「それでは内診台に上がって下さい。」
 「エッ、またこれに? これはイヤだ・・・。」
 「今度は縛り付けませんよ。普通の出産とはかなり違うので、安全の為ですから。」

 渋々内診台に上がる輝だが不安を隠していない。

 「陣痛促進剤を注射します。少し痛むのですが、赤ちゃんの出産と違い、デーモンさんの意志が働きますからスルッと出るはずです。それでも陣痛は今迄に感じた事のない痛みですから、少し麻酔を使います。」
 「あ・・・、はい・・・。」

 注射とともにデーモンの尻尾が開いている膣口に入り込んできた。

 「形状を変化させるので、胎児よりも細くできる。とは言え硬質の部分もあるから、痛みは我慢せずに私に伝えよ。その方が輝に苦痛を与えずに済む。」
 「あ・・・、はい・・・。」

 緊張で震えていたが、それでもジッとしていると、身体の内部から不思議な痛みが出てきた。

 「ウッ・・・、痛い。これが陣痛?」
 「本当の陣痛とは違います。それでも子宮が収縮し、内部のデーモンさんの身体を押し出そうとするのです。子宮口は弾力性を高くしてありますし、通常よりも広くしてありますから、ずいぶんと楽なはずですよ。」
 「アウ・・・、かなり痛いです・・・。ワウッ!」

 ジッと歯を食いしばり耐えていると、子宮口がこじ開けられ、体内の異物が押し出される感覚がある。無意識に腹に力を入れて押し出す。息んでいるとその異物が膣を押し広げながら、抜け出ていく感覚があった。

 「アウッ・・・ウッ・・・クーーーッ!!」

 ズボッと音がし、いきなり脱力感が出た。涙越しに巨乳の間から愛の取り上げた物を見て悲鳴を上げた。

 「それ・・・、ボクが産んだの?」

 それはデーモンと同じように真っ黒で艶のある物体だった。羊水に濡れて更に不気味な艶となっている。形は良く分からないのだが、輝にはおぞましい物に見え、目を背けてしまった。

 そして大きく息をついた時、太腿にチクッとした痛みを感じた。

 「エッ・・・?」

 愛が注射器を持っていた。

 「これで人間としての出門君とはお別れよ。あなたはデーモンさんの奴隷の家畜、いいえデーモンさんの一部になるのよ。」
 「な・・・何で・・・フ・・ファ・・・。」

 口がもつれ、身体が動きにくくなってきた。今の注射が麻痺剤である事を悟った。

 (いったい・・・何の事? デーモンの身体ができたんだから・・・。)

 愛は今輝の産み落としたおぞましい黒い塊をゆっくりとほぐし始めた。それはまるで潜水服のように一繋がりになっていた。愛は広げ終わると、自分の前にかざした。両手両足の部分は何かが入っているように膨らんでいる。それがデーモンの身体という事は分かっているが、あまりにも不自然であり、輝は言い知れぬ恐怖を感じていた。ゴムのように柔らかそうで、エナメルのような艶があり、皮のようにも見える。

 「どう? とってもいいできね。」

 しかし不思議な事に、よく見ると身体前面部の部分がない。

 「これは一種のオールインワンですけれど、着ると恥ずかしい代物ね。上半身の前の部分が剥き出しですもの。そして誰が着るかというと、この部分を見れば分かるかしらね?」

 愛が摘み上げた部分、女性体形らしいその服の股の部分に手足と同じように膨らんだペニスの形の物が存在していた。それは輝にも誰が着る物であるのかが分かった。しかしそのおぞましい服を着る事が、意味は分からないが自分が人間でなくなってしまうらしい事は分かり、声にならない絶叫を上げるのだった。

 「それではこれを着て貰いましょう。人間としての出門輝君、さようなら。あなたはデーモンさんの奴隷、家畜、いいえ、デーモンさんの一部となるのですよ。」

 微笑んでいる愛の顔は輝には悪魔の微笑みだった。オールインワンの足の部分に輝のつま先が押し込まれる。内部は真っ黒のゼリー状になっていて、ズブズブと入れられる。

 (イヤだーーーっ!! やめてーーーっ!!)

 輝は絶叫し、激しく抵抗して暴れるのだが、実際には全く動いておらず、声にもなっていなかった。ただ涙が溢れ続けているだけだった。

 ズブズブと填り込んでいく感触は輝にとっては地獄の泥沼に落ち込んでいく感覚だった。

 両足が填め込まれた。ヌルヌルする感触は不快で、何となくピリピリした痛みがある。両足が填め込まれたが、内部のゼリー状物質がその筒の部分からはみ出る事はなかった。
 動かせない輝の身体を持ち上げ、尻の部分を被せる時、デーモンの尻尾がその部分を突き破り、というより穴もないのに通り抜けてくるのだった。愛は少し驚愕の表情でその部分を見詰めていた。

 「宜しい。接続した。」
 「想像していたよりも素晴らしいですね。」
 「少し待て。まだ神経系統の接続確認中だ。」
 「分かりましたわ。腕の方も入れますから、補助をお願いします。」

 背中にデーモンの皮膚が押し当てられる。しかし足とは違い、ヌルヌルする感触はない。むしろスベスベしているのだ。
 泣いている輝の手先が腕の部分に入れられる。足と同じように真っ黒なゼリー状の物質が腕をまるで引き込むようにして腕を覆っていった。そして反対側の腕も。

 それで輝は首から上と上半身の前部分だけを残して真っ黒の艶のあるデーモンの皮膚に覆われたのだ。それがどういう具合で人間でなくなると宣言されたのかは分からない。

 「さあ、出門君の一番大切な部分、せっかく大きくして貰ったオチンチンも入れますよ。」

 愛は輝のペニスにもデーモンのその部分を摘み、引っ張るようにして被せる。ズルズルッとその内部に吸い込まれていく。

 (イヤだっ! 怖いよ。これ、脱がせて。どうなるの・・・?)

 「デーモンさん。出産後の膣と子宮の収縮剤は注射しましたが、デーモンさんの方でも後処理をお願いしますね。」
 「了解した。神経系統は正常である。これで可動出来るから、後は私の訓練が必要だ。どれ・・・。」

 まだ麻痺している輝の身体がいきなり動き出した。内診台を降り、ふらつきながら床に立つ。

 (エッ、ボクの身体・・・、動かされてる?)

 「そうだ。この私の外皮は私の意志で動く。ウム・・・足元が不安定だな。菊野の指示通りに作成したのだが、これは移動には不便だと思うが。」
 「すみませんね。そのピンヒールはどうしてもデーモンさん全体の形状バランスからそれでないとならないのですよ。それにこれからも精液補給をするのに、男性の視覚からの発情効果を増す働きをしますので。」
 「そういうものなのか。まあ、それでも昔デーモン星で使用していた家畜よりはずっと動きは良い。手という器官もかなり複雑な動きを要するが、どちらにしても輝の意識からのデータで事足りるだろう。」
 「それでは次の段階の為に膣に刺激を与え続け、女性ホルモンの生成もお願いします。出産を経験した事により、乳房も次の段階に発達しやすい状態ですから、ホルモン処置を。まだ外皮の伸展は始まりませんか?」
 「まだ先端までの神経細胞を発動させられぬ。あと何日かあれば隅々まで制御できるようになる。そうなれば伸ばしても良いのか?」
 「できるならお願いします。体形を早く変えれば、それだけ野球部の人達が喜びますから。それと部屋の方には出門君・・・、ではないですね。デーモンさんの栄養補給器具の為の補給装置を置いておきましたよ。」
 「む、映像イメージは送らないのか。何か特殊な器具なのだな。」

 まだ慣れない足つきで、壁を伝いながら部屋まで戻った。

 (ボクはデーモンさんに包まれて、身体を動かされるのか・・・。それでボクの意志に無関係にセックスさせるつもりなのか・・・。)

