マロエの星  ・・・第一章  遭難・・・  1

 西暦三千二百年。人類は既に恒星間飛行を達成していた。人類の生存圏は惑星上よりもむしろ宇宙空間にあると言った方が正しい。銀河系の辺境に発生した人類は少しずつその足跡を銀河中心部へと伸ばしつつある時代である。しかしまだ他の星系の人類との接触は無かった。この頃になると人類の生理的な状況も幾分変わってきている。この物語の主人公『オサム・ハギノ』は、歴史年齢二十五、生物学年齢十五。
  【注】歴史年齢・・・誕生の日から計算した年齢
生物学年齢・・コールドスリープ期間や亜光速による時間遅延を除いた年齢


 オサムは星間貨物船『ディッキーボーイ』の船長である。とは言っても他に乗組員は居ない。中古の軽貨物船であり、殆どオートマチックで仕事はむしろ貨物の積み卸しの時位しかない。宇宙の便利屋なのだ。だからこそ十五の少年でも出来る仕事だ。もっとも免許試験の方は相当難しかったが。


 「田舎周りだからすいてるのはいいけど、空荷の戻りは勿体ないなあ・・・。早くローンを返して、もっと新型の船を手に入れたい。そうすれば、こんな辺境周りしなくても済む。輸送費が割高なので儲けが大きいけど、不定期だからなあ。」


 空荷でスピードも結構出ている。田舎道だけあり、全く無の空間である。ビーコンも無く、通信機も全くの無音だった。

 〈ビープ、ビープ〉

 ワープに入ろうとコンピューター操作をしていると突然受信機が音を立てた。音声信号でなく、通常のデジタル通信でもないのでコンピューターはワープ計算を中止し、通信解読を始めた。意味のある通信ではある様だがなかなか解読が進まない。プロトコルが異なる上に思考概念が全然違う様で、しかも同一内容の繰り返しで情報量が増えていかない。内容は分からなくても発信源は比較的容易に確認出来た。思ったより近いのだが、その割りに信号強度は弱い。しかもレーダーに異常を確認した。オサムには初めての経験であるが空間位相歪と表示されている。通信内容は分からなくともこれで遭難信号であると確信し、船首を回した。

 全速で二時間後現場に到着した。遙か彼方に位相歪みらしい、いわゆる暗黒星雲の様な黒い空間が広がっている。その中から飛び出てきたであろう宇宙船はすぐに視認できた。かなりの速度だったが、すぐその船の横に着いた。

 「こんな弱い信号じゃ、他の船には届いていないだろうな。だけどあの空間は何だ? かなりの重力を受けているから、救助したらすぐに離れないと危険だ。」


 しかしオサムには見た事もない型の船であり、事実コンピューターも船籍確認が出来ない。何となく丸みを帯びた船体であり、かなり巨大ではあるが、操縦席の大きさから見てオサムの船と同じ様な一人乗り貨物船の様である。船体の大きさからは長距離用である様だ。光子力推進ではない様だが、ドライブアウト孔が過熱破損した様に見える。そして船全体に隕石の衝突を受けたらしい窪みがある。オサムは宇宙服を着て船体後部の非常ハッチらしい所を開けた。何か文字が書いてあるが全然見た事もない形だった。サブハッチを開けて更に中に入る。左腕のメーターにはエアOK表示が出ている。宇宙帽を外し長い通路を居住区の方へと向かった。機能的ではあるのだが、何となく殺風景な感じがする。ただ、技術的にはオサムの船と比べて、いやどんな船に比べても遥かに進んだ技術である事は容易に分かった。船の内部は完全に機能しているのだが、侵入に対する警報とか、発電部の振動音とかがまるで聞こえない。表から見た感じより内部はかなり広い。やっと通路の行き止まりに着くと、ドアがスッと開いた。操縦室はかなり広く、操作部は呆れる程簡略化されている。明るく綺麗なのだが、これまた殺風景この上ない。部屋の隅で微かな呻き声がした。オサムはさっと身構えた。長椅子に女性が一人横たわっていた。

 「エッ・・・。」

 流れる様な長い金髪で、肌は透き通る様に白い。そして半透明の薄い衣装の下には何も着けていない様で、美しい肢体が殆ど透けて見えている。顔立ちはそれ迄写真も含めて色々な女性を見てきたが、これ程の美人は居なかった。ギリシャ時代の女神像の様にも見えた。そして身体全体がオーラを発している様だった。オサムは下半身の高まりを理性で抑えて静かに近寄った。その時女性は僅かに目を開けた。驚きの表情でオサムを見つめたが、その目には余り力がなかった。

 「あなた****(意味不明)?」

 声としてでなく、直接オサムの頭の中に聞こえて来た。

 (エッ、テレパシーか?)

 「遭難信号を受けたので助けに来ました。」
 「****とは少し違うわね。あなたは人間なの?」

 オサムは少しムッとした。助けに来たのに猿か何かの獣の様に見ているのだろうか。女性は静かに起き上がったが今にも倒れそうだった。

 「ごめんなさいね。私の星の****に似ていたものだから。どうやら別の時空間に出てしまった様だわ。」
 「どうしたんですか? どこから来たのですか? 何か助けられる事は?」
 「歪に巻き込まれてコンピュータ系統が故障してしまったの。その為飛行用のエネルギーがゼロになり漂流していたわ。食料も全く無くなってしまって・・・。あら、あなたは****に似ているから、もしかすると食料が在るかしら。」

 女性は指をちょっと動かした。するとどこからか金属円筒が飛んで来てオサムの両手首、両足首に填まった。手足を四方に引っ張られ動けなくなってしまった。

 「ワーッ? 何するんですか。」
 「ああ、いい香りがするわ。食料を頂くわね。」

 女性は自由の効かないオサムの下腹部に指で触れた。すると、丈夫な筈の宇宙服がスッと切れた。生物学年齢十五歳のペニスが顔を出した。

 「ちょっと。イヤッ。何するの。ダメーッ!」

 指で軽く弄ばれると、たちまちペニスはムクムクと首を上げた。女性は嬉しそうな顔をして、

 「まあ、凄い。噂には聞いた事があるけど、大きく、硬く成っていくわ。ああ、美味しそう。」
 「ダメッ。止めて!」

 女性はオサムのペニスをパクッと喰わえ込んだ。まるで赤ん坊が母親の乳首を吸う様に、搾る様に吸われると、たちまち放出してしまった。女性はビクッとして、うっとりとして味わう様に飲み込んだ。

 「ああ、素晴らしいわ。味といい、濃さといい、口当りといい、最高ね。きっと死ぬ間際の幻覚なのね。最後に素晴らしい夢を見ながら・・・。あら? 何か身体中にエネルギーが満ち溢れてくる様だわ。まさかこれ現実なのかしら?」

 オサムはペニスをしゃぶられた快感と恥しさが交錯し、放心状態だったが、女性のオーラが一段と明るくなったのを見た。

 「夢じゃない。ボクはあなたを助けに来たのに・・・。」
 「まあ、それでは私戻れるかも知れない。あなたは別の時空間の異星人なのね。ウフッ。まるで****みたいね。でも****よりずっと素晴らしいわ。それでは保存用に食料を分けて下さいね。この瓶一杯あれば足りると思うわ。」

 女性は二十リットル位のアクリルで出来た様な透明な容器を持って来た。

 「そんなに出ないよーっ! そんなに出したら死んじゃう。」
 「あらーっ、困ったわ。そうだわ。アナライザーどうしたのかしら? 解析して何かいい方法を見つけて貰わなくては。ああ、時空歪から飛び出した時のショックでメインスイッチが切れてるわ。」

 女性はスイッチを入れた。ブーンという音とともにいかにもロボットという形の、円筒に半球を乗せたロボットが入って来た。

 「アナライザー、無事だったのね。急いでこの異星人の身体を調べて。素晴らしい食料の製造機能が有るのだけれど、量が少ないのよ。」
 「了解しました。」

 ロボットらしい合成音だが、この声もテレパシーでオサムの頭の中に飛び込んできた。

 「****の様な身体ですね。センサーとして****チェッカーを使いましょう。」

 ロボットはイソギンチャクの様な物を持って来た。そのイソギンチャクの中央部の穴をオサムの既に垂れ下がっているペニスに宛てがった。するとスポッと吸い込まれ、オサムの股間にぶら下がった。

