・・・・・・・第六章・・・決断

 「到着予定、約三時間。」
 「了解。周辺宙域は?」
 「オールグリーン。着陸地点、クリア。」

 ルーナはテキパキと操作していた。オサムにはマロエの船での初めての着陸なので、補助作業をしている。

 《MN08743、ミーナ・ミンリッジ。ID確認。》

 スピーカーから地上管制の声が響く。そしてレイムが交信をする。

 《レイナ、地上準備は宜しいか?》
 《肯定。レイムの指示による準備は全て完了。》
 《了解。検索ビームを。》

 「シーマさん、検索ビームとは?」
 「検索ビーム、オン。これは船と着陸地点双方からタキオンビームで結び、着陸誘導させる為の物。互いのビーム発生器が物理的にも結ばれるので、必ず目的位置に到着出来るのだ。気が付かなかったか? 船同士の接舷には必ず使う物だ。」
 「ああ、あの時・・・。そう言えば、かなりスムーズだった。」

 そこにレイムが大きな声を上げた。

 「総員、注目。作業は続行。」

 全員がレイムの方を見た。

 「間もなく到着します。基地は私の研究所であり、設備的に不便な面もあります。研究所ではオサムについての生物学的、遺伝子学的な本調査を始めます。シーマ達には本来の任務とは異なる仕事を任せますが、人手不足の為、了承して貰いたい。」
 「了解。」
 「地上には人間は一人しか居ません。先程の通信に出たレイナ・ハーノンです。」
 「ハーノン?」
 「私の遺伝子を受け継ぐ者、オサム式に言えば、私の娘ですね。」
 「娘・・・?」
 「ミーナさん、娘って・・・、マロエでは・・・?」

 レイムの照れ笑いは久しぶりだった。

 「その件については着陸後にお話しします。地上ではシーマとルーナ、ミーナとオサムの相部屋になります。大体は軽作業ですが、仕事分担の場合はシーマとミーナ、ルーナとオサムのペアを原則とします。まあ、船での作業分担と同じだと思って下さい。そして私の任務である科学的調査の為には、全員にある程度の知識を得て貰わねばなりません。その為のスクーリングも行います。期間は未定ですが、一応一月を予定。以上です。」
 「了解・・・ではありますが、使命達成の目的にしては・・・。」
 「緩いと思いますか? まあ、あとで分かると思いますが。」



 そしてすぐに何も無い岩だらけの星のトワイライトゾーンに到着した。スクリーンに映し出された基地は、ただ平べったい無機質のコンクリートの塊だった。船は建物の脇に到着すると、開かれたシャッターの中に滑り込む。

 「ヘーッ、豪勢な格納庫。」
 「オサム、何を? エッ、地球では船を収納しないの?」
 「点検とか、修理の時には入れるけれど、普段は外に出しておきますよ。この星には大気が無いのでしょう? 錆を心配しないでいいし。」
 「錆? ああ、地球の船には錆びる金属が使われていたわね。」

 ルーナは船を操りながら少し自慢げだった。

 「しかし、空気の無い場所に着陸し、人間が移動するのには必ず宇宙服が必要になってしまう事になる。それとも移動用の気密室を使うとか、エアチューブを使うの?」
 「気密服ですよ。」
 「ヘーッ。」

 シーマ達が驚いた顔をしていた事に、むしろオサムの方が驚いてしまった。

 「どうして? 効率最優先のマロエにしては逆でしょ?」
 「何故? 一々宇宙服を着たり脱いだりの時間は全くの無駄だ。」
 「そんなに時間は掛からないよ。それよりもこれだけの格納庫の設備や、開閉の度の空気の流失の方が無駄が多いと思うけれど・・・。」
 「ホーッ、それも一理ある。実に地球式の思考方法には驚きが多い。」

 レイムは感心していた。

 「我々の思考方法は柔軟で、合理的、論理的であればすぐにそれを採用するのだが、実は硬直した思考方法をとっていた事に気付かされる。つまり、一度合理的であると判断してしまうと、その方法を変更する事は合理的でないと信じ込んでいたという事だ。」

 定位置に着き、やがて空気が満たされた時、スピーカーから声が聞こえた。

 《収納完了。スタンバイOK。》
 「了解。下船します。」

 レイムに従い、ミーナ達は船を下りるのだった。オサムは初めてのマロエに属する星の大地に足を踏み下ろす感慨に満たされていた。



 「お帰りなさい。」

 ドアの向こうにはレイムをそのまま若くした女性が微笑んで立っていた。オサムにはレイムと親子と言うよりも、むしろ姉妹に見えるのだった。

 案内されて歩いていく通路は、やはりマロエの哲学のせいか、綺麗で艶々してはいるが、全くの無機質で、ただノペッとしている。そして最初に入った部屋もその通りで、真四角の白い部屋で、部屋の隅にテーブルと机と椅子が在り、壁には大きなスクリーンが在るだけの、ガラーンとした部屋だった。

 「報告はどうします?」
 「それは後程。最優先事項は我々の疲労回復である。だがその前に紹介しよう。」

 レイムはその女性を皆に紹介する。

 「これはレイナ・ハーノン。船で言った様に、私の遺伝子を受け継ぐ者である。」

 レイナはマロエ式の敬礼をする。それに合わせてミーナ達も同じ敬礼をし、それぞれの名前と肩書きを自己紹介する。

 「あのう、レイムさん。」
 「何か?」

 レイナは興味深そうにオサムを見回し、そしてルーナにも視線を集めていた。

 「ボクの認識では、マロエ人には親子関係が無いという事なのですが・・・、アレッ? だとすると、どうやって赤ちゃんは産まれるのですか? そうだよ。どうして気が付かなかったのかな?」
 「なる程、データによると地球では動物の様に人体から直接産まれるという事だったが、本当なのだ。」

 レイナはレイムと同じ様な仕草で頷いていた。

 「そうです。だけどレイムさん、レイナがレイムさんの遺伝子を受け継ぐとは? クローンは遺伝子欠損の危険があり、非合理だが。」

 ミーナもレイムに尋ねた。

 「ミーナさん、どういう事? 説明してよ。」
 「分かった。オサムはマロエ人の増殖については知識がなかった。」

 ミーナは一般のマロエ人の発生について説明を始めた。

 生殖での受胎ではなく、あくまでも人工的に行われる。子宮や卵巣の退化しているマロエ人には滅多に卵子は発生しないが、卵子の母細胞は発生する。それを定期的に採取が義務づけられており、人工的に卵細胞に生育させる。その中で、遺伝子異常のない物だけを取り出し、****の精液の中に稀に発生する精子母細胞からの遺伝子を人工受精させるのだ。その場合、親子関係は分からなくなる程に混合されてしまっていて、遺伝子的な親子関係は分からなくなっている。そして人工羊水の中で育てられ、あるロットの数の幼児は全員一緒に育てられる。そして成長してからの遺伝子検索で、親を推定する事は可能であるが、それはマロエ人には意味を持たない。ただ、先天的能力の判断には僅かに役立つという程度なのだ。