 《菊野、やはり輝はお前の言う通り、私の体内に取り込まれるだけと考えているぞ。》
 《それはそうでしょう。私だって分かっているのに現実に見ないと信じられないのですから。でも、その瞬間まで気付かせないで下さいね。》
 《分かっている。少なくとも輝の思考は把握している。このままいけば良くて精神破綻。悪くすると自らの死を願う事になる。私では処理できない事態となるのは間違いない。菊野に方法があるらしいので任せる事にする。》
 《もうすぐ麻痺剤も効果が切れます。そうしたら手足の操作を出門君に戻して下さい。デーモンさんの操作が必要なのは全身を覆えるようになってからですから。》
 《了解した。オッ、切れるか。》

 「アフッ・・・、アッ、喋れる・・・。」
 「どうかな? 私には分からんが、輝の美意識ではどう感じる?」

 デーモンの操作が解除されたのは両手で身体をまさぐった時、確かに輝の意志で動いた事を確認したからだった。そしてとんでもない長さのピンヒールの為、とてもまともに立てない程のふらつきを感じたからだった。
 部屋の隅に姿見が置いてある。そこで自分の姿を見た輝は息を飲んだ。

 「これ・・・、ボクの格好?」
 「そうよ。まだまだ小さいオッパイですけれど、そのビザール風の姿ってとても扇情的でしょう。」
 「小さいって・・・。」

 紙は短髪で顔こそ輝本来の顔だったが、手足は全体にすらっと長くなっている。そして何よりもピンヒールの姿は、もし自分でなければ一気に欲情してしまう姿だった。そして皺もたるみも全くない、黒く輝くその外皮は卑猥を通り越して芸術的であると言っていい程だった。

 「どうだ? これなら牡達にたくさん精液を出して貰えそうかな。」

 腕を曲げて肘を見た。当然内側には皺が寄り、外側は延びて突っ張られるはずだが、それが全くない。そして非常に柔らかく、内部にあるジェルを感じる。上半身の外皮の部分と裸の部分の境に触れ、剥がしてみようと思ったが、ピッタリとくっついている。

 「ボクをこんな格好にしてセックスする道具に・・・・ヒーーッ!!」

 膣内でデーモンの新たな肉体が大きく蠢きだした。

 「アッ・・・、ダメッ・・・。」

 「お前の言う通り、たくさんの精液を集める道具にするのだ。その為には丈夫な膣になり、いつでもセックスしていたい状況になっていなければならない。常に膣に刺激を与え続けていれば、その刺激が日常となり、刺激がないと苦しい状態になる。つまりセックス依存症、色情狂の身体になるのだ。」
 「ワーッ、いやだ・・・。」
 「むろん強引に私が操作する事でいつでもセックスはさせられるが、それではダメなのだ。私の家畜、道具としてのお前自身がセックスを求め続けなければならないのだ。」

 輝は股間を押さえ付けるのだが、その内部に存在するデーモンバイブレーターには当然届かない。
 激しく蠢き、抜き差しの繰り返しで快感は感じられないのだが興奮し、高まっていくのだった。快感のない興奮はペニスを何度も搾られ続けた時の苦痛と似たような物だった。たとえ空撃ちであっても射精すれば興奮は治まる。しかし膣への刺激ではいつまでも興奮状態が続くのだった。『いく』事を知らない輝にとって、それは拷問にも等しい仕儀だった。
 ベッドに突っ伏して悶えていると、腕だけがデーモンにコントロールされた。両乳房に掌が宛がわれ、揉みしだかれる。乳房も大きくされて間が無く、快感を感じるまでは至っていないのだが、それでも不思議な感覚に襲われた。揉まれるに従い、内部に不可解な膨満感を感じる。それが乳首に刺激が与えられると、内部から何かが押し出される感覚だった。

 「エッ・・・、何?」
 「分かるか。見せてやろう。」

 デーモンは乳首を軽く摘んで引っ張りながら揉み始めた。すると白い液が滲み出し、そしてピュッと噴き出てきた。

 「ワッ・・・、これって・・・。」
 「そうだ。乳汁だ。やっと輝もミルクを出せるようになったのだ。」
 「う・・・うそ・・・。」
 「まだまだ量は少ないがな。これからも乳腺細胞を増やし、活性化させれば牛という動物に負けない程の量が出せるだろう。まあ、やっと家畜としての第一歩だな。」

 輝はじっと乳房の先を見詰めていた。何か言おうとしているのだが、頭の中が真っ白で、口だけがパクパクしていた。

 デーモンは乳揉みを続けていた。出てきた乳汁は掌からも吸収できるので、どれだけ出たとしても流れ出る事はなかった。



 トントンとドアがノックされた。デーモンには愛が着た事は分かっていたが、輝は喘ぎ続けていたので意味はなかった。

 「お乳が出るようになったらしいですね。」
 「ああ、まだかなり少ないがな。ホルモンと私の施した遺伝子改良で乳腺が活性化してくれば、かなりの量が出るはずだ。」
 「そうでしょうね。ですが乳搾りはデーモンさんでなく、出門君自身か他人に搾乳機でするように意識付けをして下さい。」
 「それはなぜだ? 新鮮な液体タンパクは私には好ましいのだが。」
 「いえ、搾乳機で搾ったらすぐにデーモンさんの栄養にして頂いて結構です。ただ、この先の段階ではデーモンさんから離れた時も搾乳を続けなくてはなりません。その時の為と、おそらく必要量以上の量が得られると思いますので、それは私の方で使いたいのですよ。」
 「ああ、なる程。菊野はそちら方面の仕事もしていたのだな。いわば表の仕事か。」
 「そうです。母乳・・・というのも変ですが、牛乳アレルギーの子供達でも人乳に対してはアレルギーになりません。ですからそのまま、あるいは加工品、加工食品としての需要が大きいのです。」
 「そうか。それなら限度まで活性化させよう。しかし、乳房を大きくしながら自重で垂れ下がらないようにという仕様ではその大きさの方に限界ができる。それでもいいのか?」
 「もちろんですわ。あくまでもデーモンさんの道具というのが優先です。」
 「確かに道具ではあるな。私には消化できない地球の食物を私が栄養にできるようにするコンバーターであり、更に乳汁を生産させる。まあ、精液に関しては不可能になるが、その分大勢から収集できる。デーモン星でもこれ程の家畜は存在しなかった。」

 そしてしみじみとつぶやいた。

 「このような家畜がデーモン星に存在していたら、あのような悲惨な結末を迎えなかっただろう。」



 「これからの出門君の食事ですが、原則として精液を中心にします。勿論精液だけでは栄養不足になりますので、普通食も食べさせますが、それも精液による味付けをします。」
 「それは勿体ない。輝は普通食だけで私の方に回して貰いたいが。」
 「ああ、精液といっても保存精液と人工精液です。どちらも液体タンパク質ではありますが、デーモンさんのお望みのような新鮮さがありません。そして人工精液の方は、あくまでも味と臭いを似せてあるだけで、栄養的にはかなり落ちます。そして臭いに関しては消化課程で完全に分解されますので、体臭にはなりにくいという効果があります。」
 「なる程。それも菊野の裏の仕事用に開発されているという事か。」
 「そうです。ですからこの部屋にいる限り、食事の方法はこれを使って頂きます。」

 愛はクローゼットからマネキンのような物を引き出してきた。それは裸の男の姿なのだが勃起している大きなベニスだけが妙にリアルだった。
 不思議そうな精神波を発しているデーモンに愛は笑いながら答えた。

 「これは表でも裏でも使っているダッチハズです。」
 「それは分かるが・・・。ああ、理解した。食事はそこからさせるのか。乳汁を大量に出すようになれば当然ながら食事をしなくてはならない。そしてそこからしか食事ができないとなれば・・・。」
 「そうです。そしてデーモンさんが膣内を空にしてしまうと、空虚感からどうしてもしたくなりますよね。擬似セックスではありますが、これも意識付けになれば本当のセックスに対する抵抗感の減少、あるいは日常的なセックス依存症になる事でしょう。」

