淫魂           


 「アラッ? 真島君?」
 「エッ? 菊野さん?」

 菊野愛は車で山道を走っている時、ハイキング姿で歩いてきた真島恭一に出会った。

 「菊野さんはどこに?」
 「うちは家族で別荘よ。それにこの近くに学校の施設も在るでしょう。それより真島君こそ、どうして?」
 「ボクは一人旅・・・、と言っても、ハイキングに毛の生えた程度ですけど。」



 真島恭一、十五歳。心生学園中等部の三年生。愛は心生学園の中等部と高等部の事務をしており、互いに顔は知っていた。

 「一週間掛けて、軽井沢を一回りする予定です。」
 「まあ、真島君が? 見掛けによらないわね。だけど無理しないでよ。軽井沢と言っても、夜は冷え込むし、結構きつい山道もあるから。」
 「だけど所詮軽井沢ですよ。これからこの先のユースホステルに行くんです。」
 「ああ、この峠の先ね? 気を付けてね。」

 恭一はお辞儀をして再び歩き出した。愛は少し不思議な感覚を受けたのだが、それ程気にも留めずに車をスタートさせた。



 小柄で華奢な恭一には男っぽさが少ないという劣等感があった。心生学園の中ではどうという事はないのだが、男らしさの証明をしたいという意思で山歩きを決断したのだ。と
は言え、体力の面からの不安で、無難なコースを選ぶしかなかったのだ。


 「結構きつい・・・。」

 無難とはいえ山道であり、荷物を背負っての山歩きは恭一にはかなり大変で、何度も休憩をしながらであった。地図では一本道の先にホステルが在る筈であり、途中でサイクリングの若者達に抜かれていたので、間違うなどとは考えもしなかった。
 しかしまだ昼を過ぎたばかりなのに、かなり濃い霧に辺りを包まれると、少し不安になるのだが、それでも道は真っ直ぐ伸びていた。



 「おかしいなあ・・・。道を真っ直ぐ来たのに、だんだん山を登っている。」

 地図では太い道に面してホステルが在る筈であり、かなり大きな施設なので、道は広がる筈なのだ。それが段々と細くなり、完全な山道になってしまっていた。そして辺りの霧は明るいものの、視界を非常に悪くしている。

 「もう、随分歩いている筈だ。」

 腕時計を見ると、全然進んでいない。どう考えても一時間以上は歩いていた筈だし、疲労からもそう感じる。

 「アレッ? 時計、壊れたか? やばいなあ・・・、迷う筈もないのに・・・。」

 そうは思っても、戻る訳にはいかなかった。少し戻ろうとしてみたが、なぜか戻り道は不思議な事に、更に細くなっているのだ。恭一は不安になったが、地図ではどう迷っても必ず太い道に出るのだ。だから取り合えずは歩き続けるのだった。

 しかしかなり歩き続けても道には出ない。そして時計は相変わらず進んでおらず、不安で一杯だった。そして少し霧が薄くなってきたので、ホッとしていると、広い場所に出たのだった。

 「参った・・・。どこだ、ここは?」

 切り株に座って地図を広げるのだが、全く分からなかった。濃い霧に包まれていても明るいのだが、太陽の方向が分からず、方角が分からない。



 「タソ?」
 「エッ?」

 不思議な声に驚いて振り返ると、霧の中から人形の様な少女が手桶を持って現れた。

 「コワタソ?」

 可愛い少女が笑顔で恭一を覗き込んでいた。あまりに場違いな雰囲気の子供の出現に訝るのだが、それでも迷ってしまっていた恭一には天の助けだった。

 「お嬢ちゃん、ここはどこ? ユースホステル探しているんだけど、知らない?」

 しかし少女はニコニコしたままで答えない。しかし手招きをして濃い霧の方へ向かうので、恭一もリュックを背負って後に続くのだった。すぐに、霧の向こうなので輪郭はハッキリしないが、大きな建物が見えてきた。

 「良かった・・・。ここか・・・。」

 しかしその建物はユースホステルという名にはそぐわない、和風の建物、しかし旅館の様な建物ではなかった。

 「アレッ? ここは?」

 大門が音も立てずに開き、奥から巫女の様な衣装の女性が出てきた。恭一はここが神社であるのかと思うのだったが、聞いた事のない所だった。

 「柚葉、こは誰そ?」

 厳かな感じの美声だった。そして長い髪の顔は中世的だが、かなりの美人だった。

 「すみません、道に迷ったらしいのですが、ここはどこですか?」

 その女性も微笑んで、スッと神殿の様な建物の方へ向かう。しかし恭一の足はすくんでいた。それは女達に影が無かったからだ。霧の中に溶け込む様に消えた時、恭一は悲鳴を上げていた。



 「どうしました?」
 「エッ?」

 ハッとした恭一は身をすくめたまま目を開いた。そこには先程の巫女スタイルの女性ではなく、普通の美人の女性と女の子が不思議そうに恭一を見つめていた。周りは神殿造の建物ではなく、普通のペンションの様な建物の前だった。

 「ここは・・・?」
 「ここは私の別荘ですよ。」
 「別荘?」
 「どうしたの? 柚葉がご案内してきたのでしょう?」
 「だけど・・・、さっきは・・・。」



 恭一は不思議な光景の話をするのだった。しかし確かにその女性達と、今、目の前に居る女性達は確かにその女達とそっくりだった。まだ霧は残っているが、微かに陽射しを受けている女性達には影があり、恐ろしさは感じさせない。

 「不思議ね。でも、ここは先祖代々私達の別荘でしたが、大昔は神社だったらしいとは聞いていますけれど。」
 「ママ、それって私達のご先祖様?」
 「そうかも知れないわね。」

 居間に案内された恭一は少し不安そうに座っていた。

 「ねえ、お兄さん、遊ぼう。」

 少女は恭一の腕を取ってはしゃいでいた。

 「柚葉(ゆずは)。まだお兄さんは疲れているのよ。ところで・・・。」
 「アッ、恭一です。真島恭一。」
 「恭一さんね。私は香住柚紀(かすみ ゆずき)。娘の柚葉です。すみませんねえ。この近所には柚葉のお友達は居ませんの。だからよそからいらっしゃる人もなく、嬉しくて仕方ないのですよ。」

 (かなり奥に来てしまっているからなあ。この辺には他の別荘もないのかな? だから友達も居ないんだ。)

 「いいですよ。ところで、この近くにユースホステルが在るのを知りませんか?」
 「ユースホステル? この辺には在りませんねえ・・・。一番近くでも、ここから二十キロ以上先ですよ。」
 「二十キロ?」
 「そこにお泊まりの予定だったのですか? かなりの山越えになりますよ。この辺はいつでも霧が濃いですし、今からではとても着けませんわ。」
 「そんなあ・・・。参ったなあ。」
 「今日はここにお泊まりになったら? 柚葉だけでなく、私も久しぶりのお客様で嬉しいですわ。」
 「そうですか? もしいいのなら・・・。」

 柚葉は恭一の手を掴んだまま喜んでいた。

 「良かった。それじゃ、お兄ちゃん。遊ぼう。私の部屋へ来て。」
 「恭一さん、お願い出来ますか? お食事迄の間、宜しいでしょうか?」
 「すみません。それじゃあ・・・。」

 柚葉は恭一の手を引いて二階への階段へと向かう。



 別荘であるので、日常生活臭が少ないのは当然なのかも知れないが、それにしてもあまりにもがらんとしている柚葉の部屋は不思議だった。ベッドやテレビも無く、タンスや小物入れも無い、ただの広い部屋だった。

 「ここ、柚葉ちゃんの部屋?」
 「うん、だけどここは遊び部屋よ。」
 「ああ、そうか・・・。」

 近隣に子供が居ないので、ここで遊ぶ事は少なく、ひょっとすると一度も使われていないかも知れないと思える程綺麗だった。

 「それで、何して遊ぶの? ゲームは・・・無さそうだし。」
 「待ってて、玩具が在るの。ママとしか遊んだ事がないけど、初めてママ以外の人と遊べる。」

 柚葉は嬉しそうにクローゼットを開いた。

 (見た目よりも身体が弱いのかも・・・。まあ、一晩付き合って上げるか。お母さんも若くて綺麗だし・・・。ヘヘッ・・・。)

 しかしクローゼットの中を見て、恭一は肝を潰した。

 「な・・・、何!?」

 大きなクローゼットが開かれると、そこには恭一でも分かるビザール風の衣装がズラッと並んでいるのだった。

 「柚葉・・・ちゃん、そこは違う!」
 「何? お兄ちゃん、どうしたの? ここはママのと私の玩具をしまってあるのよ。」
 「お母さんの?」

 ドギマギしている恭一だったが、あの美人の母親の意外な一面に驚くのだった。そして柚葉はその奥から、車の付いた玩具箱を押してきた。

 「これが私の玩具よ。」

 柚葉の押してきた玩具箱よりも、クローゼットの中のビザールに意識が集中していた。しかしそれをもっと見ていたいという欲望を押し払って、柚葉の玩具に強引に視線を移すのだった。しかし・・・。