 「レイムさんは遺伝子検索でレイナさんを推定したのですか?」
 「否定。私は卵巣が通常よりも発達しています。ですから私には卵細胞迄の発生が可能であり、その卵細胞の中でも、最も発達した物でレイナを発生させたのです。よってレイナは私の遺伝子を受け継いでいます。それは私の研究に役立ちます。趣味嗜好が近似しており、やはり生物学、遺伝子学に興味を持ち、私の消滅後もその研究の持続が可能ですから。」
 「肯定。私はレイムも先祖からの研究を受け継いでおり、私も時期をみて私の遺伝子を受け継ぐ者へとこの研究を委任する。」
 「まあ私の趣味嗜好と言ったが、好ましくない嗜好も受け継いでしまっているが・・・。」
 「レイム、それは他人には禁句である。」
 「いいのよ、レイナ。私はここの全員に話してしまっている。それにオサムは異星人であるから別としても、シーマ、ルーナ、ミーナの姿を見ただけでも私達以上の状況であると判断出来るでしょう。それに・・・、ああ、これは宜しい。それではこれからの暫くの期間、この基地での生活となりますが、特にオサムは環境の違いが大きいと推定される。それとルーナには不便を掛けたが、そのフードを除去しなければならない。その準備迄の間、居室の整理をして貰う。オサム、ルーナはその任務を命じる。シーマとミーナにはレイナとともに報告とデータの整理の後、下の作業場での準備を命じる。」
 「了解しました。」

 レイムはオサムとルーナを連れて居室へと向かう。そしてレイナとシーマ、ミーナはエレベーターへと向かうのだった。



 「準備は完了しています。」

 大きな透明の筒には色々なケーブル、チューブが繋がれている。

 「これが培養塔です。ルーナさんはこの中で培養される事になります。」

 シーマは少し震えて見つめていた。

 「本当に可能なのか? 可能であったにしても、私には恐ろしさを感じる。人体実験なのだから。」
 「培養器官は完成していますので、いつでも開始出来ます。」
 「だけど凄い技術ね。これが成功したら、あの問題は殆ど解決ですね。」
 「否定的です。」
 「否定的? それではルーナの・・・改造は可能性のレベルが低いのか?」
 「それも否定的。いえ、85%の確率で否定。」
 「不合理。説明を求める。」
 「遺伝子の適応性の問題です。個体の細胞にオサムの遺伝子を注入し、適合する確率です。マロエ人平均値では30%しか適合しません。しかし偶然に適合確率の高かったのがルーナさんだったのです。ルーナさん以上の適合するマロエ人はおよそ1.5%です。」
 「そんなに低い確率なのか・・・。ルーナの場合は本当に偶然なのだな。」
 「ちなみに、シーマさんは40%。ミーナさんは少し高くて55%です。しかしその程度では適合しません。拒絶反応が強くて、培養は出来ません。」
 「そうか・・・。私は運命論者ではないが、ルーナはそういう運命にあったとしか思えない。私がこんなに嬉しい気持ちになってしまっている事に素直に従おう。」
 「そうよ。偶然の積み重ねで私もオサムも大きく人生が変わったわ。それも素晴らしい人生に。その偶然にシーマも繋がっているのよ。そしてきっと偶然が私達の大いなる使命に、きっと可能性を示してくれるわ。」
 「そうね。私も信じる。」
 「ああ、一部否定です。」
 「レイナ、私達の感動に水をささないでよ。」
 「それは否定。大いなる使命に対しての可能性を低いと推定されていると思量します。それを否定します。」
 「エッ、可能性が高いの?」
 「肯定。ルーナさんは遺伝子適合が高く、ミーナさんも平均以上です。」
 「アッ、そうか・・・。シーマ、私の卵細胞とオサムの精子で・・・。」
 「なる程、ルーナの場合はもっと可能性が高い。」

 レイナはニコニコしながら否定する。

 「大部分を否定します。」
 「何よ、レイナ。あなたの話し方は不合理、非効率よ。説明しなさい。」
 「了解。ミーナさんの思考には幾つもの仮定が含まれており、それの実現不可能な事を無視しています。ミーナさんの卵細胞とオサムの精子による個体発生はここでは不可能。人工母胎への生育依頼は現状では拒否されます。データがありませんし、それこそクローン以上に倫理的問題が発生します。ですから人工母胎は使用出来ませんので、天然の母胎で生育させねばなりません。」
 「天然とは・・・? エッ、まさか・・・。」
 「ミーナさんの推定を肯定します。疑問については肯定します。マロエ人には動物の様にその肉体で胎児を成長させる事は不可能です。訂正。可能性が低い。現実に出産した記録はおよそ250年前にありました。子宮が発達していないので不可能なのですが、ミーナさんはオサムとの性交により、大量の精液を体内に入れた事により、発達を促されました。卵細胞にオサムの遺伝子操作をすれば、受精可能です。」
 「ウッ・・・、しかし倫理的な問題が残る。」
 「オサムは獣ではありません。外見的には****に近似していますが、異星人です。ですから産まれる子供はマロエ人と地球人の混血児という事になります。」

 戸惑っているミーナにシーマはただ喜んでいた。そして悪戯っぽい顔でつつく。

 「ミーナ、運命なのだろう? 運命に従うのではなかったの? 私としてはミーナが出産するところを見てみたい。人間が妊娠して大きなおなかであるところは是非見てみたいものだ。ああ、そうだ。レイナ、ルーナはミーナ以上に適合率が高いと言ったな? それならルーナも出産可能か?」
 「否定。これは完全否定です。」
 「エッ、何故?」
 「ルーナさんは子宮に精液を入れておりませんので、全く発達してしません。これからの発達も否定です。この培養塔でペニスの移植培養の結果、膣、子宮は消滅します。卵巣も精巣に、子宮は精嚢に変化します。ですから不可能なのです。」
 「そうか・・・そこ迄は無理だったか。」

 シーマは少し残念そうだった。しかしミーナはレイムの表情から何かを感じていた。

 「レイナ、まだ何かあるわね?」
 「さすがミーナさん。データで得ていた通り、表情からの意思を感じる能力とはこれの事ですか。肯定します。ルーナさんの場合は精液及び精子製造能力を得られます。その精子には既にオサムの遺伝子が含まれています。完全にオサムの精子製造能力迄は至りませんが、推定70%程度です。その精子を大量に受け入れるシーマさんには期間的にはミーナさんの倍の時間が掛かると推定しますが、子宮が発達します。それはミーナさんと同じで、シーマさんの肉体での受精出産が可能となります。」
 「何っ!?」
 「そしてペニスという生殖器の形状に関しては****よりの遺伝子からの増殖であり、そこにオサムの遺伝子処理をしました。ですから遺伝子的にはかなりの部分がマロエ人の遺伝子で出来ているといって良い物です。その場合はミーナさんの場合以上に適合度が高いと推定します。シーマさんの場合、卵巣、子宮の成長に時間が掛かる分だけ、ミーナさんよりも遅くなるという事です。」
 「それは・・・、困る。私が動物と同じ様に妊娠、出産など・・・。」
 「あら、シーマはマロエ人が大きなおなかに成るところを見たかったのでは? 自分自身であれば、良く観察出来るわよ。」
 「否定! 自分自身のみっともない姿など・・・、オサムの言う『恥ずかしい』姿になど成る事は拒否する。」
 「あら、それこそ非論理。大いなる使命の為の前段階の使命と考えていい事よ。そして出産出来るという事は普通のマロエ人は出来ない事。不可能が可能に出来る私達は、それこそマロエ人以上のマロエ人なの。」
 「いや、人工母胎でやるべき事を自ら行うのは非効率であり、生物学的な退化を意味する。」
 「私は否定しますよ。今迄、オサムの行動を通じて地球式哲学を学びました。全部とは言わないけれど、中にはマロエよりも遥かに進んだ考え方があったわ。特に動物性の肯定という点。今迄のマロエではとても考えられなかった。いいえ、考えようとすらしなかったわ。当然の前提であると思っていたから。でもオサムの能力、そしてセックスの素晴らしさが、その動物性から派生していたわ。素晴らしいセックスが動物性の肯定から派生しているなら、その動物性を肯定します。そして動物性の肯定が、妊娠、出産に繋がるのなら、当然それも肯定すべき事。これが論理よ。」
 「ウッ・・・。否定出来ない。しかしミーナは本当に自らの身体で出産をしたいのか?」
 「ウーン、断定は出来ない。かなりの恐怖もある。しかしその恐怖も使命の為、それ以上にオサムとの愛の生活を続けられると推定するので、私は妊娠を望みます。」
 「そうか・・・。そこ迄結論が出ているのか。まあ、私の場合はミーナよりも後になるという事であるから、私はミーナの経験を参考に出来る。結論はそれからでも良い。」