 ベッドにその人形を乗せ、再びクローゼットから不思議な物を引っ張り出してきた。

 「それは・・・搾乳機らしいが、輝の知識にある牛用とは全く違うな。」

 透明な両乳房をスッポリと覆う形の不思議な代物だった。

 「これは完全に裏の仕事用ですよ。牛用みたいに乳首だけを吸い込むと乳首が大きくなってしまい、美しさが減りますからね。ホルモンの調整で乳輪も大きくならないようにしてありますから全体を吸い込んで搾乳します。そしてこのカップは今の出門君の乳房よりも少し大きいので、吸引豊胸機も兼ねています。当然ですが乳房が大きくなるに連れ、カップは更に大きな物に交換しますが。」
 「それが分かっていて輝は自ら搾乳するだろうか。」
 「出門君は知らないでしょうから当然デーモンさんも知らないと思いますが、お乳が張ると凄く痛いし、精神的にもとてもつらいのです。ですからデーモンさんが搾らないとなれば自分で搾らないとならないのですが、手で搾り、それを無駄にしてしまうというのはとてもつらいものなのです。ですから搾乳機があればそれを使います。そしてタイマーがセットされていますから、ほとんどの乳汁が出たら、その後30分は吸引され続けます。それが豊胸につながるのです。」
 「なる程な。本当に家畜用の搾乳機である事を理解した。」



 「フーッ・・・、デーモンさん、ひどいよ。」
 「どうだ? 女、イヤ、家畜としての気分は。」
 「オッパイもつらいし、オマンコだって・・・。」

 股間に手を宛がうとその部分だけデーモンの外皮が開いていた。デーモンの手袋越しではあるが、初めてその部分に触れ、涙する。

 「こんなの・・・イヤ・・・なのに・・・。」

 気分が落ち着いてくると空腹である事に気付いた。

 「しばらくショックで食事をしていないからな。」
 「ボクの考えが筒抜けなんですよね。食欲はなくてもおなかはすいてます。」
 「菊野が輝の食事を用意してくれている。これからも乳搾りでかなり栄養を消費するから食事をしていた方が良い。」
 「食事?」

 輝はテーブルを見たがそこには何もない。

 「そこではない。ベッドの上だ。」
 「ベッド? ゲッ・・・?」

 そこには素っ裸の男性が横たわっていたが、輝でもそれが人形であるという事は分かった。そしてやはり突き勃った大きなペニスにはかなりの違和感を感じた。

 「何ですか、あの人形は?」
 「菊野の用意してくれたお前の遊び相手であり、食事の為の道具だ。」
 「食事?」
 「分からないか? 今迄も何度かお前はそう言う形での栄養補給をしていたはずだが。」
 「そういう形・・・? ワッ・・・まさか・・・。」
 「そうだ。あそこからお前の食事が出る。但し、しっかり吸い上げないと出ないそうだからいい練習になる。この部屋に居る限り、お前の食事はそれだけなのだ。私としては拒絶していて欲しいという気持ちもある。」
 「エッ・・・何で?」
 「いずれは空腹の耐えかねてあれを吸う事になるだろう。しかし空腹という事は私の注入する薬剤の吸収が極めて良い事となる。更に乳房の成育にもな。輝は良く知らないようだが乳房はかなりの部分が脂肪なのだ。栄養不足であれば脂肪は内部で栄養として消費される。しかしそれは乳房が小さくなるという事ではない。私の注入するプロテインでタンパク質となり、更には乳腺を大きく増やせる余裕ができる事になる。その様に大きくされた乳房であれば更に大きくする事が容易なのだ。そしてたくさんの乳汁を出せる良い家畜にできるという事なのだ。」
 「そんな・・・、い・・・イヤだ・・・。」

 しかしベッドに横たわるダッチハズをチラチラ見ていると、食欲よりも先に膣内の空虚感に苛まれてくる。当然その感覚はデーモンにも伝わっているのだが、デーモンは何もしないままだった。

 《なる程、菊野の言う通りであるな。本人は気付いていないようだが色情狂という症状が出始めている。》

 輝は無意識に股間に手を伸ばし、膣口に触れようとした。しかし触れる寸前でデーモンがその動きを遮った。

 「エッ? アッ・・・ボクは今・・・。」
 「菊野の指示なのだが、いくら家畜とはいえ輝の意志を尊重しろとの事だ。完全な家畜であれば全て私が制御しても良いのだが、まだ幾分人間の部分が残っているのだから、人間としての意志は確かに無視はしない方がいいだろうと思う。」
 「・・・・・。」
 「食事は輝の意志でして良い。擬似セックスも輝がしたければ自分で初めて宜しい。そして乳搾りも同様だ。そこに置いてある搾り器に乳房を填め込めば自動的に搾ってくれる。但し、菊野の用意した搾乳機であるので、普通の物ではない。搾り終えても30分間は吸引され続ける。それがどういう意味か分かるか? 要は吸引式の豊胸機という事なのだ。搾れば必ず乳房を大きくされる器具だ。まあ、一度に大きくなる訳ではないが、何度も使っていれば確実に効果が出る。特に吸引中には必ずホルモン注入をするからな。それを理解した上で使用すれば良い。」
 「そんな・・・。」

 言われてしまうと意識がダッチハズのペニスに向かってしまう。そして膣から滴る液体が床を濡らし始める。どんなに奥手で女性器を持ったばかりの輝でも、それが何を意味しているのかは分かっていた。

 「ウウッ・・・、痒い・・・。」
 「痒い? そうではないだろう。お前の意識は私には分かるのだぞ。しかしその欲望は強ければ強い程好ましい。なぜなら常に輝がその意識を持ち続けるという事は、常時セックスの事を考え続けるという事であり、それこそがセックス依存症、色情狂になる為の必要条件なのだからな。まあ、精神的に破綻してしまえば、それはそれで完全な家畜として扱えるから私としてはなお良い結果になる。」

 乳房に手を持って行こうとしてもそれもデーモンに阻まれる。発情状態であるのは輝にも良く分かっていた。かと言って自分からしに行くという事はデーモンは勿論、菊野にも負け、自ら家畜になるという事を意味するように思えるのだった。勿論それはデーモンの思惑でもあったし、輝にも良く分かっていた。

 「ち・・・違う・・・。これは・・・ボクの身体がそういう風に改造されたからだ・・・。我慢していたら精神的におかしくなっちゃう。それ・・・こそがデーモンさんの・・・目論見なんでしょう・・・。だから・・・ボクがしたいからじゃ・・・なく、そういう身体にされちゃった・・・からの副作用・・・なんだ・・・。」

 輝はベッドに飛び乗り、ダッチハズの上にしゃがみ込んだ。かなり太いベニスであっても、愛液が流れ出る程であり、膣口も既に大きく広がっていて、すぐに受け入れ可能になっていた。
 ズプズプッっと填り込み、輝はすぐに身体を大きく上下動させ始める。

 「ハフッ、ハフッ、ハフッ・・・。」

 激しい喘ぎの中、高まりは更に強くなる。デーモンは密かにドーパミンを生成していた。その影響もあり、輝は無我夢中で腰を振るのだった。

 「アッ・・・、エッ・・・? 何・・・? 目が回る・・・。身体がフワフワ・・・、ワッワッ・・・。」

 デーモンの助けもあり、輝は初めて女性としての絶頂を迎える事となった。

 「ダメ・・・、怖い・・・。ワーーーーーッ・・・・!!!」



 「どうだ?」
 「アッ・・・、ボク・・・。」
 「かなり激しくいったようだな。思考だけでなく、強い感情も流れ込んできた。男の快感とは全然違うな。輝の悦びの感情は私にもいい効果がある。」
 「ち・・・違うよ・・・。これは・・・そういう身体に・・・されたからだ・・・。」

 しかし言葉とは裏腹に凄まじい快感に酔っていたのだ。下腹部の充実感は輝にはとても好ましいものだった。とは言え、デーモンに心の内を見透かされている事が恥ずかしく、未練は残るものの、ダッチハズのペニスを引き抜くのだった。そして開いていた膣口部のデーモンの外皮が閉じる。内部では再びバイブのように蠢くデーモンの肉体が入り込んでいく。そしてゆっくりと動き始めるのだった。

 「どうだ? 今のセックスで乳汁が一気に溜まったようだな。」

 輝にもそれは分かっていた。乳房の内部にかなりの圧力を感じている。下腹部が満足したので、今度は意識が乳房に集中していた。そして集中してしまう事により、更に乳腺が活発に活動する。