 「ウワッ。いやだ! 外して!」

 イソギンチャクの触手が伸びてオサムの身体にまとわり付いてきた。穴の中にも触手が在り、尿道に侵入してきた。肛門にも数本押し入り、上に伸びた物は口と鼻の穴からの身体の中に侵入して行った。

 「ウゲッ。ゲボッ。」

 オサムは苦しさで悶えていた。触手が完全に口を塞ぎ、声が出ない。アナライザーはオサムの身体に関する情報を次々に伝えていった。

 「不合理データの為、再計測中。粗検索の結果、不合理データではあるが、正しい数値であると確認。」
 「不合理? その様には感じなかったけれど・・・。」
 「この生物の食料製造機能はほぼいっぱいです。それでも****と比較して、2桁以上のエネルギー、栄養分を含んでいます。この様な生物が存在するというデータはありません。」
 「エッ、2桁以上?」
 「概算ですが、およそ120倍程度です。保存性は良くありません。食料の中に生きた細胞が多量に入っています。『精子』と呼ばれる細胞ですが、極めて高蛋白、かつ高エネルギーです。まだ未成熟です。但し****と良く似た構造ですから機能アップ可能です。遺伝子情報検索により、効率の良い方法を策定します。」
 「すごいわね。それで法的に問題は?」
 「遭難状態ですから緊急行動として認められます。それに機能抑制ではありませんから問題ありません。」
 「機能アップ到達予想点は?」
 「誤差の範囲が大き過ぎ、非論理的な数値が算定されました。再確認します。」

 アナライザーは見た目は停止していたが、内部の電子回路は最大限に働いていた。

 「非論理は解消しません。しかしこの異星人が****と似た生命体であるという前提を修正すれば可能です。」
 「だけど、先程の食料は****と同じ様な・・・。ウーン、同じではないわね。遙かに素晴らしいわ。それで、現在出ている結果は?」
 「最大可能性、一回放出量百t。自発的放出回数、一日五回。強制放出は最大五十回。」
 「自発的放出って何かしら?」
 「この異星人は放出に際して快感を得る様です。機能を高めると放出したくてたまらなくなります。食料排出器、『ペニス』という名前がある様ですが、大きく成って、堅く成ります。長さ三十p、太さ六p。遺伝子解析の結果、非常に冗長度が高く、不合理な遺伝子配列の為、機能を制限されています。この事が既に****とは異なります。形はミーナ様が時々使う張り型に良く似ています。次にこの異星人、名前はオサムと呼ばれている様です。ナトリウム代謝がマロエ人とは全く異なります。マロエ人の場合、体内のナトリウム濃度を調節するのに水を排出して調節します。だから尿は百パーセント水ですが、オサム、地球人という種族では水の他にナトリウム化合物や体内の余分なアミノ酸も一緒に排出します。これは飲用に適しています。逆にミーナ様の排出水は地球人の飲用に適しています。消化器官がかなり原始的です。」
 「オサム、変わった名前ね。オサムから食料確保する為の栄養補給はどうするの? この船には積荷の****用の餌しか積んでないけど、****に似ているからといって****の餌を食べさせるなんて事は出来ないわ。そこ迄非人動的な事は許されないわ。」
 「****とは消化器官の違いから、もし食べても『胃』の酸で効力を失います。機能、構造から見ると****よりも人間に近い為、栄養に成りません。しかし****同様、出口『肛門』から入れてやると『大腸』、『小腸』は中性、アルカリ性ですから消化吸収されます。尚この種族本来の消化方法は極めて原始的、かつ効率が悪いので大量の固形排泄物を出しますが、『大便』と言う様です。そして体内分泌物の一部を少し変えるだけで、素晴らしい固形食料に成ります。結論としてオサムが排出する物は全て良い食料です。ン? 胸に未発達乳房が在ります。これを発育させたとすると『牛乳』に似たお乳が搾れます。」
 「本当? でも、いくら非常事態とはいえ、精神破壊させる事はできません。」
 「否定。その必要はありません。遺伝子解析の結果、この生物には元々その機能が存在します。」
 「まさか・・・、そんなに食料製造機能を持った生物、いいえ文明人なんて聞いた事ないわ。しかも両方の製造機能を備えているなんて。是非とも連れて帰りたいわ。でも他の文明人をその意志に反して連れて行く事は禁止されてるわよね。」
 「可能性有り。その一。食料は素晴らしいが、保存が殆ど効かない。ミーナ様生存の為の緊急行動と見なされる。その二。既にこの船は再び時空位相歪に引き込まれ始めた。オサムが自船に戻る事は不可能。」
 「じゃあ、その可能性に賭けてみましょう。」
 「了解。オサムの船の積荷はどうしましょう。かなり原始的な輸送船です。しかも空荷らしいので、日用品程度しか積まれていません。今なら外部マジックハンドで船倉部のみ切り離し、この船の空き倉庫に入れておけます。」
 「分かったわ。出来るだけ積み込んでおいてちょうだい。後で必要なのに時空歪に消失してしまったなんて事のない様に。」
 「さあ、これで決まりました。機能アップ改造をしながら、記憶検索で解決方法を見つけてみます。既に急速成長飼育剤を地球人用に作り直しました。」

 アナライザーは透明な樹脂の塊の様な物を三つ運んで来た。一つは長い棒状で、後の二つは球形をしている。イソギンチャク型の****チェッカーを外され、オサムは荒い息をしていた。アナライザーはオサムの上衣をまくり上げ、胸に二つの樹脂を押し付けた。ジュッという音がして、樹脂はオサムの胸にくっ付いた。

 「アギギーーッ。ビイーッ!」

 胸の皮膚を引きちぎられる様な痛みに悲鳴を上げた。アナライザーは構わず、もう一つの樹脂棒をオサムのペニスに押し付ける。これまたジューッと音がして、ペニスは樹脂の中にめり込んで行った。

 「ギィエーッ!!!!」

 オサムは鋭い悲鳴を上げ、気を失った。

「あら、大丈夫?」
 「痛みを強く感じる種族ですので、失神してしまいましたが御心配なく。充分に分析した結果、完全にOKですから。」

 胸に付いた樹脂塊は段々半球状に成り、その形は大きな乳房状に成ってきた。樹脂は皮膚に付いた部分が徐々に溶けて皮膚内に浸透していくのだった。その為、胸は樹脂塊の中に少しずつ盛り上がりを見せ始め、ペニスの方も樹脂棒の中で同じ様に少しずつその大きさを増してきた。陰嚢も樹脂の中に埋没し、段々膨らんでくる。

 「アナライザー、この成長剤の量からすると、まるで重犯罪者のような形になりそうだけれど・・・。」
 「肯定、一部否定。重犯罪者の場合より、推定体積約5倍です。しかしこの生物の最大可能体積に比し、約1/5と推定されます。しかし機能強化を主とします。」
 「楽しみだわ。ねえ、アナライザー。どうせならもう少し人間らしく成らないかしらね。」

 マロエ人は皆毛髪が長く、****は殆ど毛が無い。その為にオサムがミーナに人間と思われなかったのだ。

 「了解しました。記憶検索の結果、地球人にも毛髪を長くしている種族があり、オサムも伸ばす事が可能です。髪型は色々ある様ですが、記憶の中に『博多人形』というのがあり、意味は今のところ不明ですが、気に入っている様なのでその様に整髪します。ところでオサムを連れて帰らざるを得ない訳ですが、『その意志に反して』という部分の解消方法が見つかりました。地球人の習慣の中に『結婚』というのがあって、『結婚』すると常に共同生活をしなければならない様です。どうやら一方が他の一方を私有出来る様です。普通はオサムの種族が上位なのですが、『SM』という手法で簡単にミーナ様の私有物に出来ます。」
 「フーン。色々難しいのね。『SM』して『結婚』すればオサムは私の持ち物になるの?」
 「ちょっとニュアンスが違うのですが、とにかく『結婚』は簡単な儀式ですから成長が済んだら早めにしてしまいましょう。しかし異星人とはいえ人間には違いないのですから人格の尊重は必要です。」