 レイナは相変わらずニコニコしていた。

 「レイナ、あなたの表情からはまだ別の意思を感じますが?」
 「はい。それにしてもミーナさんの観察力の高さには驚きます。私はミーナさん、そしてシーマさんの妊娠、出産の経験から、私の場合の可能性を検討したいと思っています。」
 「レイナの場合の可能性?」
 「私はレイムの遺伝子を受け継いでおります。ですから私も卵細胞発生の機能も受け継いでいます。それとレイムがお話ししている様ですが、私も膣迄は充分に機能向上をしています。そして生物学を学んでいる者としては、動物はその肉体での胎児の成長が当然だとも考えています。ですから、可能性があるのであれば、私も自分自身の肉体で子孫を発生させたいと望みます。レイムの場合は肉体的には衰退期に入っていますが、多分可能であれば望むでしょう。私の方がずっと高い可能性です。ですから、お二人のデータは私には大変貴重な物となります。遺伝子検索による推定をせずに自分の子孫である事が断定出来るという事は、私には大変価値を感じる事なのです。」

 真剣に話すレイナにミーナも頷いていた。

 「私にも意味は分かります。それはより動物性の強い地球では当然の事と考えられていますから。」

 シーマはまだドギマギしていた。

 「それは・・・そんなに価値のある事なのか? 私が・・・この身体に子孫を宿すという事が・・・。考えた事もなかった・・・。しかし・・・、いや、ダメだ。まだ私に理性が戻っていない。やはり判断は保留しておく。」



 「それでは輸送用のロボットに、ルーナの船の物を移動させます。取り合えずは日常の使用する物だけを移動させますが、必要な物があれば、ロボットに伝えなさい。既にあなた達も登録してありますから、命令は伝わります。」
 「分かりました。それに格納庫がこの基地と一緒に気密されていますから、自由に行き来出来ますよね。その点は便利ですね。」

 ルーナもホッとしていたが、

 「レイムさん、もうすぐ食事の筈です。このフードを外して下さい。オサムと同じ体験であっても、肛門からの食事はあくまでも緊急避難の筈です。ですから・・・。」
 「そうでしたね。それにパットや張り型も外さねばなりませんね。」
 「お願いします。オサムの言う『恥ずかしい』という感情が理解出来、そしてずっと恥ずかしいままでしたから。」

 オサムはちょっと不憫そうな顔をしていたが、まだルーナにはその感情の読みとりは出来ないでいた。



 「ああ、レイムさん、こちらの準備はOKです。」
 「了解。それではミーナ、オサム、私と食事の準備をする様に。レイナはシーマとともにルーナの着装具を外しなさい。」
 「レイムさん、解離剤さえあれば、私だけで・・・。」
 「それは不可能。そのフードの継ぎ目部分は自分では見えない。それと股間の装着具はルーナの想像以上に強い摩擦抵抗がある。」
 「分かりました。」

 ルーナは渋々従わねばならなかったが、それでも人数が少なくなるのは救いだった。レイム達が出ていくと、シーマは椅子に座らされ、レイナが液体の入ったチューブをフードに塗り付けていく。するとすぐにパカッと剥がれ、顔の下半分を覆っていた透明のカバーが剥がれた。

 「フーッ、やっと・・・。」

 シーマはホッとした様に肩を落とした。

 「それではその装着具を外しましょう。ルーナさん、私があなたの身体を支えて、シーマさんが引っ張るという方法もありますが、それは強い抵抗の為、組織を傷つける恐れがあります。浸透性潤滑剤を注入すれば、逆方向摩擦力は低下するのですが、浸透に約30分掛かります。どちらの方法が宜しいですか?」
 「エッ、そんな物が在るのですか? 私も外そうとして、随分引っ張りましたが、かなり苦痛が多かった。それならその薬を使います。」
 「了解。但し揮発性が高く、隙間からの注入になりますし、胸と同時にしますから、診察台を使用します。」
 「診察・・・台?」

 レイナの合図で不思議な椅子が滑る様にして三人の近くに来た。それは自動化された内診台の様な物なのだが、ルーナは勿論、シーナも知らない機械だった。

 「これは・・・?」
 「ご存知ないですか? 旧式の医療器具です。効率の悪い面は心苦しいのですが、それでもこの基地には私とレイムしか居ませんでしたし、健康面では幸い使用する必要がありませんでしたので、法的設置義務の為だけに存在する物ですから。」
 「そうか・・・、確かに丈夫さだけという器具だな。しかし性能は?」
 「性能もかなり劣るのはやむを得ませんが、今回は医療の為ではなく、浸潤する迄の間、ルーナさんが動くのを防ぐだけの為です。」
 「ああ、そうか・・・。ルーナ、乗りなさい。」

 ルーナはちょっと薄気味悪そうに台を見つめていたが、それでもレイナ達を信じて台に乗り、横たわった。

 「手足を台に合わせて伸ばして下さい。」
 ルーナは言われた通りに台に横たわった。途端に柔らかいが金属のベルトが手首と二の腕、足首と太股に巻き付いた。

 「エッ、何ですか?」
 「これから注入するのに、動かれると困るからです。それに本当に拘束するのであれば、その衣服にも拘束リングが着いているのですから、シーマさんの意思で出来るのですよ。」

 ルーナは半信半疑だが、納得せざるを得なかった。

 「ルーナ、慣れたとはいえ、股間を晒すのは恥ずかしいだろう。だから治療台を使うのだそうだ。レイナ、早く始めた方が、ルーナの恥ずかしい時間も少なくなる。」
 「そうです、早く済ませて下さい。」
 「分かりました。それではシーマさん、準備を。」
 「了解した。それでは全員を呼んでくる。」
 「エッ? 隊長?」
 「何だ? 折角の楽しみは皆にも分かち合いたい。全員でルーナの改造を楽しむのだ。」
 「ヒーッ! 全員にこんな姿を? エッ、隊長、今、『改造』と言いましたか?」
 「肯定。胸のパットと股間の張り型を外すのは、改造の為、不要となるからだ。」

