「ま、仕方ないっすけどね。」

 ロジャーがインカムで通話しながら入ってきた。

 「そりゃ、経験はありますよ。火星基地では当然の事だったし、ショコたんを買う前は・・・。まったく、何でこんな事に・・・。はいはい、俺の責任ですから、俺がしなくちゃならないってのは分かるし、この船では俺しかできないし・・・。」

 ブツブツ文句を言いながら、拘束されているショウに近付く。

 「坊主のせいで、面倒な事を・・・。」

 そして下腹部を覗き込む。

 「フン、尻の穴は少しは拡がっているな。どうせなら・・・、ま、しょうがないか。」

 すっかり消耗しているショウは既に自暴自棄の気分で、抵抗の意志は無くなっていた。虚ろに開いた目にロジャーがベルトを緩めている姿を見た時、一気に現実に引き戻された。

 「ムァ・・・、ラマゥアーーーッ!!」

 下半身を裸けたロジャーの姿は、何をしようとしているのかが理解できた。全く身動きができず、動けば動く程拘束がきつくなるとは分かっていても、ショウはもがき続けた。拘束ベルトがパチッパチッと音を立て、足が更に後方へと引っ張られ、股関節が外れそうな痛みが走る。それでも肛門に何かヌルッとした物を塗り付けられ、その後の事を予想できるショウとしては、ただ叫び、ただもがくしかなかった。

 そしてロジャーが息を止め、肛門に生暖かい異物が押し宛がわれた時、ショウの身体は硬直した。そして肛門と直腸以外の感覚は全く無くなっていた。

 (ワーーーッ!! 入った・・・!!)

 肛門拡張具で拡げられている為に息もうとしても思った程に力が込められない。そしてかなり太いと感じられる異物が直腸へと進入してくる。挿入前に入れられたジェリーが摩擦を減らしていた。

 「オホッ、いい顔するなあ。アナルセックスなんてな久し振りだが、結構いいな。本当は小便をするつもりだったんだが、まず、一発出しちまうぜ。」

 いきなり、グイッと押し込まれると、肛門拡張具で少しは拡げられ、屈曲部が減ってはいるものの、曲がっているS字結腸迄ペニスが突き込まれた。体内の鈍痛に喘ぎ続けるのだが、すぐにロジャーは抜き差しを始めた。苦痛はあるのだが、それ以上に精神的な苦痛の方が遙かに大きかった。

 (痛い! ダメッ!! やめてーーっ!!)

 「アフッ。こういう・・・強姦みたいなのってのも・・・かなり・・・。オウッ!!」

 何度かの抜き挿しでロジャーの下腹部が激しく突き当たった。亀頭が大腸に迄届きそうな程に突き込まれた途端、ショウにもそのペニスからの勢いのある迸りを感じられた。

 (ああ・・・。流れ込んでくる・・・。イヤだーーーっ!! 抜いてくれーーっ!!)

 ロジャーのペニスの動悸が感じられる。そしてそれに合わせるように、まだ残っている精液がトクットクッと大腸内へと流れ込んできていた。拡張具の先端の弁は外からの侵入物にはほとんど抵抗無く開いて、ロジャーの迸りは全てショウの体内に送り込まれた。

 「さて、俺の仕事をしないとな。少なくともお前がこの船に乗っていられる間は、俺のトイレだからな。ウーン、さすがにこんな形での小便はした事がないから、何か難しいな。」

 (エッ? トイレ? 小便って・・・、まさか・・・。)

 ロジャーは少し息んだ。そして再び大腸に生暖かい液体を感じた。

 「ヴァラーーーッ・・・!!」

 最初は僅かだったが、すぐに大量の液体が流れ込んできた。腹がゴホゴホッと音を立て、大腸を逆流する。ショウは仰け反るように暴れるのだが、それは更に拘束ベルトを締め上げる形になり、苦痛の悲鳴を上げるしかなかった。



 シーンとしたキャビンの中で、ショウの嗚咽だけが響いている。アナルセックスをされたというショックと、下痢気味になっているのに、どんなに息んでも排泄されない苦しさの声だった。

 (お願い・・・。外して・・・。ウーッ、お尻の穴は拡がっている筈なのに、どうして出せないんだ? おなかの中にはロジャーさんの精液がオシッコと一緒に入れられたまま・・・。)

 腸内ガスもゴロゴロと音を立てていて、空腹にも関わらず、不快な膨満感に襲われていた。


 肉体的にも精神的にも苛まされているショウとしては、ひたすら現実逃避をするしなかった。その為には眠りに陥る事が一番楽な方法だった。そして疲労の激しさとも相まって、深い眠りに落ちるのだった。



 どんなに長い睡眠を取ったとしても、回復しない疲労の中、虚ろな状態でメイ達の声が聞こえていた。それでも目を覚まそうという意識は出てこない。逃れられない罠の中で、抵抗は無意味な事であり、むしろ悪い結果を招く事になる。そして為すがままにしかならないという事も分かり切っていた。

 「ま、悪くはないっすけど、いまいちですね。俺もそんなに何度もって訳じゃないっすけど、一応ある程度のプロと比べると、やっぱり入り口がかなりきついっすよ。」
 「それは仕方ないでしょう。本格的な肛門拡張をしなければ、そういうアナルにはならないですからね。」
 「でも、俺のトイレとして月に着く迄は使わなくちゃならないんすからね。」
 「ええ。どうせなら使い易いように作り替えますよ。胸にしたって、少しでもロジャーさんの趣味に合わせてますし、これから顔や髪型もいじります。この邪魔なペニスにしたって、もう少し精子の採取が済んだら、ホルモン処置で小さくします。不可逆改造はダメって言われてるので、切除はできませんけど、強い女性ホルモンは使用可ですから。」
 「整形するんすか?」
 「顔次第で、使いやすさも変わるでしょう。どうせだったら、ショコたんに似せた感じにすれば、もっと使い心地も良くなると思いますよ。」
 「ウーン、それも善し悪しっすよ。折角直して貰っているのに、使おうとして、その時にこの坊主を思い浮かべたりしたら、萎えますよ。」
 「あら、さっきは萎えていなかった様ですけど。」

 ロジャーは頭を掻いていた。

 「まあ、完全に似せる為には相当時間が掛かりますけれど、簡易整形ですから。セックスアンドロイドの標準仕様の顔ならいくつか積んでます。それを被せて処理すればすぐですよ。ロジャーさんのお人形はショートヘアでしたけれど、あの顔に似た部品だと縦ロールの髪型ですね。ナノカーボンのヘアなので、この船では理髪できません。何とか月迄移送できたなら、そこで処置は可能ですけれど。」
 「別に気にしないでいいっすよ。そうなったにしても、それ迄は俺のトイレなんすから。」
 「ただ、ちょっとだけ問題があるんですよ。」
 「問題?」
 「ええ。豊胸手術とか、簡易とは言え整形手術となると当然本人の同意が必要ですし、その承諾の証明が不可欠です。まさか同意する筈はないですからね。」
 「だって、もう始めちゃってるじゃないすか。」
 「だから、同意が得られなければ外に放出。得られれば、少なくとも月迄への移送は可能。ただ、入出星管理局でどういう処分が下されるかは不明ですが。」

 ショウの脇でメイが細かい道具を動かしている音が聞こえる。

 (女みたいにされてしまうのか・・・。そして、月に着く前に真空中へ放り出されて破裂して死ぬ・・・。ボクの人生って何だったのだろう・・・。生まれ変わる事があるなら、今度はきちんとした人生で月や火星に行ってみたいな・・・。)

 「ウワッ! そんな物迄使っちゃうんすか?」
 「短時間で整形するにはこれが一番いいでしょう?」
 「だって、それ・・・。ニューロセクサロイドの顔じゃないっすか・・・。」
 「合成タンパク表皮のアンドロイドはとんでもなく高価ですし、メンテも大変ですけれど、やはり肌触りは最高ですからね。まあ、整形で使う事はあまりありませんが。この程度の整形でしたら、普通の整形処置の方が早くて安上がりですし、いかにもダッチワイフ用のアンドロイド風の顔ですから。」
 「それもそうっすけど、値段が・・・。」
 「この船には手術設備が無いですし、浸潤が済む迄は表情筋が動かせないのは好都合ですよ。」

 (ヒーーッ!! そんな・・・。)