 「グッ・・・!」

 恭一は一瞬、息が止まってしまった。

 「こ・・・、これ・・・?」

 箱の中にはバイブを始め、色々な張り型や浣腸器、ローソク、鞭、拘束具や恭一には良く分からないが、医療器具などが沢山入っていた。

 「柚葉・・・ちゃん・・・。これ、何だか・・・知ってるの?」

 声が裏返ってしまっている恭一を不思議そうに見つめる柚葉だった。

 「玩具よ。お兄ちゃん、知らないの?」
 「そ・・・、そうじゃなくて・・・。何に使うか、知ってるの?」
 「当たり前でしょ? 今迄はこれでしか出来なかったのよ。誰もお友達が来なかったから。今日はお兄ちゃんが来てくれたから、本物のオチンチンで遊べるのよ。」

 柚葉は歳相応の愛らしい微笑みだったが、興味の対象は恭一の股間だった。

 「あ・・・、あのね・・・。お母さんならとにかく、柚葉ちゃんはこんなので遊んじゃダメッ!」
 「どうして? ママはいいのに、私はダメ?」
 「それは・・・。ママは大人だけど、柚葉ちゃんは子供だから・・・。」

 あたふたしながら、恭一はしどろもどろで説得する。

 「どうしてよ? お兄ちゃん、遊んでくれるって言ったじゃない! それに・・・。」

 柚葉は少し悲しそうな顔になった。

 「私・・・、本物のオチンチンで遊んだ事ないんだもの・・・。そして・・・。」
 「ダメなの! 柚葉ちゃんが大人になってからね。」
 「柚葉・・・、大人になれない・・・。」
 「エッ?」
 「もうすぐお別れなんだって。柚葉、ママと別れたくないけど・・・。」

 恭一は驚いて柚葉を見つめていた。

 (この子、死ぬのか? 可愛くて元気そうだけれど、そう言えば、妙に肌が白い・・・。病気なのか?)

 そこに柚紀が飲み物を持って入ってきた。

 「あらあら・・・。」

 クローゼットが開いていて、ビザールが見えているのに気付いた柚紀は慌ててドアを閉めた。そして恥ずかしそうにしながら、柚葉をにらみ付けた。

 「柚葉! 不作法ですよ。恭一さん、ごめんなさいね。恥ずかしい事を・・・。」

 恭一は涙を流したまましがみついている柚葉を見ながら柚紀に尋ねた。

 「お母さん、柚葉ちゃん・・・、病気なんですか?」

 すると柚紀も視線を落とした。

 「病気ではないのですが・・・、運命というか、宿命とでも・・・。」
 「それじゃ・・・。」
 「柚葉にも本当の女性としての悦びを味合わせてからと・・・。」
 「だけど・・・、柚葉ちゃんはこんな子供で・・・。」
 「あの中をご覧になりましたわね? 私は恭一さんの思いも及ばぬ程の淫乱なのです。柚葉も私の血を受け継ぐ子。こんな子供の姿でも・・・。ですが、柚葉の不躾をお許し下さい。」

 涙を拭った柚紀が厳しい顔で柚葉を叱責するのだった。

 「柚葉! それにしてもあなたは不作法です! あなたの気持ちが分からないでもないですが、それにしても下ごしらえもしないでお食事しようなどと。」
 「・・・?」

 恭一には柚紀の叱り具合が良く分からなかった。

 「だけど・・・、柚葉ちゃんみたいな小さな子に、こんな物を使わせても・・・いいんですか?」
 「ホホホ・・・、小さいとはいえ、柚葉は五百年以上の齢(よわい)を重ねておりまする。わらわもようやっと成仏出来まする。」
 「エッ?」

 部屋の中迄霧が満ちてきて、ロビーの様な広間が様相を変えた。広い神社の様な建物の中に、そして柚紀は最初に見た様な平安時代の女官の様な衣装になっていて、柚葉も長い衣装を纏っていた。

 「母様、とうとうお別れですね。」
 「柚葉、母と言の葉は通じずとも、常にそなたの側におりまする。私が逝く時、お前がこの世に本当の生を受けるのです。幸せになるのですよ。」
 「はい、母様!」

 恭一は金縛りにあった様に動けなかった。口も動かせず、悲鳴も音にはならなかった。

 「柚葉。お前の陰茎となる物です。自分の良き物とするのです。」
 「カハッ・・・!」

 悲鳴を上げられず、身動き出来ずに横たわっている恭一の股間に柚葉が手を触れると、ズボンやパンツが勝手に切り開かれたかの様に開き、縮み上がったペニスがこぼれ出た。

 「ああ、母上様、この様な物なりや?」
 「恭一殿、恐れずとも良い。とは言えど、幾星霜過ぎたりとは言え、陰茎の大きさ迄は変わらぬ様な。」

 柚紀は小さな注連縄(しめなわ)を恭一のペニスに回し、一心に祈り出す。

 (ワーッ、何! オチンチンが・・・aj

 催してはいないのに、ペニスが祈りに合わせて勃起し始めた。

 「母上様、良き形に・・・。」

 柚紀は大きく息をついて祈りをやめた。

 「この形にて宜しいか?」
 「否、我が物にはまだ小さきかと。されど、母様のなさる前に試みんと。」
 「如何にも。私にはいささか物足りぬ。柚葉、女の悦びを、僅かな時であれど、お楽しみあれ。」

 (ワーッ、やめろーーっ!)

 柚葉が長い衣装の裾をまくり上げた。それが何を意味するのかは見当がつく。そしてまくり上げられた裾の間から、少女の盛り上がりと割れ目がチラチラと見えていた。そしてその幼い割れ目から、既に液体が糸を引いているのが見えた。

 「ハワッ・・・。」

 ゆっくりとしゃがみ込んできた柚葉のその部分が恭一の亀頭に押し当てられた。

 「ウムッ!」

 柚葉は上を向いたまま口を開き、意を決して腰を下ろすのだった。

 「痛ッ! ・・・太し。」
 「柚葉、ぬしが張り型よりは細き物。抜き挿しを繰り返し、挿れよ。」

 柚葉は膣口で恭一の亀頭を撫で回していた。そして愛液を塗りたくると、両手で下腹部を引っ張り、膣口を広げる様にして亀頭に宛てがう。

 「カッ・・・。」

 声にならない悲鳴を上げた時、亀頭が暖かい圧迫を受けた。

 (ワーッ、入った? ダメだっ! こんな子供と・・・。)

 初めてのセックスなのだ。それが小学生の様な女の子であり、その母親に見られたままでの強姦の様なセックスなのだ。

 「ハアッ・・・、母様、張り型とは違いまする。」

 上気した柚葉はそのまま腰を上下し始めた。

 (こんなセックス、ダメッ・・・。アクッ・・・?)

 しかし恭一の意識とは別に、ペニスその物は切羽詰まった状態になっていた。柚葉の腰の上下運動が早く、激しくなってきて、まるで強い尿意を我慢している様な状態だったが、それもすぐに限界が来た。

 (ワーッ、来た・・・。ヒーーーッ・・・!)

 ビクビクッとした震えとともに、ペニスが弾けた。恭一には快感はなかった。ただ生理的に射精させられてしまっていたのだった。

 「はあ・・・、母様、我が体内にほとばしりが・・・。これも心地良き物・・・。」
 「恭一殿の精なり。お前の生となる物ゆえ、良く味わうが良い。」
 「これが精気なり、生気なりや?」
 「そして男の精じゃ。柚葉の気として受け止めよ。」
 「はい、母様。」

 陵辱のセックスにも関わらず、そして快感の無かった射精であるのに、恭一のペニスの勢いは全く落ちていない。それどころか、自分でも分かる程、激しい勢いだった。

 (やめてーっ!)

 恭一がひたすら嫌がっているのを柚紀は不思議そうに見ていた。

 「恭一殿? 女子嫌いなるや? わらわも以前、その様な男の子を見た事ありしが・・・。」

 柚紀は印を結ぶと、恭一の口の強ばりだけが解れた。

 「アッ、エッ? 喋れる?」

 口の自由になったのを確認出来、恭一は喉が張り裂けそうな程に叫んだ・・・つもりだった。しかしその悲鳴は音にはならなかった。

 「大きな声は出ませぬ。恭一殿との交合いは七七の四十九回にて満願と成りまする。そしてその後の・・・。その僅かの間だけがわらわ達との言の葉の交わりにございます。」
 「どうして、こんな・・・。」

 悲鳴でなければ喋れるのだった。しかし柚葉の腰の上下運動の激しさに再びペニスのほとばしりと同時の悲鳴はかき消されるのだった。



 「わらわ達は恭一殿にもお分かり頂けようが、この世のものにあらず。されど物の怪にもあらず。淫の魂、霊にて候。」
 「霊? ヒッ、幽霊?」

 恭一は幽霊とのセックスに驚き、恐怖でペニスも縮む程の恐怖・・・の筈なのだが、実際には二度の連続射精にも関わらず、相変わらず激しいたぎりだった。そして柚葉の中に放出してしまうのだった。