 ルーナは手足をバタつかせて暴れるのだが、しっかりと固定されていて、全く自由が利かない。

 「『改造』って、何ですか? 私をどうするつもりですか?」
 「決まっているではないか。ルーナはオサムの体験をシュミレーションする使命なのだ。今迄は疑似シュミレーションだったが、改造により、より近似的なシュミレーションをするのだ。」
 「拒否! 隊長! 人道にもとる行為です。」

 そしてシーマが呼びに行くまでもなく、レイム達が戻ってきていた。

 「叫び声が聞こえましたから、始まったと思いました。レイナ、筋弛緩剤を入れなさい。そうすれば、叫ぶ事は出来なくなりますし、動きも押さえられますから、移植作業もスムーズに行えます。」
 「了解。」

 レイナは****の餌に似せた物を肛門に近付けると、足がスーッと広げられる。

 「イヤーーーッ、ダメーーーッ!!!」

 ルーナはただ泣き叫ぶだけだが、肛門が広げられ、その餌を押し込まれてしまう。

 「ヒーッ、私は・・・。」

 そして餌が肛門から見えなくなるとともに、筋弛緩剤が効いてきたのがルーナにも分かる。声が出なくなり、動きが鈍るのだ。そして膣内に填まり込んでいる張り型の圧力が減ってくる。

 「即効性ですが、早く効き目もなくなります。ですからすぐに・・・。」
 「了解。皆さんにもこれからの改造手術の内容を説明しますが、ルーナ自身にも理解をして貰っておいた方が良いでしょう。新たに得られる身体の機能ですし、限度や内容にも知っておいた方が、術後の訓練の意味も理解出来ますからね。レイナ、培養器官を。」

 レイナは台に乗せたガラス瓶を運んできた。それはまるで人体部位の標本の様であり、単品で見ると、乳房もペニスも意外に巨大でグロテスクだった。そしてそれぞれの付け根からは、まるで毛根の様な糸の様な物が沢山伸びている。

 (ヒーッ、それを・・・?)
 「ルーナ以外に方には既に説明してありますが、ルーナ自身の細胞にオサムの遺伝子を組み込み、それぞれの性器を成長させました。ただ、まだ成長途中でありますが、新たな遺伝子の獲得により、細胞自身は活性度が極めて高くなっています。」
 「レイムさん、これをどの様に移植するのですか? その神経繊維からすると、接合には極めて高度な技術を要すると思いますが。」
 「否定。これは神経繊維ではありません。良く確認して下さい。この器官には表皮が在りません。ですからこれをそのまま移植するのではないのです。そしてこの神経繊維はその一本一本に蛋白質のコーティングがしてあります。活性度が極めて高いと言いました。神経繊維自身が本来のルーナの神経繊維と融合する度合いが高いのです。方法は簡単です。その組織をそれぞれの部位に蛋白質接着剤で着ければ良いのです。活性度の高い組織はその本来の組織との融合性が高いので、くっ付いているだけで表皮の細胞の隙間から浸潤し、内部に浸透します。ですからこの乳房の場合は本来のルーナの乳房に浸潤し、自分自身の乳房と成るのです。但し、オサムの場合の様に発乳機能を持たせたいので、乳腺細胞は殆どがオサムの遺伝子と言っても良い程です。そしてペニスの方は本来存在しないので、クリトリスに浸潤させますが、それでも比率があまりにも違い過ぎるので、浸潤だけでは不可能ですし、包皮が存在しません。ですからこれは逆に、オサムの細胞にルーナの遺伝子を取り込んであります。ですから拒絶反応は極めて低くなっています。このクローンペニスにルーナのクリトリスが溶け込むと言った方が正しいかと思います。そしてペニスの後ろにも組織が在りますが、それは精巣、精嚢を作る為の遺伝子の組織です。これにもルーナの器官が浸潤するのです。卵巣迄成長した組織が伸びていき、溶け込み、精巣に変化しますし、膣の部分の組織が精嚢として睾丸に変化した卵巣を取り込むのです。」

 ルーナはあまりの事に呆然としているが、ミーナ達の方が明らかに驚愕していた。

 「可能性の推定はしていた。と言うよりも希望に近い事だった。そしてその現実性という事には・・・。」

 レイナはルーナの服をずり下ろし、胸のパットを引っ張った。今迄はどんなに強く引いても外せなかったパットが、ポンと音を立てて外れた。

 「ハマーーーッ・・・。」

 声の出せないルーナでも、パットが外された事が何を意味するのかは分かる。

 (イヤーッ、そんなに大きなオッパイを付けられたら・・・。『牛』よりも遥かに大きな乳房。私は犯罪人以上の胸になってしまう・・・。ウッ、既に・・・?)
 「ん? レイムさん、その培養組織やオサムとは比べ物にはならないが、既にかなりの大きさに成っている様に思うが。」
 「肯定です。あくまでも効率的に事を運ぶのはマロエの思想。折角のパットでしたから、吸引での訓練と同時に、かなりの栄養剤を与えていたのですよ。移植手術にはある程度の栄養を与えておいた方が効率も高くなります。」
 「それにしても・・・この大きさは既に『牛』の大きさではないですか? 『牛』の乳房にするには脳改造が必要な筈だが・・・。」
 「それは否定。この成長は一時的ものであり、このままにしておけばすぐに元の大きさに戻る。それにただ細胞が増えただけであり、発乳の機能はない。」

 その間に股間の張り型も引き抜かれていた。そして再びシーマは驚きの声を上げた。

 「これは・・・。これも一時的かとは思うが、これ程に巨大化するものなのですか?」

 シーマがルーナの股間を見つめて驚いている事にルーナ自身は激しいショックを受けていた。シーマが見つめている部分はクリトリスの筈である。ずっと吸引され、刺激を与えられていたし、胸と同様に栄養剤を与えられていたとすると、やはり信じられない程の大きさに成っている筈なのだ。マロエ人にとり、クリトリスが大きいという事は、即、淫乱であるという事である。先天的に大きいマロエ人も居るらしいが、その場合でも切除手術を受けても小さくしてしまうものなのである。それでも下腹部の見えない部分なので、ルーナの驚く程の予想よりもずっと大きく成っている事迄は分からなかった。

 「レイナ、スタンバイ。」
 「了解。」

 培養塔がスーッと持ち上がり、音を立てずにルーナの上に移動してきた。

 「培養組織はそのままでは非常にデリケートで、大気で変質してしまう。出来るだけ空気に晒される時間は短い方が良い。」

 レイムとレイナは瓶の中の培養組織を取り出したが、組織を覆っている液体はそのまま組織を取り囲んでいて、球状にブヨブヨ動いていた。それをそのままルーナの股間に移動させるのだった。レイナが手を振れるでなく、静かに動いていく。

 「バマーーーッ!!」

 筋弛緩剤で全く動けず、声も出せない筈のルーナは大きな悲鳴を上げた。そしてそれが一瞬で止まり、部屋はシーンとなった。培養組織が液体で覆われたまま、移動を止めたからだった。それはルーナの股間で停止していた。再び大きな悲鳴が響くのだが、それがルーナの女性としての人生の終了を意味する瞬間だった。球形の液体の中の培養組織が蠢き始めた。それがその組織がルーナに浸透し始めた事を意味するのだった。

