「フーッ、見られたままでのセックスって、結構刺激的ね。恥ずかしいという気分が良く分かるわよ。」
 「ミーナさんは理解していないよ。だけどいいの? ほら、シーマさんなんか、お汁をあんなに。」
 「アハッ、どんなに理性的な振る舞いを演じているシーマでも、本能迄は演じられない。」

 二人は繋がったままでレイム達の所へ戻ってきた。

 「ウーン、やはりデータと現実は異なる。セックスの観賞がこれ程精神を昂揚させるとは思わなかった。それにしても生物学を専門とする私だが、オサムの性器の巨大さもさる事ながら、その巨大な性器がマロエ人であるミーナの膣内に完全に納まってしまうとは・・・。それ程の弛緩、収縮するとは知らなかった。それとこれは地球では当然な事なのか、性器で結合したままで歩行する事は自然なのか? マロエの生物では交尾期間中は無防備であり、交尾の時間は短く、しかも終えればすぐに警戒体制をとるものだが。」
 「それは違います。地球だって一部を除けば同じですよ。こんな風にセックスしたままで居るなんて、恥ずかしい事ですから。」
 「それでは何故?」
 「ウーン、ボク達は漂流期間中はずっとそうでした。それにマロエではセックスなんかしないから、誰にもその意味は分からないって。だけど、それ以上にミーナさんが離してくれないから。」
 「離さないとは?」
 「あのう・・・、あそこでボクのオチンチンをギューッて握っていて・・・。それと、暫く審議の間、ボク達セックスしていなかったから、オチンチンもギンギンで・・・。やっとセックス出来ると思ったら、オチンチンが急に元気になってしまったから・・・。」
 「ああ、それは分かった。それでも一部の生物とはいえ、地球には交尾時間の長い物が在るとすれば、その遺伝子情報はオサムにも存在する筈だ。」
 「ボクも実物では見た事はないですけれど、蛇という生物はペニスに鈎が在り、交尾を始めると数日間続くとか。それから犬という動物は、交尾を始めるとペニスを膨らませてしまい、雌の膣から抜けなくしてしまうそうです。」
 「ほう、その様な動物は、攻撃性が強いか、或いは安全な地域に生息するのだな?」
 「ヘーッ、その通りです。確かに猛獣や、危険な動物程交尾は長いですね。」
 「これはオサムには色々と地球の動物の交尾について聞かねばならない。」

 オサムは照れ臭そうにしていた。

 「オサムの遺伝子解析でもある程度は理解出来るだろう。しかし予備知識は必要だ。その様な特殊でしかも興味深い資質は、当然オサムの遺伝子にも含まれているだろう。それを解放出来れば。」
 「ゲッ、まさか・・・。」

 オサムの驚きにミーナは興味を示していた。

 「レイムさん、それは次の様な意味と理解して宜しいですか? つまりオサムの遺伝子にはその様な生物の遺伝子情報すら含まれていると。そして遺伝子分析が分かれば、その様なペニスにと?」
 「是とする。これは素晴らしい。」
 「アッ、待って下さいよ。仮に、本当に仮にですよ、ボクのオチンチンがそんな風に成ってしまったら、ボクはミーナさんと繋がったままで、延々セックスさせられてしまう。ミーナさんのスケベさは地球人以上になっているから、ボクが参ってしまうよ。」
 「それでいいの。審議の結果は私達の関係を是認したわ。つまり私は『女王様』で、オサムは『セックスペット』なのよ。だから私が満足出来るセックスの為の道具に成らねばならないのよ。これは論理的だと思います。そしてその機能が向上出来る可能性が高いなら、その努力を惜しまないのが正しいマロエ人です。」

 レイムは苦笑いしていた。

 「確かに論理的には是である。しかしオサムの言う『スケベ』が、認識し易い状況となった。ミーナの以前からの変化状態を『スケベ』のレベルが高くなったと認識すれば良いのだから。」

 シーマも笑っていたが、目は真剣だった。

 「私のこの精神状態の変化も『スケベ』のレベル変化と認識すべきなの?」
 「きっとそうよ。それを確かめたかったら、ルーナを目覚めさせてみれば?」
 「ルーナを?」

 ミーナが頷き、シーマはルーナに対し念を送るのだった。

 「ハヒーーーッ!」

 ルーナは全身を振るわせながら意識を取り戻した。

 「ワーッ、何ですか? これはっ!」

 そして痙攣しながら全身から汗を噴き出していた。

 「ウッ、強過ぎたか?」
 「アッ、シーマさん、大丈夫ですよ。ルーナさんのオーラからすると、確かに驚いてはいるけれど、ミーナさんで見慣れているオーラだから。」
 「ミーナで?」
 「ええ、凄い快感に驚いているの。マロエ人て、本当はスケベなのに、哲学や倫理で押さえ込んでいるみたいですね。だから全身の性感帯を一度に刺激された事なんかないみたいですね。」

 手足を拘束具で広げられたままのルーナは汗と涙、そして涎を流しながら悶え震えていた。そして股間からは張り型の隙間から、失禁だけでなく、愛液が溢れ出していた。

 「フム、確かに感じてはいる様だな。」

 レイムはルーナに近付き、悶えている様子を観察していた。

 「レイムさん、シーマの恥ずかしい姿を・・・、ウッ、これが『恥ずかしい』という事か?」
 「そうですね。ボクの言う意味が分かって貰えましたね?」
 「オサム、そんな事ではない。これがルーナにとっては『恥ずかしい』事だろうが、その恥ずかしい姿を眺めるなどというのは、倫理にもとる。そしてそれを私の意思で始めてしまっているなんて・・・。」