 「母様、陰茎は硬きままなれど、精に力が減っておりまする。」

 柚葉はゆっくりと立ち上がった。恭一のペニスは相変わらず勃起したままで股間にそそり立っている。

 「精気だけにあらず、生気を頂戴致しております。気を熟さねばなりませぬ。」

 柚紀は再び印を結び、恭一のペニスに向かって祈り始めるのだった。連続射精で疲労困憊の状態の恭一だったが、ペニスだけは疲労が無くなっていくのが実感出来る。

 「香住さん・・・、どうして・・・。」
 「ああ、母様。へのこが大きく成りまする。」
 「エッ・・・? アッ・・・。」

 身体は動かないが、目だけは動く。恭一にもペニスがグッと伸び上がるのが分かるのだった。そして泣き叫ぶ声は出せず、一心に祈る柚紀の前で、ペニスはまるで別の生き物の様に蠢きながら太く大きく成っていく。

 「ヒッ、ボクのオチンチン・・・、どうするつもり?」

 その言葉に柚葉は不思議そうに恭一を覗き込んだ。

 「異な事を? 恭一様、如何なる事に?」
 「だから・・・、ボクのオチンチンをどうするんだよ・・・。」
 「オチンチンとはへのこ、陰茎の事にや? この陰茎が恭一様の物との意に聞こえまするが?」
 「当たり前だ! ボクのオチンチンだよ!」
 「さて、分かりませぬ。この陰茎はわらわの物。母様も申した通り、わらわに良き形と為すのです。」

 柚紀がやっと祈りをやめた時、恭一の股間には想像を絶するペニスが突き勃っていた。長さは三十p以上で、その太さと亀頭の大きさは信じがたい代物だった。

 「これにて宜しかろう。」

 柚紀はホッとため息をついた。

 「ギヒーーッ!」

 恭一の悲鳴や罵声は音にならず、ただ巨大なペニスを僅かに揺らすだけだった。

 「母様、これで宜しき物や?」
 「この姿にて我の女陰に宜しき形。」
 「この陰茎、我に合う物や?」
 「汝の姿にはいささか大きいとは存じます。されど我が女陰であれば・・・。我が女陰を我と思い、生涯母とある事を・・・。」

 なぜか柚紀はペニスを見つめながら涙を溢れさせていた。そしてその姿に柚葉も同じ様に頬を拭うのだった。

 「母様・・・。」
 「柚葉、汝の新たな生の為です。五百有余年とは言え、虚ろなる歳月。短きとは言え実(じつ)の生。そしてそれが娘を思いし母の願い。」

 柚紀は立ち上がり、天に向かって祈りを捧げた。そして袴の様な長い衣服の帯を解き、そのスベッとした股間を晒けるのだった。

 「ムガーッ・・・。」

 全く毛の無いその肉の割れ目は、生気が感じられない。マネキンの様な肉丘なのだ。そして恭一にも自分の巨大にされてしまっているペニスが填まり込む大きさには感じられなかった。

「阿吽(あうん)・・・。」

 柚紀も割れ目を広げながら腰を屈めた。

 (ダメーッ、娘の見ている前で・・・。アウッ・・・、何?)

 とんでもないショックが恭一を襲うのだった。身体中がペニスに成ったかと思える程の衝撃が走り、意識としての理性が吹き飛んでしまうのだった。

 (ウォーーーッ! 何? オチンチンがーーーっ!)

 それは快感なのだが、あまりにも激しい快感は快感とはすぐには分からなかった。もし身体が自由であったら、おそらく恭一は柚紀を組み伏して自分からピストン運動をしていた。動かせない身体だが、それでも意識としてはひたすらペニスを突き込もうとしていた。

 「ハウッ・・・、良きかな・・・。」

 柚紀は涙を浮かべつつ腰を上下させていた。

 「母様・・・、如何?」
 「口惜しき事・・・。柚葉の為とはいえ、この様な交合いをずっと・・・。詮無き事。形が変われど、この陰茎と我が女陰の交合いはずっと続く。ハアッ・・・。」

 恭一の絶頂は柚紀をも導いた。

 「恭一殿、如何なりや?」

 恭一は息を荒くしていた。

 「お願い、香住さん、もうやめて下さい。ボクのオチンチンが・・・。」
 「はて、恭一殿の陰茎とな?」
 「母様。恭一様はまだ分かっておりませぬ。我が陰茎をまだ己の物と思ってござります。」
 「真に。我が体内の陰茎は既に柚葉の物にて、柚葉の新しき生の為の物。我が娘の体内には恭一殿の生気を、我には精気を満たす為の物。我が娘は淫の魂。我は淫の霊。我が淫霊は滅すとも、娘の淫魂に新たなる生を。」

 そう言いながら再び抜き挿しを始めると、恭一は喘ぎながらも高められてしまうのだった。



 (何度セックスさせられたろう・・・。柚葉ちゃんとは五回位だったけれど、お母さんとは・・・。もう、十回以上だ。どうしてこんなにオチンチンが元気なんだ? みっともなく勃ったままで。柚紀さんがお祈りをするとすぐに元気になってしまう。)

 仰向けに寝たままの恭一の股間で、柚紀は祈りを捧げていた。

 (こんなに長い事セックスさせられたままで・・・? アレッ? 霧が濃いけれど、まだ夜になっていない? 眠った気はしないけれど、もう、何日もセックスさせられ続けていた筈じゃ? 変だ。食事もしていない。)

 「柚葉ちゃん、ボクはいつ迄こんな事を?」
 「我が願いの成就迄。」
 「変だよ。もう、何日も経っている筈なのに・・・。」
 「歳月とは邯鄲の夢の如き物。永遠にありても一瞬であり、我が五百年の歳月も然り。」

 柚紀の祈りは長かった。それでも霧の中の社では時間が経っていない感じだった。そして恭一の見た感じでは変わらないのだが、ペニスの勢いはグッと増している。しかし、その分、生気というか体力は落ちてしまっているのだ。感覚としては、祈りの間はセックスされていないので、体力が戻るのだが、その体力が全てペニスに移動してしまう感じだった。

 「柚紀さん・・・、ボクのエネルギーは全部オチンチンに集まってしまうみたいで・・・。」
 「然り。我は霊なり。実の無き虚ろたる霊なり。虚ろなる我が肉体に恭一殿の生の気を集めん。然れどもあくまで我は虚ろなる霊。いかんせん生の気を保つ事叶わず。我が体内に集めし生の気は、一時ではあれ我が生の気たらん。我が生の気を後刻恭一殿に戻せば、そは我が生の気を恭一殿に与う事なり。虚ろなる我が気とて、千年の霊の気。我が気の全てを生の気とともに戻さん。我が娘は淫魂なり。魂とは実の気なり。我が娘は我より生ずるが、我が生の気の殆どを移した娘なり。実の気は実の肉に宿る。我は生の気を受くるが、柚葉は精の気を受くる。精の気、つまり男の気。」

 柚紀の遠くを見つめながら喋る言葉の意味は恭一には全く理解出来なかった。



 恭一の感覚は狂っているとしか思えなかった。

 (もう、何日このままなんだろう・・・。クーッ、お祈りされると、オチンチンが・・・。全然夜にならないけれど、ボクは何度もセックスさせられている。だけどおなかもすいていない。あれだけ精子を出しているし、汗も掻いているのに、喉も渇かない。)

 「柚葉、我が体内に生の気が満ちました。しかして、こは未だ恭一殿の生の気。我が体内にて我が気と為さねばならぬ。次は柚葉の番じゃ。精の気を受け入れよ。」
 「はい、母様。」
 「我が時には虚ろなる気に実の気を吸い上げた。汝は精の気を受け入れよ。既に恭一殿の生の気は僅かなれど、柚葉との交合いの間に少しは戻る。生の気増えれば肉体を動かせる。しかし精の気を搾り尽くさば、生の気あれど動けぬ。心して為せ。生の気を戻さば、しかる後、汝の精の気を戻さん。精の気少なしならば、いと易き事なり。」

 柚紀は顔を拭いながら霧の中に溶け込んでいった。

 「恭一様・・・。」

 柚葉はペニスをいとおしそうに撫でていた。

 「我が女陰は母様に比し、未熟に候らえど、心を込めて交合いを為させむと。」
 「ダメッ、柚葉ちゃん。これ以上セックスされたら、ボク、死んでしまう・・・。」
 「御懸念無用に存じまする。我が身体、虚ろに候らえば、我が念にて如何様にも変化為せまする。されば・・・。」

 股間を広げ、膣口が広がる様に両手で引っ張るのだが、巨根化されている恭一の亀頭はとても填まり込まない様に感じられた。健気さは感じるのだが、さすがに強姦のセックスをされている恭一には、少しは溜飲の下がる思いだった。

 「太し・・・。されど、やがては我が陰茎・・・。女としてある内に・・・。」

 柚葉は必死に恭一の巨根を股間に押し当てていた。

 「ハムッ・・・。」
 「エッ・・・?」

 填まり込む筈のない柚葉の膣口に、巨大な亀頭がめり込んでいく。

 「アワーッ・・・。」

 小柄な少女が少しずつ座り込んでいき、三十pもの巨根が柚葉の中に入り込んでいくのは驚異だった。

 「ハッ、クッ・・・、恭一様、我が女陰、母様程ではござりませぬが・・・、精一杯勤めさせて頂きまする。」

 そして柚葉は身体を上下させ始めた。柚紀の時と違い、小柄な少女は全身をバネの様に、まるで飛び跳ねる様に動くのだった。

 「アフッ・・・。」

 柚紀の膣の様に蠢く様な柔らかさはないが、幼い柚葉の思い詰めた様なひたむきさと真剣さにペニスが勝手に反応してしまうのだった。そして激しいほとばしりを突き込む時、柚葉はむせた様に咳込み、どう見ても喉元近い位置に存在する亀頭の周辺を軽く叩くのだった。