 「ツッ・・・、エッ・・・?」

 乳房を揉んで搾り出そうとしても、その手前で手が動かなくなってしまうのだ。

 「分かっているな。搾乳機で搾れば良いのだが、搾ると豊胸機機能が働く。」

 言いなりに家畜化されてしまう悔しさはあるのだが、それでも乳房の張りという全く初めての体験に肉体的よりも精神的に苦しかった。はち切れそうな程溜まりに溜まってしまった乳汁を出さざるを得ない。

 「これだって・・・そういう身体にされたから・・・なんだ・・・。決してボク自身が・・・。」

 ダッチハズで切れてしまったたがは戻らない。その不思議な形状の搾乳機を胸に押し当てた。ピッタリと押し付けたのだが、内部には空間が残っている。乳首と先端のホースとの間は2センチ程の隙間があった。

 「ワウッ・・・!」

 テーブル下にある搾乳機本体がうなりを上げると、搾乳機の中の気圧が下がり、乳房がより強く吸い込まれた。そして乳首がグッと伸び、先端部に吸い付けられると透明なチューブがパッと白くなった。

 「ウッ・・・痛い・・・けど・・・。」
 「痛いけれども気持ちが良いというのは分かっている。テーブル下の本体の向こう側に容器が置いてある。その中にミルクが溜まるのだ。」

 輝はデーモンに言われるままにその容器を見詰めた。最初はポタポタと垂れていたが、すぐに連続して流れ出す。

 「アアッ・・・、これがボクが出してるお乳?」
 「そうだ。これは勿論私の栄養となりエネルギーになるのだが、やがては大量に出るようになるとかなりの量が余る事になる。それは菊野が使用する事になるのだ。」
 「菊野さんが? なんの為に?」
 「医療用なのだ。世の中には牛乳アレルギーの子供が多いそうだな。その子供達でも人乳にはアレルギーは発生しない。特に乳幼児の場合のアレルギーは生命に関わる。その様な子供達に使用するそうだ。」

 その時、輝の意識が大きく動かされたのをデーモンは見逃さなかった。

 「ボクのお乳が・・・、そういう風に使われる・・・。」

 それはまさしく家畜として搾乳される事になるのだが、輝にはそれが素晴らしい貢献と感じてしまっていたのだ。そして乳を出すという行為の素晴らしい正当性と感じてしまっていた。途端に乳房内部での発乳が活発になり、更に勢いを増して容器に流れ出すのだった。

 《いつもながら菊野には驚かされる。このようにして精神を操作してしまうのか。私の思考実験では輝が最終的に私の道具になった場合の精神破綻が避けられない。しかし菊野は確信しているようだ。生物学者としての私では心理学は得手ではないし、更に地球人の心理となると・・・。下級だと思っているし、実際に下等な地球人に全てを頼るという事はデーモン族の私としては考えられない事なのだ。このように考える事自体不可解だが、それを解析する能力不足が悔しくもある。》


 「フウーッ、オッパイが楽になった。」

 乳房の張りがなくなる事がこれ程心地良いとは知らなかった。それは単にデーモンの為だけに出しているのではなく、将来的には医療用に使われるという自負からも心の張り合いとなっていたのだ。
 搾乳機を外そうとして手を動かそうとすると、やはりデーモンに阻止されてしまう。

 「ああ、まだ外せないのか・・・。この乳搾り器に填り込んでいるのが自分のオッパイだとは思えない程大きい・・・。」
 「減圧吸引している性もあるが、容器の厚みの分で、より大きく見えるのだ。」
 「最初は隙間があったはずなのに、今はピッタリくっついてるよ。」
 「手足や尻は私の外皮で覆われている。今はお前の栄養はほとんど乳房の成長に回されているのだ。」
 「えっ・・・、それじゃ・・・。」

 家畜にされるという事はそういう事だと悟っていたし、既に巨乳と言うべき乳房がもう少し大きくなったとしても輝にはさほど驚くべき問題ではなかった。



 「デーモンさん、おなかがすいたよ。」
 「分かっているはずだ。お前の食事道具は。」
 「だって・・・さっきまでボクのオマンコに入っていた奴だよ。」
 「勿論私が強引に食事をさせる事は可能だ。しかし私はそうはしない。」

 デーモンの言葉は絶対だった。自分から食事しないと絶対に無理だという事も。そうなると仕方なくダッチハズに近付くしかなかった。今迄も何人もの野球部員にくわえさせられてきていたが、そのペニスよりもずっと大きく、しかもグロテスクな程にリアルだった。そして今迄は無理矢理くわえさせられていたのを、人形とはいえ自分からくわえなければならないというのは男として・・・、いや、男だった者としては屈辱的であった。しかし空腹で体温も下がってきている輝には食事をせざるを得ない。思い切ってその巨大な逸物をほおばり、吸い上げるのだった。

 (ウッ・・・、吸っても出ない・・・。これを吸えばいいのと違うの?)
 「それはセックス奴隷の訓練用だぞ。そんな吸い方で射精すると思ってるのか?」
 (射精? そんな風にしないと出ないの?)
 「そうだ。しかしお前は何度かやっているから要領は分かるだろう。」

 輝には苦い思い出だったが、フェラチオをした時のように顔を上下に動かしながら強く吸い上げる。そして何度か吸い上げた時、一気に液体が噴き出てきた。

 (ワッ・・・! 精液?)

 口内に溢れんばかりに満たされた液体は苦く生臭い精液その物だった。仰け反って吐き出そうとした時、再びデーモンの制御する両手が輝の口を塞いだ。

 「ムブッ・・・。」
 (イヤだ、吐き出させて!)
 「何を言う。これがお前の食事なのだ。」
 (違う・・・。これは精液・・・。)
 「正確には人工精液だ。味と香りを本物に似せてあるがな。もっとも一部は保存精液が混ぜてあるらしいが。お前は私の家畜ではあるが、セックス奴隷でもあるのだ。私の為に大量の精液を収集する道具であり、大勢の牡達を相手にする場合、当然口でも精液を受け入れねばならぬ。そうであれば精液を消化吸収できる体質にならねばならぬ。お前の口も性器なのだ。そしてお前の胃や腸は精液貯蔵所でもあるのだ。」
 「ムププ・・・。」
 「ハッキリ言っておこう。セックス奴隷のお前の口に入る物は精液だけなのだ。まあ、それでは必要な栄養素が不足するが、それは尻から大腸に送り込んでやる。」

 口を塞がれているという事は飲まねば許して貰えないという事を意味する。唾液と混じり、量の増えてきた人口精液は喉を通るしかないし、その不快さを逃れる為にも飲み込む以外はなかった。

 「ハア、ハア・・・。」

 輝は悔しさで涙を流しながら肩で息をしていた。

 「ボクは・・・そこ迄堕ちてたの?」
 「何を今更。私の家畜としてお前は一生精液を集める為のセックス家畜なのだ。」
 「イヤだよーっ! ボクを元に戻して!」
 「さて、私に逆らうという事はどういう事になるのかな?」
 「ワッ・・・!」

 輝は慌てて尻を押さえようとした。デーモンに逆らうと肛門を痛めつけられると思ったのだ。

 「今はもうその必要はない。セックス家畜としてのしつけの方法がある。どちらの方法にしようかね。」
 「どちら・・・って?」
 「お前の膣を責め、いく寸前になったら止め、そしてまたいく寸前になったら止め、そうやってずっといく寸前で止め続ける。お前はいきたくていきたくて仕方なくなる。いく事しか考えられなくなる。それは色情狂にする為の精神改造になるからな。」
 「イヤ・・・。」
 「それとも、いってもやめずに、ずっといきっぱなしにする。ずっと絶頂状態のままにする。この方法も色情狂にするには良い方法だ。さて、どっちにするか・・・。」

 膣内でのデーモンが蠢き始めた。

 「ウワッ、ダメッ・・・!」

 デーモンのセンサーは鋭い。どこをどう刺激すれば輝の高まりが早いかは分かっている。ただ単純に快感ポイントを責めるだけでは良いオナニーにならない事も分かっている。しかししつけの為にはいきなり高め、全く余裕を持たせず、一気に上り詰めさせるのだった。