 レイムとミーナだけが微笑んでいる。

 「ミーナ、これでいいの?」
 「そう、これでいいの。もし不具合が生じたら、精神的にはオサムに分かるし、肉体的にはアナライザーに分かるわ。まだルーナには快感に慣れていないだけなのよ。シーマ、そのままで手足の拘束を解いてもいいわよ。オサムや私の経験から分かるの。」
 「レイムさん、それでいいのですか?」
 「ええ。ミーナは先輩。先輩の助言に従うのもマロエの美徳です。」

 シーマは怪訝そうにしながらも、判断はレイムに任せてしまっている状態なので、素直に指示に従った。そして拘束を解かれたルーナは床に突っ伏し、激しく喘ぎ悶え続けるのだった。



 「ミーナさん・・・、シーマ隊長に言って・・・、下さい。このままでは・・・、グフッ・・・、私・・・。」
 「苦しいの?」
 「苦しい・・・、つらい・・・。」
 「それは肉体的に? それとも精神的に?」
 「ヒーッ、どっちも・・・です。このままでは、私・・・精神異常を・・・。」

 胸のパットと股間の三頭張り型を剥がそうと足掻いているルーナは、這いずり回りながらミーナに哀願するのだった。

 「オサム、どうかしら?」
 「ボクには良く分からないけれど、ルーナさんの精神構造の変化が、ボクの持ってきたエロ本の影響だとすると、停止する事はあの効果が現れそうですよね?」
 「なる程。肯定する。シーマ、止めて上げていいわよ。」
 「止めるのか?」

 シーマは相変わらず怪訝そうにしながら念を送った。そしてルーナはガクッとして床に横たわった。激しい呼吸は相変わらずだったが、ホッとした表情になり、その様子にシーマもホッとするのだった。激しい刺激の後の微弱な動きは、ルーナには本当に停止した感覚だった。

 「ミーナさん、レイムさん、シーマさん。ちょっとボクとルーナさんだけにして貰えませんか?」
 「我々が居ると何か支障があるのか? 私としてはオサムとルーナの会話もデータとして興味があるが。」
 「ボクの精神波は弱いけれど、それでも集中すれば・・・。今のボクの言葉はルーナさんには届いていない筈です。快感に翻弄され続けていたルーナさんにはまともな理性はないでしょう。エロ本の定型に従って慰めて上げますから。」
 「了解した。それでは我々は別室で待機する。」

 レイム達はオサム達を残して部屋を出ていった。



 「ルーナさん。」
 「オサム? 皆は?」
 「アッ、その精神は遮断フィルターを外さないと。」

 オサムはルーナの頭からフィルターの帽子を外す。すると途端にルーナの複雑な意思が飛び込んできた。

 「ルーナさん、少しの間だけだよ。止めているのは。」
 「オサム、頼む。これを外して。私は宇宙飛行士なのよ。セックス奴隷になんか成りたくない。」
 「ルーナさんはもう自分では分かっているでしょ? 既にシーマさんのセックス奴隷に成ってしまっている事が。」

 ルーナは肩を振るわせて泣き続ける。

 「私は・・・。何故・・・。」
 「ねえ、ルーナさん。そんなに嫌?」
 「当たり前だ。オサムなら私の気持ちが分かるのではないのか?」
 「ボクの場合は最初はルーナさんと一緒だったと思う。ミーナさんに身体を改造され、本当にセックスペットにされてしまった時はつらくて悔しかったよ。だけど、凄く気持ち良くて。ルーナさんはどうなの? 気持ち良くない?」
 「それとこれとは別よ! 私は崇高な使命の為にこの船に残ったのに。」
 「だけど、レイムさんはその使命の為にルーナさんにその快感を与えたんだと思うけど。ルーナさん、ボクの精液を飲む? 少しは落ち着くと思うけれど。」

 オサムがペニスを突き出すと、ルーナはゴクッと唾を飲み込む。そしてむしゃぶりつくのだった。



 「オサム、本当にこんな事が私の使命だと思うの?」
 「ボクにも本当のところは分からないけれど、ルーナさんはボクの体験をシュミレートするんじゃないの? ボクの肉体バランスの変化が操縦技能にどう影響するのか。そして精神の弛緩緊張をする事での集中力とか。ルーナさんもバイオセンサーを着けているよね? どんな具合の変化をしているか分かるの?」
 「ああ、ちょっと待って・・・。エッ?」
 「どうしたの?」
 「振れ幅が大き過ぎる。設定をリセットしないと・・・。」
 「何なの?」
 「ええと・・・、こうか・・・。各データの変動幅はある程度決まっているので、最大値の場合でも越えないスケールにセットしてあるのだけれど、確かにこんなひどい事をされては精神的不安定さは想像以上の数値になるのは分かる。ウッ・・・、数値に非合理値が。」
 「非合理?」
 「数値の履歴をも見ているけれど、こんな値は・・・。バイオセンサーの故障ではないわ。」
 「ほら、最初にボクのミルクを飲んだ時だって、かなりの非合理と思われる数値が出ていたでしょう?」
 「それは理解している。だけど・・・、これは・・・。」
 「何なの? ボクにはまだマロエの文字は読めないから・・・。意味を教えて。」
 「拒否する。このデータには私の人格を否定する、そしてとても公開出来ない内容が含まれている。」

