マロエの星 ・・・第一章 遭難・・・ 2
【その翌日】・・・おおよその感覚として
眠りから覚めたオサムはハッとして自分の身体を真探った。そして昨日迄の事件が夢ではなかった事を思い出した。昨日は余りのショックで失神状態で寝てしまったのだった。精神が混乱していたので頭の働きが麻痺していたからだ。
拘束衣は身体にピッタリとしていて、脱ぐ事は不可能に思える。手足の金属リングは付いたままだが、コントロールはされていない。
ベッドから下りて、不安定なハイヒールの為ふらつきながら鏡の前に立ってみた。その不思議な身体付き、Jカップでも納まらない様な巨大なバスト、永遠にパンツを拒絶する途方もないペニス、大量の精子を作れそうな大きな陰嚢。そんな身体に似合わない可愛らしい顔と美しい髪。オサムの目から涙が溢れ出て来た。
「お早よう。目が覚めたのね。さあ今日もしっかり『SM』しましょうね。さあ初めに私の尿を飲むのよ。規則正しい食生活が健康を保つのよ、フフフ。」
「ミーナさん、お願い、もうやめて下さい。ボクを元に戻して。」
「諦めが悪いのね。その身体はもう元に戻らないって言ってあるでしょ。それどころではないわ。もっともっと成長するのよ。さあ飲むの、飲まないの。飲まないって言ったところで私はあなたをコントロール出来るから無理矢理飲ませるわ。例えばこんな風にね。」
ミーナが念じると、オサムの肛門がミシミシ音を立てて拡がって来た。但し大腸噴門は絞られているので、便は出て来ない。
「イテテテッ。やめて、やめて!」
ミーナの後ろに居るアナライザーがミーナに小声で言った。
「ミーナ様、一日勉強しただけで、随分上手になりましたね。」
「ウフフ。これ、演技じゃないのよ。『SM』って面白いのね。なぜか分からないけど心の底から楽しいの。」
「呆れました。どうぞ思う存分やって下さい。認可されない程になったら止めますよ。」
「そうね。分かったわ。でも、出来るだけ認可可能な様な理由付けを見つけておいてね。」
オサムの方に向き直って、
「さあ、どうするの? 自分から飲む? それなら肛門の痛みは減らして上げる。拒否するならもっと拡げるわ。その上で無理にでも飲ませるけど。」
オサムは観念して、頷いた。フラフラとミーナの方へにじり寄って来て、
「飲みます・・・。」
ミーナは立ったまま足を広げた。そしてそのまま立っていた。オサムには分かっていた。ポルノビデオの中にも似た様なシーンがあったのだ。オサムはミーナの足元に膝まずき、ミーナの衣服の下腹部を覆っている部分のカバーをめくった。膝を付いたままにじり寄り、口を開けてミーナの下腹部に宛てがった。
「こぼさない様に飲むのよ。」
ミーナは少しいきんで排尿を始めた。オサムに飲ませる為に充分に水分を取ってきたので、出始めると直ちに流出が続く。オサムは一所懸命飲み込んだ。自分からの意志で飲んでみると、アナライザーが言った通り、殆どが水で、ぬるま湯を飲んでいる様だった。今回は量が多いせいか、少し溢れて床にこぼれた。
オサムは飲み終ると、少し噎せながら
「ミーナさん、飲みました。だから肛門を緩めて下さい。」
「おだまり! 緩める、緩めないは私が決める事。オサムは自分の立場が良く分かっていないらしい。こぼさない様にと言ったのも分かっていなかった様だね。たとえ『結婚』したとはいえ、お前は私の『奴隷』であるという事を良く認識しておくのね。」
ミーナはアナライザーに小声で尋ねた。
「『奴隷』という言葉でいいのよね? この場合は適切であると思うけど。」
「良く御存知ですね。全く適切です。」
「そうよね。ではオサム。まだ暫くの間、お前の肛門は開きっ放しにしておきます。」
ミーナは椅子に腰掛け、
「オサム、来なさい。私が食事をするわ。ペニスをこちらに向けなさい。」
オサムが躊躇していると、肛門に脈動的に痛みが走った。
「あ、はい。行きます。」
渋々寄って行って、ミーナの顔の前に太いペニスを突き出した。ミーナは片手で軽く支え、ペニスの先に唇を当てた。ペニスの裏側をさすりながら吸い上げる様にして喰わえるのだった。オサムはビクッとして、身体中に緊張が走る。肛門は拡げられたままの為に堪える事が出来ない。昨日(?)入れられた****の餌が消化して、陰嚢は精液で今にも溢れそうな状態にされている。
「アウッ・・。出ちゃう・・・。」
恥ずかしい身体にされ、まるで『女王様』に奉仕する『奴隷』としての最初の儀式である様なスタイルであり、性的催眠状態に掛かっていたオサムは射精した瞬間、潜在意識として、ミーナを『女王様』にしてしまったのだ。