 オサムの胸も既に普通人の乳房より大きく成っていた。しかし乳搾りが可能で最大級の生育をさせられる為、まだまだ時間が掛かる。ペニスもグロテスクな程大きく成っている。しかしまだ樹脂はたっぷり残っており、更に生育される。アナライザーは『SM』と『結婚』の準備の為部屋を出て行った。ミーナは暫くはオサムの生育を眺めていたが、船の状況把握と帰還の準備を始めた。オサムは部屋の真ん中で釣り上げられた様な格好で乳房とペニスを更に更に成長させられていくのだった。



 「グム・・・?」

 オサムは不快感の中で目を覚ました。なぜか身体中が重く、動きがとれない。ふと、下を見ると何か大きな肉塊が視野を遮っている。股間の感触も変なので少し腰を振ってみた。

 「意識が戻りましたね。」

 ミーナが大きな姿見を押して来た。その鏡にオサムの身体が写った時、ジッと見つめた後、それが自分自身の姿であるとは暫くは分からなかった。身体を少し動かし、鏡の中の姿が自分の姿だと理解した時、オサムは大きな悲鳴を上げた。

 「ワーッ、ウソだーーーっ!」

 鏡に写っていたのは、バストがまるでポルノの外人女性以上の大きさで、もし自分自身でなければふるい付きたくなる様なツンと張った見事な乳房だった。しかし下半身はバットの様なペニスが突き上げていた。睾丸も玉は握り拳程の大きさでぶら下がっている。黒い革の様なSM風のオールインワンを着せられていて、胸とペニスは剥き出しで強調されている。足は極めて高いハイヒールのブーツになっている。毛髪は直毛の長髪で、博多人形型に成っていた。顔は元のままに近いが、幾分整形されたのか、かなり少女っぽい顔にされている。両手足は相変わらず金属円筒が引っ張っていた。肉体的には目覚めているが、精神的には気絶しているといった様な状態だった。


 「ねえ、アナライザー。地球人て思ったより可愛らしく成るのね。この髪の毛は本物なの? マロエ人でもこれ程美しい直毛の人は居ないわ。黒い毛髪がこれ程綺麗だなんて知らなかったわ。ヘアースタイルはこれもオサムの記憶の中にあったの? これ程単純な形が美に繋がるなんて知らなかった。」
 「かつらではありません。この外にも色々なスタイルの記憶があります。バリエーションが多いですから色々替えられます。この髪型がオサムが一番好ましい形の様です。ただ自分自身に関してではないですが。」
 「奇妙な格好ね。これでいいの? だいぶ人間らしく成ってはきたけど、双頭の張り型を着けているみたいわ。この衣服はとても斬新ね。地球人はこの様な格好しているのかしら?」
 「いえ、これは極めて特殊な衣服です。『SM』用の衣服で、これを着せられるという事はとても屈辱的な事らしいです。記憶の中にある衣服は有機質繊維なのですが、外見だけ似せた合繊を使用しました。裁断縫製ではなく、オサムの身体に直接繊維を編み上げた無縫です。伸びない繊維ですから溶解させない限り脱げません。」
 「靴も変わった形ね。大体こんな不安定な靴では歩き難いでしょう。本当に不合理な種族だこと。」
 「自由を奪う為です。しかしこの靴で歩くには背をしっかり伸ばしてないと歩けませんから、歩く姿を美しくする効果はあります。ところでこれから行う儀式は地球人にはとても重要なものです。この地球人をミーナ様の所有物にする為ですから、どんなに不合理であってもパネルに表示した言葉と動作をきちんと行って下さい。特に『おだまり!』これは重要です。オサムが従わない時に使う事です。」
 「『おだまり』ね。分かったわ。ところでアナライザー、食料製造機能がアップしたのでしょう? 試してみていいかしら?」
 「了解しました。それでは必要事項をオサムに伝えます。その後の方が儀式をスムーズにする為にも役に立ちます。」


 アナライザーは呆然としているオサムに近付いた。

 「地球人、オサム。あなたの現在置かれている立場を説明します。この船は再び時空位相歪を滑り落ちています。帰還不可能です。もし戻れたにしても、オサム、その身体で戻れますか? あちらに居られる方はミーナ様と言って、あなたの御主人様です。あなたもある程度分かってはいると思いますが、地球人の精液はミーナ様、マロエ人の良い食料になります。小便と大便も優秀な食料になります。胸もご覧の様に大きくしました。間もなくお乳が出る様に成ります。一生家畜同様の奴隷として生きるか、それとも大人しく従うならミーナ様と結婚させても良いですが、どうしますか?」

 オサムは泣きながら、

 「イヤダーッ。この身体元に戻して。帰してよーっ!」

 アナライザーがミーナに合図をした。

 「おだまり!」

 オサムはびっくりして口をつぐんだ。

 「私はロボットですから合理的な考えをします。結婚する事をお勧めします。良く考えて下さい。ところでミーナ様があなたの食料をお求めです。大人しくして食料を出しなさい。その方があなたの為ですよ。」

 ミーナが近付いて来て、オサムの股間に座った。その大きく突き上げたペニスをいとおしそうに撫でて

 「立派に成ったわ。早速頂くわ。」

 亀頭の先端に唇を当て、チュッチュッと吸い始めた。前とは違い亀頭は大きく成っているので、ミーナの口には入り切れない。そして快感も数段増している。アッと言う間に達してしまった。精液は最初は勢い良く、続いてドクドクと溢れ出て行った。ミーナはタイミング良く飲み下していった。

 すっかり飲み終り、未練気にペニスを吸った後、口を拭いながら

 「ごちそうさま。素晴らしいわ。生育前も美味しかったけど、今度の方が量も味も最高よ。」

 オサムは射精後の虚脱感、疲労感でぐったりしていた。

 「胸は、形は出来ましたが、乳が出るのにもう少し時間が掛かります。」
 「地球人の乳房の大きさというのが分からないのですが、既に『牛』よりもかなり大きいですよ。これは単に細胞増殖だけではないのね?」
 「まだ精密に検索はできていませんが、この生物の個体差はかなり大きいのですが、不合理な遺伝子構造による抑制遺伝子の影響があるようです。緊急時ですので、食料生産機能を抑制する遺伝子を無力化しました。」
 「それこそ不合理に生物ですね。はたして人類という範疇に入るのかどうか・・・。あるいは地球人という種族に属する家畜ではないのでしょうか。」
 「それはないようです。しかし家畜が進化したという想定は排除できません。その可能性の一端として、僅かな分泌物変更で排泄物迄食料化できるという事の合理的説明になると考えられます。固形物(大便)は、いまオサムの中に在るのは分泌物変更前の老廃物で味、匂いとも良くありません。一度全部出してしまってから体内で生産させます。地球人には色々と伝統と言うか、文化と言うか、本人の意志に無関係に強制する技術は進んでいる様です。記憶検索によると、この様な内容の記憶は、実行記憶ではなく、知識領域、特に願望領域に非常に大きなウェートで存在しています。『浣腸』という技術は排泄を強要するのですが、地球人の場合排泄を他人に見られる事は極めて異常な恥しい事にも関わらず、排泄させてしまうのです。それでいて『肛門栓』という『SM』用品は、逆に排泄をさせない不合理な物です。この二つを同時に使用すると、『浣腸』をされた時には排泄に耐えようとし、排泄行為を見られたくないと願望するのですが、『肛門栓』を着けられると、その恥しい行為である排泄を見られても良いから『肛門栓』を外して排泄したいという願望に変わるのです。肛門を他人の目に触れさせ、本人の意志に反した行為をされると主従関係が決定される様です。ですからミーナ様がオサムの肛門を操作する事はこれからのオサムの意識付けに大きな影響と効果を与えます。ですから『浣腸』はミーナ様ご自身で行って下さい。後始末は私がします。その後、****用の餌を肛門から摂取させる為の機能アップをしますが、その全段階として『肛門拡張』をして頂きます。これもオサムには恥しい、つらい行為になります。道具に関しては全てオサムの記憶にある形の物を工場ブロックで作製中です。宜しいですね、ミーナ様。異星人とはいえ、かなり人格を無視する行為でミーナ様もつらい事になりますが、生還の為の緊急避難であるという事を心に止めておいて下さい。」
 「分かったわ、アナライザー。私も頑張るわ。オサムの身体だけでなく精神も私の所有物になる様しっかりやるわ。」
 「それでは先ず簡単でかつ最も重要な『結婚』を行いましょう。」