 「ハアッ・・・、精の気を感じまする。」
 「柚葉・・・ちゃん・・・。どうして・・・そんなに・・・?」
 恭一は柚葉とのセックスに快感を感じてしまった事に狼狽えていた。
 「恭一様。母様には及びませぬが、我が願い成就迄の間、宜しくお願い致します。」

 柚葉は恭一に馬乗りになったままで腰を蠢かせていた。



 「アハッ、ハフッ・・・пv

 柚葉はずっと腰を動かし続けている。恭一は諦めの気持ちと言うよりも、理性が無くなってしまっているのだが、柚葉とのセックスの間はただ快感に身を任せていた。それでも射精後の少しの間には不思議さを感じていた。

 (どうしてだろう・・・。柚紀さんもそうだったけれど、柚紀ちゃんも現実にセックスされている。ボクの感覚でも何十回となく射精しているし、何日もし続けている。だけどその間、一度も食事をしていないし、水だって・・・。何度か続けて射精してしまうと、凄く疲れるのに、眠った意識は無いのに、まるで目が覚めた様な気分の時にはオチンチンが元気になってる。これって現実なの?)

 「ハフッ・・・、恭一様・・・。如何なされました?」
 「フッ・・・、ボク、ずっと柚葉ちゃんとセックスしてるけど・・・、これって夢なの?」
 「夢・・・・。左様かも知れませぬ。虚ろなる霊としての我が母、虚ろなる魂の我と実としての恭一様との交合いは、恭一様には虚ろやも知れませぬ。されど我には実としての交合いにござります。」
 「ククッ・・・。」

 恭一の高まりの放出に、柚葉は仰け反って動きを止める。

 「ハーッ、少なくとも我には実の精の気を頂いております。我には短き女としての交合いにございまする。恭一様にてもその短き間、我の如き幼女の姿の者にはござりまするが、この様な交合いはここに居られる残り僅かな時だけにございます故、一生の思い出として頂きとうござりまする。」
 「短い間・・・って、いつ迄? そして一体柚葉ちゃん達は、幽霊なのに、どうしてこんなにセックスを?」

 柚葉は腰を揺すりながら少し真剣な表情になる。

 「恭一様には申し訳なき事ながら、我が虚の身体を実と為す為。惜しむらくは、母様は身体は実ならんと、心たるその霊は実たる恭一様には宿れず。」
 「分からないよ・・・。ボクをどうするつもり・・・、クフッ・・・。」



 恭一の意識としては柚葉には一週間以上の間、責め続けられていた。相変わらず霧の中で、全く動けずに騎乗位でセックスされていた。

 「柚葉・・・。」
 「ああ、母様。」

 柚紀が現れたのだ。

 「エッ・・・?」

 暫くぶりに見た柚紀は、霊とは思えない程の生気に溢れていた。以前は確かに美人であり、如何にも女性らしさを感じたのだが、目の前の柚紀はそれどころではなかった。その違いは柚葉も驚く程だった。

 「母様、そのお姿は?」
 「柚葉にも分かりますか? 恭一さんの生気は私の予想以上でした。千年の歳月では人をそれ程に変えるとは思いませんでした。しかし生気に関しては・・・。柚葉の為とはいえ、私の身体に保てないのが悔しい。だけど柚葉、私の中の生気は充分に練れました。あなたの悦びの為、母は頑張ります。」
 「母様・・・、お言葉が・・・。」
 「これも恭一さんの生気のせい。言葉だけではありませんよ。」

 そう言いながら柚紀は帯を解き、幾重にも重なっている着物を裸けた。

 「母様・・・それは?」

 柚葉は恭一に跨ったまま驚いて目を見開いた。

 「ワッ・・・av
 「これは恭一さんの趣味?」

 裸けた柚紀の胸にはとんでもない巨乳が突き出ていた。そしてウエストはキュッと締まり、ヒップはこんもりしている。胴は短く、まるで人形の様な身体だった。そして股間はツルッとしている。

 「母様、その様なお身体では・・・。」
 「案外宜しいかも。これだけ大きな乳房ですと、恭一さんにも宜しいかと・・・。それに柚葉も最初は・・・。恭一さんの理想の姿らしいですよ。ですから、これからもずっと喜んで頂けると思います。」

 微笑んでいた柚紀だが、やがて悲しそうな顔になった。そして柚葉も寂しそうに涙を浮かべながら立ち上がる。

 「柚葉、私はあなたと一緒に居ますよ。身体はずっと一緒ですが、心もきっと・・・。」
 「母様・・・。」
 「柚葉。これはあなたの実の魂の為です。今迄の年月は長いとはいえ、虚の年月。短いとはいえ実の魂で歳月を過ごせるのです。それに母との別れとはいえ、実の年月だけの別れ。そう考えれば、ほんの僅かの期間ですから、実の魂をしっかりお楽しみなさい。」
 「母様、分かりました。」

 恭一は二人の不思議な様子を怪訝そうに見つめていた。

 「香住さん・・・、一体何を?」
 「私は霊と申しました。僅かな実の魂は全て柚葉に与えました。そして恭一さんから実の生の気を頂きましたが、虚の私にはそれを保つ事も出来ません。私に出来るのは恭一さんの生の気を一時的に私の気と為す事だけです。私の中に留めおけない気は恭一さんに戻るのです。これから私は恭一さんと最後のセックスをします。恭一さんの生の気を受ければ、私から生の気は抜け出、私は滅します。恭一さん、柚葉の事を宜しくお願いします。」
 「ワーッ、何の事?」
 「母様・・・。」

 まるで極端にデフォルメされたマネキンの様な身体の柚紀が恭一を跨ぐ。そして大きくため息をつき、巨根を握り締め、自分の股間に押し付けた。恭一には今迄のセックスと何かが違うという事を感じさせる。

 「ヒーッ、ダメーッ、どうするの?」
 「ハクッ・・・。柚葉の魂は実の魂。実の魂は実の肉体に宿る。私の生気は虚の生気。虚の生気は虚の肉体に宿る。虚の肉体が存在しなければ、虚の肉体を作り上げる。クッ・・・、されど、恭一さんは実の肉体。虚の肉体でも、作り上げられれば恭一さんには実の肉体・・・。」
 「ワーッ、ヤダーーーッ・・・!」

 絶体絶命の恐ろしさを感じるセックスだった。そして柚紀が下腹部をぶつけ、パンパンと音を立てて下腹部を押し付ける。

 「ヒッ、アクッ! な・・・何?」

 激しい高まりが襲う。今迄、何度もさせられたセックスとはまるで違う快感だった。全身がペニスの様な衝撃だった。恐怖を伴う悦びは恭一には分からない事なのだが、男として最後の実のセックスなのだった。

 「アッ、アッ・・・、アハーーーッ!!」

 恭一は大きな悲鳴を上げた。感触としては今迄に出した事のない程の大量の精液を放出するのだった。

 失神こそしなかったが、それは肉体的な事であり、激しい快感の凄さまじさに精神は弾けていた。

 (今のセックス・・・、凄かった。これで柚紀さんとのセックスは終わりなの? こんなに凄いのに、少し残念。アレッ? まだ柚紀さん、動かしている。)

 精神分裂状態であっても、柚紀のセックスの状態が今迄とかなり違うという事は分かった。連続セックスによる疲労と、連続射精によるペニスの違和感を不思議に思うのだった。

 (ウッ・・・、今迄は柚紀さんはボクの上で上下に動いていたのに、今は・・・?)

 快感の余韻に浸っていた恭一だが、柚紀のセックスの動きが上下でなく、前後に動いている事に気が付いたのだ。

 (オチンチンが疲れているのに・・・。あれ? 疲れは無い。だけど少し痛みが・・・。オチンチンよりも中が少し痛い。中?)