精液を飲み終えたミーナは口を拭いながら、
「アー、美味しかった。本当に幸せな気分になるわ。時空位相歪に落ち込んだ時は悲観的で悲しくつらかったけれど、今も現状は変わっていないのに落ち着いていられるわ。そうそう、半固形食料も出来ているんじゃないかしら?」
「****用をどの程度変換出来るかのデータはありません。しかし推定値は九十八パーセントですから、充分食料に成っている筈です。ミーナ様、食事になさいますか?」
「そうね、味見をしてみたいわね。でもどういう風にすればいいかしら。こんな食事のマナーは存在しないでしょ。せっかく新鮮なのだから直接食べてみたいけど、肛門コントロールが難しいから。」
「スプーンですくえば良いと思いますが。」
「分かったわ。用意して。」
アナライザーは細長いスプーンを用意して来た。
「オサム、あなたの・・・・ええと何だっけ。あ、そうだ。『大便』を食べます。四つん這いになってお尻をこちらに向けなさい。」
「お願い、ミーナさん。そんな嫌らしい事はやめて下さい。」
オサムは尻を押さえて涙を流しながら哀願していた。
「おだまり! 私はお前に頼んでいるのではないのよ。命令しているのよ。お前が拒否しても私がお前の身体を動かせば済む事なのだから。」
後ずさりしようとしていたオサムの身体が、ミーナの念により、手足のリングが強引にオサムの態勢を変えていった。うつ伏せにされ、手足を大きく広げられたしまった。元々のオサムの身体であればベタッと床に伏してしまうところであるが、大きなバストと突き上げているペニスで四つん這いの態勢になってしまうのだった。
「イヤダ、イヤダーーッ!」
オサムは突き上げさせられている尻を振り、泣き叫んでいる。
「しょうがないわね。大人しくしていなさい。」
ミーナは心が痛むのだが、オサムの肛門を目一杯拡げさせた。
「アギャーーッ!! 痛いっっっっっ!!!」
「『奴隷』らしく言う通りにしていればこんな目に遭わないのよ。反抗して暴れれば痛めつけられるのよ。大人しくしていれば私もこんな事しないわ。どちらにしたって私は『大便』の食事をするのだから。」
オサムは泣きじゃくっているが、仕方なく暴れるのをやめた。途端に肛門の痛みが減る。
「そうそう。大人しくしているのよ。さて、直腸幽門も開いて少しずつ直腸に出してみましょうね。」
ミーナが念じると大腸から少しずつ便が移動して来た。オサムはいきばっている訳ではない。むしろ便の流出を防ごうとしているのだが、腹圧により出て行ってしまうのだ。
「ねえ、アナライザー。浣腸の時の大便と色も臭いも違うわね。綺麗な黄色で、肌理が細かいわ。あらあ、いい香り。」
「一応推定通りです。栄養に関しても完璧な筈ですが、味に関しては私の分析機能では判断出来ません。****の餌ですから期待は持たない方がいいと思います。」
「そうだったわね。****の餌からの変換だったわ。お尻から入れる餌だもの味がいい筈ないわ。せっかくこんなにいい香りなのに残念ね。でもこの非常事態では仕方ない事ね。」
ミーナはスプーンを挿し込み、オサムの肛門の中から便をすくい上げた。スプーンの感触がオサムをビクッと震えさせる。僅かの量の鮮やかな黄色い便を取り出した。
「こんなにいい香りなのにね・・・。」
ミーナは実に惜しい、と言った顔でスプーンを口に喰わえた。
「ングッ・・・?!!」
ミーナはスプーンを口に喰わえて硬直してしまった。アナライザーがミーナの顔を覗き込む。ミーナの瞳から涙が溢れ出て来た。
「そんなにひどい味だったのですか? ミーナ様?」
ミーナは暫く動かなかった。涙を流し続けている。
「ミーナ様?」
ミーナはハッとして我に返った。
「ア、アナライザー。これがオサムの排泄物なの?」
「味はダメでしたか。何か方法を考えねばなりませんね。」
「違うのよ。素晴らしいのよ。有難うアナライザー。素晴らしいお食事だわ。****の餌が材料で、オサムの必要な栄養を抜いてこんな食料が出来るなんて信じられないわ。」
ミーナはもどかしそうにオサムの肛門の中を掻き回し、ひたすら食べ続けていた。
やがて便は出切ってしまったのか、スプーンに乗って来なくなってしまった。ミーナはまだ食べ足りない様な不満な顔をしていたが、オサムに話掛けた。
「ごちそうさま。とても美味しかったわ。何て言ったらいいのかしら。今迄に味わった事のない素晴らしい食料なのよ。オサムの身体ってどんな凄腕の料理人でも足元にも及ばない素晴らしい機能を持っているわ。」