 メイの手にしているマスクはまるで生きている女性の生首の様にリアルだった。しかも、ショウも写真で見た事のある、最高級のセクサロイドと呼ばれるセックス用のアンドロイドの顔だった。濃いめの化粧が施されていて、長い睫にピンクにプックリとした唇。ブロンドの縦ロールの巻き髪はいかにもセクサロイドと呼ばれるにふさわしい顔立ちだった。

 「はい。ちょっと眠っていてね。染み込む時にはかなりの苦痛を伴うでしょうし、顔を動かされるとピッタリとは合わないですからね。目が覚めた時は坊やはこの顔になっているのよ。」

 「ムァガガガーーーーッ!!!」
 (イヤだーーっ!! やめてくれ! アウッ・・・。)

 シューッと音がし、鼻先にスプレーを吹き付けられた。悲鳴を上げた為、大きく息を吸い込んだ途端、ショウは意識を失ってしまうのだった。



 (ウッ・・・? イテテ・・・。)

 永い眠りから覚めたショウだったが、体力、気力とも回復はしていなかった。強い拘束で骨がきしむ痛みはそのままだし、顔や頭はチクチクした痛みがある。

 (痛い・・・。アッ、ボクは・・・。ウッ、目が開かない・・・。)

 「カフッ・・・。」
 (口には何も入れられていないけど、うまく開かない・・・。顔に何か・・・。あ、あの女顔のマスクを被せられてるのか? 貼り付けられたのか? ウッ、ボクは・・・どうされたんだ?)

 「アゥーーーッ・・・。」

 自由にならない声だったが、それでもショウの目覚めを乗組員達に伝える事はできた。



 「ちょっと麻酔が早く切れたわね。」
 「ダメなんすか?」
 「整形処置としては完了よ。まだ浸潤が完全ではないので、特にまぶたの様な薄い筋肉は動かしにくい筈なの。人造毛のマツゲにしてもまだ落ち着いていないでしょうからね。」
 「でも、いいっすよね。チンチン以外は完全にセクサロイドですから。」
 「そうでしょう? トイレとしては凄く使い易いと思いますが。」
 「勿論っすけど、やっぱ、胸もあって顔がこうだと俺自身やり過ぎかなって思う程搾り出されてますよ。」

 「アワゥ・・・、ハワワ・・・。」

 「キョロキョロしてるわね。ああ、自分がどうなっているのかを知りたいのね。まだ自力では目が開けられないでしょうから、ちょっと開いて上げるわ。ロジャーさん、この坊やを鏡の方へ向けて。」
 「あいよ。」

 メイの指がショウのまぶたに触れる。マツゲを引っ張る様にしながらまぶたが開かれるが、涙が溢れ出ていて、視界が呆けていた。


 そして少しずつ視力が回復してきた。焦点が合い始めた時、まだショウには目の前に映し出されている姿は鏡とは思えなかった。何かの猥褻画像を映し出しているモニターとしか見えなかったのだ。

 (アウッ・・・? その裸の女の人? エッ・・・?)

 ショウ自身と同じ格好に拘束されていて、剥き出しの乳房の長い髪が揺れているセクサロイド顔の少女の股間にはショウが責め付けられている器具がペニスを搾り上げている。

 「ムァラ・・・!!」

 鏡に映っている姿が自分自身であると気付いた時、動かしにくい口が大きく開いて悲鳴が響いた。そしてまぶたも開かれた以上に大きく拡がり、身体中から脂汗が噴き出すのだった。

 ジッとその姿を見詰めていたショウは鏡の縁が上下にゆっくりと動いている事に気付いた。そして拘束椅子に固定されていないし、ロジャーに支えられている訳ではないのにキャビンの床近くの位置で遊泳していない事にも気付いた。

 (ウッ・・・。ボクの尻に何かはまってる。円柱の台に棒が付いていて、それがボクの尻に差し込まれているのか? アッ、磁力か何かの力でボクの身体が上下に動かされている。)

 ショウが鏡の中と、自分の下半身を覗こうとしている様子に気付いたロジャーが話し掛けた。

 「そいつぁ、本来は肛門拡張機なんだそうな。太くなったり形を変えたりするんだけど、無重力状態では尻の方を上下動させればピストンバイブになる代物だ。何しろ、坊主は月に着く迄の俺のトイレだからな。摩擦軽減のジェリーをいちいち塗り付けるのは面倒だし、アナルセックスをするにしても今のお前の尻だと思いっ切り突っ込めないからな。」
 「それもありますけれど、大人しく言う事を聞く様にして貰う躾の道具でもあるのですよ。」

 メイはロジャーに目配せをして、話を合わせるようにとの意思表示をした。

 「ショウさんは小柄ですから、ロジャーさんのペニスを充分に受け入れられる程の肛門拡張にはかなりの時間が掛かります。勿論私としては効率良く仕上げますけれど。それでも折角拡がった頃にはすぐに月に到着って事になるかも知れません。アナルセックスやエネマ浣腸はして頂きますが、それでも普段はその拡張機でずっと訓練をして頂かないとね。訓練中にはお尻に入れられませんから、その時は可愛らしくして上げたそのお口でして貰います。」

 (ヒーッ!! 口で? それって・・・。)

 「そうよ。フェラチオをして貰うの。麻酔が掛かっている間に何度もしゃぶって貰っていましたし、実際にロジャーさんの精液も飲んで貰っていました。潜在意識としては容認できるにしても、やはり男としてのこだわりでは拒否したいでしょうね。どんなに女性みたいな身体や顔にされたとしても、素直にという訳にはいきませんもの。ですからその肛門拡張機で限度一杯、あるいは限度以上に拡げてロジャーさんの物を受け入れるか、それに耐えられないと言うのであればお口で飲んで頂くのです。もう既に何度も飲んでしまっているのですから、今更嫌がっても仕方のない事なのですけれどね。」

 「イヤーーーーッ!!!・・・・。」

 動かしにくい顔面筋も、必死の叫びで動かされた。

 「それでも、ただの脅しだと思われては、この器具の恐ろしさを知らずに肛門括約筋の断裂、そして下手をするとそのまま出血死なんて事になりかねませんから、その働きをじっくり見ておいて下さいね。」

 ロジャーはショウを掴み、ズルッと引き抜いた。そして自分の前に下ろし、肛門拡張機のディルドーをショウに見せ付ける。
 円柱台の真ん中に太さ3センチ程度の棒がつき立っている。

 「太さを変える事は勿論ですけれど、ピストンバイブとして肛門拡張するにはこういう形にもできるのよ。」

 小さなリモコンを操作すると、そのディルドーはクネクネ蠢きながら、かなりリアルなペニスの形になった。そして更に操作すると、串団子の様に球体の繋がった形にもなる。バイブレーターの様に細かい振動をしたり、団子が自在に上下に動いたりもする。

 「この形にして動かして上げれば、気持ち良く肛門を拡げる事ができるわね。だけど躾としてはあなたの気持ち良さなんかは関係ないわ。こんな形にされない様に素直にしていた方がいいわよ。」

 メイは笑顔から一転、目をつり上げた。

 そしてディルドーは先端の丸みを残したまま、少しずつ太さを増していく。

 (ワッ、5センチ・・・? ウッ、もっと太く?)