 ハッと気が付くと、今迄のセックスとは全く感触が違っていた。

 「エッ・・・、何?」
 「ハッ、フッ・・・、恭一さん、気が付きました?」

 柚紀はかなり荒い息で、いかにも寸前という事が分かる。

 「な・・・何なの? 変だよ!」
 「アフッ・・・、私としても・・・虚ろとはいえ、初めてのセックス・・・。アクーーッ・・・!」

 柚紀は仰け反りながら下腹部を強く突き込むのだった。それと同時に恭一は激しいショックに襲われた。それは体内の在る筈のない空間に熱いほとばしりを感じたのだ。

 「ヒギャーーー!ッ」

 それでもまだ恭一はオカマを掘られ、アナルセックスで射精されたのかとも思った。しかし下腹部を緊張させ、肛門が絞られた時、違和感は肛門ではなかった。

 「ウワッ・・・、ワッ・・・、何ーーっ?」

 柚紀がゆっくりと身体を起こし、涙を振り払いながら恭一を見つめた。

 「これは虚ろのセックスです。私の体内の生の気を戻すには、やはりセックスでしかありません。精により生を運ぶのです。私の体内の生を精として恭一さんに戻すのですから、虚ろのセックスでしか戻せません。ですから、恭一さんのオチンチンを私に、私の膣を恭一さんに移し、私が男としてオチンチンから恭一さんに精を入れているのです。」
 「ヒーーーッ・・・!」

 恭一は悲鳴を上げた。

 「イヤーーッ! オチンチン、返せーーっ!」
 「これは虚ろのセックスです。この社も私も虚ろ。ですからこのセックスも虚ろ。ただ、精だけは実です。」

 そう言いながら柚紀はゆっくりと立ち上がった。

 「エッ?」

 恭一は動かない顔を出来るだけ下に向け、視線を股間に移した。すると立ち上がった柚紀の下腹部から自分のペニスが抜け出るのが見えた。相変わらず屹立しているペニスだが、自分の股間に見えた時はホッとして涙が溢れるのだった。

 「初めて男としてセックスをしました。以外と良いものですね。」
 「母様、良きものに候や?」

 柚葉は心配そうに柚紀を見つめていた。

 「女としてのセックスとは随分と異なります。確かに素晴らしい勢いですが、いかんせん疲れますね。私には女の方が宜しい。」
 「私には如何にござりましょう。」
 「柚葉は歳は重ねていてもまだ姿形は幼子。女のセックスの良さは分かりますまい。」
 「左様にござります。恭一様と交合い致しましたが、母様の様子から感じられる良さは得られませなんだ。」
 「そうでしょうね。女はここだけでなく、乳房も心地良きもの。いつ迄も心地良さが続きます。」
 「さすれば・・・、このへのこを得るだけでなく、乳房も・・・。」
 「柚葉、それは・・・。」

 柚紀は少し考え込んだ。

 「古(いにしえ)にてはいざ知らず、現世にては可なりかと・・・。我は我が娘の多幸を願うものなり。げに幸なるやと・・・。」
 「可なりや?」

 中世の母親としての柚紀の顔が再び美人に戻った。

 「分かりました。淫の魂としての柚葉であれば、当然の事でしたね。私の女の生は特に胸に集めましょうぞ。さすれば、我以上の乳と成りしが、へのこ更に強成るかな。然れば、柚葉に強きへのこたり。さして女の精残りぬ。宜しいか? 強きへのこ、常に勃ちたる様に。」
 「望外の望みなり。我は淫の魂也。実の肉を得たる後も、魂は淫也。淫の魂の望みはただひたすらの交合いと存知おり候。」
 「それでは恭一殿、再び始めましょうぞ。」
 「アアッ、何なの? 柚葉ちゃん、何を言っていたの? ボクをどうするつもり?」
 「もうお話ししても宜しいでしょうね。柚葉、あなたは精の気を練りなさい。私が生の気を施し終えた時、あなたの番なのですから。」
 「母様・・・。」
 
柚葉は寂しそうに頷いた。

 「私は入滅するのですが、柚葉次第で生まれ変われますよ。」
 「エッ? 真に?」
 「私は生の気を戻すのに、虚ろの霊も戻してみましょう。そうすれば、恭一殿の中に存在出来るかも知れませぬ。さすれば、柚葉の子として産まれいずる事も可能かと。」
 「是非に。私も頑張りまする。」

 柚葉は深くお辞儀をして出ていった。

 「恭一殿。私は柚葉の母として、柚葉を虚ろの魂のままにしておきたくはありません。本当の人間に生まれ変われるのです。そうであれば、私は母として柚葉を本当の人間にして上げたい。人間の寿命はせいぜい八十年。霊や魂としての歳月よりは遥かに短いのですが、それでも虚ろの長い歳月は無です。短くても意のある実は素晴らしいでしょう。私とて実の肉体を得たい。僅かな可能性はありますが、柚葉の様にはいかないでしょう。それでも私はその可能性に賭けたい。」
 「だからボクをどうしようと言うの? 分からないよ。これは現実なの?」
 「いいえ、現実ではありません。私は虚ろ。そしてこの社も虚ろ。ですからこのセックスも虚ろです。実は恭一殿の肉体だけです。それとて、私とのセックスはやはり虚ろです。」

 柚紀はニコニコしながら屹立しているペニスを摘みながら腰を宛てがうのだった。

 「ヒーッ・・・。」

 ベニスが柚紀の膣内に埋没すると同時に柚紀は身体を前後させ始めたのだ。

 「ワーッ、やっぱりダメーッ!」
 「アハッ、男のセックスも結構嬉しい。恭一さん、あなたには暫くの間、女のセックスを楽しんで貰います。私が入滅してからは柚葉とも。柚葉とのセックスはずっと長いものとなるでしょう。」
 「ハクッ、ヒーッ、これ・・・、何・・・?」

 二度目の女のセックスとなると、恭一は精神は別として、肉体的には激しい歓喜に渦巻いていた。金縛り状態で動けないのが悔しかった。体内の在る筈のない空間に太い肉棒を押し込まれ、肉襞をえぐられる快感に精神的には分裂症の様に成ってしまっていた。そして童貞だった恭一のセックステクでなく、淫霊に育てられたと言っても良い巨根を淫霊が操っていては、並みの快感では済む筈がないのだ。

 「ヒグーーーッ・・・。」

 柚紀の生気が熱いほとばしりとなり、更にある筈のないもっと深い空間に押し込まれると、恭一は痙攣しながら硬直してしまうのだった。そして柚紀のセックスはまだ終わらない。生気は恭一の身体に溶け込んでいき、アクメのままずっと高められたままで悶え続けるしかなかった。



 「恭一さん・・・。」
 「エッ・・・、アッ・・・?」

 柚紀はまだ恭一に填め込んだまま、巨乳で恭一の頬を撫でていた。

 「どうですか? いった気分は・・・。」
 「いった・・・? 今のが?」
 「女のセックスというのも素晴らしいでしょう。」
 「これが女のセックス・・・?」
 「そうですよ。とは言え、これはあくまでも虚ろのセックス。幻想のセックスにしか過ぎません。」
 「幻想・・・?」
 「そうです。恭一さんにとっては長い間セックスを続けていると思っているでしょうが、実の時間は経過していません。ここが虚ろの世界だからです。その証拠に、恭一さんは一度もお食事をしていないでしょう。それはこれが虚ろの世界だからです。」

 恭一はボーっとしていたが、それでもペニスを填め込まれている感覚はどう感じても実体験だった。

 「それにしても恭一さんの生の気は強い。私の虚ろの気を巻き込んであなたに戻っています。」
 「虚ろの気・・・? アッ、それはどういう事?」
 「もうすぐ分かりますよ。」
 「ハヒーーーッ!」

 柚紀がピストンを始めてしまうと、恭一は新たな快感に翻弄されてしまうのだった。



 「柚紀さん、お願い、やめて・・・。気持ち良過ぎて苦しい。」
 「オホホ・・・、気持ちはいいのですね? 私は霊ゆえ疲労は感じませんが、恭一さんは虚ろのセックスとはいえ、セックスの感触を得ているので、疲労を感じるのですよ。それでも射精をしている訳ではなく、私の生気が戻っているのですから、素晴らしいセックスでしょう。」
 「背中が痛いよ。それに柚紀さんがずっとのし掛かっているから、胸も痛い。」
 「恭一さん、私の女の生気を戻しているのですよ。」

 柚紀は恭一の服のボタンを外し始めた。

 「ヒエーーーッ?」

 裸けさせられた胸には明らかな乳房が存在するのだった。

 「私が生気を戻すのに虚ろのオチンチンと虚ろの膣が必要です。女のセックスは膣だけではありませんよ。乳房も素晴らしいという事を教えて上げますわ。私の女の生気を戻せば、恭一さんの胸に乳房が出来るのは当然です。」
 「オッパイ・・・? これも虚ろなの? 今だけの幻?」
 「ウフフ・・・。恭一さんの実の生気は私の中で女の気に練り直しました。私には虚ろの気でも、恭一さんには実の気。虚ろの乳房であっても、やがては実の気の実の乳房に成ります。」
 「実・・・? まさか・・・。」
 「そうです。恭一さんは小柄ですけれど、私の乳房と同じ乳房が出来ます。いいえ、恭一さんの生気はとても強い。弾けてしまうかと思える程に強い生気です。それを私の中で女の生気にしました。強い気は強い女の気になりました。ですから、私以上の乳房に成りますよ。」
 「ワーーーッ!」

 恐怖に叫んだ悲鳴だったが、柚紀のピストンと同時に喘ぎ声に変わってしまうのだった。



 「ハーッ・・・п@アッ、胸!」

 快感の余韻に浸っていた恭一が理性を取り戻した時、微笑んでいる柚紀の顔の手前にせり上がった肉の塊が存在していた。
 「まだまだ私の女の生気を戻さねばなりません。でも小さくても私の乳房ですから、かなり気持ち良くなると思いますよ。」