「ミーナ様。足りなかった様ですね。餌を入れておきましょうか?」
「ええ、そうしましょう。変換にはある程度の時間が掛かるでしょうから、早目に入れれば早く食べられるわね。でももっと変換を早くする方法はないの?」
「極端には早く出来ませんが、方法はあります。」
「どうやるの?」
「これは****の餌です。餌を早く消化させればいいのですから、ドンドン『食料』生産させればいいのです。」
「『食料』って『精液』の方?」
「そうです。」
「まあ、何て効率がいいのでしょう。『食料』生産に『食料』生産をさせればいいのね。」
ミーナは嬉しそうに餌をオサムの肛門に押し込んでいった。
【二日後】
ミーナはすっかりオサムの身体からの生産物に満足している。『オシッコ』もミーナの想像より遥かに上等な飲物であった。ミーナは『食料』生産効率を上げる為、ペニスをしゃぶり、セックスを続けていた。オサムはひたすら射精させられていて、精神的には消耗し切っていた。しかし肉体的には****の餌が****に対するより遥かに良く効くのか、常に勃起していて、ミーナの求める時にはすぐに反応してしまうのだった。勿論自由は奪われたままであり、アナライザーと、地球の性文化についてデータを分析しながらのミーナと殆ど繋がったままという状態だった。その間オサムはただ漠然とではあるが、コクピット内を眺めていた。幾分の落ち着きと、かなりの諦めのせいか、マロエ星の宇宙飛行技術の一部が理解出来てきていた。もっとも動けないでひたすら射精を強制されている事に対する反発として、出来るだけ性的な事は考えない様にしようとしていたのだ。そうしないと改造された身体は快感が強くなっているので、セックスに溺れてしまいそうになると思えた。
オサムには観察と考える時間はたっぷりとある。地球の宇宙船との違いを考えていた。コクピットはかなり広く、そのくせ操縦装置は極めて簡素化されている。女性の乗っている船にしては余りにもそっけない。無機質の壁は何か寒々しさを覚えるのだ。しかし技術力はかなりのものである事は良く分かる。
船内にビープ音が響いた。アナライザーはすぐに機械装置に走り寄り、操作を始めた。ミーナもオサムのペニスを抜き、近寄る。
「隕石帯です。」
「規模は?」
「小規模で当船には影響は少ないですが、バリアーを張ります。」
「スクリーンをオンして。」
「了解。スクリーンオン。」
コクピットの前方向と思われる部分がスーッと壁の色を失っていく。まるで窓ガラスの様に表の様子が見えてきたのだが、オサムは初めて見る亜空間に驚き、見とれていた。漆黒の中に多数の恒星が輝いている宇宙ではない。よどんだ水中に居る様な、奥行きの少ないボヤーッとした世界なのだ。
一段落したミーナはオサムの方に寄って来た。
「オサムは亜空間は初めてなの?」
「あ、ええ。」
「亜空間では絶対座標は存在しないわ。だから宇宙船は加速しようとしても全然働かないのよ。でも回転は出来るのよ。ただ亜空間の中を流されているだけなの。私達の星の空間から落ち込んであなたの方の空間に出る迄、数カ月掛かったわ。私の主観的な時間感覚だけれど。正確な時間なんてこの空間には存在しないからね。今は逆方向に戻っているのだけれど、あとどれ位で戻るかは分からないわ。そろそろ隕石帯にコンタクトするわ。バリアーで船体に影響は無いけれど、ショックは強いわよ。あなたの足は不安定な靴に包まれているから、座ったままで居た方がいいわね。」
「隕石帯に入ります。」
ズーンという鈍い音とともに船全体が大きく振動した。ミーナは操縦席にしがみ付いているのだが、オサムに比べてなぜか不安定であった。
「オサム、大丈夫?」
「エ? ええ、大丈夫ですけど。」
オサムはむしろこの程度の衝撃でオロオロしているミーナの方が不思議だった。その様子を見ていたアナライザーが、
「ミーナ様。オサムの船にはバリヤーがありません。地球文化ではまだ開発されていない様です。小隕石との直接衝突もある訳ですから、この程度の衝撃には不感症になっている様です。」
「まあ、原始的ね。そうだわ、アナライザー、船の向きを隕石方向に向けてスクリーンに見せて上げて。」
「了解。」
アナライザーは操縦管を引き船体の向きを変え始めた。動きはスムーズなのだが、オサムにはレスポンスの遅れを感じさせる。船体の大きさから見ても、慣性質量はそれ程大きくない筈なのだ。
「あのう、この船の慣性質量はどれ位なのですか?」
ミーナはクスッと笑った。