 オサムは鼻で笑った。

 「アッ、そう。ならいいよ。もう一度シーマさんに頼んで、限界を越える刺激を与えて貰おう。」
 「ヒーッ、それはダメッ! オサム、その言葉は脅迫に当たる。しかしオサムはまだマロエの法律を理解しているとは言えない。法による躊躇は感じられない。しかしこの内容は秘密にしておいて欲しい。」
 「いいよ。だけどある程度は推定出来るよ。」
 「推定? ウッ、私のオーラとかで?」
 「そんな必要もないですよ。だって、性欲はマロエ人には顕してはいけない事なんでしょう? ルーナさんの人格を損なうとしたら、性欲に関する事しかないよ。きっと、自分が悦んでしまっている事を示しているデータだね?」
 「グッ・・・! オサムの地球式の理論には抵抗出来ないのか。」
 「アハッ、図星。だけどボクには正直に話してもいいよ。だってボクはマロエの哲学を理解していないし、自分でも凄いスケベだと思っている。ミーナさんだってマロエ人にも関わらず、あれ程のスケベになったんだよ。ルーナさんのスケベのレベルなんか、ミーナさんに比べてもずっと低い。それとスケベに関してはボクがこの船の中では一番経験が長い。レイムさんは別にしてね。それでシーマさんについてだけれど、シーマさんは使命達成への責任感は強い人だと思うけれど、ルーナさんはどう思います。」
 「それは是とします。今の隊長は理性が弱っているのか知れないけれど、本来は正義感が強く、任務に忠実です。その下での操縦士として私は隊長を誇りに思っています。」
 「じゃあ、これからもシーマさんはルーナさんへの責めを強くするね。レイムさんの指示でもあるけれど、マロエ法の根幹に関わる使命を帯びているのだから。」
 「ヒーッ、それは・・・。」
 「耐えられない? 大丈夫だよ。ボクの書籍の幾つかを読んだでしょう? それにボクだって最初は精神異常を起こすかと思える改造だったのに、結果的にはミーナさんと幸せにSMしている。ルーナさんの場合は、極端な場合の事例としてボクが居るし、改造された訳じゃないんだから。まあ、残念だけれど、マロエ人の改造は不可能らしいし。今の姿だって、あくまでも偽物。ボクの様な本物のオチンチンでもオッパイでもないのだもの。ボクみたいな肉体に成ったとしても幸せなのだから、今のルーナさんだったら、データ収集に勤めればいいんじゃないの?」
 「データ・・・収集?」
 「うん。ボクの場合は基礎データは取っていないけれど、ルーナさんの場合はあるのでしょう? 疑似セックスにしか過ぎないけれど、それでもルーナさんの精神が大きく変動する程の刺激なのだから、どの程度変動するのかを知るのもデータ収集だよ。ハッキリ言えば、ルーナさんは凄い快感を感じた筈だけれど、それだってデータだ。レイムさんはもっと別のデータを欲しがっていると思うの。どの部分にどういう刺激を与えればもっと気持ち良く感じるとか。ミーナさんだって、自分達だけでなく、色々な人に快感を与える器具を作りたいと思っている。何分にもマロエにはそういうデータは少ないものね。だからレイムさんが言っていた様に、自分の悦びを行動基準にすればいいんだよ。考え様によっては、ルーナさんはシーマさんよりもずっと恵まれた立場だよ。」
 「隊長が? こんな辱めを受けている私の方がどうして恵まれていると?」
 「それでは、地球では『他人の喜ぶ事をせよ。』って原則があるけれど、これはマロエでもそうでしょ?」
 「当然だ。」
 「じゃあ、あるマロエ人が、ある事をしたいと思っているのだけれど、色々な理由、事情でそれを出来ないとする。ルーナさんがその事を出来る様に手伝うという事は理に叶っている?」
 「当たり前だ。それは正義だ。」
 「じゃあ・・・、アッと待ってね。ルーナさん、この精神波の遮断フィルターの帽子は広げても効果は落ちない?」
 「幾分は落ちるが、それでも遮蔽効果は充分ですけど。」

 オサムはルーナから脱がした帽子を大きく、長く広げた。そしてルーナと額を付き合わせ、二人の頭に被るのだった。

 「何故?」
 《シッ、声は出さないで。精神波だけでの疎通を。》
 《意味は分からないが了解した。》
 《ルーナさんは気が付かなかったでしょうけれど、ルーナさんが悶えていた間、シーナさんはずっとあそこからお汁を流していたんだよ。それだけ性的興奮をしていたの。ルーナさんの場合は無理矢理責められて快感を得ていたけれど、シーマさんはその間、ずっと我慢していたんだよ。一人だったら色々な器具が用意してあるから自分自身で慰める事も可能だけれど、シーマさんの性格ではそれも無理だよね?》
 《隊長だけではない。マロエ人ならその様な事はしない。》
 《だけど可哀想だと思わない? ボクとミーナさんはちゃんと性欲処理出来ているし、レイムさんだって、あの服装だから見え難いけれど、張り型を着けているんだよ。》
 《まさか・・・!》
 《本当だよ。シーマさんだって言っていたじゃないか。マロエ人とて動物には違いない。それを上手に解消する事でマロエ人たり得るって。だけど今のシーマさんにはそれが出来ないの。精神的にはルーナさんよりもシーマさんの方がつらいんだよ。ルーナさんの場合はいわば強姦状態でしょ? 自分ではどうしようもないのに、強引に性感を刺激されていて、自分の意志ではなくて高まってしまう。それはルーナさんのせいではないんだから。だけど気持ち良かったのは認めてよ。ボクにはオーラで分かるのだから。》
 《ウッ、オサムには隠せない。確かに快感は激し過ぎるが、快感であったと認める。》
 《ルーナさんはボクの立場のシュミレートをしているなら、シーマさんはミーナさんの立場をシュミレートしないとダメだとは思わない?》
 《エッ?》
 《レズは普通のマロエ人には恥ずべき行為だという事は知っているけれど、今のシーマさんには必要な事でしょ? マロエ人の倫理として出来ないんだよ。だからさっき言ったよね? 喜ばれる事をしろって。普通では出来ないから、ルーナさんと同じで、強引にされてしまえば、本人の意思ではなくてしてしまう事になる。それでシーマさんが喜べば・・・。》