 「それでは胸の方も・・・。」

 別の培養塔が空中に浮かび上がり、ペニス組織と同様、液体に包まれたままでルーナの身体の上に移動を始めた。そしてそれが肥大化された乳房に乗り、浸透を始めたところでルーナの意識は停止するのだった。



 「レイム、理論的には肯定的だが、私の意識の中には否定的感情が起きている。これは非論理的だが。」
 「それは心理的には是である。論理的に是であり、倫理的にも是と出来るにも関わらず、行為と結果だけを考えると、いかにも非倫理的である。よって不安という否定的感情が発生する。」

 オサム達はジッと組織体の浸透していくルーナを見つめていた。

 「ミーナさん、この技術はマロエでは普遍的なの?」
 「そうよ。地球では無かった? 特に外科手術では、細胞培養による組織再構成は絶対に必要な事。悪性腫瘍に・・・、オサムの言葉では癌と言ったかしら? 組織ごとの入れ替えを必要とする場合や、四肢の欠損に対応させる。」
 「ボクのオッパイやオチンチンを大きくした技術も?」
 「是。ただ、機能向上については想像していなかった。それと地球人との肉体的違いについても。マロエ人の場合、培養組織で補完すれば、それは遺伝子レベル迄完全に本体と同一であるから、その個人の本来の肉体になるが、その本来の肉体以上の物にはなり得ない。例えば、既にルーナの乳房を肥大させたが、それも一時的な効果であり、更にルーナの乳房組織を培養し、それを取り込ませたとしても、遺伝子はその大きさを決定している以上、すぐに本来の大きさに安定するのです。私はオサムの場合も、一時的な肥大化と、それに伴う一時的な機能向上を目的としていました。しかしオサムの遺伝子にはその大きさに成るという遺伝子も存在したのです。」

 ミーナの話にレイナも入ってきた。

 「レイムからのデータにより、オサムの遺伝子解析をして、実に非論理的だった。それぞれの遺伝子の働きを解析していたが、特にオサム達の種族の男と女という種の遺伝子を両方検出した。」
 「だって、ボクは父と母、つまり男親と女親から半分ずつ遺伝子を受け継いでいるのだから、当然でしょ?」
 「そういう意味ではない。精子の中の遺伝子は肉体遺伝子の五十%であるが、どの遺伝子にも女にしか発現しない筈の遺伝子が含まれている。例えば、その乳房であるが、マロエの****の精子には全く含まれていない。卵子にしても同様であり、マロエ人足りうる卵子にはその遺伝子は存在するが、****に成る卵子には存在しない。それが性染色体である。」
 「地球人にも性染色体は存在するけれど。」
 「当然である。外見の類似は、染色体の類似によるものである。しかし地球人が性染色体と認識していない、別の染色体にも性差を決定する遺伝子が沢山存在する。よって、その・・・。」
 「中止!」

 レイナの話を慌てたレイムが留めた。その様子のミーナもオサムも不審そうにしていた。

 「ミーナもオサムも表情を読むのだったな。もっと後に、場合によっては結果が決定してから話そうと思っていたのだが・・・。」
 「どういう事?」
 「これはオサムやミーナ、そしてやがてはシーマにも認可を受けねばならぬ事だったのだが・・・。つまり、ミーナはオサムの子を、そしてシーマはルーナの子を妊娠する事になるのだが、オサムの遺伝子を受け継ぐ子供はオサムの本来の遺伝子を受け継ぐ。それは本来のオサムであり、現在のオサムではない。よって、ルーナの精子製造に際しては、現在のオサムの機能、形状を発現する遺伝子を製造する様にしたのだ。であるから、マロエと地球のハーフではあるがその割合は8.5対1.5程度である。マロエ人として産まれる場合、つまり地球人の女であるが、その場合はペニスは発生しないが、乳房の大きさは通常マロエ人の1.5倍程度と予測される。それだけ地球人の許容範囲が大きいという事なのだが。そして****の場合であるが、つまり地球人の男の事になるが、男性遺伝子つまりY染色体はほとんどがオサムの改造された遺伝子を継承する。それ以外はマロエ人という事なので、いわゆるマロエ人にオサム程度の成長を期待される乳房とペニスが存在する事となる。あくまでも****に乳房の存在する個体ではなく、ペニスの存在するマロエ人という事なのだ。」

 皆、レイムの話を興味深く聞いていた。そしてミーナはちょっと考え込んでいたがレイムに質問をした。

 「これはまだ先の事ですが、シーマが男の子を産んだ場合、その子供が成長してマロエ人を妊娠させた場合、その産まれる子供も改造Y染色体を受け継ぐ事になるのでしょうか?」
 「是とする。私の希望としてはその様な子孫が大いに繁栄する事を期待している。それは現在のような****を必要としなくなるのは勿論、重犯罪者に対する刑罰に関する件も解決するはずなのだ。オサムの現在の遺伝子ではなく、ルーナの遺伝子こそがマロエの未来を決定するという事なのだ。」

 ミーナ達は内診台の上で培養組織が浸潤しているルーナを驚きの目で見詰めていた。



 ルーナの激しい悲鳴の精神波が全員に響いてきた。オサムはミーナと一緒に改造室へ向かう。途中で心配そうな表情のシーマとともに部屋に向かう。既に培養筒の前にはレイムとレイナが準備をしていた。
 大きな透明の筒の中には液体が満たされていて、その中でルーナは激しく泣きじゃくり筒壁を叩いている。声は聞こえないのだが、刺々しい精神波をまき散らしていた。レイナの操作で筒内の液体が排出され、筒が持ち上がり始めるとルーナは胸と股間の異物を押さえながら飛び出してきた。そしてシーマに掴み掛かった。

 「隊長!! なぜ私を!!」

 揺さぶられながらシーマも泣き出しそうな表情だった。上気したルーナの様子が少し変わってきた。ガタガタと細かい痙攣を始める。それは誰にも分かるのだが、はち切れそうな程に突き上げたペニスの先端から透明な液体が滴っていた。

 「アフッ・・・、つらい・・・。は・・・破裂する・・・。こ・・・これは・・・? ウウッ・・・、耐えられない・・・。」
「シーマさん、ルーナさんを・・・。」

 心配そうにしているシーマにオサムが声を掛ける。シーマもそれが何を意味するのかは分かるのだが、目の前にしている本物のペニスに対しての驚きで動けないでいた。

 「ルーナさん。ボクのオチンチンがそうなった時はどうしていたか分かるよね。」

 ルーナは血走った目でシーマを見つめ、そして押し倒し、足の間に入る。

 「ルーナ!! 分かっている。お・・・落ち着け・・・。私にも心の・・・。アッ、ワーーーッ!!」

 シーマの悲鳴とルーナの咆吼で激しいセックスが始まった。疑似ペニスで何度もセックスをしていた二人だが、オサムですら驚く程、本能のままのセックスだった。


 「ウオッ! アゥオーーーーーッ!!!」

 激しいピストンからルーナは突き込んだまま硬直した。そしてシーマは両手両足でしっかりとルーナを抱きかかえていた。二人は無言のまま大きく荒い息をしている。ルーナがガクッとシーマに体重を掛け、失神してしまうのだった。シーマの目からは涙が流れ続けているが、その表情は輝いていた。