 再びショウの悲鳴が響いた時には太さが10センチを超えていた。

 「実際にはこんなに拡張はできません。ここ迄太くなったら、尾てい骨自体が破壊されてしまうわ。まあ、あなたがそれを選ぶ事も可能ですからね。」

 「ダ・・・ダメ・・・。」

 ロジャーはショウを抱え上げ、細く戻っている肛門拡張機のディルドーに再びはめ込む。

 「ロジャーさん。あなたにはまだこのリモコンの操作は難しいと思いますから、簡易設定にしておきます。」
 「簡易・・・っすか?」
 「はい。イエス、ノーだけで自動的に太さを変化させる様に設定しました。この坊やがロジャーさんに逆らったら、このノーのボタンを。素直に従う時はイエスを押して下さい。ノーの時には太さが増していきます。勿論イエスの時はすぐに細くなります。但し、気を付けて下さいね。ノーの状態を長く続けると限界迄太くなってしまいますよ。この坊やの肛門の限界ではなく、器具の限界ですから、先程見た太さ迄。」
 「そ・・・、そうなんすか? 尾てい骨破壊って事は死を意味するんすか? セーフティーロックは無いんすか?」
 「そんな機能は付いていませんよ。だって、この装置は本来SM調教用ですから、セックス奴隷がご主人様に逆らうなんて事はその奴隷としての価値はありません。奴隷を生かしておく意味はありません。」

 しかしロジャーにはメイの意図はある程度理解できていた。だからこそ、恐ろしい物を手渡された様にそのリモコンを見詰めていた。

 「それではロジャーさん、後は宜しく。」

 そう言いながら、握手をしてキャビンを出て行くのだったが、小瓶をロジャーに握らせていた。


 「さてと、その可愛い口でしゃぶって貰おうか。」

 宇宙服を兼ねている服なので、何重かのファスナーを開いてショウにとっては恐怖の肉棒が突き出された。ソッと小瓶の液体を鬼頭に塗り付けてからショウの顔の前に晒け出された。

 「イヤッ!! やめてっ!!」

 ショウは眼前の逸物から顔を背けた。

 「ほう。坊主は俺のチンチンよりも尻が破裂させられる方がいいのか。」
 「アウッ・・・!?」

 肛門に突き挿されているディルドーが微振動を伴い太さを増してきたのだ。

 「アッ、ダメッ!! 止めて!! ワーッ、太くなる!!」

 ショウは抜け出そうと身体を動かすのだが、磁力でピッタリと台座と尻はくっついている。限度迄引き絞られている拘束ベルトが更にパチパチッと音を立てる。しかし更なる開脚による股関節の痛みは肛門を拡げつつあるディルドーに比べれば全く気にならなかった。

 「アヒーーーッ!!」

 ショウの肛門が限度一杯近くまで拡がった時、ビリッとした刺激が走った。

 (ヒーッ、裂けた?!)

 そして続けざまに強い刺激が突き抜ける。

 「ワーッ、ダメッ!! 言う通りにする!! だから、止めてーーっ!!」

 ニタッと笑ったロジャーが股間の突き勃った肉棒をショウの口元に宛がう。大きく口を開けてショウはそのおぞましい物をくわえるしかなかった。その途端、肛門の太くなっていた棒がスーッとその形を元の様に細くし、強い圧力が一気になくなった。

 ホッとしたショウであったが、今度は頭を両手で挟まれ、顔を前後に揺すられた。それが何を意味し、自分の口の中を前後する物体が更に硬度を増していく事に再び悲鳴を上げるのだった。

 (ヒーッ、イヤだ! ボクは男だぞ! 男にフェラチオなんかしないで・・・。ワッ、生臭い汁が・・・。)

 脳震とうを起こすかと思える程に勢い良く頭を前後に揺すられ、最後に喉の方迄突き込まれた逸物から激しいほとばしりが突き刺さる様にショウの喉に飛び込んできた。そして悲鳴を上げる間もなく、その汚辱の粘液は喉を通り過ぎていくのだった。

 ショウは呆然とし、全身脱力したまま焦点の合わない目でロジャーの股間を見詰めているしかなかった。最初の激しい一撃の後も、トクトクッと口の中のペニスの鼓動に合わせる様に流れ出てきていた。



 「ねえ、メイさん。あの肛門拡張機なんすが、実際にはリミッターが効くんでしょ?」

 メイは微笑みながら、

 「当然でしょう。私の所ではあくまでも優しく、気持ち良く改造して上げるのがモットーですから。ああいう具合に脅しておけば、恐怖と嫌悪の対象は私になりますから、私の言葉には逆らえなくなりますから。」
 「それに見てたんすけど、そんなに太くならない内にフェラさせられましたけど。」
 「それも私の脅しが効いていたからですよ。一気に限界迄拡げてしまっては、きれいな円形に拡がる肛門にはできません。どうしても少しずつの訓練が必要ですから。だから、ある程度太くなったところでパルスの電気ショックを与えたのです。そして思惑通りに肛門が裂ける寸前だと思わせられましたからね。」
 「ああ、なる程。だからビクッとして震えだして、すぐに俺の物をくわえたって訳なんすね。」
 「それにあのお薬もじっくり効きますよ。」
 「メイさんの事だから抜かりはないでしょう。催淫剤か何かっすか?」
 「まあ、催淫剤と言えなくもないかしら。ドーパミンの一種ですけれど、昔の覚醒剤の様な物かしら。でも、そんな麻薬とは違い、習慣性や依存性は全くありません。ロジャーさんのペニスへの嫌悪感を減らす為ですし、しばらく使えばフェラチオへの嫌悪は無くなりますから。習慣性は無くとも、癖にはなると思いますよ。」

 メイの笑顔に対し、ロジャーは苦笑いで応えるしかなかった



 ショウは鏡の前で肛門拡張機にセットされたまま、ゆっくりと上下動を続けていた。

 (ボクは・・・あの人達の・・・ロジャーさんのセックス道具に・・・されてしまうのか・・・。いや、もう既に道具になってる。顔にはセクサロイドの仮面を被せられてるし、オッパイだって作られてる。お尻はアナルセックスとオシッコの為のトイレに使う為に訓練させられているし・・・。ウーッ・・・思い出すだけでもイヤだ・・・。フェラチオ迄させられて・・・。ボクは捕まってからどれくらい時間が経ったのかな? 浣腸されて、おなかは空っぽだから、体力も気力も出てこない・・・。ウッ・・・今、ボクの体内に入ってるのはロジャーさんの精液とオシッコだけだ・・・。)



 カンカンカンと磁力靴の急ぐ様な足音が響いてきた。メイとロジャーが再び入ってきた。自分の恥ずかしい姿が映っている鏡を通して、後ろのモニターが見えた。

 《ああ、その子ね? やっぱり思った通りの悪戯をしているのね。》

 社長の女性が自分を見ていると分かり、再び恥ずかしさが沸き上がってくる。

 「それでママ。さっき言っていた方法って何?」
 《そうね。不可逆改造はしていないようね。それなら僅かながらの可能性があるわ。ただ、ロジャーさんにはかなりの負担を掛ける事になるのだけれど・・・。》
 「俺の負担・・・っすか?」
 《かなり面倒なのよ。そして何よりもその子がどう考えるかによるのですけれど・・・。》
 「で、ママ。どんな方法なの?」
 《まず整理しましょうね。確かにその密航者の子を密かに抹消する方法は一番簡単ですけれど、殺人という行為は避けたいのよ。と言って、そのままで月に到着すれば、その子は火星行きの船への密航という事になり、最低でも懲役20年。そして私達は密航幇助の疑いが掛かり、商品配送がかなり遅れる事になるので、その損害賠償は極めて高額になるわ。勿論、その罪は免罪される事になるでしょうから、損害賠償はその子にという事になりますから、民法上もその子の責任はかなり大きくなるし、まず支払いは不可能。となると、更に量刑が増しますから、ほとんど終身刑に近い事になるわ。》

 ショウは分かってはいたが、改めて深く悔いる事になった。

 「それは分かるわ。それで可能な方法ってのは?」
 《私達日本人は、こんな時代になっても戸籍に大きな価値観を持っているわ。ロジャーさんの住んでいるアメリカでも、日本みたいな戸籍法ではないにしても、個人情報としてのIDシステムは形成されていますよね。》
 「日本でもIDシステムはほとんど共通っしょ?」
 《日本では戸籍が穢れる事はとても忌むべき事なの。要は離婚歴とか、犯罪歴を記録されてしまう事などなのよ。》
 「それは単なる個人情報っしょ?」
 《そこいら辺が分かって貰えないのよね。つまり、その坊やとロジャーさんが婚約すれば第一関門はかなりいい線迄いけそうなの。》
 「エエッ・・・?!!」

 ロジャーとメイは顔を見合わせ、そしてモニターを見た。ショウも驚いて鏡越しにモニターを見詰めた。

 「それ・・・どういう事?」
 《まずは通関と同時に入管手続きがあるわ。当然ながら、その子はパスポートを持っていないから、そのままだと密入月、あるいは火星便ですから密入星で逮捕される。ただ、パスポートが無くてもそうならない方法があるの。いわゆる家族パスポートよ。その場合も月迄の場合ですけれどね。》
 「家族でいいのなら、婚姻でなくても養子縁組でもいいのでは?」
 《そうはいかないわ。偽装養子縁組での密入月が多かった事から、かなり厳しい審査があるわ。本当の養子であれば、地球に居る時にできていた筈ですからね。》
 「でも・・・結婚だなんて・・・。男同士で・・・。」
 《当然結婚の方は、より偽装結婚を疑われるわ。実際にそういう事なのですし。ただ、その子が16才未満で日本人。ロジャーさんがアメリカ人というのが抜け道になるの。》