 暫く二人だけの会話に、別室でオサム達の精神波を盗み聞きしていた女性達は不審に思うのだった。

 「どうしたのかな? 精神波だけでなく、音声も聞こえない。」
 「オサムの事よ。きっと自分の精神波をルーナさんに集中しているのよ。普段では精神波の制御は出来ないのに、ここという時は凄いの。あの能力も地球人独特の瞬間の力ね。」
 「それはデータでも分かる。平均値は低くなるのだが、最大値ではマロエ人の最高のレベルの者でも及ばない。いわば光電子反応の様な力だな。」
 「それは、どういう意味ですか?」
 「物理の初歩だ。光電子はエネルギーの高い光子、つまり波長の短い光が当たらねば発生しない。我々はいわばナトリウムランプの光の様なものだ。単一波長の光には素晴らしい効果がある。解像度が上がり、位置や速度を正確に測定出来る。それに比べてオサムは白色灯の様なもの。全波長に渡る光はコヒーレントではないし、揺らぎによる測定誤差が出る。しかし短波長も含まれているのだから、どんなに強いナトリウムランプでも発生しない光電子が、僅かではあっても白色灯なら発生する。それが急激に短波長を出せる様なものだ。しかも白色灯には色の違いを知る事が出来る。ナトリウムランプの我々には分からない色を感じるという事なのだ。」
 「何かとんでもない比喩ですが、それでもレイムさんのおっしゃろうとする事は分かります。」
 「それにしても静かだ。どんな話をしているか興味はある。」

 そこにオサムの声が響いてきた。

 「シーマさん、今、いいですか?」
 「私か?」
 「ルーナさんの事でちょっと相談したい事があるんですけど。」

 シーマだけでなく、レイムも立ち上がろうとした時、ミーナがレイムを留めた。

 「レイムさん、オサムはシーマさんだけを呼んだのですよ。私達はここで待機を続けます。」

 レイムは少し驚いてミーナを見つめたが、何かを理解した様子で座り直した。

 「シーマ、オサムの事だ。きっと我々には分からないアイデアを出しているに違いない。行きなさい。」
 「ハッ、了解しました。」

 シーマはメイド服に似合わない敬礼で、スッと部屋を出ていくのだった。



 「オサム、何の用?」

 泣き叫んでいないルーナに対し、シーマは少し後ろめたい気分だった。

 「隊長、すみません。取り乱してしまいました。」
 「アッ・・・、いや・・・。確かに私には今でも自分自身で理性が失せているのが分かる。こんな事をしてしまう自分に不安でいっぱいなのだ。」
 「シーマさん。ルーナさんの今の任務はボクの体験を追体験し、シュミレーションする事なんです。精神的、肉体的な過負荷に対し、対応力をつける為のテストなんです。確かにマロエでは非倫理的な行為らしいですが、いわば一種の緊急事態を作り出し、その対応がどういう形で現れるかのシュミレーションですよね?」
 「アッ、ああ・・・。そういう事かも知れない。」
 「そこでルーナさんも説得して、精神的な事に関しては自尊心を失う程の事なんですけれど、何とか耐えて貰う様に頼みました。そして肉体的な反応の変化を早くデータ化したいんです。」
 「了解した。私もこの様な任務は早く終了したい。」
 「ルーナさんともお話しをしたんですけれど、マロエ人は意外と性器の事を知らないんですね? 確かにマロエ人の倫理では当然ですけれど。ボクとしてはマロエ人の性器は地球人と構造的には似ているとは思いますけれど、本当のところは分かりません。張り型に対し、どの様な刺激が一番良いのかも分からないんです。ルーナさんの身体で調べれば一番いいのでしょうけれど、張り型が填まったままだし、ミーナさんの場合ではボクのペニスが填まり込む程訓練が済んでしまっています。そこでシーマさんの性器を観察して、ルーナさんの性感ポイントを把握したいんです。」
 「な・・・、何を?」

 シーマの慌てぶりに、ルーナは恨みがましい目付きでシーマを見上げた。

 「隊長。私は使命の為に自尊心を当分の間放棄します。それなのに隊長は・・・。」
 「ま・・・、待て。オサム、それは必要な事なのか?」
 「必要です。だったらシーマさんとルーナさんの役割を変更しますか?」
 「アッ・・・、ウッ・・・、それは困る。いや・・・、つらい使命をルーナに押し付けている訳ではない。私は・・・その様な利己的な行為を是とはしない。あくまでも素質からで・・・、オサムの言うSとしての私とMに分類されるルーナとの関係で・・・。」

 シーマはしどろもどろだった。

 「いいんですよ、シーマさん。ボクにはオーラが見えるという事は分かっていますよね? シーマさんがどんな状態なのかも良く分かっていますから。」
 「それは・・・。やむを得ない。部下に恥ずべき行為を科しておき、自分自身がそれを拒否することは私の船長としての義に反する。しかしオサム、出来るだけ短時間に・・・。ミーナやレイムさんにも知られたくない。」
 「分かっています。シーマさんはごく当たり前のマロエ人ですから、ボクのお願いがどんなに理不尽かも分かっていますから。」
 「そうか・・・。アッ、オサム。その精神波遮蔽の帽子を使っても良いか?」
 「そうですね。多分精神的負担で理性が失われれば、本能剥き出しの精神を溢れさせてしまうでしょう。それはシーマさんには最もつらい事ですね。」