「考えてみると、オサムが『セックス』以外の話をするのは初めてね。」
「ミーナ様、オサムも一応船の操縦をしていた訳ですから、興味があって当然なのです。地球の単位で言いますと、およそ百二十トンです。」
「それにしてはレスポンスが悪い様だけど。」
「安全と乗り心地の為です。レスポンスを上げる事は出来ますが、反応が良過ぎると安定性が落ちますし、衝撃が大き過ぎます。」
船はゆっくりと回転して隕石方向に船首を向けた。モヤモヤした空間に岩の塊が現われ、前方のバリヤーで弾き飛ばされる。ソフトバリヤーなのか、大きめな隕石はバリヤーを押し曲げ、かなり内部迄寄って来てから弾き出される。その時に船がショックを受けるのだ。
「かなり柔らかそうなバリヤーに見えるけど。」
「ショックアブソーバーですから。船体の周りにはハードバリヤーが巡らしてあります。バリヤーの位置、形とも自由に変えられますが、総エネルギー量は決まっていますから、完璧に守る訳にはいきません。亜空間内ではレーダーも殆ど効きませんから、早目に回避する必要があります。」
オサムはアナライザーの話を聞きながら、感心していた。裏に隠れている技術の高さに感心していたのだ。
「大きな隕石帯に飛び込むと一たまりもありません。事実、私達があなたの世界に遭遇する一月前に突っ込み、大きなダメージを受けました。生存そのものが偶然に近い状態だったのです。これからも遭遇する可能性が無いとは限らないのです。」
アナライザーは船の操縦をしながら説明していた。大きな隕石を極力回避しながら制御している。オサムはその様子をずっと見つめていた。操縦そのものは簡単そうに見える。オサムの船に比べてかなりの部分が自動化されているので、多分自分にも操縦出来ると思えた。
「ミーナ様、間もなく脱出します。」
オサムにもスクリーンに現われる隕石が少なく、小さい物に変わって来たのが分かった。
「脱出した様です。バリヤー切ります。」
バリヤーの輝きが薄くなって来る。その時オサムの感覚に何かが引っ掛かった。
「アナライザー!! バリヤー戻せ!! 右から来る!」
オサムは怒鳴った。アナライザーはバリヤースイッチを途中で止め、オサムの方を向いた。
その途端、ソフトバリヤーを突き抜け、ハードバリヤーに隕石が衝突した。
ズズーーンという鈍い音とともに船が大きく揺れた。ミーナもアナライザーも床に倒れ込んでしまった。
暫くしてミーナが起き上がり、転がっているアナライザーを立て直した。
「オサム、どうして分かったの? アナライザー、レーダーに掛からなかったの?」
「イレギュラースピードの隕石でした。強い濁りに妨害されていた様です。でもオサムの指示が無ければバリヤーを切っていて、危険なところでした。」
「第六感かな。それが無いとボク達の船を操縦する事は出来ないからね。なにせ、バリヤーなんて無いし、安定性も悪いですから。」
「科学的根拠は不明。超感覚とか予知力を意味する言葉ですが、パターン認識力の一種と推測されます。」
「何でもいいわ。とにかくオサムのお陰で助かったのだから。」
ミーナは幾分オサムを見直した様だった。
【一ヶ月後】・・・時空位相歪内では正確な時間は無いが、おおよそ生理的な感覚として
既にオサムはミーナのペットとして充分な働きをしていた。科学技術では全くかなわず、物理的な抵抗も出来ないので、その点ではあっさりと降伏していた。自分のみっともない姿は地球人としてならとても他人には見せられないが、この船の中では自分をこういう風な姿にしたミーナだけなので割り切って性器を晒しておけた。諦めの感覚はオサムを一段とマゾに仕立てていった。ミーナとの通常の生活は地球では変態窮まりないものかも知れないが、ここでは全て日常的な、必要な行為である。生きる為に必要な行為なのである。だからオサムは卑屈にならずに、ミーナも尊大にならずに『明るく健康的な』SMを出来るのだ。ミーナは真剣にSMについて研究、勉強し、オサムも常に協力してきた。オサムのアイディアをミーナがマロエの技術を駆使して開発する。新しい道具は二人で協力し改良を進める。文字どおりの『一心同体』で、(しょっちゅう同体しているが)生活(性活?)をしていた。
「ねえ、オサム。一休みしない?」
「了解。」
「ちょっとおなかがすいたわ。」
「どっちにしますか?」
「そうね、後ろ。」
オサムは少し嫌な顔をして、
「これはどうしても慣れないんですね。ミーナさんに対してに恥ずかしがる必要はないのだけれど、何か恥ずかしい。」