 再びロジャーとメイは顔を見合わせた。

 《火星と違って月ではその基地の所属する国の法律に従います。入管もその当事国の法律下にあるのよ。あなた達の最初の到着地がここですから、当然日本の法律に従う事になるわ。日本では結婚可能年齢は男性18才、女性16才。同性婚は認められていないけれど、性転換後であれば可能よ。でも、その子の年齢では無理。》
 「そうよ。16才迄はあと・・・4ヶ月かしら?」
 《そしてロジャーさんの場合は連邦法では国内での同性婚は認めていないのよ。但し、別の国とか火星で認められた場合は追認ですけれど。》
 「そうっすね。州によっては認められてるんすけど。」
 《アメリカ人の場合、宇宙空間では連邦法に従う事になっているでしょう。》
 「そうっす。」
 《ですから、二人が今迄同棲していたという事にして、このまま火星迄行ったとしたら、その時は16才になっているのよ。つまり、その子は性転換して女性になってロジャーさんと結婚したいという事にするのよ。婚約というのはあくまでも結婚を前提とした一種の契約よ。これは婚姻の法律には従いません。二人は結婚したいけれど、日本ではまだ無理。と言って月でも無理。だから火星での正式な結婚を望んで同乗したという事にすればいいのよ。でも、この方法でも審査はかなり厳しいわよ。さっきも言ったけれど、偽装結婚で、性転換途中という事での整形でごまかそうという不正がありましたからね。》
 「じゃあ、この子の性転換をしてしまうの?」

 ショウは悲鳴を上げた。

 《それは無理。本人が望んでいないのですから、どんなに演技をしても入管の審査官を騙すなんてできそうもないわ。もっと時間に余裕があれば、深層心理操作で性転換したいと思わせる事もできたでしょうけれど。》
 「じゃ、やっぱり無理じゃない?」
 《審査を受ける前の検査データがごく自然に見えれば審査は簡単になるのよ。偽装性転換結婚と本当の性転換結婚では必ずと言っていい程、あるデータに差が出るの。勿論男性器が存在していても、性転換手術を受ける意志があるって信じて貰える方法がね。ただ、それにしてもある程度整形ではない女性化処置をしておく事が前提ですけれど。》
 「良く分からないけど・・・。どういう風にすればいいの?」
 《随分と色々やっているようですけれど、方向性は正しいわね。まずはその子へのホルモン注射は今迄以上にする事。なにぶんにも、あなた達がこちらに到着する迄の時間は短いですから、血液検査の際、充分に女性ホルモン濃度を高めておかないとならないわ。それによって性転換の準備中だという事にできます。そしてもう一つ、できるだけ精液をたくさん飲ませる事。勿論アナルセックスでもたくさん注入して欲しいけれど、それだけでは不足ね。幸い、積み荷の中に合成精液があった筈。ちょっとこちらでの在庫不足を生じますが、仕事が中断してしまうよりはましね。血液検査での精液成分の分解物が多いという事は、長期間のアナルセックスやフェラチオをしていたという証拠になりますから。それで婚約の確からしさを際だたせられると思うの。》
 「なる程・・・。」
 《それと婚約証明書とか性転換手術申込書、承諾書などを偽造する必要がありますけれど、それはこちらで用意します。その他にロジャーさんがその子と一緒に過ごしていたという記録も作らないとならないし。IDカードの書き換えをしたりしないとなりません。そして一番の問題はその子の承諾が必要という事。IDカードでの承諾などは役所への届け出が必要ですから、パスワード、署名、網膜認証、静脈認証、そしてDNA認証が必要なの。これが得られないと全ての計画が無効になります。》
 「そうよねえ・・・。」
 《だから性器切除はしない迄も、かなりの女性化処置をする訳ですが、その後承諾が得られなければ・・・、やむを得ない処置しかないです・・・。そして女性化の処置ですけれど、当然ながらロジャーさんの奥さんになると言う事は、ロジャーさんの趣味の女性という事にならないとおかしいですよね。今迄の性転換婚の大部分は夫側の嗜好による整形が施される事が多いのですから。ロジャーさんのお人形は私の所からの購入履歴がIDカードに記録されています。管理官のチェックですぐに分かりますからね。それで雰囲気が似ていれば、まず偽装の疑いは消えるのではないかと思います。》
 「分かったわ、ママ。そうなると、今迄に使用した器具、薬品類の販売履歴はママの所で書き込めるわね。この子にある程度の期間使用した様に改ざんしておいて。」
 《いいえ、改ざんと言う程の事もないわよ。なにぶんにもここには私一人ですから、事務手続きの遅れは当たり前。期末一括処理なんてのはいつもの事ですから。》

 女性社長はにこやかに微笑んでいた。そして二人の後ろにいるショウに鏡越しで話し掛けた。

 《坊や、あなたのせいで皆が苦労しているのよ。聞いていたと思いますけれど、あなたを宇宙空間に放り出してしまう事が一番簡単だけど、私達には精神的負担が大きいわ。入管で逮捕されるという事はあなたにはもう将来が無くなるという事だし、私達には金銭的被害が大きい。という事で、あなたにはある程度の女性化処置を施します。まずは入管のパスを目指しますが、最終的に拒否すれば私達は悲しい決断をします。大人しく従ったとしても、入管をクリアできなければあなたは逮捕され、裁判を受けます。勿論私達の損害賠償の裁判も受けて貰いますが、これはほとんど期待できないでしょうね。そういう訳で、これからは今迄以上にきつい処置をします。折角それに耐えても、小さなミスで台無しという事の無いように。メイ、分かっていますね。あくまでも偽装結婚の為の処置ですよ。いくら簡単だと言っても、ペニス切除だけは許可しません。女性ホルモンによる縮小化はやむを得ませんが、それでも回復は可能ですから。少なくとも、外見はいかにも性転換手術前処理という程度にするのですよ。》
 「はーい、ちょっと残念だけど、性転換手術は本人の承諾の上の施術というのはAKIの鉄則ですものね。」
 《それが信用というものです。それではかなり忙しく面倒な仕事ですが、こちらも状況の変化や指示がある場合はすぐに連絡を入れます。慎重に、そして大胆に処置を始めなさい。》

 そう言うとモニターの電源が落ちた。



 「まあ、予想通りでしたけど、中途半端な状態を目標にするのはかえって面倒ね。」
 「でも、この坊主を殺さないで済むかも知れないって期待は出てきたんすから良かったっすよ。」

 ショウにしても、まだまだ辱めを受けるという事はつらいのだが、それでもある程度女っぽくされれば死なずに済むという事でホッとするのだった。


 「でも、時間的余裕はあまり無いのよ。私は積み荷の中から必要な物を準備します。ロジャーさんの方も急いで注入をしておいて下さい。」
 「エヘッ・・・、それが俺の仕事でしたね。」

 キャビンからメイが出て行って、ロジャーはニヤニヤしながら肛門拡張機で上下動していたショウを自分の方に向かせた。

 「さてと、分かってると思うけど、坊主のケツでアナルセックスするけど、その前にこいつを良くしゃぶって貰うからな。あ、念の為言っておくが拒否すればまた拡張機は太くなるし、胸への女性ホルモンを増やす。そうでなくてもかなり注射されてるんだ。お前のチンチンが働きを無くすかも知れん。お前次第って事だからな。」

 ロジャーは後ろ向きになり、ペニスを引っ張り出し、鬼頭に薬を塗り付けてからショウの眼前に突き出した。

 「ケツに入れるにはある程度勃起しないとな。さあ、その口でやるんだよ。」

 腰をグイッと突き出し、ペニスをショウの口元に宛がう。

 「ヒッ・・・、イヤ・・・。」

 顔を背けたショウの目の前にロジャーの手に握られたリモコンをかざす。

 「ワーッ、それはダメ!!!」

 恐怖におののいたショウには選択肢は無かった。目を固く瞑り、口を開いて受け入れるしかなかった。口の中に汚辱の肉棒が入り込んできたが、前回と違ってロジャーがショウの頭を掴む事はなかった。

 (ウッ、揺すらないの? ボクの方から動かせって事だ!)