 アナライザーは泣いているオサムの前に行った。

 「オサム。これから結婚式を始めます。」

 オサムはびっくりして叫んだ。

 「イヤダーッ。こんな格好で結婚なんか出来ないよ! 結婚て、もっと明るくて、楽しくて、祝福されるもんだ。こんな惨めな、恥しい、情けないもんじゃない。ボクはこんな結婚する為、今迄生きてきたんじゃないよ!」
 「おだまりっ!」

 再びミーナはタイミング良く叫んだ。オサムはシュンとして黙った。ミーナはこの言葉の効果に満足していた。

 「オサムが気を失っている間に『婚姻届』を用意しておきました。ここのサインを見てご覧なさい。これはオサムの記憶から直接コンピューター処理をして書いた物だから偽造という訳ではありません。既に拇印も押してあります。これを地球の役所宛に電送します。正式文書ですから、受理されたら、解消には裁判手続きが必要ですね。」
 《登録されたの?》
 《電送処理はしました。しかしながら既に亜空間内ですので受信はされません。これはあくまでも送信したという事実だけを残す為の処置です。》
 「さあミーナ様、『新郎』オサムの隣に立って下さい。」

 ミーナはオサムの隣に立って、ニッコリ微笑んだ。

 「これより『新郎』オサムと『新婦』ミーナとの結婚式を行います。新婦は新郎の左手第四指にリングを挿して下さい。」
 「イヤダーッ! こんな結婚したくない!」

 オサムの引き上げられていた手は左手だけが水平に下りてきた。顔を背けているオサムと対照的にニッコリしているミーナはオサムの薬指に指輪を填めた。

 「これにてオサムとミーナの結婚式は無事終了致しました。引続き披露宴を兼ねた『初夜』を向かえて頂きます。」
 「アナライザー。こんなものなの? もっと手間の掛かるものと思っていたけど。」
 「そうなのです。でもオサムの表情を見てご覧なさい。結婚とはどんなに重要な意味を持つものか分かるでしょう。」
 「そうね。凄く真剣で深刻な顔をしているわ。ところで『初夜』って何かしら?」
 「『結婚』はまだ半分しか済んでいません。『初夜』とは初めて二人で『セックス』する事です。」
 「またまた難しい地球語ね。何それ?」
 「食料製造器の『ペニス』をミーナ様の膣内に入れて『精液』を放出させるのです。そうする事によって『夫婦』に成り、結婚は完全なものになります。」
 「それは自慰みたいわね。あ、違うか。双頭張り型を使ったレズみたい形ね。生きた張り型っていうのも興味あるけど、少し太過ぎないかしら。それに食料をそんな風に使うなんて勿体ないわよ。」
 「ミーナ様。地球人は精液を食料にはしていないのです。そしてペニスは小便の排泄と『セックス』に使用する器官なのです。ごく当り前の事なのです。地球人から見てもレズは社会通念上不道徳な行為らしいのです。『セックス』をすると快感を得られるので、地球人は愛し合うのですが、今回はかなり強制的にしますから、何回も『セックス』しないとミーナ様の所有物にはなりません。さあ、ミーナ様。衣服を全部脱いで身体をオサムに見せて上げて下さい。拒絶の意志が減るのです。」

 ミーナは言われた通りに服を脱ぎ、その裸体をオサムに見せた。オサムは唖然とした。余りに美しかったからである。そして女性の裸体を直接見るのは初めてであり、それがこれ程美しい裸であったとは。先程迄オサムに色々変態的な事をした女性とは思えない、清楚で気高い美を感じた。アナライザーの指示により、ミーナはオサムをベッドの上に仰向けにした。

 「ミーナ様、ペニスをゆっくり膣へ納めるのです。」

 ミーナは微笑みながらオサムを跨いでペニスの先端を股間に宛てがった。オサムは理性がかなり無くなっている。童貞喪失がこんな形で来るとはとても想像してはいなかった。前後の事は既に考えていない。ミーナの股間に神経が集中している。ミーナは少しずつしゃがんでいった。亀頭が埋没し、やがてペニスのかなりの部分がミーナの体内に納まっていった。

 「ミーナ様、上下に動いて、膣でペニスを良く摩擦して下さい。」
 「こ、こうかしら?」

 ミーナは言われた通り腰を上下に揺すった。

 「ア、アッ。ふ・・・太い・・・けど・・・、いいわ。アナライザー、凄く気持ちいい。こんないい気持ちのレズ初めて・・・。」
 「レズではありませんよ。これが『セックス』ですよ。」

 ミーナは仰け反る様に喘ぎ、オサムは身体を動かせないながらも腰を揺すり、ミーナの動きに合わせていった。そして絶頂に達した瞬間、精液はミーナの子宮内に一度に流入して行った。

 「ア、アフッ!」

 そしてミーナを覆っているオーラは眩しく、目を開けていられない程の輝きを放った。
 二人は繋がったまま暫く抱き合っていた。

 「ねえ、オサム。『セックス』って、素晴らしいものなのね。これも地球の文化なのかしら。科学的な合理性はないけど、なぜオサムの記憶の中に『セックス』に関する項目が多いのか、やっと分かったわ。」

 オサムは答えなかった。というより、答えられなかった。自分をこの様なとんでもない身体に改造し、二度と地球に戻れない事になり、悔しく恥しい筈なのに、たった一度ミーナと結ばれただけでいとおしさが湧いて来るなんて、これこそ不合理だった。それに『SM』にも興味を持っている。まるで全く新しい技術を目の当たりにした科学者みたいに、希望に満ちて『SM』をやってくるだろう。

 (しまった。ボクの船の積荷はどうなったろう。まさか隠してあるあれが見つかったら・・・。)

 「ミーナ様。とりあえず『結婚』の儀式は終了しました。如何でしょうか、お身体の具合いは。」

 ミーナはゆっくり起き上がり、

 「素晴らしかったわ。有難う。でも何か調子が違うのよ。身体が軽くて、精神的にもフワフワしていて、まるで子供の時の様な状態だわ。」
 「やはり少し無理があった様ですね。食料を直接ミーナ様の体内に放出させましたから、それで拒絶反応が出たのかも知れません。健康状態をチェックしましょう。」

 アナライザーはミーナの腕にベルトを巻き付けた。


 「どうしたの?」
 「チェックベルト異常無し。データに不合理な値があります。再度チェック。ミーナ様。データ非論理的値です。」

 ミーナは不安げな様子で

 「悪いの?」
 「いえ、逆です。良過ぎるのです。ミーナ様の過去の健康度は最高でも150でしたが、今の値は230です。精神的高揚度は最高110でしたが、これも180になっています。更に生理年齢ですが、ミーナ様何歳でしたか?」
 「28.6±1.2だったわ。」
 「現在22.5+0.2−1.3です。若返っています。」
 「まあ、本当? それでこんなに気分が軽いのね。」
 「食料には若返り物質の存在は確認出来ませんでした。体内に直接摂取による効果かどうかはまだ分かりません。或は一時的なものかも分かりません。暫く様子を見てデータを集めないと判断出来ません。」
 「『結婚』でこれ程素晴らしい効果を上げるのなら、『SM』も何か良い効果を得られるかも知れないわね。アナライザー、オサムの船の積荷はどうなっているの?」