オサムは容器を持って尻の下に宛てがい、しゃがみ込んだ。
「ダメ、オサム。直接食べるわよ。こっちに来なさい。テーブルの上に乗って。」
最初の頃は逆らって拘束リングの力で無理矢理体勢を取らされていたが、今では割りと素直にテーブルの上に乗っていった。お尻をミーナの方に突き出し四つん這いになる。ミーナは長いスプーンを持って、
「少し息んで。開くわ。」
ミーナの意志により、オサムの肛門がカパッと口を開けた。既に五p迄拡げられている。ミーナはスプーンでオサムの肛門内の物をすくった。分泌物の組成変更により、便は鮮やかな黄色をしている。そして美味しそうに食べ始めた。
「不思議ね。こんなに美味しいのにオサムはこれを食べられないなんて。オサムの身体から出る物で不必要な物はないのにね。」
「ボクから見ればミーナさんの方が不思議ですよ。凄い美人のスカトロジストなんだもの。アウッ。あまり掻き回さないで下さい。ねえ、ミーナさん。たまにはトイレに行かせて下さいよ。時には、ゆっくりとトイレでウンチしたいんですけど。」
「ウフッ。ダメよ。勿体ないもの。オサムの身体から出る物はみんな私が食べちゃう。ご馳走様。今度はオサムの食事よ。」
「餌入れるのですか?」
「そうよ。セックスの為の栄養素だもの。二本入れるわ。」
ミーナは****用の餌を持って来た。太さ四p、長さ十pの棒状になっている。それをパックリと開いているオサムの肛門から押し入れた。
「アウッ。イヤだなあ。これ入れると肛門を強く締めちゃうんだもの。」
「溶けて吸収する迄の間でしょ。それ、大腸迄入ってけ。」
ミーナは念で、肛門から大腸への逆蠕動をさせた。
「吸収する迄『乳揉み』していなさい。」
「あれやるの? ボクつらくてイヤなんですけど。」
「ダメ。そんな立派なオッパイなのに、お乳を出さないなんて非効率よ。」
オサムは渋々部屋の隅のベンチの様な台に向かった。台の上に仰向けに横たわり、台の脇から伸びている、プレス機の様な横バーを下ろす。そこにはバストがスッポリ入るくぼみが二つ付いている。カチンという音でロックされ、軽いブーンという音がし、バストが揉みしだかれていく。マッサージ機ではあるが、乳房だけ揉まれていくので、オサムには新しい感覚である。最初の頃は痛いだけだったが、最近はうず痒い快感になってきていた。それが今、はっきりと快感になってきている。
「アフーッ。」
「オサム、痛いの?」
「違う。何か気持ちいい。どうしたんだろ。」
「フーン。気持ちいいの。だったら『乳揉み』は二時間位しましょうか。」
「ア、ダメ。切ない。気持ちいいけど、つらい。」
「変ねえ。アナライザー、どういう事なの?」
「オッパイを揉まれる事により、女性的性的興奮が高まっています。しかし本来男性ですからセックスによる解消は出来ません。ですが、男性の性的興奮を解消すれば幾分落ち着きます。」
「ああ、精を抜いて上げればいいのね。でも、ペニスに刺激を与える外に、肛門もオッパイも皆ペニスに連動しているのね。」
ミーナはコンピューター操作を一時中断してオサムの方へ来た。
「オサム。して上げようか。」
「ア、ウ。ウン? やってもいいですよ。」
「ダメ。そんな言い方じゃ。して上げないわよ。」
「ごめんなさい。して下さい。」
「そう。素直で宜しい。」
ミーナは台の上に乗り、オサムを跨いだ。ペニスをグイッと股間に引き寄せ、膣口に宛てがい、二、三回揺すってしゃがみ込んだ。ズブズブと入って行く心地良さにオサムは目を閉じて感じていた。
「胸を押さえられているから腰は動かし難いでしょ。動かなくていいわ。私がサービスして上げる。」
「うっ、ミーナさんの もう少し締りがいいといいんですけどね。」
「締り?」
アナライザーが説明に割り込む。
「膣圧の強い事を『締りが良い』と言います。」
「膣の圧力の事かしら? どういう意味?」
「地球人の女性は自律神経をある程度コントロールして膣壁に力をかける事が出来ます。勿論訓練によってですが。そうするとピストン運動をしなくてもペニスに断続的な刺激を与える事が出来るのです。」
「ンフッ。私も訓練してみようかな。」
「オサムさん。あなたの記憶の中にある方法以外の訓練方法は無いのですか?」
「ボクの記憶? アハハハ。いい! それいいよ。ミーナさん、膣圧の訓練して上げますよ。ウムッ、ウッ。」
「ン、ン、ム。美味しいっ。」
二人はがっくりと力を抜いた。乳揉み機に腕を付いてミーナは尋ねた。
「膣圧が良くなるとどういうメリットがあるのかしら。」