 「ウオーーッ!! ダメッ! デーモンさん・・・、ごめんなさい。やめてーーーっ!!」

 そのまま絶頂寸前のギリギリのところを維持しつつ責め続ける。

 「アオッ!! アギーッ! ヒーーーッ!!」

 もう快感ではなかった。肉体と精神の限界までの刺激が続いている。輝は床をのたうち回り、喘ぎの悲鳴を上げ続けるのだった。時間感覚はなくなり、永遠に続く拷問と感じるのだった。

 《そろそろ限界か。肉体的な色情狂にしなくてはならないが、精神的には正常でなければならぬ。一度いかせてしつけを終えよう。》

 デーモンは最後のとどめをくわえた。

 「ヒアッ・・・・・!!・・・。」

 ビクンと硬直し、全身を震わせながら仰け反る。よだれで顔はベタベタになり、白目を剥いてゆっくりと倒れ込んでいった。

 《ウーン、私の精神波で輝が影響を受けているのは当然だが、輝の精神に私の精神が揺さぶられるのは納得がいかぬ。今の快感が私にも分かるのだが、ダッチハズでの擬似セックスよりも強いにも関わらず、私にはあまり心地良くない。つまり私の望みとは少々違うようだ。どうもこのような異世界では私はなかなか順応できないようだな。》

 デーモンは失神している輝を操り、ベッドに寝せるのだった。



 分かってはいるのだが、改めてデーモンには逆らえないという事を思い知らされた。失神から目覚めても、輝は起き上がれずにいた。苦しい拷問のようなオナニーではあったが、その余韻は膣をキュンとすぼませてしまう程であった。たとえデーモンに後押しされていても自分から行ったダッチハズとのセックス、それに比べてデーモンに逆らった為に行われた激しい責め。どちらにしてもこれからも何回もさせられるであろう事は分かっている。どうせしなくてはならないなら悦びの中で行いたいと思うようになっていたのだ。



 「お早う。」
 「あ、菊野さん。お早うございます。」

 輝は目を擦りながら起き上がった。愛はダッチハズの背中を開けて、容器の入れ替えをしていた。

 「それ・・・。」
 「そうよ。出門君のお食事。昨日はあまり食事していなかったようね。減り方が少ないわね。」
 「それ・・・イヤだよ。」
 「あら、偏食はダメよ。しっかり栄養つけないと、これからずっと続けるセックスやお乳搾りに耐えられないわよ。」
 「だって、それ・・・。精液でしょう。」
 「ごめんなさいね。本当なら男の人達から直接飲ませて上げたいのだけれど、今は夏休みだから、まだ呼べないのよ。それでも幾分は保存精液を混ぜてありますから我慢してね。」
 「そうじゃないよ。どうしてボクの食事が精液だけなのさ。」

 愛は手を止めて不思議そうに輝を見詰めた。

 「出門君ってデーモンさんの道具で、その為にもひたすらセックスをするだけの家畜なのよ。その為なのだから当然でしょう?」

 輝は目眩を起こしそうだった。愛の意識の中では既に輝は完全にセックス家畜であると思っている事を理解するのだった。

 「それなら・・・そこからじゃなくて、直接その瓶から・・・。」
 「変な事を言うお道具ね。瓶から飲むなんて、それじゃまるで人間じゃない。はい、セット終了。たくさん飲んで、いいセックスを何度もして、お乳もたくさん搾るのよ。あ、そうだわ。夕べはあまり食事していないから空腹でしょう。今からお食事をしても、小腸には何も残っていないはずだから、デーモンさんの栄養も足りないわね。」

 そう言いながら愛は鞄の中に用意してあった巨大な浣腸器を取り出した。

 「あなたのお口はオチンチンをくわえるだけですからね。それ以外は全部お尻から入れますよ。ああ、中身が何か不安かしら?」

 その巨大な浣腸器には既に中身が入っていた。上半分は白い液体で、揺れ具合からはある程度粘度が高い。そして下半分の茶色の部分はかなり濃いと言うよりも固形物に近かった。輝は何となくだがその内容物が分かった。

 「おう、さすがに家畜であるだけに良く分かるな。」
 「デーモンさん・・・、まさか・・・あれは・・・。」
 「そうよ。まだ出門君の体内には精液が少ないでしょう。ですから最初に入る物は保存精液。これで小腸をある程度満たして上げますね。そして下半分は大便。これはデーモンさんの栄養となる物で、女性の物ですよ。」
 「ウンチ? それをボクに?」
 「あなたがあまり食事をしないからよ。デーモンさん、向こうを向かせてお尻を突き出させて下さいな。」
 「分かった。私の本体に隙間を作り、送り込めるようにしよう。」

 デーモンの操作で四つん這いになり、愛の方に尻を向けた。

 「イヤだーーっ!! 他人のウンチを入れられるなんて。ダメーーっ!!」

 愛はデーモンが僅かに開けた尻の穴に浣腸器の嘴を押し込む。そしてピストンを強く押すのだった。

 「あウッ・・・、入る・・・。イヤーーーッ!!」

 大腸に粘液が入り始める。それは何度もされたアナルセックスで送り込まれた精液と同じ感覚だった。しかし量は全然違う。大腸を逆流するつらさは激しいものだった。そして不快な膨満感。デーモンが直腸に取り憑いてからは排泄感は失われている。だから便意という言葉は輝にはなくなってしまっていた。それでもまだ精液に慣れていない輝の大腸はそれを異物として排泄させようとし、下痢症状を起こし、腸の蠕動が大きくなる。出口が塞がれていて腸が活発に動くと、内容物は必然的に上に移動していくしかない。大腸を精液が埋め尽くすと、その先は小腸へ押し出されるだけだった。噴門を強引にこじ開けて精液は小腸に流れ込む。輝のおなかはゴロゴロと音を立て、腹痛が襲うのだが、愛は更に粘度の高い固形物を送り込むのだった。
 メコメコっと大腸がうなりを上げる。息んでしまうとむしろ送り込みがスムーズになってしまう。そしてデーモンの本体も少し変形させて内部への注入を促していた。精液と違い、その異物には存在感があり、大腸のどの部分まで入れられたが分かるのだった。
 全身から精液臭い汗が噴き出してくる。口を大きく開けて荒い息をしながら浣腸による拷問を耐えるしかなかった。つらく苦しい、そして嫌悪の腹部膨満感は輝の精神をボロボロにしてしまうかのようだった。



 「ウッ、ウッ、ウッ・・・。」

 輝は腹部をさすりながら泣いていた。

 「分かっているだろうな。お前は私の道具であり、食料生産機、その保存容器なのだ。道具が人間に逆らうなどという事はあり得ないのだ。素直な道具であれば、私もその道具を丁寧に、優しく扱う事ができる。道具の意志・・・というのも変だが、より良い道具になろうとしていれば私は道具をその自由意志に任せる事ができる。私がお前の肉体を操作する必要はほとんど無いのだ。私とは私の核、脳機能の事であり、遺伝子生物学者としての脳活動が一番重要なのだ。だから家畜、道具とはいえ、お前は自由意志で行動ができるのだ。」
 「それは・・・分かってます・・・。散々思い知らされてるし・・・。だけど人間として・・・。」
 「自分自身を人間だと思う事は何ら問題ない。家畜機能以外は確かに地球人類であるのだから。」

 しかし自分とデーモンの力の差を思い知らされた輝は肉体的抵抗も精神的抵抗もできなくなっていた。



 乳搾りは自分で素直に行うようになっていた。搾り出される時は快感であり、それに伴う吸引豊胸は巨乳の輝にはほとんど無関心でいられる。ダッチハズとの擬似セックスはデーモンにより高められ、そのままにされてしまうので、それも自発的に行うようになった。どうせいかされるなら、心地良くいきたかったからである。ただ食糧補給の為のフェラチオだけは嫌々ながらしなくてはならなかった。その行為そのものは女性体形にされてしまったとは言え、男としての自尊心を打ち砕くものだった。それに精液を自ら進んで飲むという行為もつらかったが、苦しい浣腸をされるよりはましだった。