 確かにそうなのだが、シーマは自分自身が良がってしまい、その喘ぎの精神波を知られる事を恥としていたのだ。

 二人の意思疎通はそこで中断してしまったので、ルーナが通訳として脇でシーマに囁く。

 「そ・・・それで、どうすればいいのだ?」
 「あ、そのまま仰向けに寝て、足を上げて下さい。」
 「ヒーッ、そんな恰好にならないとならないのか? 私の衣服では、下着を着けていないから・・・。」
 「すぐに終わります。はい。」

 シーマは顔を真っ赤にし、震えながらオサムの言う通りに仰向けに寝た。そして短いスカートを押さえながら足を上げるのだが、ノーパンでは隠し様がない。

 「ヒヤーーーッ!」

 上げた足をオサムはグイッと頭の脇に引き下ろしたので、シーマは性器を天辺に晒け出してしまうのだった。

 「ボクは地球人の女の人のここをじっくり見た事はないから、あまり比較は出来ないですね。」
 「それでは・・・、意味がないではないか。」
 「精神波が遮蔽されているので、意思は分からないけれど、多分・・・、そんな事はないですよ。それにミーナさんとの違いだって調べなくてはならないのだし。」
 「ヒャーッ、広げないで・・・。」

 大陰唇を両手で開くと、シーマは目を瞑ったまま泣き出していた。そして愛液が糸を引いてきていた。その時ルーナの方もおかしくなっていた。

 「クーッ、張り型の動きが・・・。」

 身体がプルプル震えていて、鼻の穴を大きく広げ、シーマの晒け出された股間を見つめていた。

 「オサム・・・。私はレイム審議官に己の悦びに従えという指示を受けた。そしてオサムからはして欲しい事をしろと言われた。この張り型の刺激が強くて、私も理性を無くしそうだ。」
 「アハッ、ルーナさん。何を我慢しているの? 性的欲求不満は今のルーナさんには一番精神的負荷を高めてしまうんだよ。」

 オサムがルーナと話しているのを恥ずかしさに震えながら股間を晒していたシーマも気付いていた。

 「オサム、早く終わして欲しい。私の理性も限界に近い・・・。」
 「アッ、そうですね。ルーナさん、ボク達のやり方を見て知っているね?」
 「ウウッ、オサム・・・、一体何を?」

 恥ずかしさの中、そっと薄目を開けたシーマは、自分の恥ずかしい股間を晒けさせられているのを見て、再び目を閉じようとした。その時視界の中にルーナがやはり真っ赤な顔で震えながら張り型のペニス部を自分の股間に近付けているのを見た。

 「ウッ、ルーナ・・・? イヤーーーーッ!!!」

 ぎこちない動きだったが、下腹部を上に晒されていたシーマの膣にはルーナの張り型がズプッと填め込まれていた。シーマは激しく叫んで暴れるのだが、オサムに両足を押さえられ、ルーナにペニスで尻を固定されてしまっているシーマには逃れる術がなかった。ルーナは身体を屈めてペニスを抜き挿しする。その張り型は外部の刺激により、内部のクリトリスにも刺激を伝える構造になっているので、ピストンをすればするほどルーナへの刺激にもなるのだ。

 「ハフッ、ハフッ・・・。」
 「ヒギーーーッ・・・!」

 二人の喘ぎと悲鳴が合唱になり、そして下腹部同士がぶつかり合う音が響いていた。そしてオサムがそっと手を離しても、二人の『レズ』はずっと続くのだった。



 「どうですか?」

 オサムはミーナとレイムを二人の近くへ呼び寄せていた。

 「予想外・・・、いや、予想はしていたが、それを遥かに越えている。」

 シーマは既に白目を剥いていたが、自分からも腰を揺すっている。

 「ウーン、私はマロエ人としては少しは性欲に関する嫌悪感は少ないと自認していたが、それでもシーマがここ迄本能を剥き出しにする人間であるとは考えていなかった。」
 「レイムさん、二人の『レズ』を見てどうですか? ああ、分かります。オーラが輝いている。」
 「オサムには意思を隠せない。実際に私は『レズ』を見るのは初めてだ。オサム達の事を知り、少しは抵抗感は少なくなるのではと予想していた。」

 ミーナは少し心配そうに尋ねた。

 「やはりマロエ人としての倫理に逆らう事は・・・?」
 「全否定。これ程に素晴らしいと感じるとは予想していなかった。これで私の計画の妥当性、確実性を自ら認識出来た。」
 「良かった。親友のシーマだけがいつ迄もつらそうにしているのが私にはつらかったから・・・。」
 「だけどミーナさん。レイムさんだけが・・・。それにシーマさん達のを見ていると・・・。」

 オサムも催してしまっているのがミーナにも分かった。そして自分自身も。

 「私の事は宜しい。勿論私がミーナ達やシーマ達を羨む気持ちがある事を否定しない。しかし今の私には実際のセックスやレズよりも激しい喜びに満ちている。このまま計画が進めば・・・。遠慮の必要はない。私には視的刺激による精神的喜びを感じる性質であるのだから。」