「そうね。ボクの方が嬉しい。ずっと気持ち良くなりますからね。でも膣圧の高い子程感度が上がるらしいですけど。」
「じゃ、私の快感ももっと高くなるのね。」
「だからもっとスケベに成っちゃうんですけど。」
「『スケベ』? これも良く分からない言葉ね。どういう意味?」
「そうですね。セックスが好きで好きでたまらない人の事ですね。俗語ですから、下品な意味合いです。」
「いいわね。あれ、アナライザー、訓練方法に何か問題あるの?」
「はい、ミーナ様。正式な方法があるらしいのですが、オサムはそれを知りませんし、資料にも載っておりません。オサムの知っている方法はSMとしての訓練方法で、効果は高いのですが、SMの主従が反対になる恐れがあります。」
「フーン。私が責められる事になるの? でも二人とも幸せが強くなるなら構わないわ。どういう風にするの?」
「膣の筋肉は肛門括約筋と八の字の形に繋がっています。ですから肛門括約筋を訓練すれば自然に膣圧は上がります。意識して膣の筋肉を動かす事が出来れば、ペニスを強く締め付けたり、吸い込んだり出来る様になるのです。ところが肛門括約筋の訓練方法が少し問題で、ミーナ様がオサムさんにした様な肛門拡張や、原始的な肛門栓を使い、肛門と膣をかなりSMされるのです。ミーナ様、たとえオサムさんにされるとはいえ、肛門をいじくり回される事に耐えられますか?」
「そうね、少し考えてみるわね。」
「ねえ、ミーナさん。ミーナさんもこの乳揉み機使ってみたら? オッパイも性感帯なんじゃないですか?」
「人によっては胸で気持ち良くなる様だけど、私は感じた事なかったわ。」
「じゃ、未開発なんですね。これからはボクが良く揉んで上げますよ。ねえアナライザー。ボクのオッパイはお乳が出る様にされちゃった様だけど、ミーナさんにはその機能は無いの? ボクだけじゃ不公平だよ。」
「はい、オサムさん。残念ながらマロエ人にはその機能はありません。ついでに申し上げますがバストの成長もさほど望めません。オサムさん、と言うより地球人には今のオサムさんよりずっと大きいバストの人が居ますね。つまり地球人のバストはその大きさ迄生育可能なのです。マロエ人では最大値がミーナ様と余り変わりません。またばらつきの値が地球人は極めて大きいですが、マロエ人は殆どありません。マロエ人の美意識から言うとバストが大きい事が『セクシー』であるとは言えません。」
「ねえ、オサム。書物の中に『69』というのが時々出て来るけど、この数字に何か特別の意味があるのかしら。他の数字は単位が付いたり、具体的な意味を持つけど、『69』は名詞として扱われているわ。」
「フーン。困ったな。それは数字を使っているけど形を見ないと分からないですよ。アナライザー、地球語での形を見せて上げてよ。それはね、男と女が、ここで言えばボクとミーナさんがお互いの性器を口で愛撫しあう形なんですよ。」
「ヘエー。私がオサムのペニスを喰わえるのは分かるわ。でも私の下腹部をオサムが嘗めるとどうなるの?」
「クリトリスを舌で愛撫するんです。」
「ウワーッ。凄い。地球人て凄い事するのね。考え付かなかったわ。面白いわ。ねえ、地球人の場合女同志でもする事があるの? マロエの場合はそう言う形だものね。」
「ウン。レズの場合はありますよ。」
「舌を使う愛撫ね。戻ったら是非とも紹介したい技法だわ。」
二人はベッドの上で互いの感じる部分を愛撫し合った。
暫くし、オサムは乳房の内側に圧痛を感じる様になっていた。
「ミーナさん、乳揉み機止めて下さい。何だか少し痛い。」
「痛い? そんなに強くないんだけれど・・・。」
ミーナはオサムの乳房に被せてある乳揉み機のスイッチを切り、取り外した。しかし痛みは減ってこない。
「外側じゃないよ。何だか、中から痛む。」
ミーナが心配そうに見ていると、アナライザーがオサムの乳房にセンサーを当てた。
「どう? アナライザー。マッサージのし過ぎ?」
「異常ありません。単に乳腺に乳汁が溜まり、強い刺激になっているのです。」
「乳汁?」
ミーナは輝いた顔で、オサムは少し引きつった顔でアナライザーを見つめた。
「じゃあ、オサムのお乳も搾れるのね。」
オサムは自分の乳房を撫で回し、何とも不可解な面もちであった。
「ボク・・・、オッパイが出るの? そうだよね。こんなに大きなオッパイで、お乳が出ない筈なんかないものね。」
「オサム、お乳出して。どうすれば飲めるの? アナライザー、乳搾りの機械はどうしよう。」