 幾分柔らかみのある肉棒だが、しっかり吸い上げるようにしながらショウの方から顔を前後しなくてはならなかった。

 (ウウッ、何でこんな事を・・・。)

 早く勃起させてしまえばフェラチオなどという陵辱から逃れられると思い、必死に舌を絡め、擦り上げるのだった。

 (あ、少し大きくなってきた。持ち上がってきた。あと少ししゃぶれば・・・。ウッ、オチンチンの先端から汁が・・・。もう少しで勃起する。ロジャーさん。我慢していないで早く・・・。)

 充分に固くなり、いつでもアナルセックスできる状態になっている。しかもピクピクと脈動が起きているのに、ロジャーはなかなかペニスを口から引き抜いてくれない。

 (まだ、ダメなの? お願い、早く・・・。)

 更に強く吸い上げ、舌で亀頭を撫で回し、大きく顔を前後させ、目一杯の刺激を与えるのだった。

 そして大きく前後させていた顔がロジャーの股間に最も接近した時、つまりペニスを一杯に頬ばった時、いきなりロジャーの両手がショウの頭を挟み込んだ。そして再びの汚辱の粘液が口内にほとばしり、喉を突き抜けるのだった。

 「グムムムムーーーッ!!!」

 生臭く、苦い味と栗の花のような匂いが広がる。そして吐き出そうとしてもまだピクッピクッと脈動を続けるペニスを押し込まれたまま、トクトクと流れ出てくる残りの精液を飲み続けねばならなかった。


 「ひどいよ・・・。お尻に入れるから勃起させろって言ってたのに・・・。」
 「おう。そうか、そんなに尻でセックスしたかったのか。勿論やってやるが、その可愛い顔でフェラされて、そのままなんてのは申し訳ないからな。それでは・・・。」

 ロジャーはショウの両脇を掴み上げ、肛門拡張機から引き抜いた。そしてクルッと後ろ向きにし、まだ開いたままの肛門にペニスをねじ込むのだった。

 「ほう、最初の頃に比べればいい具合に緩くなってるな。まあ、オマンコに比べると粘膜の具合はいまいちだが。拡張具を入れていても、まだ奥の方の締まりは肛門に比べるとまだまだか。」

 (ボクはまるで大きなオナホールだ・・・。生き残るのにはこんな事を続けないとならないのか・・・。)

 鏡に映っている自分の顔は、もう本来の少年らしさのあった顔ではなかった。顔に被せられた(とショウは思っているのだが)ダッチワイフさながらの顔は、むしろ悦びを感じているような艶めかしさすらあるのだった。


 (アハッ・・・、ロジャーさん、また射精した・・・。ボクと違って逞しいオチンチンだから、続けてこんなに出せるんだ・・・。ハフッ・・・。精液がおなかに押し込まれるのが分かる。肛門拡張機はただ機械的な動きしかしないし、堅さも一定・・・。それに比べるとロジャーさんのは不規則な動きがいい。ただ肛門を拡げるだけの機械と、ボクのお尻を使って気持ち良さを上げる事ができるって違いだな。フーッ・・・、精液が入ってくると便意が強くなるけれど、息張っても出せない。ボクのおなかで吸収されるのを待つしかないのか・・・。ロジャーさんの顔・・・、気持ち良さそうだなあ。)

 鏡を見上げると紅潮したロジャーの顔には少しだらしないが、悦びの輝きがあった。

 「フーッ。まさか月に着く迄にこんなに何度もするとは思わなかったぜ。俺の人形は修理中だし、メイさんの同乗って事でかなり苦労しそうだと思ってたんだが。さて、もう一つの仕事は今回はパス。どうせかなりの水分を入れられるのだからな。」


 しばらくペニスを挿入されたままだったが、やがて萎えてきて引き抜かれた時、ショウは無意識に絞り込もうとしていた。開いたままの肛門がピクピク痙攣したような状態が不快だった。そして肛門拡張機にセットされると、ロジャーのペニスを挿入されている時に比べれば快感は落ちるものの、うず痒い状態が解消されるのが分かる。

 (肛門がかなり広がっているみたい・・・。戻ろうとする時に血液の流れが一気に良くなるから痒みが出てしまうんだ。)

 それは一端の真実でもあるのだが、実際には薬による依存傾向の表れである事には気付いていなかった。



 「はい。お食事の時間よ。」
 「食事?」

 貨物船に乗ってから丸一日以上、全く食事をしていなかったショウは空腹である事すら忘れていた。それ以上の陵辱の刺激の方が強かったからだ。女性のような身体にされてしまう事を承認すれば生命の危機は回避される可能性が出てきたという事で、肉体は急激にエネルギーの必要性を認識したのか、胃や腸の蠕動が始まり、おなかがゴロゴロと音を立てた。

 「とは言っても、普通食は私達の分で精一杯の量しか積んでいないわ。あなたには積み荷の内のセックス奴隷などに使う栄養食だけよ。それにしたって、それ程の量がある訳ではないのに・・・。全く面倒なのよ。」

 ショウはメイの持っている透明なパックを見詰めた。薄い黄色の液体のように見える。病人用の流動食のような物だと思った。

 「最初の内は慣れないでしょうから、上が100cc、下が200ccよ。」
 「上・・・? 下・・・?」
 「知らないでしょうね。これは合成精液といって、精子細胞は入っていないけれど、ほとんど精液その物なのよ。まだあなたの身体は精液を上手に消化吸収できるようにはなっていないのよ。でも、今は空腹を通り過ぎて飢餓状態に近いわ。そんなところへ大腸に入れて上げれば、何とかそれを栄養にしようとするの。大腸には消化機能は無いですから、肉体的には何とか消化しようとして小腸へ送り込もうとするのよ。ただそれだけでは絶対的に栄養不良を起こしますから、胃にも少し入れて上げる。ただ、難点として、合成とはいえ本物同様、時間経過とともに酸化してしまうので、味は極めて落ちるらしいのよ。そんな物を味わって貰うには忍びないのよね。やはり味わうならロジャーさんの出したばかりの新鮮な物でないとね。ですから鼻からカテーテルを入れて、直接胃に入れて上げますよ。勿論あなたの肉体改造を促す為に、大量の女性ホルモンも入っていますよ。」
 「ヒーッ、精液?」
 「月に着く迄の間、あなたの体内は本物はロジャーさんの物だけですが、消化器官は精液で一杯になるのよ。」

 足掻きは無駄だという事は分かっていても、メイが肛門拡張機にそのパックをセットしている間、ショウは悲鳴を上げ続けていた。

 セットが終わったらしく、メイはリモコンを操作する。それ迄の上下動が止まり、ゆっくりと身体が沈んでいく。そうすると、ディルドーが直腸奥の引き延ばされているS字結腸を通り抜け、強い異物感と便意に襲われた。

 「はい、スタート。」

 ショウは鏡に映る姿を涙を振り払って見詰めていた。ゆっくりとした動きで、ディルドーが抜け出ていく。不安に駆られ、ジッと見詰めていたが、何の変化も感じない。しかし途中で一旦停止し、再び身体が沈み、ディルドーが填り込み始めると、明らかに何かの液体が大腸に押し込まれ始める。

 「ウワーーッ!! ダメーーーッ!!」

 大腸を流体が逆流していく。下痢のようでいながら押し出せない物が、腸の蠕動に合わせて深く入り込んでいく。そして一旦ショウの身体が浮き上がるのだが、再び沈み始めると更に液体が大腸に突き刺さるように押し込まれていく。

 「アウッ、出させて・・・。」

 冷たい脂汗がショウの顔から噴き出ていた。


 「さあ、お尻から入れた分はジッとしていれば治まるわよ。そして次は上からだけれど、念の為聞きますけれど、口から飲む? まあ、たぶん無理よね。ですから経鼻孔カテーテルを通すわよ。逆らわない方がいいと思うの。逆らったからって拒絶はできないのだし、肛門が裂ける程の苦痛を与えられるし、女性ホルモンも致死量寸前迄入れるわよ。不可逆改造はダメとは言われていますけれど、その可愛いオチンチンに直接の大量女性ホルモン注射をしてしまえば機能はすぐに失われるし、切除しなくても消滅してしまうでしょうね。」