 「分かった・・・。」

 荒い息を整えようとするシーマだったが、言葉にならないでいた。しかし精神波で意志を伝える事はできる。

 「これがセックス・・・なのか・・・。今迄の疑似レズ類似行為とは全く違うものだった。精液が体内に押し込まれる感覚・・・。自分の子宮の存在がはっきり認識できる。ミーナがセックスという行為に、なぜそこ迄執着していたのか・・・、やっと・・・分かった。」

 ミーナは微笑みながらシーマに近付いた。少し理性を取り戻し掛けたシーマは少し恥ずかしそうな表情を見せながらルーナの身体を離そうとする。

 「あ、そのままで。セックスというのは射精で終了するのではないのですよ。まだそのままでいるのです。多分、今迄に感じた事のない不思議な感情がわいていると思います。」
 「あ・・・、その通りだ・・・。不思議な意識状態だが、決して不快ではない。いや、むしろこの意識状態を続けていたいと感じる。」
 「そうですよね。私も最初の内はその意識状態の意味が分からず、少し不安になりました。それがマロエの言葉で説明できなかった『愛』という精神状態なのです。」

 シーマは目を瞑り、じっと考えていた。

 「・・・理解できた・・・。これが本当の意味の『セックス』なのか・・・。そして『愛』なのか・・・。この感情を理解しない限り、ミーナとオサムの『結婚』という事象は理解できないのか・・・。」
 「そうですよ。地球人の不条理とも思える哲学で、もっとも基本的で根幹となる最高の哲理が『愛』だったのです。」

 ミーナ達はうなずきあって、二人を残して部屋を出た。



 「ねえ、ミーナさん。シーマさんはある程度理解できたみたいだけれど、ルーナさんの方は?」
 「ウフフ・・・。やっと私の方がオサムの上をいけたようね。大丈夫よ。少し時間は掛かるけれど、レイムさんと打ち合わせもできていますから。」

 レイムも微笑んでいた。

 「その通りだ。しかしそれは地球人の思考でないと分からないはずなのだがな。それだけミーナの地球式の哲学、倫理、心理の理解によりできるのだ。と言うよりも、オサムの場合にはあまりにも当然の事として、逆に気付かないのだと思う。」
 「ヘーッ、そうなのか・・・。」
 「それでもオサムの場合よりも成長は早いのだ。ルーナに移植した器官の細胞はオサムで改良し、成長した細胞を融合させてある。だからすぐにその機能を発揮できる。」
 「だとすると・・・、お乳もすぐに出るようになるの?」
 「乳腺細胞は完成している。少しの訓練で発乳するようになるだろう。」

 その時、再びシーマ達の爆発するような激しい輝きの精神波が全員を包んだ。

 「ウワッ、凄い!」
 「ルーナはとにかく、シーマも意識を閉ざすという事はできないようですね。」
 「これがマロエ人の本来の本能の叫びなのだな。私ですら少しは否定的感情を持っていたのだが、これ程開けっ広げな精神波にむしろ好感が持てる。そして今迄に感じた事のない波動・・・。特に好ましい感覚を受ける・・・、これが『愛』という波動なのか。」
 「そうですね。ただ、まだ性愛と愛情の区別の付かない二人ですが、特にルーナの場合はまず最初に性愛、そして少しずつ本当の愛情を理解するでしょう。」
 「ほう・・・。マロエ語では未だに正確な意味が判断できないが、ニュアンスだけは分かる。つくづくマロエ言語の不備を思い知らされる。いや、不備は当然なのか。理念のない事象に言語が存在するはずがないのだから。」
 「ねえ、ミーナさん。地球人の理念がセックスだけで構成されているなんて思わないでよ。」

 しかしレイムは笑っていた。

 「いや、ミーナの思考形態はそうではないようだ。私もそう思う。」
 「そんな事はないですよ。」
 「もちろん文明人であるからには生殖行為だけで哲理が存在するはずはないが、極めて重要なポイントである事には間違いない。先史以前であればマロエもそうであったはずだが、今のマロエと比較すれば一般には信じがたい程のウエイトのはずだ。」
 「ウーン・・・、反論しにくいですけど・・・。」

 そして再び輝くような精神波に包まれる。

 「ほう、シーマは随分と落ち着いたようだが、ルーナの方はまだまだ興奮状態が続いている。なるほど、シーマとルーナの精神波の違い。これが『性愛』と『愛情』の違いなのか。」
 「さすがにレイムさんですね。」
 「ある程度はミーナ達のセックスの時に把握していた。ただ、『愛情』という部分の方が圧倒的に多かったので、今のルーナの波動との違いからの推論なのだが。」



 「ル・・・ルーナ・・・。す・・・少し・・・落ち着け・・・。」

 何度かの射精で興奮はかなり治まっていたが、それでも勃起したままの形状のペニスは強く押し込んだままだった。

 「頼む。一度抜いてくれ。私の子宮は精液で限度一杯迄膨れているのだ。」
 「隊長・・・、私は・・・。」
 「あ・・・、そうだ。ルーナはオサムの精液を飲んだ時、どう感じた? お前はオサムのペニスと同じ物を移植されている。だからオサムの精液と同じ物が私の体内に入っているはずだ。だから・・・。」
 「隊長は、私の出した精液を自分で飲めと・・・?」
 「イ・・・イヤならいい。私自身も味わってみたいのだ。せっかくの精液を自分の体内に入れたまま、味わいもせずに吸収してしまうのが惜しいのだ。」

 ルーナは結合部をジッと見ていたが、よだれの流れ出ているのに気付き、スッと身体を離す。

 「ワッ・・・!!」

 ルーナはシーマの両足を抱え、大きく開いて、その股間に顔を埋めた。そして流れ出てきた精液を吸い上げる。

 「ま・・・待て!! アッ・・ワワーッ!!」



 「フーッ、素晴らしくおいしいです。」
 「こらっ! 自分だけとは。」
 「アッ、隊長、すみません。でも、まだ流れ出てるようですからご自分で・・・。」

 起き上がり、屈んで自分の股間に顔を近づけようとしたが、それは無理だった。

 「エッと・・・、オサムの書物にあった方法で・・・。」

 ルーナはもう一度シーマの股間に吸い付き、そして精液で頬を膨らませたままシーマに唇を合わせてきた。



 「ホーッ、オサムのとは少し味わいが違うが極めて良い。栄養の方はどうなのか。しかし、それよりも味だけでも充分だ。」
 「隊長・・・。私は・・・確かにオサムの操縦能力を得たいとは思いました・・・。しかし、この様に家畜というか性的奴隷になりたいとは思っていませんでした・・・。」
 「よし。家畜であり、性的奴隷になったという事は理解しているのだな? それなら家畜としてのもう一つの機能を確認しよう。」
 「もう一つ・・・? アッ、ミルクでありますか?」
 「そうだ。その乳房もオサムの発乳機能を有した移植のはずだ。」
 「ま・・・まだ、出るような感じはありません。」
 「ミルクを出した事のないお前にそのような感覚はないはずだ。」