 柚紀は恭一の胸をゆっくりと揉み始めた。

 「ヒーーーッ、何ーーーっ?」

 虚ろの膣がギュッと窄まり、虚ろのペニスを強く締め上げた。

 「ワーーーッ・・・!」

 そのきつい状態で柚紀は再び腰を揺すり始めた。

 「ヒヤーーーッ!」

 胸にもペニスが存在する様な激しい刺激を感じ、いきなりのアクメへと突入してしまった。そして泡を吹きながらいつ迄も痙攣を続けていた。



 「ママ・・・。」

 朦朧とした意識の中、柚葉の寂しそうな声にフッと意識を取り戻した。

 「ママ、お兄さんのオッパイ、ママよりも大きく成っているわ。そしてママの生気も薄れている。もうお別れなの?」

 恭一の上で腰を動かしている柚葉は、確かに影が薄くなっていた。オーラも殆ど無く、本当に幽霊の様な存在だった。しかし恭一は柚紀よりも自分の胸にショックを受けていた。まるでバレーボールが二つ胸に乗っているのだ。

 「柚葉、暫くのお別れです。だけど私は悲しくはありませんよ。柚葉が本当の人間に成れるのですから。そしてひょっとすると今度はあなたの子供として産まれてくるかも知れません。待っていますよ。」
 「はい、ママ・・・。私、頑張ります。」

 母娘は互いに涙を流していたが、やがて柚紀は大きく息をし、最後の意を込めて腰を大きく動かす。

 「柚葉、『さようなら』とは言いません。母は産まれる事はなくとも、ずっとあなたと一緒です・・・。」
 「ウワッ、ヒーーッ!」

 柚紀の全身全霊を込めたペニスが突き挿さる。全身が快感に渦巻く中、激しい迸りが恭一に突き刺さるのだった。

 「ママ、母様ーーっ!」

 恭一は薄れる意識の中で柚葉の泣き声を聞いた。そして柚紀の姿が薄れるのだが、柚紀の霊を体内に感じていた。

 (ああ・・・、柚紀さんがボクの中に滲み込んでいく・・・?)



 「お兄ちゃん、恭一さん・・・。」

 柚葉が心配そうに恭一を覗き込んでいた。

 「アッ、柚葉ちゃん? ウワッ・・・、何? これ・・・。」
 セックスをしていないので理性が戻り、自分の胸に在る途轍もない巨乳に驚くのだった。しかしあまりにも現実離れしている乳房はむしろ非現実であり、虚ろのセックスの延長であり、目覚めれば無くなってしまう幻である筈だった。

 「ママは身体を恭一さんに残したの。そのオッパイや、これから私がお兄ちゃんとセックスをするけれど、お兄ちゃんの膣はママの膣なのよ。」

 そう言いながら柚葉は恭一に跨ってきた。かなりの巨根に成っている筈だが、巨大な肉塊に邪魔されて見えない。それでもその巨根を填め込もうとしている柚葉の腰の位置で見当は付いた。

 「ヒッ、きつい・・・。」

 柚葉の苦痛の声に恭一も声を発した。

 「ダメッ、柚葉ちゃん。柚葉ちゃんは子供なんだよ。無理だ!」

 しかし柚葉は必死の形相で填め込み、少しずつ腰の位置を下げるのだった。そして肉塊の向こうに顔だけが見える程の位置になった時、互いの下腹部が触れ合った。

 「お兄ちゃん、入ったよ。もう大丈夫。」

 そして柚葉が腰を動かし始めるのだが、それは上下運動ではなく、前後運動だった。そしてかなりきつかった筈の恭一の巨根と柚葉の幼い膣での交接ではなかった。

 「アワッ・・・、柚葉、ダメーーーッ!!」

 それは柚紀の時の女にされての時のセックスだった。柚葉が身体を支える為にしがみついている恭一の乳房からも激しい刺激を受け、一気にアクメに上り詰めるのだった。



 「お兄ちゃん?」
 「エッ? アッ、ボク・・・いっちゃってたの?」
 「どう? お兄ちゃんにはママの膣で、私にはお兄ちゃんのオチンチン。そして胸にはママのオッパイ。ママは霊だったけれど、私は魂なのよ。だからママの時よりも凄い筈なんだけど・・・。私も男のセックスを初めてしたけれど凄かったわ。女のセックスはまだ子供の身体だからそれ程分からなかったし、お兄ちゃんのオチンチンと私の膣では寸法が合わないのね。私にはこのセックスは凄くいい。」
 「ハフッ、ダメ・・・、柚葉ちゃん。これが幻のセックスでも、今のボクには本当のセックスだよ。自分が自分でなくなってしまう・・・。アハーッ! 動かないで・・・。ヒーーーッ!」

 柚葉は男としてのセックスで初めてセックスの良さを知った。魂といえども、子供がセックスの良さを知ってしまえば、夢中でその快感を得ようとしていた。



 「柚葉ちゃん、ダメッ、やめて・・・。このままだと、ボク、気が狂っちゃう・・。」
 「ハフッ、いいわ・・・。男のセックスって凄い。疲れるけれど、私の精気がお兄ちゃんに入っていくのが気持ちいいし、嬉しい。」
 「精気? 柚葉ちゃんの?」
 「そうよ。ママは生気をお兄ちゃんに戻してオッパイと膣にしたわ。ママも言っていたけれど、ママの生気は虚ろの生気。私の精気は実の魂だから実の精気よ。」
 「実の精気? どういう事?」
 「それにオチンチンをお兄ちゃんに戻したら、また填め込むのは大変。だから私が精気を送り切る迄はずっとこのままで。送り切っても・・・。」

 柚葉は汗を掻きながらペニスの抜き挿しを繰り返す。そして大きく突き込むと同時に恭一の膣内から、在る筈のない子宮がブワッと膨らむのだった。

 「アウッ! 柚葉ちゃんの精液がボクの中に?」
 「フーッ、そうよ。精気は精液とともにお兄ちゃん・・・、女なのにお兄ちゃんは変だけれど、とにかくお兄ちゃんに戻すのよ。」
 「精液を? 幻のセックスなんだろ? それなのにおなかが膨れる感じが・・・。おなかの場所じゃないけど。」
 「アハハ・・・、お兄ちゃんは今、女なのよ。私の出した精液は子宮を膨らませているのよ。」
 「グッ・・・、子宮? これも幻の子宮?」
 「そうよ。子宮は大きくしておかないとならないのよ。ママの生気でお兄ちゃんの卵巣には卵子が出来ているのよ。もうすぐ排卵される筈。その時が私が実の肉体を得られる時。」
 「エッ? 何? 柚葉ちゃん、今、何て言ったの?」
 「ハッフッ・・・、私が実の肉体を得るには、お兄ちゃんから産まれるしかないのよ。」
 「何? ボクから産まれる? それも・・・幻なの?」

 しかし柚葉は答えないでピストンを続ける。そして恭一も僅かに戻った理性が消えてしまい、アクメの喘ぎ声を上げるのだった。



 「ハウーーーッ、少し休ませて・・・。良過ぎてつらい・・・。」
 「ダメッ! こんないいセックス・・・。それに、このオチンチンはもう実のオチンチンよ。虚ろの私の身体で、オチンチンだけが実。殆ど精気はお兄ちゃんに戻したわ。膣も子宮も既に実。虚ろの私でも疲れるけれど、それは虚ろの疲れ。実に成ったら本当に疲れると思うわ。だから今の内に・・・。」
 「ハヒーーーッ! ボク、色情狂に成っちゃうよーーっ! ヒーッ、オマンコとオッパイだけだよーーっ! ハウーン・・・!」

 恭一は肉体的にも精神的にも色情狂状態だった。柚葉は数十回も連続しての射精をしていた。実の時間は進んでいないが、恭一の精神的な時間は連続して一週間以上もアクメで悶えさせられていた。柚葉は自分の中の精気を集めては射精として恭一に戻す。そして次の射精までの間もずっとピストンを続けて恭一を喘がせている。だから恭一に僅かな理性が戻るのはほんの僅かな時間で、ずっと絶頂のままに置かれていた。



 「ハーッ・・・、柚葉ちゃん?」

 柚葉がピストンをやめたのは初めてだった。そしてかろうじて開いた恭一の目に映るのは巨乳に乗り掛かっている柚葉の涙を浮かべた顔だった。

 (ハーッ、随分セックスされちゃった。お陰ですっかり膣が・・・。おなかが膨れているよ。柚葉ちゃんの幻の精液で、子宮がパンパンに張ってる。あんまりされ過ぎて、まるで塊に成っている。)

 「お兄ちゃん、分かる? 私のセックスもとうとうおしまい・・・。」
 「ウッ、エッ、おしまい?」
 「私はお兄ちゃんの子供として産まれるの。今の私の身体で実の部分はこのオチンチンだけ。そしてお兄ちゃんの子宮には実の赤ちゃんが宿っているわ。最後にオチンチンを元の向きに戻した時、この私のオチンチンが赤ちゃんの物になり、私の魂が赤ちゃんに宿るのよ。」
 「エッ? 柚葉ちゃん、何を言ってるの?」
 「見えない? お兄ちゃんのおなかは随分大きく成っているのよ。そして私を産んで貰うの。オッパイだって、もう赤ちゃんを産んでもいい様に、ミルクも出始めているのよ。」
 「まさか・・・。ボクが赤ちゃんを? ダメッ、幻でも赤ちゃんを産むなんて・・・。」
 「あら、ママとのセックスは幻で、私の身体も幻だけれど、このオチンチンは実よ。そして精液も実よ。時間は虚ろだったけれど、お兄ちゃんの身体は実なのよ。そしておなかの中の赤ちゃんも実。私の新しいママに成るお兄ちゃん、ママの時の様に『さようなら』は言わないわ。すぐに会えるのですもの。きっとお兄ちゃんのいい子になるわ。」
 「何? 何を言ってるの? ワーッ、柚葉ちゃん、答えてよ! ワハーーーッ!」

 柚葉は最後のピストンを始めた。念の込められたセックスは恭一を全身性器にしてしまう。

 (ヒーッ、凄い! 柚葉ちゃんのオチンチンがボクのオマンコをえぐる。ダメッ、ボクはどうなるの? ヒーーッ、いっちゃうーーーっ!!!)