 オサムは慌てた。

 「ダメッ。手を触れないで!」

 アナライザーはオサムの頭にセンサーを当てた。

 「ミーナ様、オサムの積荷の中に他人には見せたくない品物が在ります。『セックス』に関した本類、特に『SM』に関した物は、その道具類が在ります。」
 「ねえ、オサム、見せてちょうだい。」
 「イヤ。恥しい。」
 「文明の違いかしら、その『恥しい』という意味も良く分からないわ。ねえ、アナライザー。持って来て・・・。あら? アナライザー。どこ行ったのかしら。」

 ミーナは静かにペニスを抜いた。湯気を立てているペニスをチョンと叩いてベッドを下りた。鼻歌を歌いながら衣服を着始めたが、鼻歌が出ている事に気付きペロッと舌を出した。

 「どうしたのかしら。私かなり軽くなっているわ。」
 「ミーナさん。お願い。自由にして。」
 「ウーン、困ったわね。まだオサムの事良く分からないから、アナライザーが来てからね。『SM』するのに、そのままの格好で居ないといけないらしいし。ねえねえ、オサム。オサムはどんな『SM』が好き? 『SM』にも色々あるらしいわね。私一生懸命勉強するわ。」
 「そんなもの勉強しないでよ。アーッ!」

 アナライザーが浮遊リフトで、オサムの恥しい品物を運んで来た。エロ本、ポルノディスク、女性用下着、オムツ、バイブレーター、下半身用の医療器具、その他数々の卑猥用品をことごとく運んで来たのだった。オサムは真っ赤になっていたが、救いはミーナがそれらの物の用途を全然知らない事だった。

 「これがオサムの『恥しい』物なの? この原始的な映像(写真)に映っているのはオサムより幾分私達に似ているわね。でも殆ど同じポーズね。なぜ皆足を開いているのかしら? アラ、この衣服は今オサムが着ているのと同じ様ね。でも『ペニス』は無いわね。ウン? この、跨っている物は何かしら。」
 「それは『オマル』です。『大便』という排泄物を受ける容器です。オサムの積荷の中にも在りますよ。」
 「ミーナさん。お願いだから自由にして。」
 「アナライザー、どうする?」
 「『セックス』の後は疲労が激しい筈です。興奮状態のせいか、眠気は無い様ですが、地球人という種族は特にきちんとした睡眠が必要です。」
 「オサム、暫く休んでいてね。その間に地球の文化を調べてみたいから余り邪魔しないでね。」

 アナライザーはオサムの顔にガスを吹き付けた。オサムはたちまち眠りに落ちてしまった。

 「ミーナ様、この色々な文化財はある程度整理しませんと、統計的なデータが得られません。オサムの疲労回復の為には記憶検索もしない方が良いと思います。ミーナ様も地球人の習慣に従いお休み下さい。その間に分類整理して、お目覚め後オサムの意見を聞きながら研究調査しましょう。」
 「『結婚』したのですから、抱き合ってお休みなさい。そういう習慣です。」
 「でも、この『ペニス』が間になるから、うまく抱けないわよ。」
 「ああ、そうですね。それではペニスをミーナ様の身体に納めてしまえば抱けるのではないですか。但し今度は『セックス』の様な摩擦運動をしないで、静かに挿れるのですよ。『セックス』は二人で一緒にするものです。一人でしてしまうのはオナニーと同じです。」

 ミーナは再び衣服を脱いでベッドの上のオサムを跨いだ。ペニスは硬く勃起したままにされているので、ミーナがしゃがみ込むにしたがい、体内に埋没していった。再び『セックス』の快感を思い出し、ピストン運動をしたいという思いが募ってきたが、何とか我慢し、少し不満そうな顔をして横抱きの姿勢でオサムの乳房にミーナの乳房を押し付けた。

 「ねえ、アナライザー。私にも何か『SM』風の衣服を作ってくれない? オサムの服を見ているだけでも何かこう・・・下半身が熱くなって来るの。こんな気分は初めてよ。最初は奇異な感じを受けたけど、見慣れると今迄に感じた事のない特殊な美を感じるの。少し危険だとは思うけど、私自身非論理的思考に魅力を感じて来ているし、この感情の高まりは理性とは全く別物の様だわ。自分で感情を制御し切れなくなっているわ。アナライザー、私が眠っている間に精神分析しておいてね。この非論理的思考を論理的に分析出来れば、・・・あら、やっぱりおかしい。ダメ、私寝る。」

 自分自身で支離滅裂になっている事に気付き、ややふてくされ、横になった。

 「ミーナ様、今日は精神的に不安定になっています。ゆっくりお休みなさい。」

 アナライザーはベッドの付近だけを薄暗くした。そしてオサムの船から運んで来た、オサムの恥しい品物を静かに分類し始めた。



 翌朝、とは言っても空間位相歪の中を漂流している間は時間がまともに進んでいるのではないので、要はミーナが心地良く目覚めた時という意味であるが。

 「お早よう。アナライザー、まだ頑張っていたの?」
 「お早ようございます、ミーナ様。如何でしたか? まだオサムは起きていない様ですが。地球人の俗語の中に『起き抜けの一発』というのがありますが、目覚めてすぐに『セックス』をする習慣もある様です。オサムが目を覚ます迄にお食事をしてしまいますか? ああ、そうでした。保存食料は全然無かったのですね。」
 「そういえば変ね。おなかすいてないわ。昨日最初に一回、そして改良後に一回でしょ。寝る前の『セックス』の分が効いているのかしら? もしそうならオサムや****みたいに私も下の口から食事出来るのかしらね、フフフ。」
 「エネルギー価は高いですから子宮から吸収してエネルギーに成っているのかと推定されます。」
 「早くオサム目覚めないかな。アナライザー、それ迄今迄の分析結果教えて。」