「そのまま乳首を吸えば出るのですが、『牛』とは違うので、飲み難いでしょう。それにオサムの乳腺は急激に活性化してきました。既にオサムの乳房に合わせた乳搾り機は用意してあります。あくまでも機能重視です。」
「用意がいいのね。オサム。胸の痛みを取る為にも使うわね?」
オサムとしては乳搾りをされるなどという事は『家畜』その物に成ってしまう事を意味する。拒絶はしたいがミーナは許さないだろう。しかも乳房の内部からの鈍痛は段々ひどくなってくるのだ。仕方なく涙ながらに頷くだけであった。
アナライザーが持って来た搾乳機は、見た目は吸引型豊胸機といった形であった。オサムは牛用の搾乳機をイメージしていたので、少しはホッとした。しかし、自分がその搾乳機を使っているイメージには相変わらずゾッとするものがある。
「使い方を説明します。」
アナライザーの機械的な話し方に、オサムはその搾乳機をひったくった。
「いいよ。分かるよ。」
とは言ったものの、乳房に当てる部分と集めたお乳を入れる瓶は分かるが、吸引の方法が分からない。しかしミーナが興味深げに見つめているので聞き返す事が出来ないでいた。
「オサム、使い方分かるの? さすがにSMとかセックスの歴史の長い地球人ね。」
「別にそういう訳じゃないけど・・・。オッパイを当てて、瓶に入れるんだろ? でも、どうやって搾るの?」
オサムは取り合えずその搾乳機を乳房に当ててみた。
「ウハッ!!」
途端に搾乳機が振動を始め、乳房が吸い込まれた。
「これ、自動?」
「そうです。オサムの知識の中にはありませんでしたが、資料によると、古代の妊婦という人種の使用していた器具が設計の基本です。この船の工場ブロックで製作出来るのはこの程度の物ですが、実用には耐える筈です。」
カップは減圧され、乳房が吸い込まれる。すると、乳首から白い液体が最初はじんわりと、やがて糸を引く様にミルクが吸い出され、瓶に集まる。初めて感じていて乳房の張りがスーッと引いていくのが分かる。
「アナライザー、これがお乳? 初めて見るけれど、随分粘度が低いわね。」
「ミーナ様。『牛』のミルクは加工されています。出たままのミルクはオサムのミルクよりもずっと薄い物なのです。オサム、一旦中止して下さい。成分分析をします。」
「分析?」
オサムが止めようと思った時、搾乳機はその動作をやめた。アナライザーは頭から伸ばしたセンサーを搾乳機に差し込み、僅かな量のミルクを吸い上げた。
「成分分析を始めます。オサムは引き続き乳搾りを続けて下さい。」
ふてくされた様な顔のオサムをミーナは微笑んだまま、嬉しそうに見ていた。
「アナライザー、どう?」
「粗成分分析では害毒は無し。栄養素分析に入ります。」
その間にもオサムのお乳は瓶に溜まり続けている。
「マロエでのミルクは栄養食品としても価値が高いのよ。オサムのミルクもそうだといいけれど。」
「ミーナ様。精度は低いのですが、それでもある程度の結果は出ました。中間報告しますか?」
「お願い。どんな?」
「成分は多岐に渡っています。『牛』よりもかなり高レベルです。『牛乳』原液を平均12倍濃縮した流通『牛乳』よりも全ての有効成分は高濃度です。」
「濃いの? そんなにいいの?」
「詳細データがありませんので、流通『牛乳』簡易データとの比較になります。蛋白質8.23倍。脂肪質4.13倍。糖質5.08倍。無機質3.73倍。」
「そこ迄でいいわ。要するに『牛乳』よりも栄養価値は高いのね?」
「肯定。」
ミーナは搾乳を続けているオサムに抱き寄り、嬉しさを表現した。
「本当にオサムって凄いのね。とても人間とは思えないわ。」
「それって・・・、ボクが家畜並みという事?」
「そうじゃないわ。感動しているの。」
オサムにはミーナのオーラから、尊敬の念を感じていた。
「私達、どれ位漂流するかは分からないけれど、少なくとも食料の心配は全くないわ。それどころか、今迄の得た事のない程の食料。ミルクはどれ位出るの? 余ってしまいそうよ。」
アナライザーが話しに割って入った。
「チーズにすればかなり高品質の物が出来ると思います。しかしチーズ用の『牛』が居ませんし、オサムにはその機能が全然存在しません。機能の可能性としてはミーナ様だけです。」
「私? それはダメよ。」
「肯定。可能性だけであり、現実には法的にも不可能。」
オサムはチーズ用の『牛』という意味が分からないでいた。
「どういう事? チーズを作るって、機械でするんだろう?」