 爆発にも似た衝撃が下半身を襲う。激しい突き上げとともに固い異物が体内に突き刺さるのだが、それはなぜか幸せを感じさせる違和感として身体全体に広がっていった。



 「ん? 柚葉ちゃん?」

 恍惚感で呆然としていた恭一は身体に柚葉の重さを感じない事を訝しがった。

 「エッ? 居ないの?」

 社はシーンとしていた。

 「アッ、動ける?」

 無意識に起き上がった恭一は金縛りが解けていた事に気が付くが、長い間寝かせられていたせいか、身体が思う様に動かない。身体全体が重く感じるのだった。しかし起き上がれた恭一はそのまま硬直してしまった。

 「な・・・何? この身体・・・?」

 起き上がってみると途轍もない巨乳が体のバランスを崩し、その大きさがハッキリ実感出来、しかも突き出した臨月の腹部を見る事が出来た。

 「ワーーーッ・・・!!!」

 恭一の悲鳴がシーンとした社に響く。そして目眩のせいか社全体が大きく歪んだ。

 「アアッ・・・。」

 霧が風に拭き流される様に晴れていくのだが、同時に社も吹き飛ばされる様に塵になって消えていく。

 「幻が消える?」

 そして明るい陽射しが恭一の裸けた身体に突き刺さる。

 「戻れたの・・・?」

 そこは恭一がハイキングをしていた軽井沢の道路だった。アスファルトの熱さが直に尻に伝わる。

 「アッ、戻れた・・・。エッ? 身体は・・・?」

 すっ裸の恭一は身体の前に重い肉塊が在り、そして苦しい程に大きく膨れている腹の為に立ち上がれない事に気が付いた。

 「身体・・・、戻ってない? ウソ・・・。まだ幻の中? 周りは・・・。ボクだけは・・・。エッ?」

 精神分裂症を起こしそうな程のショックに恭一は悲鳴を上げた。






 「ああ、この峠の先ね? 気を付けてね。」

 恭一はお辞儀をして再び歩き出した。愛は少し不思議な感覚を受けたのだが、それ程気にも留めずに車をスタートさせようとした。
 しかしその時、愛は激しい精神的ショックを受け、慌ててブレーキを踏んだが、後方で大きな悲鳴を聞いた。

 「エッ、何?」

 今、挨拶をしたばかりの恭一が路上に倒れているのに気付き、バックで戻る。

 「真島君・・・、エッav

 愛は目を疑った。たった今恭一が着ていた衣服やハイキング道具が散らばっている中に、途轍もない爆乳の若い妊婦が泣きながらしゃがんでいるのだった。そして膝の間から見える股間にはペニスが見え隠れしている。

 「あなた・・・?」
 「菊野さん? ボク・・・。」
 「どうして・・・? あなた、真島君?」
 「分からない・・・。ボク・・・、幽霊に・・・。」

 愛はそのただならぬ雰囲気に驚きながらも、慌てて恭一を抱え上げ、車の後部座席に乗せた。そして散乱している恭一の衣服類を拾い上げ、車を急発進させた。恭一は既に意識を無くしてしまっていた。




 「どうしたの愛、これは・・・?」
 「分からないのよ。振り返った途端、真島君がこんな風に。」
 「これが真島君? そうでなくても何なの? それにしてもこのおなか、臨月よ。股から出ているのはペニス? 張り型なの?」
 「それが・・・、オチンチンなのよ。偽物じゃないのよ。陰嚢は見えないけれど、ふたなりなの? ママ、どうしたらいいの?」

 愛の母親の菊野弥生は恭一の学校の若い女性理事である。
 恭一は女達の慌てふためく中、朦朧としたまま、そして呆然としたまま話を聞いていた。

 「だけど、どうしよう。」
 「何が何だか分からないけれど、とにかく出産は近そうよ。準備だけはしておかないと。」
 「準備って・・・。」
 「産着だって保育道具だって揃っていないのよ。それにこの若いお母さんにしたって、服は勿論、下着も無いじゃない。こんな小柄なのに凄いオッパイなのよ。私達の物では全然合わないわ。ブラジャーなんか全然ダメじゃない。」

 (産着・・・? 赤ちゃんの為の? 下着・・・? 若いお母さんって誰? ブラジャーって・・・? エッ、ボクに?)

 「イヤーーッ!!」

 恭一は悲鳴を上げて起き上がった。

 「アッ、気が付いた?」
 「菊野さん? ボクは・・・、ボクの身体、どうなってるの?」
 「落ち着いて。あなたは身重なのよ。落ち着きなさい。」
 「身重? ボクが?」

 恭一は震えながら愛にしがみついた。

 「ボクが産むの? ボクは女なの? アッ、オチンチンは?」
 震える手で恭一は見えない股間を真探った。大きく迫り出している腹に涙しながらも、股間に在る『物』に触れた時、ホッとするのだが、それでもすぐに驚愕に変わった。
 「変だよ! 菊野さん、ボクのオチンチン、在るよね?」
 「エッ? ああ、在るわよ。」
 「感じないんだよ。手では触った感じがするのに、オチンチンは触れた感じがしない。まるで、偽物のオチンチンが挿し込まれているみたいで・・・。」
 「エエッ?」

 恭一はペニスを掴んで引っ張ってみた。

 「やっぱり感じないよ。ボクの身体の中にずっと深く入っているみたいだけど・・・。」
 「どうしてか分からないけれど、身体が大きく変化したからじゃないの? それよりも先に診察よ。ママ、お願い。」
 「分かったわ。ある程度は私が診察しますが、愛は佐渡先生を呼んで。」
 「はい。」

 愛は急いで部屋を出ていく。そして弥生は白衣に着替え、聴診器と医療鞄を持ってきた。恭一をベッドに横にし、診察を始めるのだった。

 「落ち着いてね。今のあなたの身体は大変な状態なのよ。それは分かっていますね?」
 「はい、先生。だけどボクはどうなるの?」
 「今、分かっているのは、あなたが妊娠していて、既に臨月。もうすぐ赤ちゃんが産まれるという事ね。」
 「赤ちゃん? まさか・・・柚葉ちゃんが?」
 「静かに! 胎内音を聞きますから。」

 弥生は聴診器を恭一の腹に当てた。そして掌であちこち撫でていた。

 「確かに間もなく産まれそうだけれど・・・。」

 弥生は顔をしかめながら、慎重に音を聞いていた。

 「赤ちゃんの姿勢が不自然ね。それにペニスだけれど、真島君の鼓動ではないわ。赤ちゃんの鼓動に同期しています。」
 「エッ?」
 「このペニス、真島君の血液が流れていないのよ。不思議なんだけれど、おなかの中の赤ちゃんに繋がっているのよ。こんなに大きなペニスなのに、赤ちゃんのペニスが突き出ているのよ。」
 「そんな・・・。アタッ!」

 恭一は身体の中に鈍痛を感じた。

 「痛い? もう?」
 「アウッ、おなかが・・・、これ・・・、赤ちゃん?」
 「ワーッ、大変。陣痛ね? 愛ーーっ! 急いでっ!」

 愛は慌ててお湯を張った大きなたらいを運んできた。

 「もう? 佐渡先生はまだよ。」
 「タオルを。シーツでもいいわ。」

 母娘はバタバタと動いていたが、やがて恭一は耐えられない痛みに悲鳴を上げた。

 「アッ、ママ。破水が始まったわよ。エッ? 破水? 赤ちゃんはどこから出るの? 帝王切開しないと・・・。」
 「愛、落ち着いて。信じなくてもいいわ。このペニスは赤ちゃんなのよ。引っ張って。」
 「エエッ? ペニスを引っ張る?」
 「そうよ。不自然な体勢の、一種の逆子よ。ペニスをひっこ抜くつもりで。」
 「ワーッ、先生! ダメーッ!オチンチン取っちゃうなんて!」

 しかし激しい陣痛に苦しんでいる恭一にはペニスを掴まれている感覚はない。

 「ダメーッ、ボクは男だよーっ! 赤ちゃんなんか、産みたくないっ!」
 そして激しい陣痛に身を捩るのだが、菊野母娘がしっかりと身体を押さえ付けていた。
 「産みたくないーーっ!」
 「大きく息んで!」