 「ゲフッ・・・。ウウッ・・・、ゲップが精液臭い・・・。」
 「どうだ? やはり本物の牡の方がいいか?」

 輝は山口とのセックスを思い浮かべてしまった。途端に膣がキュッとすぼんでしまう。

 「お前の心は私には隠せないのだぞ。」
 「やっぱり、こんなお人形よりは小さくても・・・。」

 言ってから輝は真っ赤になって照れていた。

 「そうだろうな。」

 すると膣内のデーモンの肉体が蠢き始めた。ゆっくりの動きで、輝に快感に誘っていく。

 「あれ・・・、いつもと違う・・・。」
 「ほう、分かるか。お前の好きな男をイメージして楽しむがいい。」

 ちょっとおかしいなと思った輝だが、素直にベッドに横になり、デーモンの愛撫を楽しむのだった。


 《デーモンさん。どんな具合ですか?》
 《今オナニーさせている。》
 《それでは30分後に最高の高まりになるように調整して下さい。》
 《ん? なぜだ? ああ、この前の牡を連れてくるのか。》
 《はい。整形前に一度させておかないと、顔付きが変わった時、出門君だという事が素直には信じられませんからね。それに出門君がセックス依存症であるという印象付けもしておきませんとね。》
 《分かった。菊野達が来る時にあと一歩と言うところで止めておく。それでいいのだな?》
 《宜しくお願いしますね。》


 「ハアーーッ・・・。いい・・・。アハーーーッ!!」

 輝は身悶えしてよがっていた。しかし、さあ絶頂にいくぞ、というところでスッとデーモンの動きが止まった。そして膣口の部分の外皮が開き、愛液が溢れ出た。

 「エッ・・・、ダメ・・・。もっとーーーっ。」

 目を開けた時、自分の前には驚きの表情の山口が立っていた。しかも素っ裸で、下腹部は屹立していた。

 「キャッ! キャプテン・・・。」

 輝には恥ずかしさよりも絶頂寸前でいけないつらさの方が勝っていた。そして目の前にはキャプテンのペニスが突き立てられている。精神からの声ではなかった。肉体が声を出させた。

 「お願い、来て・・・。挿れてーーーっ!!」
  
 輝は山口の手を引っ張り、自分の方から腰を押し付けていった。

 「おう。」

 山口は驚いたままだったが、それでも開いたままの膣口にズボッとペニスを押し込んだ。

 「ハウッ!! やっぱり、本物はいい・・・。」

 すぐに輝は腰を動かし始め、自分の方からリードするように山口を求め続ける。

 「ワッ、何だこれ。出門のオマンコ、もの凄い・・・。引っ張り込まれる・・・。」

 負けずに山口も腰を前後させるのだが、改造されている輝の膣はしっかりとペニスを握り込み、クネクネと蠢く。ピストンの抜き差しにしても、かなり大きく動かしているつもりでも、膣口付近までペニスが行くと、すぐに中に引っ張り込まれてしまうのだ。

 「オッ、オッ・・・オオーーーッ!」

 吠えるような山口の声とともに輝の膣底に暖かいほとばしりがあった。そしてそのまま子宮内に押し込まれる。子宮内で動き回る精液は輝に涙を流させる程の悦びをもたらした。

 二人は結合したまま重なっていた。山口の呼吸がやっと整い、乳房を撫でながら身体を起こす。

 「出門、お前のオマンコ・・・、凄いよ。今迄本物の女性と何回かやった事はあるが、全然違う。こんなオマンコ初めてだ。」

 輝は素直に嬉しかった。そして輝の方から両手両足で山口を抱きかかえ、腰を押し付ける。

 「ワオッ、いまやったばかりだぞ。ワッ、すげ・・・。お前のオマンコが俺のチンチンを握ってる。エッ・・・何だ? 引っ張り込む。填めたままで動いてないのに・・・、アハッ。」

 山口は立て続けての2発目に突入させられてしまった。


 「フーッ、凄いな。この服も凄くエロいし、顔は知ってるから出門だと分かるけど、知らない奴が見たら絶対女だと思うぞ。いや、オマンコとオッパイは絶対に女以上だ。なあ、このオッパイ、ミルク臭いけど、まさか出ないよな。ワッ、オマンコがまた引っ張り込む。無理だよ。ちょっと休ませろ。分かるだろうけど、俺のチンチンは2回も出されて、すっかり萎んじゃってるよ。一旦抜くぞ。」

 未練がましい輝だったが、それでも絡めていた足を離した。

 「エッ・・・?」

 素っ頓狂な山口の声が響く。

 「おい、離せよ。ワッ、抜けないぞ。」

 萎えている事は良く分かっている。細く柔らかくなっているペニスなので力を入れなくても抜け出るはずなのに手で握られている以上に強く握りしめられている。と言っても痛いという程強くはないのだ。

 「おい、何なんだ?」
 「ボクにも良く分からないけれど、ボクの身体がまだ満足していないみたいで・・・。」
 「出門のオマンコが握っているんだろう? 一旦緩めてくれよ。」
 「お願い。もう一度・・・。」
 「仕方ねえなあ・・・。そんだけ揉み続けられたら、少しは堅くなってきたみたいだし。でも俺、かなり疲れてるのに。」
 「いいよ、下になってて。ボクが上でやるから。」

 体位を入れ替え、騎乗位で始める二人だった。山口は下から輝の巨乳を支え、撫で上げる。そして輝は腰を上下し始めるのだった。


 《デーモンさん、予想より時間が掛かってますが、大丈夫ですか?》
 《ああ、今3回目が始まったところだ。》
 《あらあら、山口君はよっぽと出門君を気に入ったようですね。》
 《それもあるのだが、輝の膣機能が通常よりも違うようだな? 菊野の指示と仕様に従ったのだが。2回目が終わって萎んできたペニスにも関わらず、牡の方が引き抜こうとしたのに抜けなかった。これでいいのか?》
 《まあ、もうそこ迄強化されているのですか。それは素晴らしい。》
 《発情していないペニスでもセックスを始められるという事だが、それでいいのだな?》
 《ええ、これも出門君をデーモンさんからは離れられない、デーモンさんがいないと生きていけないと言う事を認識させる事に使用させる機能なのです。でも、それ以上に素晴らしいセックス家畜の条件ですけれど。》
 《そうか。私としても精液採取には都合が良い。それに輝の新陳代謝が高くなるという事は、私の浸潤細胞との入れ替わりも良くなる。しかし、繰り返しの交尾では段々と精液量が減ってくるが。ペニスを引き込んだままで離れないというのも困るが。》
 《あら、それは簡単でしょう。デーモンさんが膣内に入り込めば、お相手のベニスを包み込みさえすれば摩擦係数が減りますし、膣を少し拡げて上げればすぐ抜け出ますよ。》
 《何だ、確かにそうだ。そんな簡単な方法に気付かないとは・・・。》
 《原始的な方法ですが、知能レベルが低い生物にはレベルが低くてもできる方法を考え付くものなのですよ。》
 《それは言うな。レベルが高い事が必ずしも頭が良いという事にはならないと言う事は我が母星の滅亡の時から思い知らされている。非効率、無意味、冗長が決して非効率、無意味、冗長でない事は既にしっかりと思い知らされている。まあ、菊野に出会っていなければ、私は既に消滅していたはずなのだ。しかし今は私の知識の吸収、そして研究できる環境を得た事に・・・、そうだ、『感謝』という精神状態になっている。この感情は初めてであり、少し戸惑っている。そして『戸惑う』という感情も初めてであり、その分析が思うようにならぬという事がもどかしい。そして一番不可解なのが、私が輝を家畜化する事についてだ。》
 《それが何か?》
 《私が母星に居た時、当然家畜を必要とし、何度も行ってきた事だが、私の使いやすいように改良、改造してきた。その場合、家畜の精神状態もある程度は考慮に入れていた。精神的な安寧は家畜の効率を上げるから、無理な改造はしなかった。》
 《それは当然の事でしょうね。》
 《それが今は少し・・・いや、かなり異なっている。私は輝の改造が楽しいのだ。当然使い易いように改良をしているのだが、それが効率を落としてでも改良したいと思っている。むしろ楽しみの為に改良を続けていると言っても良い。しかしそれは効率を最優先とするデーモン族の哲学、信念に反する。それに輝の快感というものも私には伝わるが、それが私にも心地良いのだ。今迄は家畜の快感は精神的な安定をもたらすと言うだけで、私には何の影響もなかったはずなのだ。確かに私にとりこの星はかなり異常な状態である。今迄ら経験の無い異常状態で、私の精神も異常を来したのではないかと思えるのだ。》