 シーマがルーナの巨乳を掴んだ途端、

 「ヒアーーーーッ!!!」
 「ウッ・・・、それほど力を入れたつもりはなかったが・・・。」

 ルーナはワナワナと震え、自分の巨乳を撫で回した。

 「ち・・・違うんです・・・。まるで胸にも、ペニスという器官があるような感じで・・・。アツッ・・・。」
 「すまん。私にはその感覚が分からないが、オサムの乳房と同程度であると推定してしまった。痛むか?」
 「痛むのではなく・・・、イタタ・・・。」
 「やはり痛いのか。」
 「そうではなく・・・、乳房の中から・・・。アッ・・・、これが?」

 それが何を意味するのか二人には分かった。シーマはルーナを抱き寄せ、突き出ている乳首に唇を添えた。

 「アフッ・・・。」

 「これが・・・。」
 「隊長・・・。どうなのですか?」
 「素晴らしい!! オサムで慣れていたはずだが、シーマのミルクも凄い!!」

 シーマは一瞬ニコッとしたが、すぐに悲しい顔に戻ってしまった。

 「やはり私は完全に家畜になってしまったという事なのですね・・・。外見的には****であり、重大犯罪者と同じ姿に・・・。」
 「い・・・、いや・・・、それはない! シーマはオサムをどう見ている? オサムと同じ姿で同じ機能を有した事になるのだぞ。」
 「オサムは異星人です。しかし私はマロエ人です・・・。」

 シーマはミーナに聴いていた通りの処置を始める。それはルーナの精神状態が不安定になったら、強引にセックスするという事だった。強引と言ってもシーマがルーナを拘束して行うのではない。単に足を開いて誘うだけで、吸い込まれるようにルーナが飛び付いていくのだった。



 「シーマ、よろしいか?」

 レイムが二人の部屋に入ってきた。

 「アッ・・・。」
 「そのままでよろしい。いや、精液とミルクの検査をしたいので、ちょっと離れてもらえるかな?」

 シーマは恥ずかしそうにルーナを引き抜き、股間を押さえる。そこにレイムは容器を宛がい、流れ出てくる精液を採取した。

 「ルーナは疲労過多で睡眠中ですが。」
 「眠っていても搾乳は可能。それでどんな具合かな?」
 「そ・・・それは・・・分かると思いますが・・・。」
 「いや、正直に答えて欲しい。すぐにではないが、これからもこの様な改造手術が行われるだろう。少しでも不具合があれば改良しなければならぬ。」
 「私にとっては・・・完璧です・・・。修飾する言語が見つかりません。」

 レイムは手元の分析機を見つめていた。

 「ほう。推定よりも良い結果が出ている。精液の方はオサムの細胞を元にしているので栄養素はほぼ90%か。ミルクの方は・・・。これはマロエ人の細胞との融合であるから栄養素、保存期限とも70%であるが、それでも今の『牛』とは比較にならない。オオッ、免疫抗体の量は素晴らしい! オサムのミルクにも僅かにあったが、2桁以上多く存在する。これはマロエの細胞が活性化されたのか。」
 「それは・・・良い事なのか?」
 「当然だ。虚弱乳幼児の栄養としても『牛』のミルクは使用されているが、ICUで保育しなくてはならない。しかしこのミルクであればほとんど解決されるはずだ。これは『牛』の問題とは別に素晴らしい成果といえる。」



 会議室でレイム、レイナ、ミーナ、オサムが座っていた。

 「結果は良好でした。それで、最後の仕上げとしてルーナが今の改造を是と思い込むようにします。」

 オサムはちょっと不安そうだった。

 「ボクの場合、確かに肉体的にはとても気持ちいいし、ミーナさんが好きだから・・・。だけどルーナさんはいきなり男にされてしまって・・・。マロエ人としては絶対に拒絶すると思うのだけど・・・。」
 「シーマにも詳しく話してある。それでは準備を始めよう。シーマを呼んできて欲しい。」
 「あっ、はい。」

 オサムはシーマの寝室へ向かった。

 「シーマさん。レイムさん達が来て下さいって。」
 「了解した。ルーナは疲労で寝ているが、よろしいか?」
 「うん、シーナさんだけでいいみたい。」



 「シーマ、話は理解しているな? ルーナと『結婚』する為に必要な事なのだ。」
 「了解しています。ミーナがオサムを手放したくないという理由も理解できました。この様な感情が自分に存在するという事に驚きます。そして地球での倫理の根幹が『愛』であると言う事も理解できたつもりです。」
 「分かった。それでは打ち合わせ通りに進行する。オサム、最初はお前の役目が大切なのだ。」
 「ボク・・・? ボクは何をすればいいの?」
 「いいのよ、オサム。あなたは何もしない事が一番重要な役目。」
 「・・・・・?」
 「それでは第八宙域遭難救助隊長ネンリ・キーレイ、待機なさっていますか?」

 皆の並んで座っているテーブルの向かいに立体映像でネンリがスッと現れた。

 《良い結果報告を受け、大変喜ばしい。この実験が完了すれば一気にマロエの歴史が大きく変わる事になる。是非成功させて欲しい。》
 「ありがとうございます。」
 《実験成功後に備え色々必要な準備をしている。まずは私の管轄での予備データの収集中である。》

 その時レイムがネンリの話を遮った。

 「ちょっとお待ち下さい。ルーナが目覚めたようですので、オペレーションを始めます。」
 《了解した。スタートせよ。》

 そしてレイムはおもむろに話を始めた。ただ、オサムにはその話しぶりに違和感を感じたのだが、オーラには確固たる自信が現れていた。

 「それでは現在迄の改造実験の効果を伝える。まず精液であるが、****との比較は無意味な程、量、栄養素、そしてこれは測定不能であるのだが、味わいも素晴らしい。オサムの遺伝子の影響が極めて効果的であった。オサムの精液との比較で、量に関してはまだ成長過程という事もあるが、75%であり、更に増加が期待できる。栄養素に関しても同様であり、各成分にややばらつきはあるものの、平均値で80%である。」

 全員から歓声が漏れた。

 「ミルクの方も極めて良好なデータが得られている。改良遺伝子と本来のルーナの遺伝子の合成になっているので、量の方はまだ70%であるのだが、これも訓練により更に量産が期待できる。栄養素も同様に80%である。しかし免疫抗体は素晴らしい値を示した。『牛』の場合にも微量含まれていて、濃縮により薬品化されていたが、オサムの場合は栄養素の数値の陰に隠れていたが『牛』の20倍程度であった。しかしルーナの場合測定ミスであったかと思われる程の量、500倍であった。」

 これには全員が驚嘆の声を上げた。

 「ルーナの遺伝子がオサムの遺伝子により活性化されたものと思量される。現時点では素晴らしい成果であるが、更に何人もの実験にて効果を調べねばならない。そこで次の実験対象をネンリ隊長に調査して貰っている。」
 《まず私の管轄の隊員のデータを調べたのだが、母性能力のある者は残念ながら居なかった。しかし父性能力者は4人居る。しかも全員が操縦士であったという事は、ミーナの言うところのSM分類説のある程度の証明になると思われる。レイムには新たな移植器官の製造を続けて貰うが、次の実験の為、ルーナの器官を移植させるメンバーを決めなくてはならない。》