 ミーナ達がシーマの隣でセックスを始めたのだが、それをレイムはいかにも嬉しそうに眺めていた。



 今度はシーナが泣きじゃくっていた。

 「ルーナ、一体どういうつもりなのよ!」

 まだセックスの途中で繋がったままのオサム達の脇で、ルーナはニコニコし、シーマは股間を押さえて膨れていた。

 「ダメですよ、シーマさん。ボクには良く分かっています。」
 「オサムもだ! 一緒になって私を・・・。」
 「ダーメ。シーマさんのオーラは満足感いっぱいですよ。おそらく久しぶりの性的充実感でしょ?」
 「何を・・・。」
 「素直になって下さいよ。この船の中では性欲は全て解放しなくてはならないの。ボクから見ればマロエのつまらない倫理に捕らわれて、素晴らしい性感を感じない方が罪ですよ。ルーナさんもそう思うでしょ?」
 「私は・・・まだ自分では分からない。こんな物を着けられて、性欲を昂揚させられてしまっているから・・・。ただ、オサムの言う事で、セックスではないけれど、レズであっても、相手の悦びを感じるというのは、精神的に強い充実感がありました。オサムとミーナさんが何故セックスという行為にのめり込むのかの一端は理解しました。」
 「ルーナ、それが上官に対して行った行為の弁解か? それなら私にも考えがある。」

 シーマはルーナの性具に強い念を送り込んだ。途端にルーナは悲鳴を上げて悶え始めた。

 「シーマ、私達はあなたの為を思って・・・。」

 驚いたミーナが取りなそうとするのをオサムが留めた。

 「ヒーッ、隊長、止めて下さいーーーっ! 強過ぎるーーっ!」
 「私は・・・、性感が恥ずべきものではあるが、本能的な快感である事は理解している。だけどそれを今迄ずっと押さえ込んできた。それが・・・、ルーナのせいで目覚めてしまった。ルーナは充分に高められた結果のレズで満足だろうが、私はまだ不充分だ。さあ、私を満足させなさい。」

 呆気にとられているミーナの前で、シーマはルーナを誘うのだった。

 「やっぱりね。マロエ人の自制心は強い筈だけれど、ボク達のセックス見せ付けられ続けていては、精神的欲求不満はかなり強まっていたんだね。」
 「それはそうよ。私だって最初はオサムとの『レズ類似行為』をした時は、あくまでもオサムを私の所有物にする為の行為と割り切っていたわ。『レズ類似行為』であってレズではないと納得していましたから。だけどその素晴らしさを知ってしまったら・・・。」

 シーマとルーナが悶えあっている中、レイムもミーナ達の話に入ってきた。

 「オサムの資料データの中に宗教に関する物もあったが、性に関しては、我々もその様な観念なのかも知れない。」
 「宗教? それもマロエでは先史以前に消滅した概念の筈ですが?」
 「是である。しかし倫理にしても道徳にしても、我々は当然の事と考えている。論理的にそう認めているのか? 歴史的哲学的に理由があるのか? 我々がレズを否定してきた理由は何であろうか。」
 「それは・・・。私自身がセックスを認めてしまっているのですから・・・。レズその物に興味がなかった訳ではありませんが、実際にマロエにはその様なデータもありませんでしたし、心の隅に封印してしまっていました。」
 「当然だろう。その様なデータは非倫理的として表に出る筈がない。在ったとしてもそれは殆どが犯罪に絡む物である。私は審議官としての立場上、その様な非公開データに触れた事もある。これは機密事項であるから、如何にミーナと言えども公表は出来ない。しかし、この程度は言える。件数は非常に少ないという事だけは。」
 「少ない・・・、と言えども在るのですか?」
 「そういう意味ではない。マロエ人はレズを嫌悪しているにも関わらず、興味を持つ者は少なくない。ミーナ程度の興味としてもだ。にも関わらず、実際行為として行う者が極めて少ないのだ。これはオサムの場合の妄想と同じで、その行為に近付ける事すら容易ではないのだ。」
 「それはどういう意味なのでしょうか?」
 「ミーナやシーマで分からないか? オサムが言っていた、『タガ』が外れたのだな。性欲は動物にとっては生命欲と同様に大切なものだ。本来善である事は肉体の記憶として在るという事だ。」



 シーマは何度もアクメに達し、ルーナから離れた時、顔は輝いていた。ルーナは疲労で床に伸びていたが、ミーナがシーマを覗き込むと、一瞬不機嫌を装うのだが、それでもすぐに照れ臭そうに真っ赤になっていた。

 「分かっている。オサムが居ては私の精神状態はすぐにバレてしまうし、ミーナにも少しはその能力があるのは認める。」
 「自分がSだという事は理解出来ましたね?」
 「認める。バイオセンサーが再び故障してしまったのかと思う程だった。しかし精神的不安定さはかなり高い。理性もかなり数値が低くなっている。異常ではないのだが、異常でないという事が不可解でさえある。」

 レイムも下半身をモゾモゾさせていたが、にこやかだった。

 「これが本当のマロエ人の姿かも知れませんよ。動物であると認識する事が、これ程の効果があるとは、地球人のデータの裏付けになります。」
 「しかし・・・無駄にエネルギーを消費すると思います。これは非効率的です。」
 「シーマ、心底非効率と考えますか?」
 「いえ、否定的であります。本能の迸りがそう感じさせます。しかし確かに空腹感はありますが・・・。」