 アナライザーは向きを変え、ミーナに解説を始めた。

 「ここに在る資料だけでは推論の域を脱しません。後で少しずつ訂正していく必要がありますが宜しいですね。」
 「結構よ。」
 「地球人とマロエ人とを比較していく事により、その文化、伝統の違いを解釈していきます。人類としての歴史は地球人の場合驚く程短く、不完全とはいえ宇宙飛行を行う技術を得ているのですが、外部からの技術援助が無いのです。地球は宇宙の中の辺境に在り、独自に発達していった様です。簡単に言えば『頭の良い原始人』です。精神的、肉体的にかなりの動物性または野獣性を持っており、しかもそれを自覚し、余り表に表したくないと思っています。これは大昔のマロエ人もそうだった筈です。その為マロエ人は人間性の向上に励み、理性と論理を重視し、動物性を排除してきました。ところが地球人は動物性も人間性に矛盾しないと考え、非論理にも非論理なりの論理があると考えたのです。科学技術の発展は論理の積み重ねで、完全な論理の上に新しい論理が発見されるものですが、地球人は不完全な論理でもその上に別の論理を乗せてしまうのです。後の論理が正しく、その論理により、土台の論理を変えてしまう。結果的には同じですが、経過がまるで違います。」
 「そんな事でまともに科学技術が発展するの?」
 「結果がオサムの星です。人工衛星成功後、まだ千数百年しか経っていないのです。動物性を否定しない思想の為人口増加は人類がその肉体で直接行っています。地球人は男と女の種族が居て、女が子を産み、育てます。写真の大部分がその女の映像です。『セックス』とは交配の事なのです。しかし『セックス』には快楽を伴い、交配目的の為より、圧倒的に快楽追求の方が多い様です。マロエ人のオナニーもレズも元々は『セックス』と同じ行為の変化発展してきたものなのです。しかしオサムには相手が居ないので写真を見ながら溜った精液を放出するのです。写真のポーズは精液放出の促進に効果のある視覚刺激らしいです。」
 「大体分かったわ。映像は後で見てみる。色々な品物が在るけど、何に使う物なの?」
 「使用方法は殆ど写真にもありましたので分かりました。ただかなり原始的ですね。伝統と儀式的効果の意味もあるのですが、技術の及ばない面もある様です。マロエの科学技術を持ってすれば、より効果のある取扱いの簡単な器具を作れますよ。アイデアに関しては独創的です。レズ用品として案外売れるかも知れませんね。」
 「そうね、一手販売出来れば新しい商売になるけど、どんな物なの?」
 「では、先ず『浣腸』から。これがごく標準的な浣腸器です。この中にグリセリン溶液を入れて肛門に注入します。大昔の注射器と似ています。確かにこの方法は宇宙軍の緊急医療法にもありますが、楽しみの為に使う事はないですね。これはゴム球浣腸器。液体だけでなく、空気浣腸にも使えます。これはバイブレーター浣腸器。直腸の中に挿入して於て振動を与え、気持ち良くしておいて浣腸液を注入してしまう為のものです。次はイルリガートル。水圧と腹圧の差を持たせ、注入します。被注入者に量を分からせます。これは幾分技術的になって、コンプレッサー式の浣腸器です。人工肛門を着けている時の自動式浣腸器です。さて『肛門拡張』に関する用品。一番原始的なブージー棒。オイルを付けて太さを少しずつ太くしていきます。これは肛門拡大鏡。挿入してここを握ると拡がります。」
 「肛門を拡げてどうするの? 便秘にだって必要ないわ。」
 「昨日も言いました様に、肛門を制する事は人格も制する事になるのです。人工肛門取り付けの時には必要なのです。」
 「人工肛門? これも意味が分からない。治療用ではないのでしょう?」
 「人工肛門とは肛門の開け締めを本人の意志ではなく他人の意志でするのです。」
 「他人って、それでは排泄はどうなるの? 排泄したい時に出来なかったり、必要のない時に漏れてしまうわよ。」
 「その通りですよ。そういう風に使うのです。浣腸した後締めたままにしておくとか、衆人環視の中で排泄させるとか。」
 「随分惨い事を考えるのね。『SM』の心髄ね。」
 「その通りです。但しオサムに着ける事は食料貯蔵、****用の餌を肛門から入れ、吸収させる目的には絶対必要です。苦痛を与えないで、ミーナ様が操作する為には不具合ですから、この思想を元に新たに製作します。次の小物は『肛門栓』です。人工肛門より軽い目的で排泄を制御しますがこれは抜け易く、どちらかというと便意を持続させ、肛門を責めているという意志を伝える器具です。この長いのはその意味の通り『尻尾』です。軽い意味の物はこちらの飾り程度の物で、こちらのは肛門に装着されると本人には抜けない物で、肛門栓と同じ効果があり、より屈辱的な物です。それからこちらの瓢箪型の物はやはり『尻尾』の一種ですが、金属の鋳物で出来ており、装着されると本人には外せません。立ってはいられません。移動するには抱えなければなりませんから、手を拘束しておくと座ったまま動けない様にする目的の物です。今迄の物は肛門に対する拘束具でした。次は男には使えません。女性専用です。ですからマロエ人には使えます。先ず膣を責める為の道具として、拡大鏡があります。文字通り膣を拡げる為の物です。」
 「治療目的でなくて、なぜ拡げる必要があるのかしら。」
 「ミーナ様、ご自分がされたらどう感じますか? これを使う時は当然手足を拘束され、衆人環視の中でですよ。」
 「まあ。考えた事もなかったわ。みっともないわよ。」
 「その程度では済まないと思いますが、こちらはバイブレーター。挿入して振動させます。張り型と同じ様な物ですね。これもバイブレーターの一種ですが、設置場所が子宮の中で、軽手術で子宮に納めます。ですからこれも本人に取り出し出来ないタイプです。張り型の部分は子宮から伸びて出てきます。何とも地球人というのは意志を無視して行う事が好きな様で・・・。」

 やっとオサムが目覚め掛けた。

 「お早よう、オサム。ゆっくり休めた? 早速始めましょう。」
 「ん? 始めるって? ウワッ!」

 オサムはペニスが既にミーナの体内にスッポリ納まっている事に気付き唖然としていた。ミーナはすぐに騎乗位の形を取り腰を上下に揺すっていた。

 「アウッ!」

 オサムは精神的には昨日からの屈辱感で拒絶したかったが、身体の方はすぐにでも発射出来る程溜っていた。手足を拘束されているという事が逆に刺激ともなり、セックス許容を正当化させる事にもなっていた。ミーナは一晩中オサムのペニスを納めており、ずーっと我慢をしてきていたが、やっと始める事が出来、既に有頂天になっていた。アナライザーは表情というものを持たないが、もし有ったとしたら、呆れ顔に成っていただろう。実際マロエ人は奥ゆかしく、特にミーナは感情を表に表わさず、思慮深い無口な性格であった筈だ。こんなに明るく活発な、そして自分の意志のままに行動するなどという事はなかった。アナライザーは次に行う、オサムへの『浣腸』の準備を始めた。ミーナ達は激しくピストン運動を続けていた。

 「アア、オサム。好きよ。いい、いいわ。ね、お願い、頂戴。」

 ミーナは喘ぎながら更に激しく腰を上下した。膣壁で強く亀頭を締め上げ絶頂に達しようとする時、オサムも登り詰め放出した。ミーナはビクンとして仰け反る。再び大量の精液がミーナの子宮内に圧入された。ミーナにはその味が分かる様な感覚があった。

 「ああ、オサム、美味しいわ。どうしたのかしら、とっても美味しいという事が分かるの。味が分かるのよ。ね、オサム。私から逃げないで。『結婚』したんだから私の物よ。うんと『SM』して、私から離れない様にするわ。」

 二人はぐったりとしてベッドに横たわった。ミーナは涙を流していた。マロエ人が涙を流すのは、目に塵が入ったか、苦痛が激しいかの時である。感涙とか嬉し泣きという言葉は存在しない。自分がなぜ涙を流しているのか理解出来ないが、涙を流す事の心地良さを感じていた。


 一時の後、アナライザーが浮遊リフトに色々な道具を用意してやって来た。

 「オサムさん、『浣腸』の用意が出来ました。ミーナ様に『SM』を色々教えて頂きます。老廃物は全部出して頂きませんと食事をしてもミーナ様用に食料が出来ませんので。」
 「いやだ! 浣腸なんかよして!」
 「ミーナ様、『猿轡』をして下さい。地球人は口を塞がれると自分の意志を伝えられません。意志に逆らって行う事はつらいと思いますので、ご自分の精神の安定に役立ちます。」

 ミーナはアナライザーの差し出した猿轡を指示された様にオサムの口に宛てがった。自動化された猿轡は口に当てただけでクルリとオサムの口を塞ぎ後ろ側でパチンと止まった。

 「はい、結構ですよ。ミーナ様、これでオサムは自分の意志を伝える事は出来ません。生理的な限界は私が脳波を調べお知らせしますから、ミーナ様はご自分でオサムになさりたい事は何でも試みて下さい。」

 ミーナは静かにペニスを抜きながら、

 「いいの? 意志を遮断するなんて、こんな事考えた事もなかったけど。」
 「全く地球人の文化には驚かされますが、これも『SM』の一要素なのです。さあオサムを床に下ろして四つん這いにして下さい。」

 ミーナは言われた様に手足の拘束リングを操り、オサムを開脚四つん這いにした。

 「オサムの股間に容器を置いて、便を受ける様にして下さい。準備が出来たら浣腸器にグリセリン溶液を入れ、注入して下さい。いやがってもかまわないで入れて下さい。いやがるのを無理矢理するのが『SM』なのですよ。」
 「モゴーッ! ホグッ フォッ!」