 ネンリの言葉にオサムは驚いて声を上げた。

 「エッ・・・? ルーナさんから移植って・・・?」
 「ああ、そうか。オサムは知らなかったのだな。あの移植器官は現在はルーナの器官に浸潤しているだけなのだ。簡単に再分離可能な状態である。ルーナにそれを伝えなかったのは、強制的に移植された場合の心理的ストレスを調べる為であった。当然ながら強い抵抗を示したのだが、それが心的限界を超えてしまう恐れのあった場合は即座に中止できた。」
 「そうだったんですか・・・。ボクもすっかり騙されて・・・。」
 「やむを得ない処置だった。オサムは精神波の制御が未だに不完全であり、その精神波からルーナに伝わる恐れが大きかったからなのだ。ムッ・・・、今のオサムの意識は・・・。」

 レイムの意味はオサムにも分かった。それは会議室の外に居たルーナの驚きの精神波が伝ってきたからだった。そしてドアが開き、ルーナが飛び込んできた。

 「レイムさん・・・、本当なのですか? 私は元の身体に戻れるのですか?」

 レイムは肩をすくめた。

 「この動作の意味は分かっているな?」
 「良かった・・・。みんな知ってたのですか? ひどいですよ。まさかセックス肉奴隷の家畜にされるとは思いませんでしたから。」
 「ルーナ。その身体はそれ程否定的なのか? かなりの快感はあったと思うが。」
 「あ・・・、その点については是とします。しかし自尊心の点からは絶対的に否定します。」
 「よろしい。次の実験希望者に移植しよう。シーマの希望はどの被験者になるかな?」
 「そうですね。操縦技力は優先事項ではありません。一生『結婚』状態を維持する事になるとなると・・・。」

 シーマがデータを読み取っている姿を見てルーナは焦って問い掛けた。

 「シーマ隊長! 私は解任でありますか?」
 「ん? それは当然だ。私はこの高邁な実験を続ける事により新たなマロエを作り出せる事を誇りに思う。ルーナを一生のパートナーにしたいという意志はあったが、それがルーナの誇りを傷つける事になる事を是としない。幸いにもミーナ達や私の映像データを見た候補者が実験を申し出てくれた。」
 「そうだ、ルーナ。あと数日で浸潤状態から融合状態になり、分離は不可能になるので、その前に処置をする必要がある。次の予定者を選定中だが、いずれも永久処置を希望している。」
 「それは・・・、その候補者がずっと『結婚』状態になるという事ですか?」
 「その通りだ。ルーナ、実験は大成功であった。ご苦労様でした。」
 「この身体は・・・確かに・・・信じがたい快感だったが・・・。」
 「それがセックス奴隷とか家畜化への代償でもある。ルーナ、新たな隊長のもと、しっかり頑張るように。」

 ルーナは涙を流して震えていた。

 「拒否・・・します。私は・・・シーマ隊長の下で操縦士でありたいです。この・・・快感を・・・新たな操縦士に・・・渡したくない・・・。」
 「何を言っているのだ? このままでは数日後にはセックス肉奴隷になってしまうのだぞ。それはルーナの最も拒絶する事項のはずだが。」
 「私は・・・、私は・・・。この器官の分離を・・・拒否します!!」
 「何を言っているのか分かっているのか? お前のいやがっているその身体。一生そのままという事なのだぞ。」
 「そうよルーナ。あなたはずっとシーマとセックスしていなければならない身体のままになってしまうのよ。おいしくて栄養のある精液をずっとシーマに注ぎ続けなくてはならないのよ。どんなに素晴らしい快感であっても、その快感が終わる事はないのよ。普通のマロエ人ではあり得ない器官から、そして大きくなっている乳房からは素晴らしい快感と素晴らしいミルクが一生出続ける身体に成ってしまうのよ。」

 オサムはミーナの言葉に笑いを堪えていた。

 「ネンリ隊長、シーマ隊長。私はこの任務の続行を希望します!!」

 素っ裸でペニスを突き立てたままのルーナはマロエ式の敬礼をする。

 《良いのか? 私が認可すれば、お前は・・・地球での用語・・・何と言ったか・・・『結婚』状態が一生続く事になるのだぞ。》
 「理解しています。ミーナとオサムの関係と同じ関係をシーマ隊長とともに続けていきたいと考えます。」
 《了解した。ルーナの申し出を許可する。記録された。これでシーマとルーナは生涯『結婚』状態を維持する事となる。》

 ルーナは再び敬礼をした。そしてネンリの立体映像が消えた。

 「ルーナ・・・。本当に良いのだな? と言っても、もうお前は元の身体には戻れないのだが・・・。」
 「かまいません。やっと理解しました。オサムとミーナの言う『愛』という感情なのですね。隊長が別の隊員とセックスするという事を想像した時、私は絶望感に襲われました。・・・エッ? 元の身体に戻れなくなるのはあと数日先だと・・・。」
 「ん? 誰かそんな事を言ったのか?」

 全員が首を振った。

 「それでは・・・。」
 「その器官は移植したのだ。手術で切除は可能だが、培養筒から出た時にお前は私のセックス道具になっていたのだ。」
 「まさか・・・。」
 「ルーナ、お前は正式に私のセックス奴隷、そして家畜になったのだ。それも自分の意志でな。」
 「虚偽だったのですか? 全員で私を陥れたのですか?」

 ルーナは泣き崩れる。

 「さて、そこでもう一度尋ねる。ルーナ、私との『結婚』は是とするか? 否とするか?」
 「それは・・・。しかしシーマ隊長!! 私は激しい怒りで正常な精神状態ではありません!! あなたに対して激しい怒りで・・・!!」

 ルーナは激しい剣幕の表情でシーマに飛び掛かっていった。

 「ワッ!! 何を・・・!!」

 椅子ごと押し倒し、そのまま馬乗りに跨る。

 「ワッ、ワッ!! 待て!」

 そして怒張させられたままの逸物を何の前技もなしにいきなり突き込むのだった。



 「ねえオサム。あの二人のオーラはどうだったの?」
 「ちょっと色情のオーラが強すぎて、ハッキリとは分からなかったけど、ルーナさんは確かに怒りの感情が強かったです。」
 「やっぱりね・・・。」
 「でもすぐに悦びのオーラに掻き消されてましたから、あの身体には満足していると思いますよ。ボクは最初から男だから、女の人の快感は分からないですが、いきなりあんなオチンチンにされたらもの凄い快感だと思いますから。」
 「それは大丈夫よ。マロエ人の場合は女性としての快感を知っている人はそんなの多くないわ。むしろ良くない事とされていましたから。疑似レズ行為しか知らないはずですから男のセックスであってもルーナにはとんでもない快感だと思いますよ。」
 「そうか・・・。当分の間はセックス浸りになるから、いい夫婦になるでしょうね。」
 「あら、それは違うわよ。」
 「エッ?」
 「当分の間ではないわ。ずっとよ。そして互いに当てられて・・・。さあ、私達も・・・。」

 ミーナはオサムの手を引いて寝室へ向かうのだった。


・・・・・・・第六章・・・・終わり


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