 愛の精神波がちょっとの間途切れたが、すぐに返答してきた。

 《私にはデーモンさんの母星がどのような星かは分かりませんが、それでも地球とはかなり異なった環境であるとは思います。それだったら現在のデーモンさんは極めて異常な状態にある訳ですよね? もし極端に異常な状態に対応するには当然極端に異常な対応をしなければならないと思います。もしデーモンさんの星での精神状態をそのまま維持続けていたらそれこそ異常に押し潰されてしまうのでは? むしろ変化してきているという事であれば、地球での異常状態に順応してきているのではないでしょうか? それがデーモンさんの正常な反応ではないのですか?》

 愛にデーモンの輝くような精神波が届いた。

 《そうか! 確かにそうだ。母星に居た時の状態ではあり得ないのだ。ありがとう、菊野。いつも私の精神を覆っていた霧が晴れたような気がする。そうか。私はこの星に合う順応、あるいは進化しているのだ。感情を強く表すという事はデーモン族にとっては獣性、あるいは劣等種族とされていたが、ここでは違うのだ。》
 《そうですよ。感情を表す、そして感情に従っていけば宜しいのでは? 勿論禁忌はありますが、それは出門君の知識から得ているでしょう。それ以外はデーモンさんのなさりたいようになさっても、それがデーモンさんの正常な精神、行動になると思いますよ。》

 再びまぶしい程の精神波が愛を包むのだった。



 「デーモンさん、菊野さんに連絡して、キャプテンを呼んで貰えない?」
 「やはり本物に比べれば、かなり劣るという事か。」
 「う・・・うん・・・。」
 「しかし、夏休みは明日で終わりだそうだな。皆、学校の方だ。」
 「アッ・・・、学校・・・。」

 輝はダッチハズの上で腰をくねらせていた、そして暗い顔になった。

 「ぼくは・・・もう学校には・・・。」
 「何を言っている。輝は私の家畜ではあっても学生なのだぞ。当然勉学に勤しまねばならない。増して私の家畜であるならば、それ相応の知識を得なければならない。」
 「だって・・・家畜だったら・・・、一生ボクは・・・・・。」
 「それこそ認識が甘い。私が母星に居る時であれば家畜は使い捨てであった。それに大勢のデーモン人の社会、文化があった。しかしここでは私はたった一人なのだ。デーモン人として堂々と表に出る訳にはいかん。表に出るのは地球人としての輝なのだ。その為には正常な社会人でなければならぬ。いや、それだけでは足りぬ。知識人でなければならぬのだ。他に現在はデーモン人は存在しないが、過去には存在したと推定できる。私は遅れて到着したが、そのデーモン人に負けない家畜を持ちたいのだ。自己満足ではあるが、それが遺伝子生物学者としての誇りでもあるのだ。」
 「そんな・・・、どんなに勉強したって・・・。」
 「いや、そんな事はないぞ。少なくとも頭が良いという事は尊敬、憧憬の対象となる。特に牡達にはな。そうすれば色々な牡がお前に・・・。セックスのし放題になるぞ。」
 「イヤだ・・・ボクは・・・そんな・・・、ウッ・・・。」
 「身体は輝の心より素直だ。膣が悦びを表している。」

 輝の精神も肉体もデーモンには素通しだった。口で何と言おうとも、身体が悦んでしまっている事を認めざるを得なかった。



 「お早う。」

 愛が笑顔で入ってきた。しかし輝にはその笑顔の裏に何かを感じた。

 「ほう、警戒の心が起きたか。」
 「エッ? また・・・何か・・・。」
 「いいえ、今日はそれ程大した事ではないわ。」

 しかし愛が何かをすると言う事は、輝にとっては取り返しのつかなくなる改造という事は分かっている。

 「いや、私の肉体もある程度成長したし、余裕もできてきた。今迄はこの大きさなので、輝の全身を包む事はできなかったが、やっとそれだけの量ができたという事だ。さすがに今の姿で表には出られないだろう。それで・・・。」

 剥き出しになっている輝の上半身前面のままでは確かにあまりにも卑猥な姿だ。
 それが両側からスルスルと前面を覆うようにデーモンの外皮が伸び始めた。

 「エッ・・・エッ・・・?」

 すぐに首から下全体がデーモンの外皮に覆われた。しかし身体の線がハッキリと分かる全身ラバースーツのような形に、むしろ卑猥さを感じてしまう。

 「どう? シルエットはかなり女性っぽいでしょう。とはいえ、まだまだよ。女性の腰の位置はもう少し高いし、元々撫で肩の出門君にしても、やはり男の子。それに一番の違いは可愛いとは言っても男の子の顔。やはりその姿だったらもっと可愛い女の子の顔でないとね。」

 そして輝の恐れる愛のニヤッとした笑みが浮かんだ。

 「とっても可愛い顔。どんな男の人でもいきなり発情してしまうような顔。どんなダッチワイフでもかなわないような扇情的な顔でないとね。」

 首までのデーモンの外皮が輝の顔を覆うように伸びてきた。

 「何で・・・、ア・・・パ・・・。」

 口を覆われ、外皮は口内にも入ってくる。そして鼻の穴にも。しかしその穴だけは呼吸ができるように貫通していた。しかしついに頭部全体が覆われた時、輝は光と音を遮断された状態になった。

 (何、これ? デーモンさん、やめて・・・。)
 「心配するな。今、菊野が言ったような姿にするだけだ。私が菊野の仕様を受け、お前の外観を変える。私の微細触手で脂肪や筋肉を移動させる。しかし骨格までの移動は難しいので、それは別にじっくり時間を掛けて形成させる。それでも少々時間が掛り、待機時間は輝にはストレスになるだろうし、筋肉を硬直させると私の仕事の邪魔になる。それでしばらく眠っていて貰う事とする。ほんの3日だ。目が覚めた時、輝はもう輝だったとは言えない生まれ変わった顔かたちになる。」
 (イヤだ! ボクはボクの顔で・・・。あ、眠くなって・・・。ダメ・・・・。)