 ミーナは****用の餌を何本も持ってくるのに、オサムは驚いた。

 「ミーナさん、それをボクに?」
 「そうよ。全員のお食事にはこれでも不足だけれど、特にルーナには沢山栄養を与えないと。」
 「無理だよ。この前だって、三本入れられた時、本当につらい程催して・・・。ルーナさんだって・・・、アッ、そうか・・・。排泄は少ない方がいいのか。」
 「エッ、オサム。私の排泄がどうかしたの?」
 「だって、肛門に張り型を挿れているでしょう? その為に浣腸迄されて。」
 「ウッ・・・、そうだった。隊長、レイムさん。私は使命の為にこの様な辱めを甘んじて受けております。ですが、大いなる使命の為には喜んでお受けしています。これからも従います故、その・・・、後ろの張り型は・・・。」
 「ルーナ。」

 シーマが声を掛けた途端、両手足が拘束されてしまった。

 「エッ? 隊長、何を?」
 「ルーナの使命への態度は分かりました。ですから私もその使命達成の為に手伝います。レイムさん、お聞きの通りです。もう出来ていると思いますが。」

 そこにアナライザーが浣腸器を持ってきた。

 「ウッ、浣腸?」

 しかし浣腸をされるには肛門の張り型が外される筈だった。恥ずかしい事には違いないが、既に全員に見られており、排泄出来ない為に食事を制限されるよりは良いと思っていた。しかし肛門バイブが外される事なく、浣腸器を突き立てられた。

 「エッ? 何を?」

 そしてすぐにルーナの悲鳴が響いた。

 「ルーナは沢山の栄養を必要とするのですよ。ですから栄養を入れて上げますからね。」
 「ワーッ、これは栄養浣腸!」

 ルーナはオサムの本を沢山読んでいて、栄養浣腸はセックス奴隷の必須行為と知っていた。それはますますセックス奴隷にされてしまうという事を自覚し、肉体的によりも精神的に奴隷化してしまうのだった。

 「****の餌を溶かしてあります。いくらセックス奴隷と言えども、マロエ人なのですから****の餌を食べさせる事など出来ません。ですからオサムと同じ様にお尻から入れて上げるのです。興奮性の成分がありますから、オサムと同様、激しく催す事になるとは思いますが。」
 「アウーッ、イヤーーーッ!!」

 しかし栄養浣腸はすぐに終わってしまい、手足の拘束を解除された。

 「隊長、抜いて下さい。ウーッ、息張っても出ない。****の餌なんか・・・? アクッ・・・?」

 ルーナはプルプルと震え、顔を真っ赤にして汗を吹き出した。

 (ウーッ、募る。これは****の餌のせい?)
 「そうですよ。元々****の性的興奮を高め、精液を出させる為の栄養なのですから。」
 (フーッ、つらい・・・。エッ? アッ、精神波が止められない?)

 ルーナは焦っていた。自分の興奮している事を知られるのは恥ずかしい事に思えた。

 (ワーッ、どうして止められないの? 興奮しているせい? 理性が働かない。ワーッ、ダメッ! 意識を止める事なんか出来ない。オナニーしたい事が分かって・・・。アーッ、これもバレてる。ヒーッ、私がシーマ隊長を後ろから押さえて・・・。ワッ、どうして意識が?)
 「ルーナ、お前は興奮状態でも、私はまだだ。前回は私の驚愕で力も出せなかったし、何が何だか分からない内に襲われてしまったが、立場を理解せよ。お前は私のセックス奴隷である。私の意思が優先する。オナニーは禁止しない。充分に楽しんで良い。」
 「ヒーッ、隊長。私の心を弄ばないで下さい!」
 「レイムさん。この****の餌の効果には楽しいものがありますね。自白剤の様な危険性はないと思うが、マロエ人であれば隠しておきたいと思う性的興奮が筒抜けになってしまうとは。」
 「き・・・危険です!」
 「否定。」

 アナライザーがセンサーをルーナに向けていた。

 「精神波のレベルが向上しています。ルーナの通常レベルの8dBアップしています。ルーナさんはそれ程高いレベルの精神波を出した経験がないので、それを自意識で押さえ込む事が出来ません。」
 「アナライザー、それは能力の低下には当たらないな?」
 「肯定。精神波レベルは脳の活性化と比例するものとされています。向上でありますから、能力の上昇と認められます。」

 身悶えしているルーナは股間の張り型を強く握っていた。

 「隊長、その・・・精神波遮蔽帽子を・・・。」
 「認可しない。利己的と思われる事を否としない。ルーナ程ではないが、私も興奮すれば精神波の制御が困難になる。私の本能の叫びを知られるのはマロエ人としての誇りを削がれる。よって、これは私の所有とする。」
 「ア・・・、アナライザー。他に精神遮蔽帽は?」
 「クローゼットに製作した物は置いてあります。しかしSM用ですので、機能、形態は各種あります。」

 ルーナはアナライザーを引っ張る様にしてクローゼットへと向かった。シーマ達は笑っていたが、ミーナとレイムが頷き合っている事にオサムは少し怪訝そうに感じた。



 「アナライザー、どれ? 帽子は見当たらない。」
 「帽子状の物はまだ作っていません。レイムさんとミーナさんの指示による、オサム用の精神波遮断装置です。」

 そこには金属で出来た鉄仮面の様な物や、お面の様な物ばかりだった。そして開口具付きの物や、口に喰わえさせる張り型付きの物ばかりだった。

 「ワーッ、こんなのばかり?」
 「精神波遮断でなければ、精神波抑制及び音波抑制の物もあります。」
 「それは?」
 「やはりSM用ですが、オサムに装着する場合を想定してあります。ある程度強い精神波を指向しない限り通過しません。オサムは音波による会話ですから、その音波も口の部分を覆う事で抑制します。」
 「ああ、これ? 柔らかいけれど、材質は? いや、機能について聞きたい。もし私が装着した場合、精神波はどの程度押さえられる?」
 「抑制特性は15dB。音声レベルも同等です。」
 「15dBか・・・。それなら静かに・・・。」