 ショウは歯を食いしばって精神的苦痛に耐えていた。メイが極めて細いチューブを鼻の穴から挿入してきた時も、喉を通過する時のむせるのをジッと我慢して耐えるのだった。

 「あら、素直だったわね。私としてはちょっと嫌がって貰った方が色々と楽しめたのに。」

 太い注射器がカテーテルに繋がれ、胃の中に直接液体が入ってきた。精神的には吐き戻してしまいたい汚物であるのに、空腹の胃はしばらくぶりの『食料』に対し、一気に胃酸を放出しての消化が始まる。

 すぐに注入が終え、カテーテルはそのまま留置され、ショウは体内への陵辱に耐えなければならなかった。



 「メイさん。」

 ロジャーが入ってきて、モニターを点けた。

 《メイ、少し状況が変わったわ。ちょっと相談しなければならないの。》
 「何? ママ。」
 《まず、そちらの二人の結婚ですが、それは何とかなりそうなの。ロジャーさんが火星航路のパイロットという事ですから、同性婚、性転換婚どちらでもうまくいきそうなの。ただ、ロジャーさんの嗜好からして、同性婚にはちょっと無理が出るのよ。今迄の性向はIDカードに記録されていますから、ロジャーさんがゲイやホモでない事はすぐに判定されます。だとすると性転換婚を前提とした同性婚という事になるのですが、それもロジャーさんの性癖からすると、普通の女性体型程度では・・・。ショコたんというお人形がお気に入りという事もすぐに分かるし・・・。つまり、その坊やがショコたんに似せた性転換を受け入れての結婚申し込みをしたという事にならないとダメなのよ。》
 「アハッ、それはいいわね。似ていればロジャーさんも一層励めるし。」
 《もう一つ・・・。あなた達、忘れていない? その子を火星迄同乗させるとなると、その子と食料分の重量が増えるのよ。ロジャーさんに計算して貰わないとならないですが、その分荷物を下ろさないとならないのよ。幾分の余裕があるにしても、今の積み荷の内、月で降ろす分と新たに積み込む分を計算すると数百キロオーバーになるわ。そのコンテナでは無理です。それに手術機器などを積むとなると、中型をチャーターしないとならないわ。それでも多分数十キロオーバーね。となると、何かを積まないで行くとなるとロジャーさんには申し訳ないけれど、ショコたんを積まないで飛ぶしかないのよ。》
 「エーッ!? そんな・・・。修理上がりを楽しみにしてたんすよ。火星の往復で向こうの滞在日数も入れると半年ちょっと掛かるんすよ。その間ショコたん無しで・・・。この坊主だけで?」
 《そうなるとロジャーさんにはつらいでしょうが、結婚する相手とセックスアンドロイドを同時に連れて行くって事も不自然なのよ。偽装を疑われる恐れが・・・。》
 「確かにこの坊主の尻もそれなりにいいですよ。だけどセックスってのはやっぱり向かい合って、顔を合わせてじゃないと・・・。尻では無理っすよ。」
 《だとすると、どうしても膣形成手術が必要なのよ。》

 ショウはドキッとして女性の顔を見詰めた。

 「それにしたって、小さいとは言え、こいつにはチンチンが有るんすよ。切除するしかないじゃないっすか。」


 「イヤだーっ!! 女になりたくない!!」

 《ねえ、坊や。良く聞きなさい。小さくなったとしても、切除しなければ回復可能なのよ。オッパイも大きくされたとしても、それも回復可能。膣形成にしても、回復できるわ。それなら死なないで火星迄の往復は可能よ。地球に戻ったら元に戻す処置をすればいいのですから。》
 「ねえ、ママ。そんな事できるの?」
 《見た目だけ女性らしい下腹部にすればいいのよ。ペニス増大器の逆をすればいいの。あれは体内に埋没している海綿体を引っ張り出すでしょう。その逆という事は、ペニスと睾丸を体内に押し込んでしまえばいいのよ。女性ホルモン投与していますから、割りと楽にできる筈。ちょうどいい事に体型矯正用スキンを積んでいるわ。ペニスの部分だけは強圧縮スキンを使い、全身矯正スキンを着せればいいのよ。そして、そのスキンを着ているという事は女性体型矯正中という事ですから、いかにも結婚準備という事になるわよね。》
 「ああ、なる程・・・。レーザーメスは小型だけど荷物に入っているし。ママ、人工膣子宮を使う事になるけれど、それはいいの?」
 《それはいいわよ。在庫補充分ですから、次便で運んで貰えばいいわ。もし急ぎで必要なら別便で発注しますから。形だけでも人工子宮を取り付けたとなれば、まず入管での疑義は起きないわね。火星に行くのは私と交代ですから、私がより確実な処理をしますし。メイはここで『回復』処置の為の幹細胞培養をしておいて欲しいのよ。》
 「了解。時間が少ないから、すぐに処置を始めますね。」
 《こちらも手続きやら準備やら色々あるわ。最善の努力をします。メイも頑張ってね。》

 そう言い終わるとすぐにモニターが切れた。


 「さて、結構大変よね。簡易手術とはいえ、手術台は無いし、折角梱包してある商品の中から必要な物を取り出さなくてはならないわ。ロジャーさん、これからメモを作りますから、ボックスナンバーとパッケージナンバーを参照して、運び込んで下さい。空きスペースはそのままでいいと思いますが、重心バランスが崩れるかも知れません。お願いします。」
 「ウーン、今迄にも荷崩れで再梱包ってなありましたが、輸送中に中身を取り出す事なんかした事ないっすよ。地上作業と違って、無重力状態では足場が全然違いますからね。クレーンも使えないし、まあ仕方ないっすね。そのガキの命が掛かってるってこってすから。」

 メイはハンディー端末を操作しながら、

 「ロジャーさんも少しお手伝いして下さい。」
 「あいよ。メモが上がる迄は手すきっすから。」
 「肛門拡張機の磁力は切りますから、そのままそちらの拘束台へ取り付けておいて下さい。」
 「手術するには邪魔じゃないっすか?」
 「勿論その時には外しますが、常には肛門には何かが入っているようにしておくのですよ。」

 ショウは涙を溢れさせたまま、ジッとしていた。

 (女みたくされてしまうのか・・・。それでもそうしないとボクは宇宙に放り出されてしまう・・・。顔の仮面はピッタリと張り付いているから女の顔そのもの・・・。胸もかなり膨らんでいるし・・・。戻して貰えるにしても、相当時間が掛かりそうだし・・・。)



 「はい。取り合えずこれだけお願いします。」
 「ウオッ! 随分とバラバラに・・・。」
 「上の方から優先的に出してきて下さい。」
 「面倒ですなあ・・・。仕方ないけど。」


 「それでは坊やのオチンチンに取り付けた 搾り器を外して上げる。女性ホルモンの影響でほとんど出なくなっているわね。」
 「あ・・・あの・・・、お姉さん・・・。元に戻して貰えれば、ボクのチンチンはちゃんと男としての・・・。」
 「アハハ・・・。それは大丈夫よ。まあ、元が小さいからこれからの処置は楽ですけど、戻ったとしても今の程度なのよ。どう? こんな粗末な物なら、いっその事完全に女に成ってしまったら?」
 「それはイヤッ!! ボクは男だよ! ずっと男なんだ。」
 「それは分かりますけれどね。でも、死にたくなかったら、少しましでも火星での終身刑を免れたければ、私達の言う事を聞いて、ロジャーさんのお嫁さんになるんだという事にしないとならないのよ。少なくとも、見た目だけは完全に女性になるのですから。」
 「それは・・・。」

 分かってはいるが、不安がショウの頭の中に渦巻いていた。



 「メイさん。まずは最初のブロックの分です。」
 「ご苦労様、有り難う。引き続きお願いしますね。」

 メイは運び込まれてきた器具類を順にパネルに並べる。ピタッとくっついている器具はいかにも外科手術用らしい、ショウには恐ろしい器具類だった。

 しかし次に取り出した物は、まるで手術用の器具には見えなかった。

 「エッ・・・!?」

 それはどう見ても『大人の玩具』だった。女性の下腹部だけの物であり、しかもその部分が開いていて、いかにも・・・という代物だった。ただ、非常に精密にできていた。

 驚いて見詰めているショウに対し、メイはニヤッとしながらその部分に正方形の肌色の薄いシートを被せた。

 「これは治療用の人工スキンなのよ。スキンと言っても皮膚の意味よ。怪我をした時の応急用の皮膚の代用ですけれど、勿論私が使う物ですから、それなりの性能なのよ。まずは形を整えないと。それをあなたの下腹部に貼り付ければ、少しずつですけれど、このスキンの形態に近付くの。あくまでも形だけを似せる人工皮膚という事ですけれどね。」