 オサムは尻を動かし何とか浣腸から逃れようと無駄な努力を試みた。ミーナはしっかりと肛門に指を当て、浣腸器の先端を正確に挿し込んだ。そしてピストンをゆっくりと、液が注入されていくのを確認しながら押し込んで入った。オサムは観念し、目を閉じて受け入れた。オサム自身浣腸の本当の苦痛は知らなかった。悪戯で自分自身にした事はあったが、他人にされるつらさは知らない。ポルノで見ていた浣腸シーンでも施術者側にしか感情移入はなかったからだ。浣腸器を挿入される屈辱感には何とか耐えたが、本当はこれからがつらいのである。

 「ねえ、アナライザー。これが『浣腸』なの? 簡単で面白味に欠けるわ。」
 「ミーナ様。だいぶ性格が変わりましたね。」
 「ええ、私もそう思うわ。他人を苦しませているのに楽しいんだもの。」
 「まだまだ楽しみはこれからですよ。オサムの表情を見ていてご覧なさい。便意を催しているのに、ミーナ様に見られているので排泄出来ないのですよ。今はまだ我慢出来ますが、もう少しすると。」

 言われる迄もなくオサムは我慢の限界に来ていた。浣腸液の濃度や量はアナライザーがオサムの記憶の中から検索し、割出した量なのだが、ポルノ小説やビデオでは内容が大げさであったり、ある程度浣腸慣れした女性に施すので全くの素人に比べてかなり多い量で行っているのである。目の前で、たった一人とはいえ、オサムから見ればまるで女神かと思われる美しい女性が覗いていては肛門を爆発させる事は出来ない。オサムは脂汗を流し身体を小刻みに震えさせ耐えていた。

 「ねえ本当に苦しそうね。あら? アナライザー。ペニスが少し大きく成っていない? 『浣腸』って、苦しそうに見えるけど、興奮もさせるのかしら?」
 「生理的現象だと思います。肛門の刺激はかなりペニスにも刺激として伝わりますから。」

 しかしオサムの限界は越えていた。息継ぎの一瞬肛門の力が僅かに抜けた。その途端、破裂音と共に内容物が飛び出した。排泄物はオサムの絶望感をも一緒に吹き出させた。尿道の括約筋も同時に緩み、小便も溢れ出てきた。口は塞がれていたが鳴咽の声が大きく響いた。オサムは自尊心が失われていくのを感じた。頭の中が混乱しているので、ポルノ小説の中での浣腸後の女性が大人しくなっていくシーンを自分にだぶらせている。本来なら、或はプレイとしてのSMを経験しているなら精神的に立ち直ったかも知れない。しかし本やビデオでは全てペット化していく内容であったから、自分もそう成ってしまうという自己暗示に掛かってしまった。オサムの深層心理の中でミーナのペットに成る事を是認してしまった瞬間であった。排泄物は止めどなく流れ出る。涙も流れ続け、自分の一生が決定してしまった事をやっと確認したのだった。


 内容物がかなり飛び散ったのでアナライザーはオサムの周囲の掃除を始めた。

 「アナライザー、面白かったわ。異星人にはこんな楽しい文化があるのね。もし無事に生還出来たら是非皆に紹介したいわ。ところで今度は何だっけ。」
 「次は腸洗浄です。まだ排泄物の残滓が残っていますから綺麗に落とさないと食料が出来ませんのでね。オマルとイルリガートルを用意して下さい。今度はそれ程楽しくはないと思いますが、時間も掛かりますし、ミーナ様、『SM』用衣装を作ってありますが着替えますか?」
 「あら、いいわね。」
 「それではオサムをオマルに跨がせて下さい。後は私がやっておきますから。服装着機にセットしてあります。オサム用とは違いますから着脱は出来ます。少しきつめに仕上がっている筈ですがそれでいいのですからね。」

 ミーナはオサムの体位を変えてから、ルンルンしながら部屋を出ていった。オサムはオマルを跨いでいるのだが、両手の間からペニスが突き出ていて、ハイヒールブーツの為不安定な形でしゃがんでいる。

 「オサムの精神構造が変化したのは確認していますが、ミーナ様の変化も少し調べないといけないかな。」

 アナライザーは呟いた。

 「さてオサムさん、今度は腸洗浄ですよ。ほう酸液で洗いますが、我慢する必要はありません。」

 アナライザーはゴム管の先のエボナイト棒をオサムの肛門に挿入してきた。長さは三十p程もあるので、先端は大腸内に届いた。棒の反対側は拘束衣に取り付け、抜けない様にする。その間中オサムは為されるがままにしていた。オマルの後ろには小さな機械が置かれており、細いパイプがオマルの中に伸びている。準備が終り、アナライザーはほう酸液を、腕を長く伸ばし、イルリガートルに入れた。コポコポという音と共に泡が出て液体は少しずつオサムの体内に流れ込んでいった。浣腸液と違い、また直腸への刺激が無いので便意は出て来ないが下腹の膨満感は強い。拘束衣で特に下腹部は強く締められているので、大腸はさほど膨らまず、液体は小腸へと流れ込んで行った。一リットル程入ったところで腸の蠕動運動が活発になってきた。一種の下痢症状を呈してきたのである。オサムがいきばると一旦イルリの液体の降下は止まり、少し色の付いた液体が音を立てて噴出した。そしてまだまだ残っている腸内の残滓がドロドロになりエボナイト棒の脇から溢れ出て来る。オマルの後ろの機械は軽い音を立ててオマルの中の液体を吸い込んで行く。これは交換器の一種で、ほう酸溶液だけを分離再使用する為の機械である。アナライザーは機械から出て来る透明な液体を容器に受け、再びイルリにあける。体内に多量の水分を送り込まれる為、腸から吸収し体液の濃度を戻そうと生理的に汗となり、尿となり身体の防衛反応が起きる。腸は蠕動を強くし、何とか押し戻そうとするが、水圧の強さは逆に液体をドンドン奥へと導いてしまう。最初は黄色の排出水が段々に無色透明になってくる。腸の襞にこびり着いていた宿便もすっかり剥がれて落ちてしまっている。


 暫くするとミーナが部屋に戻って来た。

 「どう? 似合うかしら? 変わった衣装ね。少しウエストの部分が特にきついけど。」

 ミーナは極端にハイレッグな、一見皮製の衣装を着て出て来た。胸はオサムと同じ様に乳房が出ているが、こちらは拘束ではなく、シルエットを美しくする様に出ている。下腹部には着脱式のカバーが付いている。

 「オサムのと似ている様に思えるけど、違うの?」
 「はい、ミーナ様。オサムのは拘束衣で、自由を奪う様に出来ています。脱ぐ事は出来ません。ミーナ様のは下着ですね。その上に何か着ても宜しいし、脱ぐ事も出来ます。オサムは胸とペニスと肛門は常に人に見られる格好にされていますが、ミーナ様は普段はその格好ではなく別の衣服を纏っているのです。」
 「そうね。オサムの言う『恥ずかしい』という意味が分かるわ。でも肌触りはいいわよ。これと同じ材質で肩から下をスッポリ覆う服なら恥ずかしくないわね。宇宙服みたくなるかも知れないけど身体のラインがはっきり出る服というのはいいアイデアだわ。ところで、どう? 洗浄終ったかな?」
 「はい、大体終了です。大人しくなっていますから肛門改造もしてしまいましょう。」
 「どんな改造なの?」
 「肛門から直腸、直腸噴門、大腸幽門にかけて『リモコン括約筋』を植え付けるのです。」
 「『リモコン括約筋』?」
 「ミーナ様の意志でオサムの肛門から中に掛けて自由に開け締めが出来る様にするのです。『肛門拡張』みたいに手間は掛かりませんし、短期間に効率良く出来ます。それに食料の取り出しに便利です。****の場合ですと『真田虫』の方が効果的ですが。ミーナ様、オサムをお尻を突き上げた形にして下さい。」

 ミーナはぐったりしているオサムをオマルから離し、アナライザーに言われた様にオサムの体位を変えた。

 「それも地球の文化なの?」
 「思想は地球のものですが、マロエの技術で作りました。全く新しい思想で物を作るのは、初めてです。コンピューターをフルに動かして作りました。時間材料とも不足していますから、取り外しの出来る物の製作は不可能です。括約筋の中に埋め込むので脱着不可ですが宜しいですね?」
 「それもやむを得ない処置になるならOKよ。」
 「その点については大丈夫です。尚、口に埋め込めば猿轡、開口器にもなりますが如何ですか?」
 「いいわね。やっておいて。」