 ガクッと脱力した事は愛にも分かる。

 「眠ったようですね。」
 「それでは仕様通りの改造を進めよう。しかし顔面の再形成はそれ程時間が掛からないが、性器の方は仕様が複雑なので時間が掛かる。」
 「そうですね。でも、完全な女性にする為には必要な事ですよ。」
 「それにしても菊野は興味深い方法を考えるのだな。輝の精巣を私の体内の方に移し、その機能を維持させ続けるとは。これは輝の精子を維持させる為に必要な事なのだな?」
 「ええ、将来輝に子供を産ませる時に必要ですし、それ以上にデーモンさんの肉体生成の時には二人の遺伝子結合が必要ですから。」
 「尿道の方は既にペニスから抜き取り、クリトリスの下部に移植してある。まあ、小便は私の体内を通して排出させているので輝は気付いてはいないがな。」
 「それで手足の神経系統はどうなっていますか? 私としてはそちらの方が興味深いのですが。」
 「それは予定通りだが、菊野の指示通り、かなりの遠回りで時間が掛かる。筋肉細胞や脂肪細胞に関してはかなり浸潤、入れ替えは進んでいる。接合部に関してはかなり微細な加工が必要なので、常時進行中だ。私の体液と輝の血液の為の血管の比率はまだ20%程度だが、これも順次交換効率も上がるはずだ。」
 「まあ、それではかなり順調・・・と言うよりも随分速いスピードですね。」
 「それは菊野のお陰だ。デーモン星での家畜改造は家畜の意志を無視して行うので、下等生物であっても精神的な抵抗が大きく、時間が掛かるのだ。場合によっては脳を破壊して、単に生きている道具としてからの改造をする。地球人の場合ではそれが不可能であるので、私の思考実験では1年を予想していた。だが、菊野の指示に従う事により、予想を遙かに超える改造が可能になった。この複雑な思考の地球人の思考を変化させるのは困難と予想していた。」
 「ですから、望む方向に進める事が肝要なのです。とはいえ、女性型の家畜化は望むべくもありませんから、代償としての快感を与え続けて抵抗意志を減少させるのです。私どもが改造する時も同じ方法なのですよ。」  「理解している。私の遺伝子検索、操作能力は菊野の仕事に役立ちそうだ。私のように道具として使用するのではなく、セックスの為の道具にすると言う事は興味深い。なぜ地球人が子孫を残す為ではない交尾をそれ程望のかまでは理解できていない。新たな哲学と言うべきなのか。」
 「あらあ・・・。地球人の常時発情というのはデーモンさんの先達の方の品種改良の結果なのでは?」
 「む・・・、そうかも知れぬ。しかしここ迄の予想はしていなかっただろう。どういう経緯でこのような状態にあるのかも知りたいものだ。ウーン、私の知識探求欲がますます刺激される。私の脳機能では収まらぬかも知れぬ。不要なデータを消去したとしても容量不足が予想される。先人達が何をしようとしていたのかも検討せねば。菊野に輝の精神的処置は全面的に任せよう。私は改造に全力を注ぐ。」
 「それはお任せ下さい。そしてデーモンさんの知識の一部を是非。」
 「分かっている。ともに知識欲を満足させたい。」
 「お願いしますね。」



 輝の目覚めは爽快とは言いにくい気分だった。全身を圧迫され、節々にも痛みがある。辺りは真っ暗でシーンとしていた。起き上がろうとした時、身体が動かず、デーモンが制御していると悟った時、何たるかを思い出し、声にならない悲鳴を上げた。

 「目を覚ましたな。」
 (デーモンさん、ボクの身体・・・。)
 「おう、ほとんどの改造は済んだ。あとは細かい部分だけだが、それも間もなく終わる。」
 (まさか・・・。お願い、どうされてしまったのかを知りたい。この外皮を脱がせて。)
 「まだ仕上げは終わっていない。菊野に確認して貰い、仕上げをして貰うのだ。さすがに私はまだ地球人の美意識を会得し切れていない。であるから菊野に任せてある。おう、すぐに来る。そうすれば輝が生まれ変わって素晴らしい身体を見る事ができる。」
 (イヤだ! ボクは元のボク、男のボクで居たい!)
 「それは既に不可能だ。私に組み込まれている道具に過ぎないのだから。お前は私の生命維持の為の部品に過ぎないのだ。」

 涙を流しているはずなのだが、それはデーモンに吸収されてしまっている。身体を震わせ、嗚咽しているのだが、全く動かない身体が更に恨めしく、いつまでも泣き続けているのだった。


 《宜しいですか?》
 《おう。身体の方はほとんど完了している。あとは菊野の施す永久化粧というものだが。それはどういう改造なのだ?》
 《改造という程のものではないですよ。デーモンさんは私の顔で分かると思いますが、表面に薄く色々と施してあるのが分かりますよね。》
 《それは分かる。輝の知識でも雌は化粧という方法で雄を惹き付ける効果があるらしい。地球人の雄の場合、視覚の影響の多い事も理解している。》
 《最近は男でもお化粧をする事がありますが、女性程ではありません。ですから出門君の場合は女性の化粧の方法なんて知らないのですよ。それに毎日お化粧をする時間って結構馬鹿にならないですし、出門君にしなさいと言ったところで、するわけがありません。それなら一生お化粧をしないでも化粧した顔にしてしまえばいいのです。入れ墨と言う事は理解なさっていると思いますが、それと同じ事を顔に施すのです。表皮の下部に顔料を薄く注入すれば、それが極めて長期間持続するのです。もし将来薄くなった時にはデーモンさんが色素を注入して頂ければ。》
 《了解した。手順を指示して欲しい。》
 《それでは拘束状態のまま、顔面だけを開いて下さい。》

 いきなり輝は眩しい光の中に居た。しばらくは目を開けられない程だったが、段々と慣れてくると、目の前に愛が微笑んでいる。

 「愛さん! ボクはいったいどう・・・? エッ? な・・・何、ボクの声?」

 叫んだ輝の声は甲高くなっていた。

 「エッ? この声・・・ボクの声? 耳が変なの?」

 それは既に完全に女性としての声だった。

 「デーモンさんが出門君の声帯も改造してくれたのよ。そんなにセクシーなお顔には、やはりセクシーな声でないとね。」
 「セクシー? アッ、ボク、どうされてるの? 顔がセクシー? 見せて・・・。」

 輝が言う前に愛は手鏡を用意していた。そしてそれを覗き込む。
 少しの間、沈黙があり、次に輝の悲鳴が響いた。それは女性の甲高い悲鳴だった。


 「麻痺剤を施した。顔面筋肉が動かぬようにな。」
 「ありがとうございます。それでは出門君に永久化粧を施しましょうね。」

 (ボクは・・・女の顔にされてしまってる・・・。もうボクの顔じゃない・・・。エッ? 永久・・・化粧? どういう・・・事?)
 「あなたに女の子のお化粧しなさいって言っても、したくないし、できないでしょう? だからこうやって永久に取れないメイクをして上げるのよ。まずは唇。こんな風に。」

 愛はエアブラシのような器具を輝の唇に宛がい、静かに撫でていった。顔は麻痺剤で硬直しているが、ピリピリする痛みが走る。
 そして次の器具で頬を撫でられ、最後にまぶたに少し吹き付けられる。

 「なるほど。これが化粧した顔か。輝の知識の中にあるセクシーとか言う顔の要素をまとめ上げてあるのだな。さすがにセックス奴隷とかを作っている菊野の仕事だな。」
 「いいえ、これは簡単な仕事です。たとえばこの長くて綺麗なまつげは私には植毛でしかできません。でも、これは出門君自身のまつげですから、抜けてもまたこのように綺麗になるのですものね。まるで付けまつげをしているみたいですから、アイシャドーも映えるのですよ。」


 「それでは生まれ変わった出門君とご対面。」

 鏡の中に輝は居なかった。映し出されているのは少しハーフっぽい、真っ赤な唇を突き出し、長いまつげにウルッとした大きな瞳のセクシーで可愛い女性だった。そしてブラウンのウェーブの掛かった長い髪。

 (これが・・・ボク? そしたらこの髪もかつらじゃなく?)

 「そうだ。カツラなどではないぞ。毛根を操作し、こういう髪にした。菊野の仕様が基本だが、お前の趣味嗜好だった雌の特徴を含ませてある。どういう雌に交尾を求めたいかは輝の意志を尊重した。」
 「そうだったのですか。だったら、出門君が一番セックスしたい女性の顔になっているのですね。それはとてもいいわね。この顔にあなたが一番発情しやすいのね。素晴らしいわ。自分の理想の夢のお相手として色々な男の人にセックスして貰えるなんて。」

 もうテルには二人の会話は聞こえていなかった。聞こえていないと言うより、聞いていても意識の中に残らない状態だった。


 「それでは乳房だけ露出させ、膣口部も開いておいて下さい。心が落ち着いたら自由にして上げて下さいね。しばらくは精神的不安定が続きますが、その時はダッチハズをお相手する事が安定化を図りますから。」
 「了解した。それで、いつもの牡はいつ来るのだ?」
 「さすがはデーモンさん。」
 「多分、あと4時間くらいかしら。東京からですからね。」
 「そうか、その頃に過発情状態にしておく。」
 「お願いしますね。最終段階の出門君をいきなり見たとしても分からないと思いますので、途中経過を見せておかないとならないのです。」
 「そうかも知れぬな。いきなり見せたら、むしろ恐怖が働くかも知れないからな。輝が更に変化したのだという事が分かれば更に発情度が上がるだろう。」
 「そう言う事ですわ。」

 愛は笑いながら出て行くのだった。





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