 メイは下腹部ダッチワイフに貼り付けた人工スキンを指でしっかりと押し付ける。そして例の開いた穴にはガラスのような先端に丸みの付いた棒で押し込み、しっかりと貼り付けていく。内部はかなり深いらしく、何度も繰り返しながら細工をしていた。そして更に胃カメラのような物を差し込み、手元のモニターを見ながら丁寧に処理をする。
 ショウは不安もさる事ながら、メイの行っている不可解な準備をジッと見詰めていた。

「フウ・・・。手間が掛かるわね。でも、入管の役人を騙し通すには、それなりの仕上がりでないと・・・。」

 その作業は人工スキンに何かスプレーを吹き付ける事で終了したようだ。次の器具はショウもテレビで見た事のあるレーザーメスらしいという事は分かる。細いチューブの先端がテストの為か、チカチカと赤い光を放っている。

 「さてと、人工スキンの形態確定はできたようね。」

 メイはレーザーメスと接続されているゴーグルを被り、手術用らしい薄い手袋を填める。

 (あ・・・、いよいよ・・・。)

 そして肛門拡張機が引き抜かれた時、いよいよ手術が始まるのだという事が分かる。

 「アッ・・・、アッ・・・。やっぱりイヤだ・・・。」
 「大丈夫よ。痛くはないし、あくまでもそれらしく見せる為のいわば簡単な整形手術なのですから。」

 下腹部ダッチから剥がし取った人工スキンはかなり長い袋状の物が付いている。ショウの場所からは良く見えないが、それが膣と更に繋がっている子宮の形をしている。勿論メイはショウには見えない位置で作業していた。そして尿道に相当する部分の先端部をレーザーの出力調整でカットし、穴を開ける。

 その作業はメイが後ろ向きで行っている事にショウは不安で一杯になっていた。

 レーザーメスの細いチューブを膣道と子宮部分の袋に差し込み、別のスプレーを吹き付ける事により、その袋状の部分が収縮してチューブにピッタリと張り付くのだった。その状態でやっとショウはスキンを再び見る事ができた。それは正方形の薄い膜にレーザーメスのチューブが突き抜けているようにしか見えなかった。

 「最初だけは少し熱いと感じるかも知れないわ。表皮近くは神経組織が複雑に交差していますから。」
 「そ・・・、それを突き刺すの?」
 「まあ、突き刺すと言えばそうですが、これはレーザーメス。体組織を切開していきます。でも安心しなさい。内部に入れば、自動的に神経と血管を避けて行きますから。少し違和感を感じる程度よ。でも、この処置をしておけば、まず入管での生理的検査は通る筈ですから。」

 メイは睾丸を持ち上げ、玉袋のすぐ下にレーザーメスの先端を突き刺した。

 「ヒッ・・・、ツッ・・・!」

 一瞬の痛みは感じたが、すぐにその痛みは無くなる。体内からプチプチと何かが弾けるような音が伝わってくる。そしてメイの言うように不思議な異物感と違和感を感じるのだった。少しずつ深い位置に異物感が移動し、その部分に圧迫感と熱さを感じる。確かに痛みという程の事はないのだが、それでも自分の位置から見えない処置は不安を一層感じる。

 「クッ・・・?」

 かなりメスが深く入り込んだ時、ペニスの先端に痛みを感じた。

 「あ、動かない! 今、尿道にチューブを入れているのよ。人工スキンでペニスを覆うのだけれど、穴が開いていないと尿が出せないでしょう。」

 身体のかなり深い場所迄入り込んだメスの動きが変化したのを感じた。それ迄真っ直ぐに進んでいたと感じていたのだが、急に方向変更して前に進んでくる。しかも先端がうねる様に回転しているのか、強い異物感があった。しかしメスの動きが止まった時、ペニスと睾丸にスキンが押し付けられ、しっかりと張り付いた事を感じる。

 「はい、終了。それ程痛くなかったでしょう?」
 「エッ・・・? まだメスが入ったままなの?」
 「あら、メスはもう抜いてあるわよ。ほら・・・。」

 メイの手には細いケーブルが握られていた。そしてその先端が赤く点滅している。

 「でも、まだ何かが差し込まれている感じが・・・。」
 「それは仕方ないのよ。でも、この処置は性転換の場合の一番最初の処置ですから、これを済ませておけばあなたは性転換手術の準備中という事を認めて貰える筈よ。」

 痛みという程でもないが、不快な異物感だった。
 そして再び肛門拡張機を床にセットされ、そこに差し込まれて上下動をさせられる。



 「メイさん、次のやつはこれですが。あちこちの梱包にバラバラに入ってましたから、再梱包が面倒でしたよ。」
 「ご苦労様です。それはちょっと組み立てに手間が掛かりますから、通路の方でします。後でロジャーさんにお手伝いをお願いしますが、それ迄はその子に・・・。」

 そして再びショウはロジャーのペニスをくわえさせられ、フェラをしなければならなかった。しかし精神的には抵抗感が減ってきていた。亀頭に塗り付けた薬物が快感をもたらしているのだが、ショウとしては生き残る為の僅かな可能性としてのフェラチオだった。

 (慣れてきたけれど、どうして自分からオチンチンを吸い上げてしまうのだろう・・・。おなかに入ると確かに消化してしまうみたいだし、お尻から入れられてるのも・・・。この船に乗り込んでからどれだけ時間が経ったのか良く分からないけれど、それでも何日かの筈だ。その間、ボクは精液とオシッコしか体内に入っていない。それでも体力的には確かにもっている。それに・・・。認めたくはないけれど、こんな機械よりもロジャーさんのオチンチンを挿れて貰っている時の方がずっと気持ちいいし・・・。お尻から入れる精液にしても、合成物よりもロジャーさんのを直接送り込んで貰った方がおいしい・・・、ってのも変だけど、そう感じる・・・。ウウッ・・・。胸はどうなのだろう・・・。随分と大きくされているけれど、元に戻せるのかなあ・・・。顔もピッタリ張り付いていて、簡単には剥がせないのでは・・・? イタタ・・・。オチンチンと玉が・・・。押し付けられている感じで・・・。そうか。気持ちいいなんて思うと大きくなるから押し付けられるんだ。気を楽にして、ボーッとしていればいいのかも・・・。)



 「これって・・・?」
 「ただのエアーマネキンよ。でも、良くできているでしょう。」

 メイはスプレー缶を繋いだ風船のような物を膨らませていた。

 「ダッチワイフ型セクサロイドの標準体型ですけれど、ショウの身長に合わせたSサイズですけれどね。」
 「まあ・・・、大体そんな大きさっすね。でも、マネキンって言う割りにはあそこの部分がかなり精巧に作られているようっすけど・・・。まるで大昔の風船型のダッチワイフみたいっすね。」
 「さてと、ショコたんはもう少し胸が大きかったわね。」
 「そうっすね。あと3カップは大きいかと・・・。」
 「それでは・・・。」

 スプレー缶を胸に押し付けると、乳房の部分がプクッと大きくなる。交互にバランスを取りながら膨らませていった。

 「うん、こんな大きさだったかな。ショコたんに比べたら身長が低い分、大きく見えるけれど。」

 ロジャーはその透明素材のマネキンの胸に手を当てた。

 「そうっす。大体こんな物ですね。」
 「分かったわ。それならあと2カップ大きくしましょう。」

 更に膨らませていくのだが、さすがに体型のバランスから見ると、かなりアンバランスに大きな胸になった。

 「んで・・・、それは一体何なんすか?」
 「エッ? 分からないの? 今はあの子の身体を変化させる為に色々用意しているんじゃないの。」
 「ンー・・・。それを着せる? 無理っすよね。」
 「これはマネキンよ。体型補整下着ってのは知っているでしょうけれど、体型矯正スキンという物もあるのよ。人工皮膚には全く伸び縮みしない程丈夫な物もあるの。男と女の体型はかなり違いますから、このマネキンの形のスキンを着せれば、この体型に矯正されるしかないのよ。」