「一部肯定。一部訂正。一部否定。マロエの『牛』とは地球語の牛とは意味が異なります。生物学的な牛は既に絶滅しており、『牛』とは法的な『牛』を意味します。マロエでの重罪による人権剥奪者の一部が法的『牛』に成ります。改造手術を受けさせられ、ミルクを出す機能を持たされます。しかし脳の改造も必要であり、人格は失われます。『牛乳』の大部分は合成ですが、病院用などに販売されています。」
「ゲッ!! じゃあ・・・、マロエの『牛』って人間? ミーナさんみたいな?」
「肯定。但し、ごく限られた重犯罪者だけであり、生産量は微量です。免疫効果が高いのですが。保存が効かず、免疫効果を高める為にも人体内にてのチーズ製造をします。」
「人体内?」
「痕跡期間である子宮を再生し、その中にミルクを入れます。子宮膜より吸水させ、更に発酵させるのです。」
「ひどい・・・。それじゃ家畜どころか機械じゃないか。遠心分離機と発酵機を使えばいいじゃないか。人間性を無視している。」
オサムの語気の荒さにミーナは不思議そうな顔をしていた。
「オサムから怒りの感情を感じられる。オサムの精神状態を不安定にさせた理由は?」
「地球人の感情、倫理によるものです。『牛』は法的にも人間ではありません。オサムの非論理はどうしますか? 地球の法体形では・・・、この言葉はミーナ様には精神状態に悪影響を与えますので、オサムにだけ分かる言葉で理解して貰います。オサム、分かっても言葉として表現しないで下さい。ミーナ様とオサムの間の『愛情』という感情に極めて悪影響を与えます。」
オサムはその意味がある程度理解出来た。
「アナライザー、それは終身刑以上の刑罰の事か?」
「その通りです。それは地球でも異論があり、廃止されている事は調べました。しかしその様な経緯を経ている事自体がマロエでは考えもつかない事なのです。」
「そうか・・・。『牛』でも存在だけは許されている訳か・・・。でもさ、遠心分離機、発酵機を使えばいいじゃないか。」
「否定。ミルクはその成分構造が弱く、激しい振動は成分破壊を引き起こします。更に人体からの分泌物はどの様な物質にも変性を受け、効果は殆ど無くなります。」
ミーナにやっと意味の分かる話しになったので口を挟んできた。
「当然でしょ? ひょっとすると地球では違うの? アナライザー。」
「肯定。オサムのミルクの分析の結果報告を続けますか?」
「栄養価の高い事は聞いたわ。それから?」
「地球ではチーズ製造は完全機械化です。一番の違いはミルクの保存性と安定性です。」
「長持ちするの?」
「肯定。マロエのミルクは成分50%維持時間は常温で1時間。凍結状態で3日。地球の牛の場合、常温1日。凍結状態で60日です。」
「凄い。そんなに効果が続くなんて・・・。」
「地球の牛の場合です。オサムの場合は異なります。」
「アッ、そうか・・・。そうよね。改良された家畜だものね。」
「ミーナ様の推量、一部否定。地球でのミルクの効果減退の主因は細菌の繁殖による腐敗が原因です。オサムの場合、分泌器官の性能向上もあり、常温保存2日以上。凍結保存は確率80%で150日以上です。チーズでは常温保存15日以上。凍結保存では計算不可。一千日以上である事は確実です。」
ミーナはびっくりしてオサムとオサムの搾乳機の瓶を見つめていた。そしてゆっくりと口を開いた。
「凄い性能ね・・・。オサムには悪い言葉になるけれど、『家畜』としては桁外れの機能よ。アナライザー、マロエの科学力は地球よりもずっと上よね。その技術で、オサムと迄はいかなくとも、より高い栄養価のミルクとかチーズとかは作れないの?」
「推定一部肯定。確定は出来ませんが、オサムのミルクの詳細分析をすれば、保存性、安定性を助ける物質の確定が出来ると思います。そうすれば合成可能かと思います。」
「そんな程度・・・。良かった。私がオサムを所有・・・、『結婚』というのね。」
オサムはミーナの言葉には不満を感じていたが、オーラは愛情たっぷりの輝きを示していた。
オサムの日課に乳搾りが付け加えられた。面倒ではあるが、乳房の快感が増し、ミーナへの栄養になるという事、それよりも自分で自分のミルクを飲むという想像も出来なかった経験は新しい悦びに感じていた。一日に0.5リットル程度のミルクの内、半分程保存し、『オサムチーズ』の原料とした。簡易型の遠心分離機で作られる生ミルクを少しずつ貯蔵していくのだ。それは二人にとって、いつ迄も続いて欲しいと思える日課になっていたのだった。
・・・第一章 終り・・・
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