かるもの回復するわ。だけど今度のはそれ固定してしまうの。と言うよりもその中枢を完全に破壊してしまうのよ。アメリカ製らしいのだけれど、裏社会で使われる薬らしいわ。今迄のホルモン剤は人間の女性ホルモンの強化した物と思って貰っていいけれど、今度のは本当の意味で雌犬のホルモン剤の強力版なのよ。本当の犬にしてしまうの。」
 「本物の犬? それも面白いけれど、ちょっと不気味ね。」
 「ああ、姿形が犬に成る訳ではないのよ。犬の女性ホルモンと言っても、やはり女性ホルモンだから、膣を形成するわ。場合によったら子宮迄出来るかも知れない。ただ卵巣は無理ね。出来たとしても妊娠は出来ないけれど。だって犬の女性ホルモンで出来た卵子では、人間の精子とは受精しないし、犬の精子とでも染色体が違い過ぎるから不可能なの。だけど本来の使用のされ方は、女の人の陵辱用なのだけれど、獣姦させられ続けると、どうしても膣や子宮に異常が出るわ。犬の精子はやはり人間には合いませんからね。そこに犬のホルモンを大量注射すると、膣や子宮は犬の精子を受け入れ易くするのよ。そして人間の精子が異物になるの。私はその筋の人に色々なビデオを見せて貰ったけれど、それは凄い物だったわ。」
 「その筋? 暴力団関係?」
 「ああ、そういう意味じゃないのよ。どう言えばいいか・・・、いわばセックスマフィアとでも・・・。変態SMの専門グループ、人体改造、調教の専門家ね。」
 「それはそれで恐いわね。」
 「そうでもないわよ。あなたの良く知っている人だってそのグループなんだから。」
 「理事の?」
 「そうよ。それも相当に上位のね。だけど口外はダメ。分かっているわね?」
 「ええ、話は知っています。」
 「人体改造ではかなりの実績があるらしいけれど、獣姦の方はやはりアメリカが主らしいわ。獣姦愛好者達のコロニーが在るらしいし、獣姦専用に育てられる犬も沢山居るらしいわ。凄いわよ。雄犬と可愛い女の子が後ろ向きに繋がって、延々と続けているの。そして何と言っても凄いのが、人間の女性に犬の子を産ませるのよ。」
 「それは・・・無理でしょう?」
 「普通ではね。犬の受精卵を人間の子宮に移すのよ。その為に必要なホルモンなの。だからその人は何度でも犬の子を産まされるのだけれど、そうなるともう人間の子を産む事は出来なくなるのよ。菊野さんもその技術を試してみたいと言っていたけれど、アフターの方も大変なのよ。人間から産まれた犬は人間にしか発情しないでしょう。だからその犬を相手にする女の人を沢山用意しないとならないからね。金銭的に、物理的にも相当の準備をしないとならないでしょ。だけど私も見てみたいわ。大勢の女の人が犬と後ろ向きに繋がったままのセックスをさせられたり、本当に犬の子を産めるのかどうかも現実に見てみたい。」
 「それは・・・、面白そうだけれど、やはり考えられないわ。本当なら確かに見てみたいわね。」
 「クレオのデータは菊野さんに役に立つし、私達も楽しい。お婆さんも喜ぶ。」
 「シーザーも喜び、クレオも嬉しそうよ。」
 「そうそう、みんな幸せなのよ。」



 「クゥン、クゥン・・・。」

 リンクは甘えた声でクレオの乳房を吸い続けていた。クレオも嬉し涙を流しながらしっかりと抱いていた。

 (どうしたんだろう。ボクがリンクにお乳を上げて育てるのはあの女の人の思惑通りなのに、それが嬉しい。ボクは本当に雌犬、ううん、母犬なんだ。ボクはもう人間には戻れない。だったらこの嬉しい母犬のままでいたい。それにシーザーも凄く優しくて逞しい。凄いスケベだけれど、ボクにはそれも嬉しい。リンク、早く大きく成ってね。)

 シーザーはクレオの脇に横たわり、クレオのお乳を吸っているリンクを嬉しそうに見つめていた。クレオはシーザーに微笑み掛けると、シーザーも微笑んでいる表情に見えるのだった。


・・・・・完・・・・・




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