 別の容器から全身人工スキンを取り出す。広げてみせると、それは首から下の物なのだが、ノペッとした形で、大まかに人体を模しているに過ぎない。首を傾げているロジャーに微笑みながら、メイは小さなスプレーを内部に噴射した。半透明だったスキンが段々と透き通ってくる。足先迄透明化が進んだところで、メイはそのスキンの首の部分を引っ張って大きく広げた。

 「ロジャーさん、手伝って。そのお人形をこの中に入れるの。」
 「はあ・・・。」

 ロジャーは意味が分からずに手伝う。それでも何らかの楽しみを予感していた。

 「足が入りにくいっすね。ワッ、そっちも引っ張り伸ばしていいんすか?」
 「いいのよ。このスプレーはスキンの前処理用ですから、確定用スプレーを使わない限り、かなり伸ばせるのですから。あら、胸も引っ掛かるわね。もっと拡げないと・・・。」
 「入る事は入りましたが、ブカブカっすね。」
 「しばらくすると溶剤が蒸発します。そうすると最初の状態近く迄に戻ります。そうなったら、もう一度前処理スプレーで柔らかくして、細部の修正をするのです。」
 「そいつをあの坊主に着せるっつう訳ですね? でも、こんな体型にされるって知ったら絶対に着ませんぜ。あ、麻酔ガスで眠らせて着せればいいのか。」
 「いいえ。それでは意志に反して強制的に着せられた事になるでしょう。それだと入管で何か不審がられるし、ショウの反発も強いわ。ですから、自分の意志で着させますよ。」
 「そいつは・・・。」
 「勿論騙して着るようにし向けますが、ロジャーさんは黙っていて下さいね。着てしまえばスキンの溶剤を使わない限り脱げませんが、それでも月を飛び立つ迄は問題を起こしたくないですから。それに実際問題として、矯正機能が働き始めるには、ある程度の時間が掛かるのです。」

 風船人形に薄いビニールの袋を被せたような形だったが、しばらくすると少しずつ収縮を始め、段々と隙間の空間が無くなってきた。そしてピッタリと張り付くようになり、そのスキン色の風船人形と化した。

 「これが最終形っすね?」
 「いいえ、まだまだ。」

 メイは人形の足を開き、スプレーを吹き付ける。更にそのスプレーを人形の股間に押し付けて更に吹き込む。ロジャーからは見えていないが、人形内部の膣と子宮の構造に沿って人工スキンはその形に形成されていった。すぐに固定用のスプレーをその内部構造に吹き込み、収縮を防ぐ。同様に広がっている肛門の部分にも同様の処置をして、開いた直腸の内部構造に固定した。

 「さあ、これでいいわ。ショコたんを積めない以上、ショウにその代わりをして貰わねばならないのですから。それでは最終形態は決定でいいわね。」

 そう言いながら、新たなスプレーでその人工スキンの人形に満遍なく吹き付けるのだった。

 「でも、処置はまだまだ大変なのよ。そうそう、ロジャーさんにはこれも言っておかないと・・・。」
 「何すか?」
 「ママが今のショウの処置では、まだ入管を通過できない可能性を言ってくるわ。そして可能性として体型矯正スキンを使えばうまくいくかも知れないって事を言う筈。ですから、それについて始めて知ったという事にするのよ。そして在庫の中にちょうどいい大きさの物があるから探して下さいって事になるわ。」
 「エッ? もう打ち合わせしてあるんすか?」
 「いいえ、私とママとの間では、セックスに関する事ならお互いの考えが分かるのよ。だからこのスキンの変更が終わる頃を見計らって通信を入れてくる筈。」
 「ヘエーーッ。それがキクノさん達の超能力の一種なんすね。」
 「超能力という程でもないけれど、考え方が似ているからでしょうね。」

 メイは再び別のスプレーを人工スキンの上半身部分にに噴射し、柔らかくなった首の部分を大きく開き、内部の人形を引っ張る。そして胸の部分迄出して、風船人形の大きな乳房の乳首部分を操作し、エアーを抜いて初期状態迄戻した。そうやってもう一度スキンを被せ直すと、胸の部分の隙間が大きく、皺が寄って弛んでいる。そこにもスプレーを噴射すると、スキンは収縮して皺のないパッツリとした形状迄縮むのだ。

 「なかなか面倒なんすね。」
 「そうよ。しっかり下準備がきちんとした改造の要ですからね。」

 何度もスプレーで伸ばしたり縮めたりしながら形を決め終え、風船人形の空気を抜いて人工スキンだけになる。そして直腸と尿道の部分をレーザーで先端を切り、膣、子宮相当の部分を極端に細く絞って完成となった。
 それを畳んで袋に入れていると、通信受信の信号音が響いた。



 「はい、ママ。今度は何?」
 《性転換準備手術処置はいいんだけれど、入管の知り合いに確認したら、その程度迄は偽装結婚の前例があったらしいのよ。以前はそこ迄で充分だったのですけれどね。それで、どの程度迄処置すればパスするかを調べて貰ったわ。》
 「それで?」
 《女性化に必要なのは膣形成と体型女性化でしょう。特に体型女性化となると骨格の違いが大きいので、普通であれば骨格整形が必要ですけれど、とにかく元に戻せるという前提で入管パスが目的ですから時間もない事ですし、そこには手術道具も無いから・・・。》
 「そうよねえ・・・。やっぱり無理?」

 ショウはせっかくの希望がついえそうな話に涙を溢れさせていた。

 《確かその船の積み荷に人工スキンがあったわよね。》
 「ええ、体型矯正用のスキンが・・・、アアッ!!」
 《そうよ。そのスキンを着用させれば、いかにも体型矯正中って事になるのよ。でも、女性化体型のスキンですから、収縮が進むと結構強く圧迫されるわ。坊や、聞いてるわね?》

 ショウは大きく頷いた。

 《多分、きつくなるのは火星へ向かってる最中の時期の筈ですけれど、それでもスキンを着用しますか? これはしばらく脱げないし、本人の了承の元に着用して貰う物なのよ。》
 「着ます!! それで助かるのなら、少しくらい苦しくても・・・。」
 《苦しくはないわよ。まあ、少しはきついかも。それでも軽減する方法はいくらでもありますからね。ロジャーさん、積み荷の中に有る筈ですから出してきて下さい。》
 「了解。」

 ロジャーは二人の女性にウィンクをしてキャビンを出て行くのだった。


 「メイさん、これっすかね。」
 「ええ、それは矯正スキンだけれど、この子の寸法に合うかしら・・・。」

 袋から取り出した人工スキンを広げ、ショウに見せ付ける。

 「ウン、身長は合っていそうね。ロジャーさん、この寸法の物は他には何種類かありましたか?」
 「イヤ、それだけです。標準品だけっすね。」
 「ウーン、残念ね。ロジャーさんの好みに合わせてもっと大きなバストの物があれば良かったのに。」

 メイは袋から出して広げて見せた。

 (ウッ、体型矯正・・・って言ってたよな。確かに女物だけど、それを着れば命が助かる?)

 「まあ、仕方がないわね。こんな物でも着用すれば審査が通りやすくなるらしいから。」

 《それでも今迄の処置を続けないとならないですよ。私の方ももう少し情報収集を続けます。なにぶんにもその子の生命と私達の信用という大きな財産の為なのですから。》
 「はい、分かりました。」

 モニターが切れ、いかにも仕方がないという風のメイがショウの顔の前に近付いた。

 「いい事? これを着てもまだあなたはロジャーさんのセックス処理の道具に過ぎないのよ。名目的に結婚する事になるにしても、それはあくまでも名目だけなのですからね。素直にしていればいいけれど、そうでなければ真空の宇宙空間に放り出すという選択肢は残っているのよ。」

 ショウはただ頷くだけだった。

 「まだ信用した訳ではないわ。着せても拘束は続けます。だけど、着せるには拘束具を外さないとならないわね。ロジャーさん、後ろに回って、暴れたり、逃れたりしそうになったら締め上げてね。」
 「あいよ。坊主、気絶程度で済めばいいが、俺も宇宙空間での格闘ってのは経験がないんだ。力を入れ過ぎて絞殺してしまうなんて事がないようにしてくれよ。」

 ショウは震えながらも大きく頷いた。



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