 アナライザーは二p位の太さの金属性のブージー棒の様な物を持って来た。アナライザーの頭部から伸びたコードに繋がっている。それを静かにオサムの肛門に挿入した。オサムはビクッとしたが、さほど抵抗の様子は見せなかった。しかし大腸に届く程押し込まれるのでさすがに痛みで悲鳴を上げた。しかしそのすぐ後、アナライザーがスイッチを入れると、電撃と熱がオサムの体内に走った。鈍い悲鳴を発し、お尻が痙攣で搖れる。ほんの一瞬であったが灼け火箸を突き込まれる程のショックであった。

 ミーナは心配そうに覗き込む。

 「大丈夫です。これで終了です。ミーナ様、今この棒は直腸の力で喰わえ込まれていますが、開く様に強く思うだけで開きますよ。」

 ミーナはオサムの肛門に向かい、「開け」と念じた。すると肛門はまるで口を開く様にスッと拡がってきた。ミーナは念じ方を変えてみた。出口は開き、奥の方から絞ってみた。すると金属棒がズズッと押し出されて来た。

 「あら、面白い。オサム、肛門は私の思う通りに動くわよ。中を覗いて見ましょう。そら、開け。」

 オサムはびっくりして肛門を絞ろうとした。しかし勝手に拡がっていく。何も挿入されていないのは感触で分かる。しかし自立神経の働きによる動きとはまるで逆なのでドンドン拡がっていく感覚はあった。しかし肛門拡張に使うどんな器具よりも痛みはない。

 「オサム、当分拡げたままにしておくわ。ねえアナライザー。理論的最大開口径はどれ位?」
 「資料によると円形最大口径は六pです。現在の最大開口は三pです。訓練により拡げられます。」
 「三pでは****用の餌は少しきついわね。余り苦しまない様な程度にドンドン拡げるわ。ところでアナライザー。もっとないの?」
 「ミーナ様、性格変わりましたね。あなたはもう少し他人を思いやる人だった筈ですが。」
 「そうね。私もそう思う。でも『SM』ってとても楽しいのよ。アナライザーが教えてくれたんじゃないの。」
 「はいはい、そうでした。では、次は『リモコン括約筋』を口に取り付けましょう。猿轡を外して下さい。猿轡に付けてもう一度装着すれば埋め込みは簡単です。」

 ミーナはオサムの首の後ろを軽く動かし猿轡を外した。

 「もういやだ。ミーナさん助けて。」

 ミーナはアナライザーに猿轡を渡し、

 「だめよ。今度はね、オサムの口を自由に扱える様にするの。ほら、肛門は私の思う通りに動いているでしょ。同じ様にするだけよ。」

 アナライザーは黙々と猿轡に取り付けをしている。

 「そこ迄済んだら一休みするわ。オサムはお中が空っぽだし食事しないとね。私用の食料変換して貰わないと。オサムの内臓は私達では消化分解出来ない物質迄消化出来るのよ。内臓の分泌物の組成を少し変えさせて貰ったわ。オサムの体内を通過すると私達の食料に出来るの。だから、何て言ったっけ、そう『大便』とか『ウンチ』とか言うのね、それを食べさせて頂くわ。それと『オシッコ』だったかな? 飲料水になるの。逆に私の『オシッコ』はオサム、あなたに飲んで貰うの。本当に効率的な『夫婦』だわね。」
 「そ、そんな・・・。変態!」
 「『ヘンタイ』って何だっけ? 『SM』用語は難しいわ。」

 その時アナライザーが準備を終え、オサムに猿轡を着けた。

 「フホッ! ・・・・ブグィアワーーッ、ボォフィッー!」

 けたたましい悲鳴を上げオサムは仰け反った。すぐミーナが猿轡を外してくれた。

 「酷い。もう止して。」

 ミーナは心の中で口を開く様に念じた。

 「ミーナさん。お願いだからもうヤマタ・・・。アファ、カカガタドァナウァ。」
 「あはは、うまくいった。アナライザー、これもいいわね。」

 オサムは口を大きく開けたままパクパクして喘いでいた。

 「ミーナ様、どうしますか? 尿を飲ませてみますか?」
 「うーん。『恥しい』の意味が分かったわ。とても非人間的な事よね。****の様な家畜に対してだって許されない事よ。審議官を納得させるだけの必然性があるの? OKだったにしても私の方に抵抗感があるわ。」
 「これは納得云々でなく、絶対に必要な事なのです。この船は本来一人用ですから、水の蓄えが少ないし、漂流もあとどれ位続くか分かりません。再使用サイクルが在るのに使用しないのは不合理です。これは生還の為の絶対条件です。」
 「分かったわ。やってみる。オサム、そう言う訳だから我慢してね。『SM』にもこういうのはあるのでしょう?」
 「ハガガッ。ファロァパホァ。」

 オサムは、ミーナとアナライザーのやり取りを聞いていたので、ミーナが下腹部の覆いを外しながら近寄って来た意味は分かっていた。アナライザーがオサムの頭を押さえ、固定した。首を動かそうとしても強く支えられている。ミーナはオサムの顔を跨いでゆっくりしゃがみ込んで来た。

 「オサム、いくわよ。こぼさない様に飲んでね。」

 ミーナは下腹部の割れ目を少し拡げながらオサムの開かれている口に押し付けた。

 「ワパパッ。フワップッ。」

 オサムの口にぴったりとミーナの下腹部が填まり込んだ。ミーナは少しいきんで排尿しようとするが、抵抗感があるのかなかなか出ない。

 「ミーナ様。オサムの為になる事なのですよ。緊張しないで、当然の事と割り切って下さい。」

 ミーナは頷き、大きく深呼吸した。意を決して目を瞑り、天を仰いだ。その時オサムが悲鳴を上げて暴れ出した。少しだが尿が流れ出して来た。一旦止まったが続いてどっと流れ出た。オサムは口内の容積を大きくして飲み下すのを防ごうとしたが、すぐに容量はオーバーしてしまい、むせて咳込みながら飲まされてしまった。口はミーナの意志で閉じられた。吐き出させない様にする為である。オサムはミーナの小便を飲まされたという事に強いショックを受けている。殆ど純水に近いのだが、味とか、そう言う問題ではなかった。

 「ごめんなさいね。これで一段落したわ。さあ、アナライザー。オサムにお食事の用意をして。オサム、餌を入れたら自由にして上げる。でも肛門だけは開いておくわ。」

 アナライザーが薄黄色の棒状の物を二本持って来た。

 「これが****用の餌なのよ。精液をいっぱい出して貰う為の栄養なのだけれど、きっとオサムにも効くと思うわ。」

ミーナはアナライザーから受け取った棒をオサムの開いたままの肛門に押し込んだ。

 「アゥワォアッ。」

 直腸から大腸へとスルッと入ってしまう。その嫌悪感にオサムは鳴咽した。更にもう一本押し込まれ、『リモコン括約筋』の逆蠕動で直腸から完全に姿を消した。いきばって排泄してしまおうとしたが、大腸噴門を固く閉じられてしまった。

 「終わったわよ。休んでいいわ。」

 オサムはガクッと体勢を崩した。手足の拘束が解かれた。とは言ってもリングは付いたままであるが。フラフラと立ち上がり、ハイヒールの為一旦ガクッとするが、何とか立ち直った。おそるおそる胸元に手を当て、巨大な乳房を抱え上げる様に持った。そして片手を同じく巨大化したペニスに当てた。片膝を付いてしゃがみ、肛門の開き具合いを指で真探った。大粒の涙が溢れ出し、手で顔を覆い泣き出してしまった。口は開けないので咽ぶ様な鳴咽になった。長い髪が顔に掛かり、ペニスが無ければ一枚のポルノ写真になる絵であった。




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