 ルーナは性的興奮に耐え切れず、その袋の様な物を被ろうとした。

 「警告!」
 「エッ?」
 「それはオサム用に製作された物であり、あくまでもSM用です。ルーナさんが装着するには不具合が生じる可能性があります。」
 「それは・・・?」
 「SM用ですから、被装着者本人には外せません。接触認識により、装着させた者を識別します。装着者でなければ外せません。」
 「私が被ればいいんでしょ? 耐えられないのよ!」

 ルーナはその革の袋の様な物を被った。フードの様な構造で、後頭部からは長い髪が出ているが、顔の部分は鼻から下が透明な物で覆われている。首の部分で革の帯を締めると、パチンと音がして止まる。焦りながらもルーナは辺りの精神波の存在を確認した。ルーナにとり、急に静かになった感じがする。そしてアナライザーに精神波を指向すると、相変わらず警告を発していた。

 (確かに抑制されているわ。そしたら・・・。)
 「アナライザー、出ていって。」
 「了解。」

 クローゼットの壁に寄り掛かりながら、ルーナは股間の張り型を握り、上下に揺すり、抜き挿しを始めるのだった。

 「ハウーン・・・。」

 すぐにアクメに達してしまい、股間に張り型の隙間からはかなりの愛液が流れ出るのだった。それでも高まりは治まらず、すぐに次の喘ぎを迎えるのだった。



 「ルーナ、宜しいか?」

 何度もの絶頂を迎えていたルーナは、レイムの声に、やっと自我を取り戻した。ハッと気付くと、クローゼットの床は愛液でビッショリになっていて、慌てて立ち上がり、クローゼットを出る。表ではレイムがニコニコしながら立っていた。遮蔽フードを外そうとしても、手が震えていて巧く外せないでいた。

 「申し訳ありません。ですが自己弁護をさせて頂けば、これは私の体内に****の餌を注入された為であり、私の資質とは関係ない事です。」
 「宜しい。それ程精神波を意識的に強く出そうとしなくても、ルーナの意思は今迄通りに伝わるのですから。」
 「ハッ? このフードは確かに精神波を遮蔽していますが・・・。」
 「アナライザーの警告は聞いていた筈ですが・・・。」
 「はい。私の生理的な反応を知られてしまう事は、マロエ人としての自尊心・・・、確かに今はそれを放棄しておりますが、可能であるならば少しでもと・・・。」
 「そういう意味ではありません。これはオサム用であると警告されていた筈です。オサムに対し、外部からの精神波を抑制する為であり、内部からの抑制機能はありません。」
 「エエッ? すると・・・、今迄の私の・・・。」

 シーマもニコニコしながら入ってきた。

 「ええ、聞こえていたわよ。オサムは****の餌を沢山入れられただけでなく、ルーナの激しい喘ぎに刺激されてしまって、今でもミーナとセックスの真っ最中。ミーナも少し後悔を感じる程の激しさよ。」
 「ヒーッ、みんなで聞いていたのですか?」

 ルーナは真っ赤になってしゃがみ込み、フードを外そうとしていた。しかしどうしても外せないのだ。

 「やはり理性が曇っていると分からないのですね。ルーナ、これも警告を受けた筈ですが、それは被装着者本人には外せないと。そして接触感知で装着者を判断するのですから、そのフードは誰にも外せない事になってしまっています。」
 「エッ、アナライザー、そうなの?」
 「肯定。よって、破壊、切除以外の方法はありません。」
 「申し訳ありません。オサム用に作られた物をダメにしてしまうなんて・・・。」
 「仕方ありませんよ。しかしどうします?」
 「どう・・・とは?」
 「ルーナは今、大変な状況になっているのですよ。そのフードを切除すると言いましたが、どうやって? そのフードの材質は宇宙服その物です。合成ポリマー製ですが、固定剤を使用してあるのですから、通常の刃物は利きません。あくまでも遊離剤を使用しないと。だけどそんな物は普通は宇宙船に常備しません。私の船とか、星の作業場にしかないでしょう。」
 「ワーッ、それは・・・。目的地に到着する迄は不可能ですか?」
 「肯定。暫くは不便でしょうが、そのフードはそのままですね。」

 ルーナは仕方ないと諦めた。しかしレイムとシーナがクスクス笑いをしているのを訝しそうにしていた。

 「まだ本当の大変な状況には気が付きませんか? その顔の下の部分を覆われているのですから、どうやって食事をするつもりです?」
 「エッ? アアッ・・・!」
 「ルーナ、それを装着したのはお前の過失である。よって、目的地への到着迄は食事が不能である。先程の栄養浣腸だけでは到底足りない。やはり固形物を食事しないとならない。そうすると方法は一つ。オサムと同じ様に、尻からの食事しか出来ない事となる。『真田虫』はルーナの腸に合わせた物を製作済みだ。」
 「そんな・・・、まさか既に作ってあるという事は・・・?」
 「それはどうでも宜しい。ルーナが口からの食事が出来ないという事。そして生命を保つ為には『真田虫』が用意されているという事。」
 「イヤです。拒否します。****の様に、尻から入れられるなんて・・・。私はマロエ人として、荘厳な餓死の方を選択します。」
 「それもルーナの選択です。但し、ルーナの意志が弱くなり、その厳とした態度がなくなった時、つまり私が真田虫をルーナに入れようとしても拒否しない時、私は入れますよ。」
 「イヤですーーーっ!」

 ルーナはしゃがみ込んで号泣するのだった。




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