 それは出産を促進させるのだが、それで陣痛の痛みも少しは軽減する。弥生の手の動きに合わせて恭一は大きく息をする。

 「菊野理事!」

 バタバタと校医の佐渡が駆け込んできた。

 「アウーーーッ!」
 「佐渡先生、手伝って下さい。話は後。産まれます!」

 佐渡も慌てて出産の手伝いをする。愛と交代し、驚きながらもペニスを引っ張っている弥生の助手をする。

 「エエッ? これは・・・?」

 恭一の大きな悲鳴が上がった。産道が大きく拡がり、巨根にくっ付いて胎児が引き出されるのだった。女性達も驚きはするのだが、それ以前に医者なのだった。すぐに臍の緒を切って処置をし、弥生が新生児を産湯に浸けている間、佐渡は後産の処置をするのだった。



 恭一は肩で息をしていた。極端な便秘の時に、大きな固い排便を済ませた様な充実感があったが、下腹部の痺れがまだ不快だった。そして耳元に『オギャー』と泣き声が聞こえると、その痺れて脱力していた膣口が強く収縮し、そして同時に乳房の張りを感じるのだった。

 「エッ・・・? 赤ちゃん? ボクが産んだの?」

 産湯に浸けていた愛がタオルでくるんでいた。

 「そうよ。可愛い男の子よ。一応・・・。」

 愛の言葉に不安が走った。

 「エッ? 何なの? どうしたの?」

 弥生も恭一を覗き込んだ。

 「大丈夫よ。ただ、少し変わった赤ちゃんだけれど、これも不思議なお産のせいかしら?」
 「見せて! ボクの赤ちゃん!」

 弥生達は恭一の必死な形相に少し驚いていたが、それでも微笑みながら赤ん坊を恭一に見せた。まだ新生児で、少しシワシワしているが、それでもハッキリと柚葉の面影があった。

 「柚葉ちゃん・・・。」
 「ユズハ・・・? この赤ちゃんの名前を決めてあったの?」

 恭一は無意識だったが既に母親だった。泣いている柚葉を抱いて、巨乳を宛てがうのだった。赤ん坊は乳首に吸い付き、必死にオッパイを吸うのだった。

 「可愛い・・・。柚葉ちゃん・・・。」

 涙が流れている恭一に弥生が話し掛けた。

 「真島君、あなた、赤ちゃんを産むのが嫌だったのではないの?」
 「エッ? ああ、そうでした・・・。だけど・・・、泣き声を聞いたら・・・。そしてお乳を与えたら・・・。」
 「そうよね。それは母親として自然の感情だわ。」
 「本当に可愛い。アッ、先生、柚葉ちゃんに何か異常でも?」
 「異常と言うか・・・。男の子なんだけれど、その男の部分が大人以上なのよ。そして男の子なのに胸も・・・。」

 恭一は驚いて柚葉を包んであるタオルを開いた。

 「ヘッ・・?・」

 必死で乳首を喰わえている赤ん坊の股間からは身体の大きさと同じ程の、凄さまじい巨根が突き上げているのだった。長さが三十pもある完全脱茎なのだ。そしてそのペニスを挟む様に、ハッキリとした乳房が在るのだった。

 「アアーッ! このオチンチンはボクの?」

 慌てて自分の股間を真探り、そして柚葉のペニスに触れる。そして涙を流すのだが、それでも優しい顔でそのペニスを撫でるのだった。

 「ボクのオチンチン、柚葉ちゃんが・・・。そう言えばそんな事言ってたんだ・・・。柚葉ちゃん、その内、返して貰うからね。」

 やがておなか一杯になったらしい柚葉にゲップをさせ、頬摺りをしようとするのだが、巨乳が邪魔になるのだった。そんな仕草を微笑んでみていた弥生達は柚葉を産着にくるむ手伝いをしながら恭一に尋ねた。

 「真島君よね? 私も知っているけれど、一体どうしたの? 愛の話だと、一瞬でそんな身体に成り、いきなりの出産なんて・・・。それにその赤ちゃんのペニスが真島君のペニスってどういう事?」
 「ボクにも信じられないけれど、淫霊と淫魂が・・・。」







 「真島君、起きられますか?」

 赤ん坊に乳房を喰わえさせながら添い寝している恭一に弥生が話し掛けた。

 「ええ、大丈夫です。柚葉ちゃんも眠っているから。」
 「それでしたら、あなたの下着と服を用意しましたから、着替えて下さい。いつ迄もシーツにくるまっている訳にはいかないですからね。」
 「下着・・・服?」
 「それだけ大きな乳房だと、動くのも大変でしょう。授乳の必要がありますから、乳房を支えるだけの物ですけれど。」
 「それ・・・、ブラジャーですか?」
 「そうですよ。女の姿は嫌でしょうけれど、真島君は柚葉ちゃんの母親なんですよ。」
 恭一はフーッとため息を付いた。
 「そうですよね。ボクがいくら男だって言ったって、こんな大きなオッパイで、オチンチンは柚葉ちゃんに持っていかれていて、オマンコになってる。そして柚葉ちゃんを産んだのだから、どう考えても女です。そしてお母さんなんですよね。赤ちゃんを産まされると知った時には死ぬ程つらかったけれど、産まれてみたら、とても可愛い。少し変わった子だけれど、確かにボクの子供です。お母さんとして可愛がって育てます。」
 「そう。やはり母親は母親なのね。だけどね、真島君、私には少し人と違う能力があるのよ。スケベな事、つまりセックスに関する事にはかなりの予知能力が働くの。」
 「予知・・・ですか?」
 「あなた達はとても幸せになれるわよ。」

 恭一はニッコリ微笑んだ。それは恭一への弥生の慰めだろうと思った。

 「ううん、そういう意味ではないのよ。柚葉ちゃんは可愛い赤ちゃんですけれど、凄く霊気が強いの。魂が濃いと言った方がいいのかしら? オーラも凄く強いわ。だから凄く成長が早いのよ。そしてあなたの子供ですけれど、もう一人のあなたの子供の父親にも成るのよ。」
 「エッ?」
 「私には真島君の中にもう一人の霊を感じるのよ。それも柚葉ちゃんの母親の様な・・・。」
 「エッ? 分かるんですか? そう言えば、そんな事を・・・。だけど、どうして?」
 「それが私の能力なのよ。話を今に戻しましょうね。柚葉ちゃんは少し変わった子なのは分かりますね?」
 「ええ。ボクに精気を戻すのにボクのオチンチンを使って、そのまま持っていってしまったけれど、随分大きいですよね。ボクのオチンチンだったけれど、それは柚紀さんとのセックスで大きくされたんです。そのままの大きさだから、赤ちゃんなのに大人以上のオチンチンで・・・。それなのに胸にはオッパイが。」
 「そうなのですよ。ペニスは完全に大人、それ以上ですね。だから間もなく真島君の産道が元に戻れば、柚葉ちゃんは真島君とのセックスをしますよ。」
 「エッ、柚葉ちゃんが?」
 「あのペニスはずっと真島君とセックスしていた筈よね? それも相当に能力を高められたままで柚葉ちゃんに移ったのでしょう? だったら柚葉ちゃんの意思に関係なく、あのペニスはセックスしないではいられないわ。そして真島君の膣もあのペニスでのセックスをしないではいられない筈よ。柚葉ちゃんは淫魂だと言っていたでしょう。セックスの為に存在する魂なのですよ。」
 「ボクは・・・、自分の産んだ子とセックスを? そこ迄淫らな・・・。」
 「あら、それは少し違うわね。淫魂の柚葉ちゃんは真島君とセックスする為に、真島君の夫と成る為に真島君から産まれ出たのよ。そして多分柚葉ちゃんのお母さんをこの世に産み出す為に真島君の夫に成るのよ。」
 「それが・・・淫霊で淫魂なんですか?」
 「どうですか? そこ迄分かっても柚葉ちゃんは可愛い?」
 「ええ。霊でも魂でも柚葉はボクの子供です。可愛い子です。だから柚葉がボクとセックスする運命なら、ボクもそうします。それにあの幻の社でのセックスは、今思えば凄かった。男だった時のセックスも、柚紀さんのオチンチンを大きくされてからはもの凄かったけれど、それでも女としてのセックスはもっと素晴らしかった。同じ子供を持つにしても、父親としてよりも母親としての方が本当に可愛い。その可愛い柚葉ちゃんとセックス出来るなら・・・。」
 「ウフフ・・・、それはあなたの中の淫霊の影響かも知れないわね。だけどさっきも言いました様に、あなた達はとても幸せになれるわ。私の言った事に間違いがなければ、確実に幸せになれるわ。」

 恭一は涙を流しながら柚葉に頬摺りをしていた。

「まだ幻の中に居るみたい・・・。ううん、何だか、男だった時の方が今となっては幻だった様にさえ感じる。お乳を上げている事がすごく幸せ。この幸せな感じは幻なんかじゃないわ。」
 「そうよ。幸福を実感として感じられるでしょう? 今はゆっくりとお休みなさいね。さあ、私達はいろいろな事務処理があるのよ。愛、手伝って。」

 女性たちは恭一の出産に関する事後処理に少し頭を痛めながら部屋を出て行った。しかし恭一はいつ迄も溢れ続けている至福の渦に身を任せているのだった。



・・・・・完・・・・・




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